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車谷長吉「金輪際」

2010年07月17日 | か行の作家
朝日新聞「悩みのるつぼ」という人生相談コーナーに時折回答を寄せておられます
人生相談の回答といえば
ポジティブにいきましょう
相談者を慰め持ち上げて終り
何処が回答か?というのが多いですが
車谷さんは
自分の生き様を披露された上で、貴方の考え方が分からない、どういうことか?など、相談者に直球勝負を挑んできます

自分の恥も何もかも曝け出す作家さんです
ですから読むのは勇気が必要です
受け止める勇気が無ければ読まない方が車谷さんに失礼にならなくて済むと思います


「静かな家」
久し振りに会った大学時代の先輩から聞いた話から思い出す貧しかった子供の頃の話
貧乏と外見からクラスで無視されていた女の子に対し、悪いことをした、という思いから、謝りの手紙を書くのだが書いただけで渡すことが出来ない、強い気持ちで渡そうとは思っておらず、結局渡さないまま忘れてしまう

「金輪際」
近況は気になるがおそらく二度と会えないだろう人々の話
旅先で一緒に撮った写真を送ってくれた女性にお礼の手紙を書きそびれて長い年月が過ぎる
どうしてだろう、そうか、あの女性の外見が良くなかったからなのだ
小学校時代、裕福な転校生の家にお呼ばれするのだが、彼の自分に対する邪悪に満ちた仕打ちに深く心を傷つけられる
彼の邪悪を見出したのは他ならぬ自分の中の邪悪であり作者の邪悪である

他には
「白黒忌」
「花椿」
「ある平凡」
「児玉まで」
「変」

人の情念を描く短編集

自分に刺さっている棘がチクチク痛みます

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