ちいさいメバルがすこし

‐ナニかが釣れればイイんです‐

碧い海 青い春 蒼い顔

2006年03月31日 13時57分02秒 | 寝言
  いつになく暑い夏だったんだ。 

ぼくらを乗せた大きな船は水平線を跳ぶように走るよ。
ぼくらによって名付けられたその船は「大いなる希望号」さ。

あと数ヶ月で17になるぼくと5人の仲間たち。
最盛期の6人は伝説渦巻く地を踏みしめたんだ。

その島の名は 新島。

エメラルドに輝く大海原。どこまでも高く青い空。限りなく白い砂浜。
でもぼくらはそんなものは目に入らないのさ。
ぼくらは人間が大好きなんだ。 男以外のね。

サイフには少しのお金とたくさんのステキな夢。
いっぱい練習したよ。 あいつには秘密の特訓さ。
人を待たせるのは良くないこと。
ポパイやホットドッグに書いてあったしね。

パーマもかけたんだ。 はじめての。
見た目は限りなく美容院。だけど実体は床屋 でね。

こ、こんな感じにしてくっださい!!
 
ヘアカタログのフッくんのページを指して頼んだんだ。
出来上がりは単なるカーリーヘアだったけどね。

 
同じ宿にはこれまた6人組の1学年上のお姉さんたち。
願ってもない環境さ。 マンガみたいだね。

とめどなく溢れる想いを必死で隠し、さりげなく話しかけたよ。
でも目は血走っていたと思うよ。

みんな進学しないで就職だから、最後の夏休みを愉しむ為に来たの。
いい思い出作りにね。

彼女たちの中のリーダー格の娘が言ったんだ。

そんなのたやすい御用だ。
ぼくらが思い出作りのお手伝いをしますよ。
いや、ぼくらと一緒に思い出を作りましょうよ。

宿での夕食のあと、着飾った彼女たちが向かいの部屋から出てきたよ。
宿の入り口には5,6人の大学生くらいのお兄さん達が立っていたんだ。

船の中で約束をしていたの。
遅くなるかもしれないけど、もし宿の玄関に鍵が掛かっていたら開けてね。
 


・・・そんなのたやすい御用だ。 お手伝いしますって。


その宿には21歳のOLの2人組もいたんだ。
新島の常連だというまばゆいばかりの姉さんたち。

あんたたち、からいラーメン好き?
おいしいところがあるんだ、連れて行ってあげるよ。

おごってもらったよ。 はじめての坦々麺。
熱くて辛くてそしてせつない味さ。

 今も坦々麺が好きなのはこの日から始まったんだね。
 今思い出したよ。

あたしらはナンパはされてもぜんぶ断るんだ。
この海が好きで毎年来てるんだから。
男目当てじゃないよ。

帰りの船でOLの姉さんたちを見かけたよ。
それぞれ日に焼けた背の高いサーファーに肩を抱かれて歩いていたんだ。

くじけないぼくらの旅はまだまだ続くのさ。
コメント (6)
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