Pianist 池田みどり

ピアニスト池田みどりの四苦八苦をまるごとお見せします。
http://www.hi-ho.ne.jp/~midopi/

schola 坂本龍一 音楽の学校 "音楽の職人 バッハ”

2010-04-12 | ドキュメンタリー/映画
 「教授」の呼び名で知られる坂本龍一氏のライフワークがこの”schola"の制作です。年3巻ずつ10年をかけて発刊する音楽の百科辞典”schola"は、クラシックからロックまでの音楽史を網羅したCDです。それを映像化した番組「音楽の学校」では、ゲスト講師との対話に加え、高校生をスタジオに呼んで、実際の演奏を含んだ講義も行われます。今回はその2回目、4月のテーマ”バッハ”についての講義。(坂本龍一・ゲスト講師:小沼純一・岡田暁生)

『3度音程の発見』
 坂本:「中世の音楽では1度と5度の音程が中心だった。3度の音程は物理的には不協和音と言ってもいいんです。中世では不協和音としてとらえられていて、使っちゃいけない音だったんです。それが調和して聞こえるという感覚の変化が何百年の間に起こったっていうところが、面白いんですね。中世時代には空虚5度を基にした、「永遠に続く時間」があったわけですが、ここで3度が入ったということで、解決し、「時間が終わる」という発見がなされたんですね。始まりがあり終わりがある、「時間」というストリングスの上に乗った物語が生まれるっていうことに何百年も費やしてきた」
 岡田:「音楽で感情を表す場合、必ずそれは必ず不協和音で表すことになるわけです。だって協和した音は、解決してしまっているので感情はどこにも行けないですから」
 坂本:「もっと単純化して言っちゃうと、最初は半音だったものが、5度になった/ベースがあって/そして3度が発見された/不協和音として7度や9度など加えられていった。このようにどんどん音が加えられていくような歴史だと言えますね」

『編曲の講義』
 坂本:「中世やルネサンスの音楽だと、作曲者が書かれていないことがよくあるんですね。誰が弾いてもどういう風に編曲しようが構わないという・・・著作権というような意識はなかったんです」
 岡田「バッハの時代というのは、人々が作曲家に何を求めていたかというと、ゼロから曲を作るというよりは、自分達がよく知っている曲をどう料理してくれるんだろうということを楽しみにしてた。たとえばバッハが、現代流に言うと『パクリ』をやっているわけだけど、それは当時の常識から言うとぜんぜん問題のないことで、それをどうアレンジするかというのが、腕のみせどころだったわけです」

 バッハは17世紀のコラーレ(プロテスタントの聖歌)「目覚めよ わが心」(作者不詳)を何回もアレンジして曲を作っています。
 1.カンタータ第55番「わたしはみじめな人間」
 2.マタイ受難曲から第48番コラーレ「わたしがあなたによって慰められれば」
 3.カンタータ第147番「心と口と行いと生活が」から「主よ、人の望みと喜びよ」(1723年初演)※この曲は私もよく伴奏させていただいている"If the world had a song"の原曲です。

 ※schola 音楽の学校 毎週土曜日 教育 11:45~
http://www.nhk.or.jp/schola/


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