外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

ラジオスペイン語講座礼賛

2012-03-10 23:40:06 | 日記
「ここで私たちはスペイン語を話します」って書いてある。ベタなイラストやわあ・・・



去年の10月以来、私の世界はラジオスペイン語講座を中心にまわっている。スペイン語講座が太陽だとすると、私はそちらに顔を向けてじっとしているガラパゴス・リクイグアナ。太陽の熱で身体が温まり、血液が循環し始めてから、よっこらせと、おもむろに活動を開始する、それが私の一日である。

私が聴いているのは、NHKラジオ「まいにちスペイン語講座」の、午後2時45分からの再放送。月曜日から金曜日まで、週5日間放送される。今期は入門編と応用編の区別がない。

ふだん私が目を覚まして布団からでるのは、だいたい午後2時前くらい。着替えたり顔を洗ったり、昼食(私は1日2食。お昼はたいていパンとコーヒーですます)をとっているうちに、携帯のアラームが鳴る。うっかり聞き逃さないよう、2時44分にセットしてあるのだ。アラームが鳴ったら、他に何をしていても手を止め、いそいそとラジオをつけてテキストを広げ、息を止めて(まじで)スタンバイする。放送時間はたったの15分間なので、集中力がかんじんなのだ。実は聞き逃しても、翌週にインターネットのNHKのホームページで聴けるのだが、私がその事実を知ったのは、ごく最近のことである。それを知ってからもつい習慣で、息を止めてスタンバイしてしまう。平日の3時までに家から出ることは、めったにない。図書館に行くのも、買い物に行くのも、たまに実家に出かけるのも、3時過ぎてからである。

講師は廣康好美さん、パートナーはスペイン人のファン・カルロス・モジャーノさんである。レッスンは毎回、ファン・カルロスさんの「オラオラオラ!!!コモ・エスタイス?!ジョ・ソイ・ファン・カルロス・モジャーノ!!!」(やあやあやあ!お元気ですか?私はファン・カルロス・モジャーノです!)という、威勢のよい挨拶で始まる。この「オラオラオラ!!!」を聞くと、私は毎回つい笑い出してしまう。や~ん、「オラ」って3回も言ってるう。ステキい・・・。陽気なファン・カルロスさんは、まるで地中海の太陽そのものなのだ。彼はテキストの執筆にも関わっているようで、スキットに出てくる登場人物は、全員彼の知り合いである(高校生の時の同級生とその彼女、別の友達とその家族などなど)。

スキットは面白いし、盛り込んである文法内容も私にはちょうどいいレベルだし、廣康好美さんの教え方も素晴らしく明快だし、非の打ち所がない番組なのだが、中でも私が一番楽しみにしているのは、ファン・カルロスさんと廣康好美さんが番組の最初と最後に繰り広げる(真ん中でもちょこっとやる)、スペイン語のボケツッコミである。ファン・カルロスさんがボケで、廣康さんがツッコミ。彼はいつもサッカーの話ばかりしては、「またサッカーですか、そればっかりなんだから」と廣康さんにたしなめられている。「DEJAR(=貸す)」という動詞を習った時は、例文と称して「ヨシミ、財布貸してくれる?」と言い、「いいえ、財布なんて絶対貸せません」と断らわられていた。現在進行形を学習した回では、ふいにグラスに液体を注ぐ効果音がしたかと思うと、廣康さんが「ファン・カルロスっ!あなた何してるの?!」と叫び、ファン・カルロスさんが、「何してるって、僕はワインを飲んでいます」と澄まして答える、という具合である。あ~、なごむ・・・。あとで廣康さんが日本語に訳してくれるので、聞き取れなくても大丈夫。でも、これが聞き取れるようになりたい!という願望のもとに、私はせっせとお勉強するのである。

同じNHKラジオ講座でも、イタリア語講座では(入門編・応用編とも)、日本人講師とネイティブスピーカーのパートナーがイタリア語で会話をすることはない。雑談をするときは、日本人講師が日本語を話し、イタリア人のパートナーがイタリア語を話す(内容は講師があとで日本語に訳す)という、シュールな二ヶ国語会話が繰り広げられるのである。これは一体なぜなのか、私は常に不思議だった。もしや、この講師はちゃんとしたイタリア語が話せないのか、あるいは自分の発音に自信がないのか?と疑ってしまう。この結果、スキットの外で自然なイタリア語会話が聴けず、日本語ばかりが耳に入ってくることになる。これは語学学習上、あまりよろしくない。イタリア語講座だけではなく、たぶん他の語学講座も同様で(ラジオ講座だけではなく、テレビ講座でも)、廣康&ファン・カルロス組がむしろ例外だと思う。あと、「ラジオ英会話」講師の遠山顕さんも、パートナーの2人とよく英語で軽口を叩いている。彼らを見習って、他の講師たちもあとに続いてくれればいいんだが。

そんな私の最愛のスペイン語講座も、今月末には終了してしまう。出会いあれば別れありである。4月からの新講座の先生たちは、むろん別の人たち。どうしよう?!私は4月から、何を心の支えにして生きていけばいいの?今さら入門編からやり直す気にもならないし、応用編は木・金だけだから物足りない。それに、あの2人以外の人たちのレッスンなんて、聴く気になれないわ・・・もんもんもんと悩んでいるとき、「なんやったら、フランス語でも始めたらどうや?」と、私の心の中に住んでいる陽気なおじさん悪魔が、ふと私の右耳に囁いた。彼は約半年前、私にスペイン語学習を始めさせた張本人である。「これ以上新しい言語に手を広げてどないすんの、あんたが今まで手を出した外国語、どれも使い物にならん中途半端なレベルやのに」と、陰気なおばさん天使が、すかさず左耳に忠告する。やがておじさん悪魔とおばさん天使は、オロオロする私を尻目に激しい口喧嘩をはじめ・・・結局今回は、おばさん天使が勝利を収めた模様である。フランス語はやめておこう。でも、じゃあ何をすればいいの?急に太陽がなくなったら、リクイグアナの私は動けなくなっちゃう!

いつまでも悩んでいる私に、おじさん悪魔が、先日また囁いた。「中国語っていうのは、どや?」 おばさん天使は「あんたにはもう、呆れて物が言えへんわ」とつぶやきながら、近所のスーパーめがけて飛んでいってしまった。タイムセールの時間なのだ。

中国語・・・?

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