おそらく喫煙者全員、どこかで同じような心理状態を持っているだろうと思います。最後は「意思が弱いから…」。でもこれ、意思が弱いわけではなく、ニコチン依存症なんですね。どうしてそうなるんだろうということを、「ためしてガッテン!」ではわかりやすく説明してくれていました。
脳にはアセチルコリンという神経伝達物質がありますが、ニコチンはアセチルコリンと同じ受動体を受け皿にし、その80%程度を占拠します。喫煙が長くなるとアセチルコリンはあまり働かなくなり、代わりにニコチンを要求するようになります。そして快楽物質であるドーパミンを出すようになります。その循環を体は記憶していきます。ニコチンがなくなると離脱症状が現れるのはこのためです。
2008年から禁煙補助薬バレニクリンが処方されるようになりました。何と8割が成功するといいます。ただし、3カ月後、再喫煙する率は5割。喫煙者は脳の線条体の活動がタバコによってしか反応できなくなり、「喜びが完成しない脳」に変化してしまっているという研究結果が発表されました。ここからは自分で自分の脳に起こっていることを理解する必要があるようです。禁煙の過程でより将来の喜びを待てるようになれば、禁煙の継続率が高まると提案しています。
たとえば、禁煙したら毎日タバコ代として500円貯金をする、記録をつけ家族と成功を祝う、歯医者で歯をクリーニングしてみる、もっと切実に妊娠中のおなかの子供のエコー写真を見る…などです。
私の場合は、「禁煙プログラム」という30本のパイプで徐々にニコチンを減らしました。最後0.5%に減ってニコチンは除去されましたが、実はここからが正念場でした。やはり気持ちが揺れるんですね。その時読んだのが、「禁煙セラピー」(アレン・カー著)でした。本を読み終わるまでタバコをやめないでくださいと書いてあります。本をちゃんと読み終わるまで数カ月かかりました。でも読み終わった後、タバコを吸う必要がなくなっていました。
この禁煙をきっかけに、禁煙の友人宅にも気兼ねなく訪ねていけるようになりました。長いフライトも可能になりました。それでニューヨークに行けると思ったんです。ニューヨークに行ったことで、私の人生は変わりました。禁煙で私の人生は変わったんです。
※ためしてガッテン! http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20111026.html
※「NPO法人日本禁煙学会」のホームページから、最寄りの禁煙治療施設を探すことが可能です。
http://www.nosmoke55.jp/nicotine/clinic.html