北山・京の鄙の里・田舎暮らし

北山、京の北に拡がる山々、その山里での生活を楽しんでいます。

ちょっといい話:ご近所さんと勉強会

2010-02-27 22:18:08 | 随想・近況
夕べは中学時代の同窓だった友人と一献傾ける機会があった。彼は京田辺市に住みここ京北と二重生活をしている。農業や林業に忙しいときはこちらでの滞在が多いし、今の様な冬は週末に帰ってくるだけだという。久しぶりに電話があり一杯やるか、ということになった。ただ郷土のことを復習しておきたいので資料があったら用意しておいて欲しいとのこと。何事かよく解らないまま手提げの紙袋二杯分の資料を用意しておき、呑み屋へと向かった。

彼は京田辺市のとある団地に居を構えている。大会社を早期退職し、数年間庭園師に弟子入りし、時々頼まれて庭をいじることもある。またこちらでは実家の米作り、山の植林や手入れなどに従事しながら、夏には鮎釣りを楽しんでいる。

さて団地での生活であるが、その団地に居を構えた人は彼の同年配の人が多く、時々ご近所さん達とはバーベキューを楽しんだりしている話は聞いていた。ところが最近奥方連中が麻雀に懲り始めたとのこと。子供も独立していて気楽な奥方は月に数回麻雀大会を楽しんで定年退職した世代の旦那はほったらかしになる。それでは旦那連中も、ということで始めたのが勉強会をしながら一杯やるという企画だそうな。

月に二回のインタバルで、毎回一人が講師になり約一時間の知っていることを発表していろいろな話をするそうな。漢詩と詩吟、ある建物は何故保存すべきか、などが過去の発表者のテーマだったそうな。そして次回は、女房が急死してしまったとき何をすべきか、というテーマである人が話をされるという。彼もそろそろ順番が回ってくるので準備をしておかなければならない。テーマは故郷たる京北の地勢や歴史についてを考えているとのこと。そう言う訳で資料を貸してくれということだった。我が郷土で全国区的な話題で誰もが興味を持ってもらえそうなのは、これとこれと、そうそうこの話題も良いのでは、などと勝手に説明したが、ちょっと消化不良だったかもしれないと我が説明を反省した。

講義の後はお酒も入っての団欒になるのだが、当然その時の話題はその日の講義内容についてか、それから派生する事柄になるのではなかろうか。会費は酒代とつまみ代だけだから500円とか1000円札を用意すればお釣りが来るという。それにしてもいい話を聞いたなあと感心することしきりであった。すばらしいご近所付き合いをしているなあと羨ましくなってきた。どんな人が言い出したのかは聞き損じたが、この提案がすぐにまとまったこと、既に何回かの実績があり続いていること、これが素晴らしい。勉強会というと他から先生を呼んで、というスタイルもあるがグループのメンバーがそれぞれ発表者、講師になるというのがこれまた素晴らしい。人様の前で一時間話をするということはどれだけのエネルギーを要するかはよく解るつもりだ。彼ではないがやはり予習をしておかなければならない。それよりも次には何のテーマで話をしようかと考えると準備期間中の日々の生活態度も漫然としたものではなくなるであろう。

過疎化とは田舎の問題だと思われがちだが、都会でも過疎化の問題は大きいはずである。田舎ではそれが病院や学校の存続とかの問題が顕在化しやすいのであるが、大都会のど真ん中でも同じことが起きているし、それがニュータウンなどでは更に分かりやすい形で表面化している。大阪の千里ニュータウンなどはその典型例であろう。そいった中でどう日々を送るか。

こういった社会の動きのなかにあって、子供達がそれぞれ独立し、生き生きした奥方に取り残されまいとする定年族のおっさんの付き合いの仕方の話には心打たれるものがある。ええ話聞いたからこの件でちょっと書いても良いか、と聞くと、ええよ、と返事をくれたので、今回ここに書いてみようと思った。そして良いコミュニティをつくっている我が友人が羨ましくなった。

ただ今回は言う機会がなかったが、この勉強会が自分たちが勉強したという自己満足だけで終わって欲しくはない。現在の社会に投げかけられているテーマが語られ、自分たちが自分が生きる社会に貢献できる活動に結びつけばいう事なしなどと思うがこれは今は言わぬ方が良いのだろう。まあ気楽な話の世界と言えばそれはそうなのだが、酒飲んで酔っ払ってくだまいって帰ったら、、、ではなく、定年族のおっさん方、ええ酒飲んでるなあ~というちょっと良い話だと思い、徒然なるままに、、。


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6 コメント

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身近な知的集団 (道草)
2010-02-28 06:35:40
今回の記事は、とても示唆に富んだ内容だと思います。今は高僧ビルのマンションが目立ちますが、かつては郊外ニュータウンの大団地が新しいシンボルの如く人気を集めました。
関西の嚆矢である千里ニュータウンiは会社の上司が住んで居て遊びに行ったことがありますが、ご指摘の如く今やゴーストタウン化しています。
京都でも、向日市や洛西なども、やがて同様の運命を辿ることになるのかも知れません。それに昔の建築は50年近く経つと老朽化が著しく、私の近所の団地も建て直しが始まっています。過疎現象であれ立て替えであれ、そうなると住民はばばらにならざるを得ません。
最近に立てられた集落(団地でもマンションでも)は、状況が少し坡変化しつつあるのでしょうか。同一地域で自主的に同好の志が集る(集まれる)という現象は、如何なる契機や動機があるのか。
高齢者層の割合が増加するに連れ、自ずと横の繋がりを求める風潮が発生しつつあるのでしょうか。それと、最近の60代や70台は、まだまだ知的好奇心に溢れているのかも分かりません。
我が家は住宅地ではありますが、個々の集りです。ただ、何戸かの単位で隣組があり、全体(学区)で様々な行事は開催されています。しかし、mfujinoさんの同級生の如き知的集団は、滅多に聞きません。新しい感覚と意志を持つ集団(サークル)が生まれつつあるのでしよう。
女房共の集まりは以前からあるみたいです(麻雀は脳の活性化に最適とか)し、老人のグランドゴルフとかカラオケサークルはよく耳にします。しかし、亭主達のこうした知的サークルは珍しいと思います。
現に私など、他の場所へ出掛けて行くしか方法がありません(今は3つ入ってますが)。羨ましい限りです(私など中味は何もありませんが)。せめて京北地区で、何か楽しい自由な集まりが出来ませんか?
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素晴らしいご友人 (硯水亭歳時記 Ⅱ)
2010-02-28 20:12:02
     Mfujinoさま

 素晴らしいご友人でいらっしゃいますね。あちこちの櫻の補植を進めるうちに、どうしてもお話をして欲しいとお役所から懇願され、仕方なく各地のライオンズ・クラブの総会では櫻のお話しています。地域のことは総合的で総体的なお話の中でお分かりになられるようで、そこそこよかったと言われています。私たちの団体はまだまだ名乗りをあげるような団体ではありません。賭け事の3%で運営する日本さくらの会とは全く違います。

 私たちはご友人さまと同じ立ち位置にいると想います。普段都会に住んでいるのですが、オフィスの職員は殆ど過疎の町と往復をしています。それも全員が外国語を話せます。血塗られたヨーロッパの伝承とは違い、日本は素晴らしい歴史と伝承を持っています。現在私が取り組んでいるのは宇佐八幡社や稲荷大明神のこと。新羅や、遠く秦の始皇帝とも繋がっている壮大な物語です。

 私たちが櫻山を創る時は、我々は何者か、我々はどの立ち位置にいるのかがはっきり分かった時でありましょう。それまではささやかながら補植で満足でありますが、壮大な夢物語は各所で、近年盛んになっています。大変素晴らしいことだと想っています。

 秦氏と敦賀を結ぶラインが漸くはっきりして参りました。秦は機であり、畑作でもあったようです。宇佐に本宮があると想っておりますが、隼人の反乱は秦氏本態が薩摩に隠された文化があったのです。中国・韓国・日本の三国にわたる文化のグジャグジャな交流こそ、本地垂迹を進め、日本的な解釈を推し進めたものであったでしょう。

 京北周辺に住みたいと願う我に、愈々歴史が京北の正体を現し始めています。お酒を仲介してでも是非素晴らしい交友をお薦め申し上げます。いずれ発表申し上げます!だんだん!!
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酒と勉強会が結びつくのが羨ましいです (mfujino)
2010-03-01 00:56:05
道草さま、 最近は女性があちこちで同好会をもったりあちこち出かけたりと生き生き活動されています。我が職場での講座の参加者は3分の2が女性です。道草さまはあちこちの集まりに出かけられたりされていますが、一般的に言ってお父ちゃん方は何をしたはるのかな?とちょっと心配しています。そこに今回友人から良い話を聞きました。ご近所や地域の集まりという点では田舎の方が結びつきが強いと思います。都会ではマンション住まいなどしていると隣は誰かわからないとか、逆にべったり干渉しあう付き合いになったりとそれはそれで大変な様ですね。そういった中で友人達は良い関係を作っているようです。

我が呑み遊び仲間GOGO会もなかなかの集まりではあると思っているのですが、この様な勉強会までには至っていません。ただ酒を飲んだときも私が鯖街道の話をホワイトボードに地図を書いて説明したりすることはありますけど。

我が友人の勉強会も酒を飲みながらの勉強会という柔らかい規則でのものであり肩を張らない付き合いであるのが良いのだと思っています。今後時々どんな勉強したの?などいろいろ聞いてみて我が交友関係に取り入れるべき要素はどんどん盗んで行きたい気持ちです。
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広い視点から郷土を見る (mfujino)
2010-03-01 00:56:45
硯水亭さま、 良い職員さまに囲まれて仕事をされているのですね。全員外国語でのコミュニケーション能力があり、また都会と過疎の地を行き来されている。自然と向き合っての仕事、それと外国語を通じて海外の様々な文明・文化に触れられる、これぞ我が理想です。羨ましくもあります。

こういった環境で仕事をされているからこそ、文化の交流にも思いが飛び、日本での歴史的なことも世界の中で位置づけられるのだと思います。丹波の山奥に生活していても今や世界情勢とは無縁ではありえません。先日友人と呑んだときに話題に上がったのですが木を一本植えるにしても国際経済情勢を読まないと出来ない時代だと思います。文明論を踏まえてないと経済活動は出来ないのでは理解しています。私も海外とのビジネスを通じて日本のことを考える機会が増えました。硯水亭さまの進められている崇高壮大なプロジェクトの成功を祈っております。

秦氏のことは我が郷里を考えるに不可欠のことですし、また神社のことにも興味を持ち始めております。これからもいろいろお教えいただけます様よろしくお願いします。

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地域での取り組み (徘徊堂)
2010-03-01 17:58:58
 千里に続いて琵琶湖ローズタウンも、多田ニュータウンも、老人の町となっています。現在開発中の彩都や箕面森町なども末路は見えているのに、何故に山を削ってそういうものを造るのかと思います。それはともかく、ご友人の取り組み、「地域」で行っておられるというのがすごいと思います。自分にひきかえて考えても、隣近所のオッチャンと一緒に勉強などということは考えられません。mfujino様や道草様と同じように同好の士は、あちこちに散らばっていて、外に出て行くしかありません。余程に感化力のある方なのか、ものすごい好条件に恵まれたのか、うれしい取り組みです。
 地域の紐帯ということだと「祭り」を中心にした寺社のお世話などがあるでしょうが、飲み会も含めてサロンが出来上がっているというのは他にないことだと思います。
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「人の前で喋ること」、これってなかなか良いキーワードだと思ってます (mfujino)
2010-03-01 19:52:42
俳諧堂さま、 ニュータウンってそれが出来上がったとき入居する世代って割と年齢が近い人が多いようですね。そうなると先が読めますよね。堺屋太一さんが「来年のことは解らないことも多いけど、10年先のことは読みやすい」と言っておられたことを思い出しています。例えば我が京北で毎年の出生数をみていると今三つある小学校が一つになる日は近いでしょう。

我が友人の様なコミュニティ、彼は確かパブとかいうとか言っていたけど、これって誰かがそれに触れたことを一緒に呑んでいるとき漏らしたのじゃないかなあ、と思っています。お、それええじゃん、と話がまとまったんではないでしょうかね。こういったことはリーダーというより言い出しっぺが必要で、またそれを受け入れる土壌も必要ですね。例えば我が同級生の女性グループでこの間しめ縄の作り方を教えてもらったそうです。また別の集落ではお年寄りが元気な間に習っておこうという集まりもあったと聞いたことがあります。

私は今地元の「名人」をリストアップする作業をしています。まあ仕事の一環でもあるのですが、私ゃ気が乗らないと仕事でも放っておく悪い癖があるのですがこれは頑張りたいと思っています。でも割と大変なんです。何せ郷土へ帰って5年、どこに誰がってまだ解らないのであちこち聞いて回らないと出来ない仕事なんですよね。

人様の前で語ること、これから派生することは色々な事を示唆してくれるのだと思ってます。
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