パイレート・クイーン
12月4日 帝国劇場にて
演出 山田和也
【キャスト】
グレイス・オマリー 保坂知寿
ディアナン 山口祐一郎
族長ドゥブダラ 今井清隆
ダーナル 宮川浩
ビンガム卿 石川禅
エリザベスI世 涼風真世
【あらすじ】
16世紀のアイルランドは、隣国イングランドの属州に取り入れられ、各部族の争いが続いていた。
海賊のオマリー一族・族長の娘グレイスは男勝りな性格。
男装して船に乗り込み、イングランド戦艦との戦いで活躍する。
彼女はリーダーシップにも優れ、父親はじめ海賊たちに一目おかれるような存在となる。
一方恋人のティアナンの前ではけなげな一人の女性であった。
ところがイングランドの圧政に対して部族間の絆を強めるために、グレイスは政略結婚をさせられる羽目になってしまった。
相手は仇敵のオフハラティ一族の息子、ダーナル。
海上での生活も、ティアナンとの恋も諦めざるを得なかった彼女は家庭に入ることに。
しかし新郎は酒グセが悪いうえに女性関係もだらしない男だった。
戦いにおいても逃げ腰の割に野心だけは強く、二つの部族を治めようと目論んでいた。
そんなうちにグレイスの父ドゥブドラが戦いにおいて負傷し、死去する。
彼は死に際にグレイスを次の王に指名していった。
時はすぎ、グレイスの船がイングランドの襲撃を受けた。
ダーナルは降参しようとするが、出産後間もない彼女は剣を取って戦う。
そして甲斐性なしの夫に三行半をたたきつけ、二人は決別することに。
ティアナンは波乱の人生を送るグレイスを常に見守り続けていた。
その後グレイスの息子の洗礼式が開かれた。
教会に突然現れたダーナル。
彼はアイルランドを裏切り、イングランドの手先となっていた。
突然の兵の攻撃を受け、グレイスは囚われの身に。
ついに牢に幽閉されることになった。
7年の歳月が過ぎたが、グレイスはまだ収監されたまま。
ティアナンはイングランドのエリザベス女王に、自分の命とひきかえにグレイスを釈放してほしいと懇願する。
彼の願いは聞き届けられ、グレイスはアイルランドに戻ることが出来た。
しかし数年ぶりに彼女の目にうつった故郷はビンガム卿の圧政により荒れ果てていた。
息子との再会もつかの間、海の女王は再びロンドンを目指す。
愛する男性と故郷を救うため、陸の女王エリザベスと直談判するために。
今年最後のミュージカル観劇となったこの作品。
四季時代から好きな保坂知寿さんの主演ということと、BW版をご覧になった方の観劇記を読んで興味を引かれたので、劇場に足を運んだ。
今回のステージは流行りの奥オーケストラ。通常オケピがある場所にも座席があった。
そのためかG列の割に舞台を遠く感じた。近くの人はオペラグラスを使ってた位。
保坂さんは相変わらず華奢な体で、歌い、踊り、戦っていた。
個人的にみどころだったのは、ダーナルに対してブチ切れるシーンと、エリザベス女王に借りたハンカチを暖炉にポイしたところ。
この方らしいキレの良さとあっけらかんとした感じが色濃く出てた。
山口さんは若者の役作りなのか、妙に声がとんがって聞こえた。
歌の音域のせい?
あとあのウイッグはちょっと…
頭が大きくなってしまい、せっかく長身なのにもっさり見えてしまい残念だった。
今井さんはあまり歳が変わらない保坂さん相手にいいお父さんになっていた。
歌も深みのあるいい声。
一幕だけの出番なのでもったいなかった。
エリザベスI世を演じた涼風真世さん。
ナンバー「Waking of the Queen」の音域の高さに驚いた。まるでオペラみたい。
あの歌はコーラスの侍女役の方たちも大変だろうなぁ。
息継ぎが少々気になるものの、難度の高い曲を歌いこなされていた。
衣装も、登場するごとに豪華さが増していく
ドレスやウイッグに負けない存在感をお持ちなので、この役を涼風さんで観ることができて良かった。
あと、ダメ男二人を演じた宮川浩さんと石川禅さん。
実はプリンシパルキャストの中で、この方たちが一番作品に貢献していたと思う。
何故かというと、嫌われ役にひたすら徹していたので。
もちろん演技も歌も裏切らずに安定している。
このお二人に関しては、東京新聞の劇評欄でも高く評価されていた。
肝心の楽曲については、少々期待外れ。
使い古されたスタイルでどこかで聴いたようなものばかり。
印象に残ったのは、前述のエリザベスの歌くらい。
脚本も、話す言葉ひとつひとつが陳腐で一昔前のいい回しの様だった。
何かというと「女は、女は、女同士…」の繰り返しで、少々くどかった。
オリジナルの英語ではどんな感じだったのだろうか。
ジェンダーについてここまで語られていたのかな?
今更そんな時代じゃないと思うんだけど。
舞台装置については船の回転セットは見事だったけど、海の雰囲気は漂ってこなかった。
なんか船の上も陸の延長って感じだったのが残念。
そんな訳で楽曲・脚本・演出の面ではあまり満足できなかった。
でも所々にアイリッシュ・ダンスが取り入れられているのは面白かった。
お祝いのシーンや様々な箇所でダンサーが踊りだす。
リズミカルで細かい脚さばきは見とれる限り。
ダンス・ナンバーが始まると、バイオリンと笛の奏者が衣装を着ながら舞台に上がり、村の住民の一人として役者に溶け込んでいた。
カーテンコールの全キャストによるアイリッシュ・ダンスにはエリザベス役の涼風さんも参戦。
重そうなドレスを着込んでらしてるのに、意外と足さばきは軽やかだった。
なんかダンスに誤魔化されてしまったかの様な作品だったけど、劇団・元四季を始めとするベテラン役者の熱演もあってそれなりに楽しめた。
でもこういった翻訳ものって、日本人演出家の意図で元の作品とはかけ離れてしまうことが多い。
出来ることならオリジナル版を現地で観てみたいものだとつくづく思った。
12月4日 帝国劇場にて
演出 山田和也
【キャスト】
グレイス・オマリー 保坂知寿
ディアナン 山口祐一郎
族長ドゥブダラ 今井清隆
ダーナル 宮川浩
ビンガム卿 石川禅
エリザベスI世 涼風真世
【あらすじ】
16世紀のアイルランドは、隣国イングランドの属州に取り入れられ、各部族の争いが続いていた。
海賊のオマリー一族・族長の娘グレイスは男勝りな性格。
男装して船に乗り込み、イングランド戦艦との戦いで活躍する。
彼女はリーダーシップにも優れ、父親はじめ海賊たちに一目おかれるような存在となる。
一方恋人のティアナンの前ではけなげな一人の女性であった。
ところがイングランドの圧政に対して部族間の絆を強めるために、グレイスは政略結婚をさせられる羽目になってしまった。
相手は仇敵のオフハラティ一族の息子、ダーナル。
海上での生活も、ティアナンとの恋も諦めざるを得なかった彼女は家庭に入ることに。
しかし新郎は酒グセが悪いうえに女性関係もだらしない男だった。
戦いにおいても逃げ腰の割に野心だけは強く、二つの部族を治めようと目論んでいた。
そんなうちにグレイスの父ドゥブドラが戦いにおいて負傷し、死去する。
彼は死に際にグレイスを次の王に指名していった。
時はすぎ、グレイスの船がイングランドの襲撃を受けた。
ダーナルは降参しようとするが、出産後間もない彼女は剣を取って戦う。
そして甲斐性なしの夫に三行半をたたきつけ、二人は決別することに。
ティアナンは波乱の人生を送るグレイスを常に見守り続けていた。
その後グレイスの息子の洗礼式が開かれた。
教会に突然現れたダーナル。
彼はアイルランドを裏切り、イングランドの手先となっていた。
突然の兵の攻撃を受け、グレイスは囚われの身に。
ついに牢に幽閉されることになった。
7年の歳月が過ぎたが、グレイスはまだ収監されたまま。
ティアナンはイングランドのエリザベス女王に、自分の命とひきかえにグレイスを釈放してほしいと懇願する。
彼の願いは聞き届けられ、グレイスはアイルランドに戻ることが出来た。
しかし数年ぶりに彼女の目にうつった故郷はビンガム卿の圧政により荒れ果てていた。
息子との再会もつかの間、海の女王は再びロンドンを目指す。
愛する男性と故郷を救うため、陸の女王エリザベスと直談判するために。
今年最後のミュージカル観劇となったこの作品。
四季時代から好きな保坂知寿さんの主演ということと、BW版をご覧になった方の観劇記を読んで興味を引かれたので、劇場に足を運んだ。
今回のステージは流行りの奥オーケストラ。通常オケピがある場所にも座席があった。
そのためかG列の割に舞台を遠く感じた。近くの人はオペラグラスを使ってた位。
保坂さんは相変わらず華奢な体で、歌い、踊り、戦っていた。
個人的にみどころだったのは、ダーナルに対してブチ切れるシーンと、エリザベス女王に借りたハンカチを暖炉にポイしたところ。
この方らしいキレの良さとあっけらかんとした感じが色濃く出てた。
山口さんは若者の役作りなのか、妙に声がとんがって聞こえた。
歌の音域のせい?
あとあのウイッグはちょっと…
頭が大きくなってしまい、せっかく長身なのにもっさり見えてしまい残念だった。
今井さんはあまり歳が変わらない保坂さん相手にいいお父さんになっていた。
歌も深みのあるいい声。
一幕だけの出番なのでもったいなかった。
エリザベスI世を演じた涼風真世さん。
ナンバー「Waking of the Queen」の音域の高さに驚いた。まるでオペラみたい。
あの歌はコーラスの侍女役の方たちも大変だろうなぁ。
息継ぎが少々気になるものの、難度の高い曲を歌いこなされていた。
衣装も、登場するごとに豪華さが増していく
ドレスやウイッグに負けない存在感をお持ちなので、この役を涼風さんで観ることができて良かった。
あと、ダメ男二人を演じた宮川浩さんと石川禅さん。
実はプリンシパルキャストの中で、この方たちが一番作品に貢献していたと思う。
何故かというと、嫌われ役にひたすら徹していたので。
もちろん演技も歌も裏切らずに安定している。
このお二人に関しては、東京新聞の劇評欄でも高く評価されていた。
肝心の楽曲については、少々期待外れ。
使い古されたスタイルでどこかで聴いたようなものばかり。
印象に残ったのは、前述のエリザベスの歌くらい。
脚本も、話す言葉ひとつひとつが陳腐で一昔前のいい回しの様だった。
何かというと「女は、女は、女同士…」の繰り返しで、少々くどかった。
オリジナルの英語ではどんな感じだったのだろうか。
ジェンダーについてここまで語られていたのかな?
今更そんな時代じゃないと思うんだけど。
舞台装置については船の回転セットは見事だったけど、海の雰囲気は漂ってこなかった。
なんか船の上も陸の延長って感じだったのが残念。
そんな訳で楽曲・脚本・演出の面ではあまり満足できなかった。
でも所々にアイリッシュ・ダンスが取り入れられているのは面白かった。
お祝いのシーンや様々な箇所でダンサーが踊りだす。
リズミカルで細かい脚さばきは見とれる限り。
ダンス・ナンバーが始まると、バイオリンと笛の奏者が衣装を着ながら舞台に上がり、村の住民の一人として役者に溶け込んでいた。
カーテンコールの全キャストによるアイリッシュ・ダンスにはエリザベス役の涼風さんも参戦。
重そうなドレスを着込んでらしてるのに、意外と足さばきは軽やかだった。
なんかダンスに誤魔化されてしまったかの様な作品だったけど、劇団・元四季を始めとするベテラン役者の熱演もあってそれなりに楽しめた。
でもこういった翻訳ものって、日本人演出家の意図で元の作品とはかけ離れてしまうことが多い。
出来ることならオリジナル版を現地で観てみたいものだとつくづく思った。
山口さんはいい役者ですけど、年齢とキャラクターがちょっと違うかも…なんて。
あとは訳詞ですね。
オリジナルのCDが入手不可なので比べられないのですが、キャラクターが日本人化してました。
とはいえ、全くダメダメな舞台では無かったです。
エリザベス役の涼風さんが良かったので、
彼女が出演していたら再演に行かれるのを是非お勧めします。
舞台より映画というのは私も同意します。
帝劇だと船のスピード感とか何もなかったので、
ロケや特殊映像であの物語の世界を表現してもらいたいです。
オリジナル版はかなり迫力があったと思ったんですが(結構前の方でみたもので)、ちょっと残念でしたね。
私自身は、舞台より映画にしたらもっと迫力ある話でいのにな、と思いました。
とはいえ、日本版も再演があったら見たいと思っています。。。。
オリジナル版も評判が悪かったのですか。
題材は面白いと思うのですが、脚本と楽曲に難がある様に感じます。
それとやっぱりラグタイムはクローズしてしまうんですね(涙)
来年の旅行の一番のお目当て作品だったので、かなりショックです…。
確かに興行成績があまり良くなかったですからね。
毎週ハラハラしながら見守っていました。
はぁぁ。クリスティン・ノールさんのマザーが観たかったです…
>出来ることならオリジナル版を現地で観てみたいものだとつくづく思った。
オリジナル版も相当叩かれていましたから、やっぱり作品自体の持つ力不足だったのかもしれませんね。
それはそうと、メガネヒヨコさんにご覧になっていただきたかったラグタイム次の日曜日でクローズです(涙)。全国ツアーにでも出てくれないかしら。