Pianist 池田みどり

ピアニスト池田みどりの四苦八苦をまるごとお見せします。
http://www.hi-ho.ne.jp/~midopi/

第5回渡航医学実用セミナー:インド医療事情

2012-05-30 | Diary

 今回が5回目の東京医科大学病院 渡航者医療センター主催、渡航医学実用セミナー。私はこれで4回目の参加です。ベトナム・ロシアと各地の医療事情を勉強し、今回はインドです。インド…ここでは「なんでもアリ」。世界2位の人口12億人を有する大国ですが、特に近年の人口増加率は伸びており、インドで暮らす日本人の数もこの5年ほどで2倍に増えています。日本人学校ももう満杯状態だということです。

 元・医務官として世界各地に赴任した経験を持つ、渡航者医療センターの水野 康孝先生からインド渡航者へのアドバイスをいただきました。水野先生がまずインドと聞いて頭に浮かぶのが、長年の経験から「腸チフス」。
 インドに観光で行く方の多くが、ニューデリーからいろいろ回ってガンジス川というのが一般的なようです。これは、以前テレビのトーク番組で聞いたのですが、このガンジス川で沐浴して、次の日から激しい下痢に襲われたというのが、俳優の榎木孝明さん。彼は古武術も本格的で、旅にも慣れており、インドは何回も行っているのに、それでもこういうことになってしまう。こういうリスクを抱えているのが、インドです。
 チクングニヤというのがあります。発熱と関節痛、時に頭痛や嘔吐を伴い、特に関節痛は時には1か月以上続く場合もあります。主な媒体はデング熱と同じネッタイシマカやヒトスジシマカです。日本にもいる蚊なので、日本に入ってくる可能性もあるようです。
 特にインドでは輸入耐性菌が危惧されます。この耐性菌はNDM1などの大腸菌などで認められていますが、異種の菌にもこの耐性遺伝子が乗り移る怖さを持っています。インドからの帰国者から多剤耐性菌が検出される割合が他国に比べ異常に多いことがわかっています。近年は英国でも感染が認められており、ロンドンオリンピックでの人の流れが気になるところです。

 インドの医療機関状況については、日本総研の海老澤淳氏からの報告がありました。インドでまず考えなければいけないのが、貧富の差です。未だに4割程度の国民が医療サービスにアクセスできず、あるいはアクセスしようとしない状況があります。実際に、祈祷や生贄に頼る人たちも多いのです。低所得者層には政府の提供するクリニックで原則無料で医療を受けられますが、施設はお粗末なものです。公立病院と私立病院の割合は今や逆転し、大資本の医療グループがその勢力を伸ばしています。富裕者層には日本に引けをとらないホテル並みの環境と高度な医療技術が提供されます。しかし、インドにはまだ日本人医師や医療通訳がいないため、日本の医療の高度な管理技術・ホスピタリティを輸出したいというのが、現状のようです。

 最後に渡航者医療センター センター長である濱田篤郎先生から、海外渡航者のワクチン接種ABCの基礎編をセミナーいただきました。このセミナーの参加者はほとんどが産業医などの医療関係者です。彼らが渡航が決まった社員に対して、どのワクチンを勧めるか…悩むところです。これに正解はないようですが、いかにリスクを減らすかというのが、第一目的です。短期滞在か長期滞在か、どの地区に滞在し、どの地区に足を延ばすか。渡航者の年齢と性別、既往症、健康状態、そしてワクチン接種歴も必要です。会社からいくらの補助が出るかも現実的な問題です。

 ※東京医科大学病院 渡航者医療センター  http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/tokou/index.html

 


映画「うまれる」

2012-05-28 | Diary

 ジャムズネット東京のメンバーでもある医学博士・産婦人科医・池川明先生のFACEBOOKで知って、この映画「うまれる」の講演会&上映会に行ってきました。会場は金沢公民館、主催は横浜金沢ロータリークラブです。池川先生はこの会長でもあります。国内にだけでなく国外でも講演会でお忙しい池川先生ですが、ご自身の経営する池川クリニックでは、年間約100件の出産を扱っています。
 ※池川クリニック http://www1.seaple.icc.ne.jp/aikegawa/

 池川先生は胎内記憶研究の第一人者で、国内外で活躍され、多数の著書があります。タイトルだけでもなんとなくその内容が伝わってきそうです。その一部をご紹介。
 ・おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと(二見書房)
 ・ママのおなかをえらんできたよ(二見書房)
 ・ママを守るために生まれてきたよ!(学研パブリッシング)
 ・ママ!しんぱいいらないよ(アルマット)
 ・お母さん、おなかの中でも見ているよ(PHP研究社)

 会場は大人席と子ども席にわかれていて、子どものために、身体を自由に動かせるスペースを作っています。たくさんのおかあさんとその子どもたちが、堅苦しくなく参加できる上映会でもあります。
 トークが始まってすぐに客席に質問です。「生まれる前の記憶がある方かそのおかあさんはいらっしゃいますか?」5~6人のお母さんたちが手を挙げました。実際にインタビューして聞いてみると、大体が共通点のある答えです。
 池川先生は臨床の立場から、この胎内記憶を通して、親が子どもに対して罪悪感を持つより、子どもはちゃんと判っているということを伝えています。今回の会場への突然のインタビューでも「お母さんを守るために生まれてきたと、この子が云いました」という方がいました。
 映画監督・豪田トモさんは、この映画制作中に奥さまが妊娠され公開10日後に出産されました。親との心理的な確執の経験があるという豪田さんですが、この映画制作を通して、やっと親との距離が狭まり感謝を感じるようになったそうです。

 映画の中では4ケースのカップルについてのドキュメントを描いています。実際には100組以上の取材を行ったそうです。またこの「うまれる」は今後もシリーズ化していくということです。なお、この映画は自主上映のみです。詳しくはホームページをご覧ください。
 ※映画「うまれる」 http://umareru.jp/

映画「うまれる」予告編


イベント目白押し・6月後半~7月後半

2012-05-27 | Diary

 6月から7月にかけては、ライブは少ないのですが、朗読ワークショップの発表会、そして大きな医療イベントがふたつあります。いずれも企画・実行委員側として準備をしているので、なんだか忙しい毎日になりました。主なものをまとめました。

★6月6日(水) 下北沢 COLOREDJAM
with POCO(Vo),Tsukasa(Bs),日高弘(Ds)
Live Time ; 19:30~,21:00~ Live Charge ; ¥2,000
TEL:03-5454-0179
http://www.coloredjam.com/
毎週土曜日、共演しているPOCOちゃんとの定期的ライブです。

★7月1日(日) 【青木裕子の15人の受講生による朗読発表会『平家物語』@軽井沢朗読館】
http://karuizawaroudokukan.jp/
元NHKアナウンサーの青木裕子さん。定年退職を機に、ライフワークであった朗読のための朗読館を軽井沢に建てました。この「軽井沢朗読館」で青木裕子さんの朗読ワークショップの第1期生に混じって、なんと平家物語を読みます。自分でも思ってもみなかった展開ですが、このワークショップでの多くの出会いは、宝物のようでして…

★7月7日(土) 【第2回乳がんタウンホールミーテイング@聖路加】
『日本の患者学/アメリカの患者学,対話で語ろう乳がん患者,サバイバーそれぞれのストーリー』
●開催時間 13:00 - 16:00
●会場 聖路加看護大学アリス大ホール  アクセス http://www.luke.or.jp/access/index.html
●会費 500円(お土産付き)
●出演:日野原重明先生(聖路加国際病院理事長)
山内英子先生(聖路加国際病院乳腺外科部長・ブレストセンター長)他
総合司会 吉川美代子アナウンサー(TBS 東京)
●詳細: http://bcnetwork.org/cn43/cn83/event2.html
100歳を超えられた日野原先生のごあいさつ、楽しみです。もちろんタウンミーティングという形式での、医師・患者の枠を取り払ったディスカッションや、ガン患者のためのウィッグ・メイクのファッションショーもお楽しみに!参加されたみなさまには、すてきなお土産もあります。

★7月15日(日) 銀座 月夜の仔猫
with (Vo),久末隆二(Bs),本多滋世(Ds)
Live Time ; 18:00~21:00 Live Charge ; ¥4,000 (ワイン飲み放題つまみ付き) 要予約(池田midopi@hi-ho.ne.jpまで)
TEL:03-3573-3651
http://www.asumi.com/
こちらは初出演。ベースの久末さんとは再共演を心待ちにしてました。私としては初めての、自分がメインのライブです。
銀座でワイン飲み放題で音楽もついて安い!予約が必要です。

★7月29日(土) 【ジャムズネット東京 NPO承認記念講演会(仮称)】
●会場: 東京医科大学病院 6階 臨床講堂 
事務局をつとめる医療ネットワーク”ジャムズネット東京”初の主催イベントです。
”海外を跨いで活躍する詳細については後日お知らせします。
http://jamsnettokyo.org/

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●毎週土曜日  下北沢 魔人屋(まんとや)
  with POCO(Vo),Tsukasa(Bs),他…
  6月30日、7月7日、10月27日は鍛冶ひろみさん(Pf)です。
  Live Time ; 21:00~23:40 Live Charge ; ¥800
  TEL:090-8742-5851
  http://mantoya-ikenoue.blogspot.com/
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地震対策:灯油ボイラーの撤去

2012-05-26 | Diary

 自宅の給湯は灯油ボイラーを使っていました。家の建築当時から、ボイラーで給湯とセントラルヒーティングを賄っていました。家族4人の時には灯油は安価だったのかもしれません。家の裏には大きな灯油タンクがあり200リットルほど入ります。物置程度の大きさのボイラー室でその灯油を引きこみ、水を沸かすわけですが、稼働時にはかなりの音がしました。この灯油ボイラーは45年間、ほとんど毎日のように、この家の一部として働き続けました。

 その後、子どもたちは巣立ち、夫婦だけがボイラーを使うようになりました。一度、灯油タンクから灯油が漏れて、消防車騒ぎになったそうです。10年ほど前にボイラー本体は取り換えたようですが、灯油タンクはそのままでした。ひとりになった父の元に私が戻りました。灯油タンクの足はもう錆びてボロボロでした。実家に戻ってから、ずっとそれが気になっていました。火事でも起こしたら、大爆発しかねません。さらに地震が来たときに、灯油タンクが倒れたら最悪なシナリオになります。この灯油タンクは撤去したほうがいい・・・ずっと父にそのことを云ってきましたが、高齢になると小さなことでも変化するのがいやなようです。なかなかその提案を父は受け入れませんでしたが、最近になってやっと首を縦に振ってくれました。

 今日、古くて大きな灯油タンクとボイラーをきれいに撤去し、やっとガス給湯になりました。工事が気になって何度も足を運ぶ父が、「こんな小さい箱でお湯が出るようになったなんて、進歩したもんだな・・・」と、業者さんにつぶやいたそうです。音も静かになり、複雑だった水道管もシンプルになって、水の出もよくなりました。ボイラーの時にはお湯が出るまで5分以上待たなければなりませんでしたが、今やすぐ快適な温度のお湯が出てきます。夢のようです。

 お隣から「灯油臭いようですが、大丈夫ですか」と心配のお電話をいただきました。ボイラーの撤去のことをお伝えすると、安心されたようです。こういうお隣さんがいて、何より心強いですね。お隣さんがお隣さんを見守る…遠くの家族や親戚、町の警察の前に、お隣さんの温かい眼が一番ですね。

 


"The Nearness of you"

2012-05-24 | Diary

 ジャズボーカルグループ・BREEZE(ブリーズ)の二度目のレッスン。 今回も課題曲はホーギー・カーマイケルの名曲”The Nearness of you"です。

 ホーギー・カーマイケルは1899年、電気技師の父とピアニストの母の間の子として生まれます。多くの作曲家が6歳からピアノを習っていますが、彼もそうでした。18歳からピアニストとして稼ぎながら、大学で弁護士になるべく勉強します。23歳で彼の作曲がレコード録音されます。27歳で弁護士の職につきますが、翌年には弁護士業を辞め、音楽業界ひとすじでやっていくことを決めます。その年1927年に”Stardust"を作曲し、彼のピアノで録音されますが、それが大ヒットとなります。1930年に作曲した”Georgia on my mind"もヒットを飛ばし、後にレイ・チャールズによってさらに多くの人に愛される名曲となりました。その他、彼の作曲には”Skylark"など、珠玉のメロディが揃っています。実はホーギー・カーマイケルは、TVドラマ「ララミー牧場」にも出てたんですよ。ウィリーおじさん役で主役の兄弟を助けるんです。

 さて、このジャズコーラスレッスンではBREEZEともよく共演しているベーシストの中村新太郎さんの編曲譜『Singing! Swinging!』を使っていますが、これがまた美しい。前回は1コーラスのみの練習でしたが、今回は最後までを歌い切りました。BREEZEのメンバーとのハーモニーは、聞いてるだけでも気持ちがよいけど、その中にはいっちゃうと、もっとぞくぞくする。小菅けいこの指導で、徐々に仕上げて行きました。まだまだ覚えるまでには行かないけれど、私の担当する一番下のパート・アルトは、磯貝先輩がいるので安心して歌えるんです。

 こうやって美しいハーモニーに身を置く楽しみって、ぜいたくですな!
 ※jazz vocal group BREEZE スケジュールです。  http://www.breezejazz.com/html/schedule.html

 ※これはノラ・ジョーンズの”The Nearness of you"

14 The nearness of you - Norah Jones


英国王のスピーチ:言語療法士との信頼関係

2012-05-21 | Diary

 アカデミー賞4部門他、多くの賞を総なめにした映画「英国王のスピーチ」は、ジョージ6世とその吃音治療に取り組む言語療法士、ライオネル・ローグの友情を描いていました。ドキュメントで「実録 “英国王のスピーチ”」、そしてライオネル・ローグの孫が祖父の足跡をたどる「ジョージ6世の親友 ~ライオネル・ローグの足跡」を見ました。

 この映画の脚本は、デヴィッド・サイドラーによって書かれましたが、彼自身戦争体験のストレスから、10代から吃音に悩み、無口な人間として青春を送りました。彼はこの脚本を長い間温めていたましたが、ジョージ6世の妻であるエリザベス皇后から、自分が生きている間は公にしてほしくないという意向から、映画化にはなりませんでした。

 ドキュメントでは実際にライオネル・ローグに治療を受けた吃音者たちが出演しています。中にはもうそれとわからない人もいますが、治療を続けられなかったために、未だに言葉をつまらせてしまう人もいます。しかし、いずれもライオネル・ローグへの信頼には揺らぎがありません。「彼の前では緊張することなく話すことができた。彼は私の人生を変えた恩人です。」と口をそろえて言います。

 ライオネル・ローグは、朗読などを学んだ後、俳優として舞台などにも立っていました。言語療法に興味を持ち、第一次大戦のショックで吃音に悩む6名ほどの患者の治療に取り組んでいました。当時は煙草を皮膚に押しつけることや電気ショックなどのショック療法が主流でした。しかし、彼は患者が自信を取り戻すことを主体に考えました。演劇の発声方法なども取り入れた、斬新な方法を使っていたようです。

 その斬新さを受け入れ、夫に彼を紹介したのがジョージ6世の妻・エリザベスです。彼女は治療にはいつも付添い、一緒に訓練にさえ取り組みました。また、ライオネル・ローグとの出会いも彼を大きく変えました。孫のマーク・ローグの手元には、祖父の治療記録や、ジョージ6世からの書簡などが残っています。いかにジョージ6世とライオネル・ローグが堅い絆で結ばれていたかがわかります。のちに、「善良王」と言われるまでに、成長させたひとつの要因が、この言語療法士との友情だったのでしょう。ジョージ6世のは、吃音というコンプレックスがあったからこその、人への思いやりを手に入れ、英国民から信頼を得た王なのではないでしょうか?

 ドキュメントに出演する吃音者から、「私たちはどれだけ治療しても、他の人より劣っているという感覚を持ち続ける。それはどんなに出世してもだ」という言葉があります。英国王であるジョージ6世の場合、スピーチをするのが王としての欠かせない仕事であるのに、吃音という障害を抱え、おそらく、吃音者としては歴史上もっとも辛い立場にあったでしょう。それを見返りも求めず、真に治療に専心したライオネル・ローグを長年見て、ジョージ6世は、彼をもっとも信頼し親友と呼ぶまでに至ったのでしょう。

 ※写真はジョージ6世の言語療法士、ライオネル・ローグ Wikipediaより転載
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0

 

 


渡辺貞夫チャリティートーク「いま伝えたいこと」

2012-05-20 | Diary

  渡辺貞夫さんにフェイスブックで友達承認していただき、このイベントを知りました。場所は銀座山野楽器の7階イベントスペース“JamSpot”。予約した後、チケットを近くの山野楽器まで事前に受け取りに行き、当日整理券に交換してから、開場30分前から階段に整理券の順番通りに並ばなくてはならなくて、やっと座ったと思ったら、椅子が縦に整列されているので、低いステージに座っているゲストたちの顔がまるきり見えないという、悪条件。それでもナベサダさんのあったかい人柄に触れることができただけでも、良しとするか…

 トークのインタビュアーは音楽批評家で、早稲田大学教授の小沼純一さん。あまり打ち合わせもなく、素のままのナベサダさんが何を飾ることもなく、話し始める。しばらく話したところで、ソワソワしたナベサダさん。「何か吹こうか、音階じゃつまんないよね」と言いながら、サックスを持つことに。きっと、ご本人もサックス持ってた方が、安心するのよね。ナベサダさんのDVDの映像が始まると、20年前のナベサダの演奏に重ねて、目の前の今のナベサダが多重演奏。自分の練習方法やサックス奏法のプラクティカルな話も交えながらのトークでした。

 子どものころ、クラリネットを買ってもらってから、3日間だけ1回10円で音の出し方を習って、数カ月後にはタンゴバンドで演奏を始めた。その後米軍キャンプ出演のオーディションを受けたら、論外で下手だったけど、どうにか1回300円で雇ってもらって、毎日吹くのが楽しくて、どんどんとのめり込んで行った。その頃はジャズ理論なんてないから、とにかく耳で覚えたものを吹いていた。天才ピアニスト守安祥太郎がときどきコルトレーンなどをコピーして、楽譜にしてくれた。なぁんて、レアな話も聴くことができました。

 今年1月にはアフリカに行って、小学校を回って音楽を子どもたちと楽しんだけれど、彼らは人なつこくてすぐに歌い踊り出す。それは天使のような歌声。すばらしい経験をした。日本では北海道で小学校・中学校のビッグバンドの指導にあたったけれど、ここは親がらみでやらせの生徒は入れない。練習を8時間くらい一緒にやったけど、休憩というと、セクションごとに集まって自主練習を始める。とにかくみんな演奏したくてたまらない。だから結構むずかしいアレンジだったけど、しっかり吹いていた。こどもとの演奏は楽しい。

 今後ももっとサックスの吹き方を研究していきたい。昔に比べもっと音を出しにくい楽器で吹いている。その方が私の場合は、しっかり音を出せていい。

 などなど・・・・休憩時間も返上で2時間しゃべりっぱなし。でも疲れない。それはナベサダさんがどこにも無理のない人だからかもしれない。サイン会には長蛇の列でした。

 写真は渡辺貞夫50thアニバーサリー・コレクション「マイ・ディア・ライフ」。サインいただきました。

 ※渡辺貞夫オフィシャルサイト http://www.sadao.com/


フラメンコの気迫:VIERNES FLAMENCO

2012-05-19 | Diary

 スペイン国立・セルバンテス文化センターのスペイン語集中講座で同級生だった友人が、フラメンコダンサーを長年やっています。もっとスペイン語を知りたいということで、彼女の勤勉さはクラスの中でも群を抜いていました。彼女のフラメンコの師匠は小林伴子さん。スペインで日本人としての初のフラメンコ舞踊師範資格を取得し、帰国後数々の受賞を経て、フラメンコ教室を主宰されている方です。特にカスタネットで有名だそうです。この教室ラ・ダンサで、友人・小島智子さんは指導にあたっています。

 彼女からフラメンコ・ライブがあるというので、行ってきました。場所は赤坂・ノベンバー・イレブンPartⅡ.ここには一度出演させてさせてもらったことがありますが、いい空間です。会場はほとんど満員。今日の”Viernes Flamingo”(金曜のフラミンゴ)のバイラオーラ(踊り手)は吉田光一・小島智子・今井麻未・西本加奈子、カンタオーラ(歌手)は森薫里、ギタリスタ(ギター奏者)は長谷川暖。

 私はフラメンコを生で見るのは初めてです。当初、もっと泥臭いものかと思っていたのですが、ダンサーは彼女を含めみんな美人で抜群にスタイルもいい。フラメンコは即興演奏に合わせて即興で踊るそうです。もちろんいくつかの決めごとはあるらしいのですが、ギター奏者・歌手・踊り手がそれぞれ誰ともなくリードしながら、即興していくというのを聞いて、ひじょうに興味深く思いました。4人のダンサーがテーマを持って踊りました。

 友人のダンスには気迫が溢れ、10分ほどの間、その集中力が途切れることなく、どんどんと高みに昇って行くその踊りに、思わず涙が出そうになりました。他のみなさんのダンスもすばらしく、特に男性・吉田光一さんのステップは、こちらが飛び上がってしまうほどの力強さとスピード感が見ものでした。

 いやあ、フラメンコってすごい。また見に行きたいもんです。

 ※小林伴子フラメンコ・スペイン舞踏教室 http://www.la-danza.net/index.html

小林伴子作品「Castanetplay on the chair」ブレリア(Buleria)


歌声楽団@やよいの園

2012-05-18 | Diary

 「国境なき楽団」の活動のひとつとして、歌の好きな人が集まって、庄野真代さんの指導を受けながら、合唱をする「歌声楽団」。私も団員になって、気持ちのよい先輩たちに混じって、合唱の勉強をさせていただいています。さぼってばかりなので、まだ2回の指導しか受けていないのですが、早速、本番に臨むことになりました。中野新橋の高齢者福祉センター「やよいの園」のデイサービスのイベントとして、「やよい音楽の森 スプリング・コンサート」に出演しました。忙しい中、庄野真代さんも顔を出してくれました。

 歌声楽団の発表としては、2曲のみ、「重ね歌~竹田の子守唄・七つの子」と「川の流れのように」。映像もさっそくアップされています。また、楽団のメンバーで楽器を演奏される3名の女性とのコラボで、「すずかけの道」をバンド演奏。スチール・ギター、ウクレレ、ベースの3人の女性は、明るくてパワフルな方たちで、一緒にいて元気になれる。彼女らと2回のリハーサルを重ねて、私も初心に返って、ドキドキものでバンド演奏しました。その後は、会場のみなさんの伴奏もしながら、一緒に歌いました。手話ソングで「手のひらを太陽に」も今や私のレパートリーになりました。一人残らず一緒にやってくださって、一体感を感じることができました。

 ここでは、誰も人と競って上手く歌おう、いいところを見せようなんて思わなくていいんです。ただ、楽しめばいい。その心がひとつになればいい。この様子は地元のTV局でも取材されました。

 ※歌声楽団ホームページ http://utagoe.justhpbs.jp/ (上のメニュー「動画」から映像をご覧になれます)


調律師のワザ

2012-05-17 | Diary

 ピアニストは楽器を選べません。そこにあるピアノを使うしかないのですが、ピアノにこだわりをもってくれる管理者がいると、うれしいものです。私たち演奏者は、自分の演奏の音を聞いて、次に反応します。だから、聞こえた音によって集中力や想像力が変わってきます。ピアノの状態は音楽性に直結してしまうのです。

 今日は、用賀「キンのツボ」のグランドピアノでしたが、とても気持ちよく弾けました。昨日、調律したばかりだということです。店長とは、この調律のことでいろいろとお話をしました。「少しクセのあるピアノなんですよ」と、言っていましたが、私はたいしてクセを感じません。「癖があるので、わざわざ山梨から調律師を呼んでるんです。一度、違う調律師さんにお願いしたんですが、すぐに狂っちゃいました。これもかかりつけの医者みたいなもんだから、よく状態をわかってる人でないと、むずかしいみたいですね」…ここまでちゃんと音を聞いてくれているピアノの管理者だと、ありがたいです。

 実に調律師さんによって、音は変わります。今までなんだか弾きにくかったピアノがある日ふっと弾きやすくなっていることがあります。それが調律師さんのワザです。一流ミュージシャンは自分の調律師が決まっていて、ツアーにもついていきます。欠かせないスタッフなのです。調律師さんはデジタルではなく、耳で音を作ります。12音階は完璧な音階ではありません。だから数字では割り切れない歪みが出てくる。ふくよかな音となるファジーな部分を、調律師さんの耳ひとつで作りだします。 すごいものです。

 音楽は演奏者だけで作っているものではありません。楽器を制作する人、管理をする人、その場を提供する人、そしてもっとも重要なのが、聴いてくれる人です。見えない部分の音楽、聞こえない部分の音楽にも、人と人のつながりがあるんですね。