3月20日、ジャムズネット東京の理事を務めていただいてる井上孝代教授の退職記念最終講座にご招待を受け、参加しました。今年創立150周年を祝う明治学院大学の心理学部副学長として、後進の育成に大いに尽力されてこれらた、井上先生ですが、私個人としては初めての受講でした。いつもきれいにされていますが、最終公演でも高いピンヒールに白と黒の素敵な装いで、1時間半ほどの講義をされました。普段の講座では話されることはないだろう、ライフストーリーを披露していただきました。自分のライフストーリーを語るには、先生自身かなり準備もされたようです。受講者全員に冊子「井上孝代教授 profile」が配られ、いかに多くの活動をされてきたかがわかります。
大学院修了までを福岡市に在住。特に九州大学文学部哲学科心理学専攻時には、心理学の父であるヴントの初の心理学研究所を模した環境で、多くの実験に勤しまれた経験が、後に実際的な心理学を目指す基礎になられたようです。在学中からすでに臨床の経験をされ、カウンセラーとしてさまざまな実体験をされました。東京都稲城市教育相談所では学校・家庭・地域のつながりが必要だということを実感され、システムの構築を図りました。これは後の模範例になっているのだろうと思います。また、東京都北区外国人相談窓口では、当地に居住する多くの外国人との折衝にあたり、予想もしないカルチャーショックを受けられたそうです。これは後に井上先生が心血を注ぐ多文化間での違いを知ることとなる大きな礎になりました。北区障害者福祉センターでは精神障害者のデイケア・グループワーカーを務められました。「コンプレックスのかたまりの私が人前で話すなんて思ってもみませんでした。でもこのデイケアでずいぶんと自分を解放することができました」と語っておられました。産業カウンセラーやスーパーバイザーも経験し、1991年には東京外語大学留学生日本語教育センター助教授から教授へ、そして1998年からは明治学院大学心理学部教授に就任されています。
多くの編書・著書・訳書・論文などを出されていますが、それ以上に学会での活動(日本心理学学界・多文化間精神医学会・日本教育心理学会・日本心理臨床学会・日本マイクロカウンセリング学会などの理事・会員)の他、社会的活動として横浜家庭裁判所調停委員・参与、横浜市精神保健福祉審議会 審議委員なども務められており、いかにその活動範囲が広いか、そして貢献されているかを知ることができます。講義内ではジャムズネット東京のご紹介もいただきました。
いつも自然体で、嘘のない生き方を貫きながら、全力で人生を全うされようとしている姿に、多くの後進の方々、関係者の信頼を集める女性です。御一緒に活動できることを心より光栄に感じます。あらためて井上先生のお人柄と社会的貢献を知ることができ、自分にとっても、大きな刺激となる講演でした。
※写真は配布された「井上孝代教授 profile」