評価点:78点/2013年/アメリカ/138分
監督:デヴィッド・O・ラッセル
ジェニファー・ロペスがすごすぎる。
クリーニング店を営むアーヴィン(クリスチャン・ベイル)は、裏稼業として贋作などの販売を行う詐欺師だった。
彼には妻子がいたが、たまたま出会ったイーディス(エイミー・アダムス)に惚れてしまい、彼女とともに詐欺を働くようになった。
しかし、FBIリッチー・ディマーソ(ブラッド・クーパー)に逮捕され、二人は窮地に追い込まれる。
彼らに提案されたのは、他の詐欺師仲間を売れば無罪放免というものだった。
仕事仲間を売るはずが、カーマイン・ポリート市長(ジェレミー・レナー)が贈収賄容疑があるとわかると彼をはめるためにさらに協力しろと迫られる。
本作は実際にあった事件を元に描かれるフィクションだ。
こちらも2時間を超える作品で、こちらも欲にまみれた者たちが四苦八苦する物語だ。
さらに、こちらもアカデミー賞の作品賞にノミネートされている。
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」との因果を感じる。
こちらは、豪華キャストで、なかなか話の落としどころが見えてこない。
ちょっとした映画に対する耐性がないと話についてこられないかも知れない。
少なくとも、後ろに座っていたカップルは話について行けなかった様子だった。
平日の午後にも関わらず、大勢の人が詰めかけていた。
客が埋まっていたのは8割に近かったと思う。
見所はとにかくクリスチャン・ベイルのお腹と、その妻ロザリンの飛んでるキャラクターだ。
▼以下はネタバレあり▼
「ウルフ~」を見て、その日の2本めにこの作品を見に行った。
時代設定も、欲に駆られていく姿もよく似ていたので、頭が混乱しそうだった。
とんかつを昼食にして、お腹がいっぱいだったこともあり、かなり集中力に欠けていた。
それに加えて、このシナリオはわかりにくい。
設定がわかりにくいのではなく、話の方向性がなかなか見えてこないのだ。
一つの事件から派生した事件が起こり、さらにそれが派生していく。
そしてその状況をさらに妻のロザリンが悪化させていく。
その展開がわかりにくいのだ。
映画のポスターの五人の利害関係をしっかりつかんでいけば、話は理解しやすい。
そしてこの映画に何度も登場する台詞がこの映画のテーマを上手く表している。
「まずはNOを言い続けろ。相手をじらすんだ。
そして最後にしぶしぶOKしろ。相手は必ず食いついてくる。」
この台詞に注目すると、一番がっついてる奴が最後にだまされるのだ、ということが見えてくる。
とはいうものの、それがわかってくるのは中盤以降で、妻のロザリンが常にダークホースで何をしでかすのかわからない恐怖は常にアーヴィンと観客に襲ってくるわけなのだが。
少しだけ話を整理しておこう。
詐欺師のアーヴィンはFBIのリッチーに捕まり、捜査協力を強要される。
困ったアーヴィンはしぶしぶその要請に応え、幾人かの仕事仲間をリッチーに紹介する。
リッチーは、シークという架空のアラブの商人の投資顧問の振りをして彼らに近づく。
すると、今度は市長のカーマイン・ポリートの贈賄容疑が持ち上がる。
どうせおとり捜査するなら、もっと大物をと欲を出したリッチーは、ポリートを罠にかけるように作戦を大きくする。
そのためには、本物の取引と思わせるため200万ドルという巨額の資金を上司から調達しようとする。
リッチーの動きが拙速だったため、あやしいと感じたポリートは取引を中断しようとするが、アーヴィンが間に入り、仲をとりもつことで取引を成立させる。
(ここまでが冒頭の安ホテルの場面だね)
ここでやめときゃよかったのに、さらにそのカジノ計画に一枚かんできたのは、大物マフィアのテレジオ(なんとデ・ニーロ)だった。
テレジオまで一網打尽にしたいと考えたリッチーはさらに計画を推し進め、他の大物議員たちにもお金をつかませていく。
一方でその様子を電話でやりとりしていたが、そのことをアーヴィンの妻のロザリンがポリートの取引相手にばらしてしまう。
妻との関係も切れない、ポリートには脅される、シドニーとともに刑務所に収監されるかもしれない、という窮地に追い込まれる。
そこで、捕まらずに一番がっついている相手をだますことにするのだ。
要するに、リッチーに偽の取引をつかませて、そのお金を別口座に振り込ませる。
その200万ドルをかえして欲しいなら、シドニーとアーヴィンの無罪放免と、ポリートの減刑を実現せよ、というものだった。
下手な男ならその200万ドルを自分のものにして高飛びするところだが、そうすれば結局追われる身となる。
それを避けてFBIとの取引をやってのけたのだ。
アーヴィンは常にリッチーの要求に対してNOから入った。
そしてその理由は常に曖昧だった。
「いや、危険すぎるよ」といった具合に。
だから、リッチーは余計にその計画を顧みることなくがっついていくのだ。
リッチーは自分がFBIであり、常にアーヴィンより上の立場にいることを過信して、より大きな獲物を狙おうとする。
よくできているのは、彼の上司との魚の話だ。
話の流れを聞く前に、リッチーは話のオチを聞きたがる。
彼はせっかちで「結果」だけを求めたがるタイプなのだ。
だから、結果までの過程やそのリスクなどはあまり考えられない。
かっとなって殴ってしまうこともある。
そういう性格の単純さをアーヴィンはきちんと見抜いて出し抜いてしまう。
対するポリートは根っからの善人だ。
街のために少しでも雇用を生み出して、待ちを活性化させたいと考えている。
素朴な人間で、そのために危ない橋もわたっている。
アーヴィンと仲がよくなる理由はそういったところにある。
もう一人言及しておきたい。
それはもちろん、ジェニファー・ローレンス演じるロザリンだ。
彼女は絵に描いたような鬱陶しい女性である。
直情的で物事を考えずに、自分の利益と思い込みだけで動いてしまう。
ばかっぷりは本当にオスカー級だ(ノミネートされている)。
とにかくキャラクターが立って、自由に物語を展開していくので話の方向性はわかりにくい。
けれども、そのはちゃめちゃ具合がいかにもアメリカ的だし、おもしろい。
クリスチャン・ベイルは体だけはこわさないでがんばってとこちらが祈る思いになるほど、そしてもうはやだれかわからないほどの中年のおっさんだった。
髪の毛……。
監督:デヴィッド・O・ラッセル
ジェニファー・ロペスがすごすぎる。
クリーニング店を営むアーヴィン(クリスチャン・ベイル)は、裏稼業として贋作などの販売を行う詐欺師だった。
彼には妻子がいたが、たまたま出会ったイーディス(エイミー・アダムス)に惚れてしまい、彼女とともに詐欺を働くようになった。
しかし、FBIリッチー・ディマーソ(ブラッド・クーパー)に逮捕され、二人は窮地に追い込まれる。
彼らに提案されたのは、他の詐欺師仲間を売れば無罪放免というものだった。
仕事仲間を売るはずが、カーマイン・ポリート市長(ジェレミー・レナー)が贈収賄容疑があるとわかると彼をはめるためにさらに協力しろと迫られる。
本作は実際にあった事件を元に描かれるフィクションだ。
こちらも2時間を超える作品で、こちらも欲にまみれた者たちが四苦八苦する物語だ。
さらに、こちらもアカデミー賞の作品賞にノミネートされている。
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」との因果を感じる。
こちらは、豪華キャストで、なかなか話の落としどころが見えてこない。
ちょっとした映画に対する耐性がないと話についてこられないかも知れない。
少なくとも、後ろに座っていたカップルは話について行けなかった様子だった。
平日の午後にも関わらず、大勢の人が詰めかけていた。
客が埋まっていたのは8割に近かったと思う。
見所はとにかくクリスチャン・ベイルのお腹と、その妻ロザリンの飛んでるキャラクターだ。
▼以下はネタバレあり▼
「ウルフ~」を見て、その日の2本めにこの作品を見に行った。
時代設定も、欲に駆られていく姿もよく似ていたので、頭が混乱しそうだった。
とんかつを昼食にして、お腹がいっぱいだったこともあり、かなり集中力に欠けていた。
それに加えて、このシナリオはわかりにくい。
設定がわかりにくいのではなく、話の方向性がなかなか見えてこないのだ。
一つの事件から派生した事件が起こり、さらにそれが派生していく。
そしてその状況をさらに妻のロザリンが悪化させていく。
その展開がわかりにくいのだ。
映画のポスターの五人の利害関係をしっかりつかんでいけば、話は理解しやすい。
そしてこの映画に何度も登場する台詞がこの映画のテーマを上手く表している。
「まずはNOを言い続けろ。相手をじらすんだ。
そして最後にしぶしぶOKしろ。相手は必ず食いついてくる。」
この台詞に注目すると、一番がっついてる奴が最後にだまされるのだ、ということが見えてくる。
とはいうものの、それがわかってくるのは中盤以降で、妻のロザリンが常にダークホースで何をしでかすのかわからない恐怖は常にアーヴィンと観客に襲ってくるわけなのだが。
少しだけ話を整理しておこう。
詐欺師のアーヴィンはFBIのリッチーに捕まり、捜査協力を強要される。
困ったアーヴィンはしぶしぶその要請に応え、幾人かの仕事仲間をリッチーに紹介する。
リッチーは、シークという架空のアラブの商人の投資顧問の振りをして彼らに近づく。
すると、今度は市長のカーマイン・ポリートの贈賄容疑が持ち上がる。
どうせおとり捜査するなら、もっと大物をと欲を出したリッチーは、ポリートを罠にかけるように作戦を大きくする。
そのためには、本物の取引と思わせるため200万ドルという巨額の資金を上司から調達しようとする。
リッチーの動きが拙速だったため、あやしいと感じたポリートは取引を中断しようとするが、アーヴィンが間に入り、仲をとりもつことで取引を成立させる。
(ここまでが冒頭の安ホテルの場面だね)
ここでやめときゃよかったのに、さらにそのカジノ計画に一枚かんできたのは、大物マフィアのテレジオ(なんとデ・ニーロ)だった。
テレジオまで一網打尽にしたいと考えたリッチーはさらに計画を推し進め、他の大物議員たちにもお金をつかませていく。
一方でその様子を電話でやりとりしていたが、そのことをアーヴィンの妻のロザリンがポリートの取引相手にばらしてしまう。
妻との関係も切れない、ポリートには脅される、シドニーとともに刑務所に収監されるかもしれない、という窮地に追い込まれる。
そこで、捕まらずに一番がっついている相手をだますことにするのだ。
要するに、リッチーに偽の取引をつかませて、そのお金を別口座に振り込ませる。
その200万ドルをかえして欲しいなら、シドニーとアーヴィンの無罪放免と、ポリートの減刑を実現せよ、というものだった。
下手な男ならその200万ドルを自分のものにして高飛びするところだが、そうすれば結局追われる身となる。
それを避けてFBIとの取引をやってのけたのだ。
アーヴィンは常にリッチーの要求に対してNOから入った。
そしてその理由は常に曖昧だった。
「いや、危険すぎるよ」といった具合に。
だから、リッチーは余計にその計画を顧みることなくがっついていくのだ。
リッチーは自分がFBIであり、常にアーヴィンより上の立場にいることを過信して、より大きな獲物を狙おうとする。
よくできているのは、彼の上司との魚の話だ。
話の流れを聞く前に、リッチーは話のオチを聞きたがる。
彼はせっかちで「結果」だけを求めたがるタイプなのだ。
だから、結果までの過程やそのリスクなどはあまり考えられない。
かっとなって殴ってしまうこともある。
そういう性格の単純さをアーヴィンはきちんと見抜いて出し抜いてしまう。
対するポリートは根っからの善人だ。
街のために少しでも雇用を生み出して、待ちを活性化させたいと考えている。
素朴な人間で、そのために危ない橋もわたっている。
アーヴィンと仲がよくなる理由はそういったところにある。
もう一人言及しておきたい。
それはもちろん、ジェニファー・ローレンス演じるロザリンだ。
彼女は絵に描いたような鬱陶しい女性である。
直情的で物事を考えずに、自分の利益と思い込みだけで動いてしまう。
ばかっぷりは本当にオスカー級だ(ノミネートされている)。
とにかくキャラクターが立って、自由に物語を展開していくので話の方向性はわかりにくい。
けれども、そのはちゃめちゃ具合がいかにもアメリカ的だし、おもしろい。
クリスチャン・ベイルは体だけはこわさないでがんばってとこちらが祈る思いになるほど、そしてもうはやだれかわからないほどの中年のおっさんだった。
髪の毛……。
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