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「ミス・サイゴン」(8月5日)

2008年08月07日 | その他
帝劇で行われている「ミス・サイゴン」を観た。もう何度目かになるが、幾度見ても良く出来た作品である。戦争の生み出した悲劇、同時にその主体の一方であるアメリカ文化の華やかさ。その二つの対比が悲劇性を余計に煽る。オペラと比較すると、フィジカルに見栄えのする役者さんが多いので、ドラマは現実味を帯び、胸が締め付けられる瞬間も多い。それにしても、ストーリの流れが何と「蝶々夫人」に似ていることか。それぞれの登場人物の演劇上のキャラクターまでとても類似している。さしずめ、キム=バタフライ、クリス=ピンカートン、ジョン=シャープレス、エレン=ケイト、エンジニア=ゴロー/スズキというように対応出来るように思う。しかし、ここまで音楽が違えば、それはそれで立派な再創造である。あまりこの世界に詳しくないのだが、今回の若手役者さん達(笹本怜奈、原田優一、坂本健児、RIRIKA等)は、皆興ざめの絶叫がなく、良く整った声でスタイリッシュに歌っていたので、声楽的にとても満足!ミュージカルでこんなことは初めてである。エンジニアを演じた市村正親は、オペラで言えば性格バリトンの役柄であるが、良い意味で力の抜けた踊りと歌はさすがベテランの味。”アメリカンドリーム”でのたった一人でアンサンブルを従えた舞台は、「華」があって、なんともカッコ良い千両役者振りであった。

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