外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(38)~ポテンツァからローマへ、そして帰国~

2020-12-30 23:19:20 | イタリア

 

 

今回は旅の最終日の話。ポテンツァからローマまでバスで北上して、夜フィウミチーノ空港から帰国便に乗った。

 

 

朝7時に起きて荷物をまとめ、朝食を取ってから出発した。イタリアのホテルなので、朝食はパンとヨーグルト、飲み物程度で大したことはないが、ここは一応三ツ星というだけあって(本当なのか)、一応フルーツもあった。他のお客は誰もおらず、部屋は薄暗かった。

 

 

 

 

四次元ポケットが欲しいと思いつつ、スーツケースを引きずりながら駅方面に下るエスカレーターの乗り場に行ったら、空に黒い煙がもくもくと上がっているのが見えた。高台にある乗り場の周辺に人だかりができていて、通学途中の子供たちが騒いでいた。煙は眼下の住宅の庭木の間から出ているように見えた。

 

 

 

 

 

う~む、なんだか不吉な一日の始まり方だ・・・

 

 

エスカレーターを降りて駅に向かう途中、通りすがりの若い女の子が「うちの近所の人の家のガレージが火事になった!」と電話で話しているのが耳に入った。振り返ってみると、火事の現場周辺には消防車が何台か集まっており、煙はほぼ収まっていた。すぐに消火されたようだ。

 

ポテンツァ中央駅に着いて、前日ローマ行きのチケットを買った窓口の男性に、チケットの日付が違っていたことを説明したら、「これは1か月後の分だから、今日乗りたければ買い直すしかないね。払い戻し不可のキャンペーン価格のやつだから」とあっさり言われ、「で、でも、今日の日付の切符を下さいって言ったのに1か月後の分を売ったのはあなたでしょう~なんとかしてよ~買い直すお金なんてないもん~貧乏なのよ~」と食い下がってみたのだが、相手は「もうお金を払ってしまったから、どうしようもない。あなたは買う時に日付を確認するべきだった」の一点張りだった。まあそれはそうだし、実際、一度代金を収納したら払い戻しはできないシステムになっているのだろう。

 

これ以上議論しても無駄そうだと考えた私は、下手に出ることにした。押してダメなら引いてみて、それでもだめならサクッと諦めて忘れる。それが私の生き方さ・・・

 

お腹を減らした子猫のような眼(イメージです)で彼を見つめ、「それはそうだけど、何とかして下さい~お金がないんです~」とすがるように頼んでみたら、相手は少し考えてから、「ナポリまでのバスになら無料で乗せてあげられるよ。ナポリからローマへは自前で行ってもらうしかないけど」と言ってくれた。多少は譲歩してくれたわけだ。二つ返事でOKして、駅の前に停車していたバスに乗り込んだ。彼は基本的に親切な人であるらしく、後味の悪そうな顔をしつつ、「次からは日付を確認するようにね」と念を押しつつ見送ってくれた。

 

ナポリには2時間ほどで着いた。10時半だ。バスターミナルのすぐ近くに鉄道駅があるので、ローマへは列車で行った方が早いと運転手に言われたが、短距離と言えどもナポリのあの雑踏の中を歩いて駅の喧騒に飛び込み、チケット売り場に並ぶことを思うと気力が萎えたので、バスで行くことにした。

 

ナポリというのは、何かのついでにちょっと散策したり、空き時間に寄って気軽に観光するような街ではない。「私はこれからナポリに行くんだ!」という強い決意と自覚を持って、気合を入れて臨むべきところなのだ。スリ、盗難が非常に多いからだ。イタリア人に「ナポリに行く」と言ったら、必ず「スリに気をつけてね」と言われる。相手がナポリ出身の人でもそうなのだ。ピザもワインも魚介料理もお菓子も美味しいし、ナポリ人は面白いし、古い町並みも海も歴史的建造物もあって、実にステキなところなのだが。

 

そういうわけで列車移動はやめて、12時頃に出発してローマ・ティブルティーナに15時に着くバスのチケットを買った。1時間ほど待ち時間があったので、お菓子を買ってハトを餌付けして時間をつぶした。

 

 

 

南イタリアの素朴なお菓子、タラッリの小さいやつ。固めの塩味のビスケット。非常食によさそう。

 

 

バスの中では、後ろの席の若い男の子がひっきりなしに誰かに電話して喋っているのを、聞くともなく聞いていた。マンマ、バッボ(お父さん)、友達・・・彼はおそらくナポリ人だが、イタリア最北部のコモ(スイスとの国境にある街)の大学に通っていて、おそらく実家で夏休みを過ごした後、バスで12時間かけて移動しているところだった。ご苦労なことである。途中で車掌さんが車内をめぐり、「携帯を充電してほしい人がいれば、やってあげるから言うように。差込口に限りはあるけどね」と乗客に声をかけていた。親切だ。

 

時刻通りにローマ・ティブルティーナに到着した。すぐそばに地下鉄の駅があるので、ローマ・テルミニ駅へは地下鉄で出た。

 

 

地下鉄駅で何となく写真を撮っていると、そばに立っていた若いイタリア人の男の子がそれを見とがめて、「地下鉄の駅構内での写真撮影は禁止されてる。罰金を取られるから止めた方がいい」と私に忠告した。どうして禁止なのか理由を聞くと、「テロ防止のためだよ。写真をテロリストが使うかもしれないから」との答えだった。テロが起こる可能性があるのは、地下鉄駅に限ったことではないし、一般に開かれた場所だからテロリストは歩き回って直に下見できるわけで、他人の写真を使う必要などないと思うのだが・・・彼にそう言ったら、「とにかく、そういうことになってるんだよ。禁止なんだよ」と言い張るのだった。目つきも鋭いし、この人はちょっとヤバいヒトかも・・・カメラをカバンに仕舞って、彼から離れる。

 

 

こんな写真を参考にするテロリストがいようか。

 

 

ローマ・テルミニ駅にはすぐ着いた。

 

 

 

 

駅構内の荷物預かり所で6ユーロ払ってスーツケースを預け(後払い・パスポート提示)、身軽になってから空港行きのチケットを買い、駅の近くのバールでサンドイッチを食べ、ビールを飲んだ。

 

 

 

 

トマトとツナのサンドイッチは、パンがパサパサで味が薄く、あまり美味しくなかったが、ビールと合わせて5ユーロだったので文句を言う筋合いでもないだろう。バールの女主人らしき年配だが華やかなイタリア美人にプリモはないのかと聞いてみたら、「あるけど、うちのはレンジであっためるやつよ。ちゃんとした料理が食べたければ、向かいのリストランテに行けば」と率直に言ってくれたが、向かいの店は観光客だらけで高そうだったのでやめておいた。

 

結局、イタリア(フィレンツェ以外)ではミニピザだのサンドイッチだのばかり食べ、バールのオープン席でビールを飲んでばかりいた気がする・・・・美味しいものだらけのイタリアで、もったいないことだ。

 

その後、駅に併設のコープや周辺の店で土産物を買ってから、荷物を取りに行って、早めに空港に移動することにした。フィウミチーノ空港には、列車で30分ほどで着く。

 

 

フィウミチーノ空港駅のハトさん。足が悪いようだった。

 

 

空港では、カフェテリアに座って窓から飛行機を眺めながら、優雅にイタリア最後のビールを楽しもうと思っていたのだが、フィレンツェの友達にメッセージを送ったり、電話をかけたりして別れの挨拶をしているうちに時間切れになった。出国手続きをして、搭乗口へ向かう。

 

 

 

 

帰国便は中国国際航空の北京経由の便で、21時頃に出発し、北京での約3時間の乗り継ぎを経て、翌日の夜20時に羽田に到着予定だった。約16時間の長旅だ。中国国際航空を選んだのは、安かったからなのだが、北京行きの機内は騒がしく、機内食も美味しくなくて、酒もワインとビールしかなかったから、今後は乗らないかもしれない。あと、トイレの数が少ない気がしたけど、気のせいだろうか・・・隣に座った中国人の女の子は、非常にフレンドリーでかわいい子だったが。彼女は収納具の製造会社で働いていて、今回はフィレンツェで展示会をやるために出張し、6日間は仕事だけして、残りの2日間でフィレンツェとローマを観光したそうだが、その間ずっと会社の人と団体行動で、中華料理しか食べていないという話だった。な、なんてもったいない・・・

 

 

機内食の夕食、ご飯がフリーズドライのやつをふやかしたような食感だった。

 

 

朝食の牛そぼろと豆のお粥は、米が原型をとどめていなかった。副菜はマカロニサラダで、パンとケーキ付き。炭水化物の嵐だ。

 

 

 10時間ほど乗って、ようやく北京に到着。

 

 

 

 

待ち時間にタイガークリスタルビール(シンガポール産)を飲んだ。約5ドル。

 

 

 

 

北京空港のセキュリティーは厳重で、荷物検査の時に女性係員に念入りなボディーチェックを受けた。

 

 

北京から羽田の便の機内食は比較的まともだった。赤ワインは中国の「万里の長城」で、なかなか美味しかった。しかし、ドリンクが食事の終盤にしか出ないのが難点か。ワインは食事と共に飲むべきものなのだが・・・

 

 

魚のフライはふにゃふにゃで餡が少なかったが、抹茶ムースはちゃんと抹茶の味がしたし、サラダのゆずドレッシングも美味しかった。

 

 

隣りに座っていたのは、筋骨隆々としたこれまたフレンドリーな若者で、南アフリカ出身でロンドン在住とのことだった。ラグビーワールドカップを観戦しに日本に行って、ついでに東京・京都・神戸を1週間で回るという。やはり、国際的なスポーツイベントを開催したら、外国観光客を呼び込めるのだな。ちなみに彼はブレクジッドには反対とのことだった。彼とお喋りしたり、機内食をつつく以外は、大体眠って過ごした。バスでも結構寝たのだが、飛行機でもひたすら眠かった。ビジネスで旅したら、ゆったり眠れるのだろうが、そんな日は一生来ないだろう。ふっ

 

 

飛行機が無事に羽田空港に着陸した瞬間、イタリア人の乗客たちが拍手した。彼らはどこでもこれをやるのだ。なごむわ~

 

 

空港のトイレがウォッシュレットなのを見た瞬間、「ああ、帰ってきた」という感慨を抱く。

 

 

羽田からの移動は、成田に比べて段違いに楽だ。途中で日高屋に入り、焼き鳥丼とビールでひっそり帰国を祝った。

 

 

焼き鳥丼はミニサイズで250円。小食の人にピッタリ。

 

 

というわけで、長い旅を終えて無事に帰国したのだった。

 

 

ここまで読んでくださった忍耐強い方、本当にありがとうございました。こんなに長くなるとは思わなかったが、考えてみたら、2週間以上の旅を日記にしたら長くなるに決まっている(普通やる前に気づくだろう)。そうでなくても、更新が遅いのに・・・でもなんとか年内に書き終えられてよかった。これで心置きなく年が越せるというものだ(大げさ)。

 

というわけで、皆さま良いお正月をお迎えくださいませ。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

(終わり)

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2 コメント

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Michiさんへ (Zhen)
2020-12-31 22:33:39
不吉な1日の始まり、中国国際航空(CA)、北京トランジット・・・・悪い予感(大幅遅延)を想像しましたが、遅延もなく、無事お帰りになり、良かった、良かった。
多分、中国のエアラインには、国内外合わせて100回以上乗っていますが、正直なところ最悪の組み合わせですね。北京は、政府高官のフライトやその予行演習、天候、大気汚染で、一番遅延する空港。CAは、ナショナルフラッグなので、一番お上に従順ですから人民解放軍の演習のとばっちりを受ける。(中国は、路線バス1つとっても軍人優先の国ですから)
そのことを空港職員の友人に訊ねると、ニヤニヤして肯定も否定もしない。まぁ、友人も公務員だからなぁ。

1年お世話になりました、2021年も宜しくお願い致します。
Zhenさんへ (Michi)
2021-01-01 14:56:09
中国国際航空の北京経由便、そうなんですね。幸い特に遅延はなかったですが、全体的に「安いだけある」って感じでした~

こちらこそ、昨年はお世話になりました。
今年もどうぞよろしくお願いします~(^▽^)/

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