北山・京の鄙の里・田舎暮らし

北山、京の北に拡がる山々、その山里での生活を楽しんでいます。

「周山城」が日本の山城、100名城に

2015-05-25 12:16:49 | 歴史・社寺・史跡など


洋泉社の別冊歴史REAL「日本の山城 100名城」にここ京北の周山城が入っていました。丹波の三大山城といえば、八上城・黒井城・八木城が上げられますが、この八上城・八木城をさしおいて周山城が入っています。page 96。

この本は、初心者から通まで楽しめる山城の見方・歩き方入門、とタイトルに歌ってありますが、その選定は、中井均・加藤理文・萩原さちこさんが;
・南北朝時代から江戸時代の元和期頃までに造られた山城、
・山城として規模が大きく、見どころとなる遺構がよく残る城、
・治政や歴史的出来事、または城の発展への関わりが大きい城、
・保存や整備が進められていて、難易度の高い登山をともなわない城、
という観点から100名城を選ばれたそうです。

それぞれの山城にはチャートが載せられていて、周山城は;
遺構残存度 = 8
縄張りのわかりやすさ = 8
登山のしやすさ = 4
交通アクセス = 3
歴史的重要度 = 8 
と、アクセスと登城のしやすさ以外の分野で高得点で評価されていて、山城遺構として貴重なものである事を再認識しました。

全国では山城遺構が国の文化財に指定されているケースは多くあるのですが、何故か京都府には非常に少ないです。あるとき山城研究家に周山城跡はその価値があるんですか、と質問した時に、大ありですよと我が認識に呆れられたことを思い出します。

これは高橋成計さん作成の周山城の城域を示す地図です。


周山の黒尾山から西に伸びる稜線を中心に、東西約1.3km、南北約800mにまたがり、総石垣(西の遺構は除く)の広大な山城で、明智光秀が築城による、山城期最後の頃の城とされています。

ここに何でこんなに大きな城が築かれたのか疑問に思って、山城を研究されている若江茂さんにある講演会の時に質問をしたら、「天下普請だからですよ」と応えて頂いたものでした。

高橋成計さんは;
1. 北陸、若狭、丹後、丹波方面から、京都へ侵入する勢力に対する城郭。
2. 禁裏御料である山国荘に近い周山に城郭を構築することで、旧幕府勢力の封じ込めと都の朝廷方に対する心理的なアピール。
3. 流通や森林資源の支配拠点。
と、その意義について要約されています。

ここ京北は、いわゆる鯖街道といわれる北の若狭方面から京へ向かう交通の要所であり、京の北の守りに大切なところでありました。明智光秀が丹波攻略を信長から命じられる前は、宇津氏が京北一帯を支配していたのですが、それを追い出したあと、山国盆地や弓削盆地を見通すことが出来る、まさに京北のど真ん中にこの城を築いたのでした。また禁裏御料の山国荘を中心に京へ木材を中心に様々な物を供給していて、その物流路たる桂川(大堰川)や弓削川はここ周山を通っています。周山は京北一帯に睨みを効かせ、また若狭と京を結ぶ街道にあり、戦略的にも重要な地でありましたし、現在も地政学的意義は変わっていません。

さて、周山城とはどんな城だったのか、縄張り図など私の得た資料の一部をここに載せます。
「周山城」で検索していただくと、登城記などに写真も載せられていますので、今回はここでは写真は載せません。

若江茂さん書写の周山城絵図です。


若江茂さん作成の縄張り図です。天守の想像図も載せられていますね。


周山城主郭拡大縄張り図(同じく若江茂さん)天守台跡もきれいに残っています。


主郭には2、3層の天守もあった様です。瓦も出土していますし、弓削の福徳寺にはそこにあったと言われる障子も残っています。当時の山城には天守などは存在しないのが殆どですが、若江さんの仰るとおりこれは天下普請だったのでしょうね。光秀が津田宗及と茶会をもったとの文書もあるそうですので、その頃には城も大方完成していたのでしょう。

今回はこの辺に止めて、この城や周辺の城などの紹介は続きます。


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2 コメント

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買いました (藤本佳廣)
2015-05-27 10:38:42
興味深い本の紹介ありがとうございました FBで拝見して早速購入しました 周山城は2ページでしたが他の記事も楽しめそうです
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我々が思っている以上に貴重な城跡です (mfujino)
2015-05-27 11:11:28
周山城の説明はまずは平凡なものですが、他にもいろいろ面白い山城が載ってますね。周山城などについても書いていますし、これからも書き足していきます。国定公園の指定にあわせて色々な動きもあり、これからも注目度は増してくるでしょう。
中井均さんは近江が中心ですがそれ以外にあちこちの山城を調査されていて、山城といえばこの人の名がまず出てくるほどの有名な学者ですし、山城探訪のアドヴァイスも書いておられて参考になりますね。
ゼミナールハウスでは近畿の山城を総なめに調査された高橋成計さんと訪れる山城講座をやってますのでご興味とお時間があればぜひ参加して下さい。
北山杉などに追加して周山城や光秀に因んだアイディア溢れるお菓子のネーミングもよろしく(^_')
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