パチリズム!

下手の横好き将棋指しの、将棋関連ブログです。

そわそわ

2012-07-03 22:05:57 | 将棋

 昨日に引き続き、今日も私は地元の書店へと足を運びました。目的はもちろん、藤井九段の記事が載ったAERAを購入すること。以前、藤井九段がNumberに載ったときには知らずに買い逃していますので、今度こそはの意気込みです。

 

 ひょっとして今日も入荷していないのではないかという心配も若干ありましたが、すぐに今週号のAERAを見つけることが出来ました。表紙は今話題の香川真司選手。いかにもスポーツ選手らしく爽やかな面差しと、『「新型うつ」にしない子育て』という若干意味を考えてしまうキャッチコピーのミスマッチが素敵です。途中、ももいろクローバーZが表紙のプレイボーイ誌に大いに心惹かれたりもしたのですが、堅固な意志でその誘惑を振り切り、無事お目当てのAERAを購入することができました。

 

 早速買ったばかりのAERAを開くと、労せずして藤井九段の記事を見つけることが出来ました。なんたって目次に載っているのです。それも、割と大きめの字で。力の入り具合からして違います。

 

 分量は見開き2ページ。これだけ書くと少ない感じもするのですが、このAERAという雑誌、マンチェスターユナイテッドへの移籍を決めた香川選手へのインタビューすら2ページに収めているのです。そう考えると、むしろAERAに2ページ使わせた藤井九段こそ大したものだな、と考えるべきでしょう。

 

 さて、肝心の内容ですが、普通なら藤井九段のインタビューなり決意表明なりを柱にして記事を構成するところなのでしょうが、この記事はむしろ、藤井九段がファンや同僚棋士にどう見られているのか、という要素を柱にして構成されています。なにせ、記事の約半分を『ファンから見た藤井九段』に費やしているのですから、異色といってもいいでしょう。そしてその構成が、藤井猛という棋士を語るに当たって抜群の効果を挙げているのです。

 

 藤井九段の特徴を一言で言えば『影響力のある棋士』。藤井九段より勝っている棋士はいても、藤井九段より影響力のある棋士はいません。

 

 例えば将棋戦術にもたらす影響。革命的な戦法である藤井システムは何年もの間棋界のトップストリームに君臨し続け、その根本である「後で指せる手は後回しにする」というアイディアは様々な戦法に影響を与えています。藤井システムを離れても、今度は矢倉で斬新なアイディアを出す。これほど棋界に影響を与え続ける棋士は、少なくとも現役では藤井九段ただ一人でしょう。

 

 そして将棋ファンにもたらす影響もおそらく棋界随一。例えばtwitterを見ても、藤井九段の王位挑戦決定時の盛り上がりは凄いものがありました。普通に考えれば若くて、かつ大変男前の中村太一六段の棋聖挑戦のほうが盛り上がりそうなものですが、藤井九段のそれには及びませんでした。それほど凄まじい人気なのです。

 

 それだけ影響力のある藤井九段ですから、タイトル挑戦ともなればそれは当然盛り上がる。しかも今回は二年前の王座挑戦と違って連続降級の後。没落から復活へと向かうドラマもそこに付属するのですから、盛り上がるなという方が無理な話でしょう。

 

 AERAにおける今回の記事は、そんな藤井九段の影響力、王位戦を待ち焦がれる棋界のそわそわとした雰囲気が感じられる、素晴らしい記事だったと思います。