松本健史の「生活リハビリの達人」になろう!

超高齢社会の切り札「生活リハビリの達人」になる!講師・原稿依頼は matumomo@helen.ocn.ne.jp まで

2013年 勝手にMy Best  ガンダム世代限定論文 「赤イ彗星ヲ追エ!」

2013年12月19日 | Weblog

昨年の年末、帰省の新幹線で手帳を開いていると、いきなりメデシン仙人というキャラが現れました。結局そのオッサンとズルズル過ごした一年でありました。

そのときの手帳の写真です(最初のイラスト、けっこうかわいい天使みたいだったことに驚いています)。

 

「生活リハビリの達人になろう」という連載を雑誌「ブリコラージュ」に10回も書かせていただきました。読んで頂いた方、またメデシン仙人で生活リハビリに興味をもち、私が講師をする研修に参加いただいた方々にも御礼を申しあげます。 2014年もさらに深~くマニアックにいきたいです。超高齢社会を支える生活リハビリの達人になるための修行を積んでいきたいと思っております。今年のお気に入りはそんなメデシン仙人が活躍するブリコラージュ7・8月号に発表した「赤イ彗星ヲ追エ!」です。まだ読んでない方、ぜひ読んでみてください。あ、ガンダム世代限定ですが・・・

Mission6 赤イ彗星ヲ追エ! 

今回は介護現場でお年寄りの動きを大切にするための観察法を紹介しました。人の動作を介助するときに、けっこう人の動作をじゃましてしまっているんです。そのため、本人さんも動けなくなり要介護状態が進行することもあります。仙人の声(ダジャレにも)どうか耳を傾けてください。 

メデシン仙人プロフィール

メデシン仙人 

新人介護職の「僕」になれなれしく話しかけてくる自称、生活リハビリの達人

的確に助言してくれるがダジャレにうんざりさせられる。

できる動作を見極める「目」

環境を整え、介助する「腕」

やる気を引出し、支える「心」

この目(メ)・腕(ウデ)・心(シン)が名の由来。

 

尊敬する先輩『アムロさん』

うちの施設にとても上手にお年寄りを介助する先輩がいます。その人の名前はアムロさん。独身で赤い髪のイケメン、ぼくのあこがれの存在です。なぜアムロさんは、いつも上手に介助ができるのだろう?と思っていると・・・突然、「アムロくんはいいね~」とどこからか声がしました。モクモクと煙がたち、メデシン仙人が現れました。「しっかり相手の動きを待って、力を引き出す介助ができておる。お前もアムロくんのような介助をするのじゃ。」

「仙人でもすごいと思うんですね!わかりました。どこがそんなにすごいのか、その謎に迫りたいと思います。」それからというもの、仕事の合間にアムロさんをそっと観察する日が続きました。ある日、いつものように僕が観察しているとアムロさんと、目が合ってしまいました。「おっ新人、そんなとこに隠れてないで、こっちにこい」アムロ先輩が手招きしてきました。じっと見ていたことで決まりが悪かったので「いや、僕もう、あがります」とその場を立ち去ろうとすると、背中から「どんっ」と、ものすごい力で何者かに押されました。「お、新人積極的だね~」体がつんのめって前に出たのですが、喜んで飛び出たような格好になってしまいました。(ち、仙人め、後ろから押しやがったな。)僕はとりつくろって言いました。「アムロ先輩、どうかご指導をお願いします。」

 

『アムロさん』の神業

アムロ先輩は少しうれしそうな顔をした後、キリッと厳しい表情になり、「新人、ヒトの動きをしっかり見たことあるか?」と聞いてきました。「いえ、余裕がなくて・・・」

「そうか、まぁついてこい。ちょうどミツさんの起きる時間だ。いつも職員が二人がかりで持ち上げてるけど、オレはミツさんの動きに合わせて支えるようにしている。」そういってアムロさんはミツさんに気さくに声をかけました。「ミツさん、いつもみたいに車いすに移るよ。」

ミツさんもアムロさんには笑顔で「はいは~い、ほいきた!」と答えています。そして、スッとむりなく立ち上がり、移乗動作が成功したのです。

え~!僕は信じられない光景を目にして、びっくりしてしまいました。

「アムロさんすごい!」と尊敬のまなざしで見つめていると、「新人、おまえもこうやって動きを引き出しながら、支えてみな」

「はい、がんばってみます」とはいったものの、うまくやる自信がありません。お礼を言ってその場を離れました。

 

赤い彗星を追え!

「これがアムロくんの神業の秘密じゃ」とまたメデシン仙人が現れて、僕に一枚の紙を渡しました。そこには人形の絵があり、鼻に星マークがついており、「赤い彗星を追え!立ち上がりの動作分析」と書いてありました。

 

 

 

 

 

 

図1 立ち上がる時、赤い彗星はどう動く?

 

「ヒトが立ち上がる時、頭がどう動いてるか、わかるか?」

「いえ、さっぱり」

「それだからお前はいつも力任せの介護力士士になってしまうんじゃ!よいか、ワシが立ち上がるから、鼻の動きに線を引いてみよ!」そういってメデシン仙人は椅子に座りました。「はい、この鼻にちゅうもーく!」と仙人が言うと、突然、鼻が真っ赤に色づきました。そしてゆっくりお辞儀をしながら、立ち上がりました。動きを分析している僕のために、何十回もこの立ち上がり動作を繰り返しました。だんだん疲労してきたようではぁ、はぁと息を切らして「まだ書けぬか!」と怒りだしました。

「す、すみません、仙人、自信ないけど、こんな線が引けました。」僕は人形の絵に線を書き込みました。

 

 

 

 

 

 

 

図2)仙人がした動作

「な、鼻は一直線に上昇するのではなく、お辞儀で一旦下方へ移動しながら、弧を描いて上昇することがわかるじゃろ。介護するときに、この動きを邪魔してたら、相手が力を出せんぞ。」そして紙にゴリゴリと線を書きこみました。「このゾーンを『介助の立ち入り禁止ゾーン』と呼んでおる。お前がいつもお年寄りを持ち上げて『ヨイショ』と介助しているのは、思いっきり、この立ち入り禁止ゾーンに入っておるのじゃ。わかったか?」

 

 

 

 

 

 

図3)介助の立ち入り禁止ゾーン

 

そうだったのか・・・。僕はショックでした。相手の動きを手伝っていたつもりが、まさか邪魔をしていたとは・・・。

 

このように、立ち入り禁止ゾーンに入らない介助法を考えるんじゃ。アムロくんの介助はヒトの動きを引き出し、頭の動きを邪魔しておらん。ミツさんの動きもスムーズだったじゃろう?

 

 

 

 

 

 

 

図4)仙人おススメ 低い姿勢になり、相手の動きを邪魔しない介助

     

「この鼻、ま、ワシらの仲間は赤い彗星と呼んでおるが、この赤い彗星の動きをつかめれば、いい介助ができるぞ!」

「アムロさんは赤い彗星の動きがわかってるんですね。」

「アムロくん、あいつは筋金入りのニュータイプじゃ。お前も今から頑張れば、介護のニュータイプになれるかも知れんぞ。」

「ニュータイプってなんですか?」

「おまえ、ガンダムを知らんのか?相手のモビルスーツの動きが読める能力のことをニュータイプというのじゃ!ちょっとは勉強せい!」

平成生まれの僕にはさっぱりガンダムのことはわかりませんが、めんどくさいので、口ごたえせず、「わかりました仙人、アムロさんの介助をみて、また勉強しますので、失礼します。」と立ち去ろうとしました。すると僕を追いかけてきて「おい、お前、アムロのとこへ行くのか?」と仙人がまた自信満々の顔、ダジャレ警報発令です。「よいか、相手がアムロだけに、礼(レイ)を欠くなよ」「・・・・・・。」やっぱり、予想通りでした。

参考映画 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア販売元バンダイビジュアル

参考文献 青山幸弘 青山流がんばらない介護術(講談社)

松本健史 生活リハビリ術(ブリコラージュ)(↓よかったら読んでみてくださいね)

 

「生活リハビリ術」

~介護現場の理学療法士が提案する21の方法~

松本健史著

発行ブリコラージュ

 

 


達人になろうin TOKYO 1月11日(土) 東京で会いましょう!

2013年12月15日 | Weblog

師走の慌ただしさで気づくともう15日ですね。来年のこともそろそろ。

1月11日(土)に関西看護出版主催の研修会を東京でおこないます。

タイトルは・・・

介護現場実践の認知症ケア学習会
介護現場で明日から役立つ認知症ケアの方法論を身につけよう

です。メデシン仙人、初めての東京でドキドキしているようです。「今、ネクタイを選んでくる」と出ていきました。

現在、50名ほど申し込んでいただいているようです。ぜひにぎやかに笑って勉強しましょう。関東方面の方、東京でお会いしましょうー!

詳しくは以下関西看護出版のホームページをご覧下さい。

http://www.kansaikango.co.jp/seminar/seminar2014/140111_matsumoto.html

 


事例検討会にメデシン仙人がキター!

2013年12月13日 | Weblog

今日は伊根町の特養「長寿苑」で事例検討会でした。

今回のテーマは「環境設定」について。

丹後中央病院の坂根先生の講演のあと、事例検討会の進行をさせていただきました。

今回はちょっと実験的にメデシン仙人に登場してもらって、在宅で困っているケースを「目と手と心」をつかって、そう自分たちの専門性である「メデシン」を結集させて考えていただきました。

みなさん活発に検討アイデアを出し合って、6グループ6様のメデシン仙人が現れて、とても楽しかったです。

参加いただいたみなさん、スタッフのみなさんお疲れ様でした。

これからも力を合わせていきましょー!


雑誌ブリコラージュ12月号に書いた原稿 

2013年12月08日 | Weblog

今月号のテーマはなんと脱・原発です。国家よりいのち、原発より介護という表紙。

私の原稿も偶然ですが、なんとなくそんなテーマになってます。原発は国民の安全より効率を優先した結果。介護施設で効率を優先すると、お年寄りの元気が犠牲になります。そんな運命の分かれ道があると思います。どうか最後の仙人のダジャレまでお付き合いください。

 

Mission9 上カ下カ、運命ノ分カレ道   

赤い彗星、再び

業務が一段落したときに仙人が現れました。

「おい、移乗がまだまだじゃ。『せーのっ、ヨイショ!』って人を荷物みたいに移してしまっておる。少しでも力を引き出そうという気持ちで介助をしてほしいの~」

僕は尋ねました。「移乗の時、力を引き出すには、どうすればいいんですか?」

「移乗動作で、ヒトはどんな鼻の動きをするかの~」

「あっ、例の赤い彗星を追っかけるんですね」(連載第6回 『赤イ彗星ヲ追エ』参照)

「そうじゃ!先日は立ち上がり動作を勉強したな。あの要領で、車いすからベッドに移るヒトの動きをまず観察してみよ!」

そういうと仙人の鼻がプーッと膨れて赤くなり、ピエロの鼻のようになりました。そして車いすからベッドに移乗する動作をゆっくりみせてくれました。

「ボ~ッとみていたらいかんぞ!ワシの鼻の動きを図に書いてみるのじゃ」

 

図:立ち上がって隣の椅子に移る「ワシの鼻の動きを見よ!」

 

僕は慌てて線を引いてみました。「こんなんでどうでしょう」いったん下がって、また上がる、そんな線が引けました。

 

 

 

 

「では、ヨイショの介助はどうじゃ?」仙人はお年寄りが体を抱えられて、車いすにドシンと座らされるときの動きを再現してくれました(図)。

 

図2:持ち上げられて移乗するヒトの鼻の動きを分析すると・・・

「えっと、こんな感じかな」いったん鼻は座っていた位置から急上昇し、そこから急降下するようなヤマ型の線が描けました。

「ご名答、『せーのヨイショ』って介助すると、急上昇し、急降下の軌跡を描く。要するにヒトの生理的な動きとまったく逆になってしまうんじゃな」

 

上か下か?運命の分かれ道

「本人さんに『こう動いてみませんか』というメッセージを伝えながら、介助するのも大切な心構えじゃ。だからお年寄りの動きを大切したいなら、本人さんの頭が最初は下がるはずじゃ。目的地は一緒なんじゃが、そこにたどり着くまでの道のりがまったく違う。これをワシは介護現場の「運命の別れ道」と呼んでおる」

 

そういってメモを渡してきました。そこには、鼻の軌跡が2通り描かれていました。

 

図)「運命の分かれ道」持ち上げ介助は、生理的な動作と全く正反対

 

 

 

「イジョー」じゃなくて「イ・ジ・ョ・ウ」

「あと、移乗を急いでする奴がおるのぉ。お年寄りを抱きかかえて『セーノッ、イジョー!』っていうカンジで。そんなに急(せ)くことはない。移乗動作は一気呵成にするものではなく、4つの動作の複合なのじゃ。

 

「えっ4つの動作ですか?」僕は驚きました。

「そうじゃ、移乗のなかに、①立ち上がり ②立位保持 ③方向転換 ④着座動作 この4つが含まれているんじゃ!」

 

「えー立ち上がり、方向転換・・・それから・・・覚えられません。4つも」

「記憶力がないやっちゃのぉ。よし、いいことを教えてやろう。イジョウをイ・ジ・ヨ・ウで覚えるのじゃ!」

そういってまた紙を手渡してきました。そこには移乗をイ・ジ・ヨ・ウと4つに分け、解説がついていました。

(図)仙人のメモ イ・ジ・ヨ・ウ

 

「へぇ~」とメモをみている僕の腕をつかんで仙人は言いました。「おい、あのぽっちゃりしたおばちゃんをみよ!」みると職員の山田さんでした。山田さんがちょうど移乗の介助をしていました。小柄なお年寄りを持ち上げて「せーのヨイショ!」と車いすに移していました。「まるで相撲取りじゃな。介護力士士といわれてもしょうがない」そういうと仙人が大きな声でどなりました。「かたや!白鵬のかち~!」

ぽっちゃり山田さんが、不審げにこっちを振り返りました。「アンタ、今なんか言った?」「わー声がでかい!僕が言ったと思われたじゃないですか!」

 

あせっている僕に仙人が顔を近づけてきました。目は真剣です。こんな時は絶対ダジャレです。

「オイ、あんな異常移乗は、これ以上しないでくれ!よいか!話が相撲だけに若っ貴(わかったか)!

仙人、だいぶ相撲好きのようです。




月刊デイ 1月号に原稿書きました

2013年12月04日 | Weblog

 

月刊デイ 1月号 「個別機能訓練加算IIの目標と具体的な訓練内容」のお題で原稿書きました。もし月刊デイを職場でとっている方はぜひ読んでみてください!以下にダイジェスト版を掲載します。

道場でリハビリに頑張っておられる3人の男性を挙げさせていただきました。

 

当デイサービスでの個別機能訓練Ⅱ実施内容

A氏 74歳 男性 事故による左手前腕の筋断裂

ケース紹介)チェーンソーで左腕を負傷し、左腕の機能の著しい低下がみられた。病院での手術、リハビリを施行。当デイサービスでリハビリを開始することとなった。握力、可動域の低下が著明であった。A氏はシルバー人材センターに登録「また仕事に戻りたい」という本人の強い希望があった。

最終目標職業復帰(草刈りなどの仕事にて定期的に収入を得る)

 

(1か月目の目標) 

握りこぶし不可(掌と指の距離 約3㎝)

握力 8.8㎏

 

プログラムの具体的な内容

 

♯1 前腕・手指のストレッチ 

♯2 マシントレーニング(患部外の筋力向上を目的に)

♯3 ホームプログラムの指導 自主ストレッチ 

 

本プログラムを設定した理由

手術直後の場合、患部にだけ着目するのではなく、入院にて、低下した全身の筋力、耐久性の低下についてのリハビリメニューを組むことも重要と考え、♯2マシントレーニングを中心に実施した。これにより基本的な体力の回復、身体機能の回復を目標とした。

2か月目の目標 左前腕(手指・手関節)の機能向上 

 目標達成のプログラム

♯1 前腕・手指のストレッチ(プーリー使用) 

♯2 把握動作の練習 (ボールを使用)

♯3 チューブトレーニング 

 

 

プログラムの具体的な内容

・チューブトレーニング

弾力性のあるチューブを使用し、肩関節周囲の筋力向上を目指す。この運動により左手の把握動作も入り、無理のない範囲での患部への運動を取り入れていく。

実際の効果

握力計にて計測し、手術直後の8㎏から15㎏程度に回復した。肩の可動域や肘関節の可動域などもほぼ正常の状態になり、上肢を使った日常の生活動作が事故前と変わらずにおこなえてきた様子である。

 

3か月目の目標 職業復帰にむけた生活動作の獲得

目標達成のプログラム

♯1 前腕・手指のストレッチ 患部の正常可動域を目指したアプローチ  

♯2 チューブトレーニング 

♯3 応用歩行訓練

 

 

プログラムの具体的な内容

痛みが軽減してきたため♯1患部へのストレッチを開始し、正常な可動域を目指し、ストレッチをする(写真)。♯3応用歩行訓練は目標である職業復帰を目指し、いろんな路面状況でも歩行が安定して行えるよう実施した。当デイサービスでは買い物リハビリ(写真)を実施しており、屋外に出て歩行する機会を職員同伴のもと行なった。 

本プログラムを設定した理由

A氏はシルバー人材センターに登録され、肉体労働をしているため、職業復帰には手先の器用さは勿論のこと、体力、歩行能力、バランス能力など多くの能力を再獲得する必要があった。よって上肢機能の向上目的のリハビリに加え、応用歩行の練習が可能なショッピングセンターでの買い物リハビリも実施した。

 

実際の効果

手指の可動域も改善し、握りこぶし動作がほぼ可能となる(写真)。筋力が22キロ程度となり、日常の生活動作はほぼ以前と同じように行えるようになっている。買い物など応用生活動作の実践的な練習により、職業復帰にむけて自信を持っていただいた 

まとめ(経過と現状)

入院によって低下した筋力や耐久性を向上するリハビリから開始した(患部外の運動)。それによりふらつきの強かった歩行が安定した。経過を見ながら患部への無理のないリハビリも行い、機能が徐々に回復した。屋外歩行なども実施し、職業復帰への自信を持っていただくプログラムを心掛けた。まだ職業復帰は果たせていないが、目標に向けて意欲的に取り組まれている。

 

 

 

 

■最終目標達成までの段階的な目標とプログラム

B氏 50歳 男性 脳出血発症後、右半身マヒ 失語症

(目標)喫茶店就労の実現  

ケース紹介)今回、社会福祉法人の運営する喫茶店への就労を強く希望されたため、就労に向けてのリハビリアプローチを行なった。本人の頑張り、家族、就労先の協力により就労が実現した。就労後も当デイサービスを週一回利用をされており、身体面、精神面のフォローを継続している。疲労や装具の問題などにも対応しながら、就労の継続を支えることができている。

 

1か月目の目標 就労に必要な基礎体力の向上  

 

プログラムの具体的な内容

♯1 上下肢のストレッチ 

♯2 マシントレーニング 

♯3 屋外歩行訓練(買い物リハビリ)

♯4 言語リハビリ(ST)

 

 

本プログラムを設定した理由

喫茶店の管理者との会合で就労の内容を確認し、パソコン作業や価格シールの貼付など高度なスキルが必要であることがわかった。しかし、まずは一日の立ち仕事に耐えうる体力と杖なしで短距離歩行ができる安定性が必要と考えられた。よって♯2マシントレーニング・♯3屋外歩行訓練を実施。筋力増強や屋外歩行などで基礎体力の向上を中心としたメニューを設定した。仕事ではあらゆる場面でコミュニケーションが必要であり、失語のあるB氏には大きなハンデになると考えられた。接客や同僚との意思疎通を念頭に、♯4 言語リハビリを実施した。言語聴覚士を中心に、新聞記事の朗読や漢字の書き取りなどを行なった。

 

プログラム実施時の様子

筋力トレーニングと屋外歩行練習のセットで歩行の安定性の向上につながった。杖なしでの歩行も短距離は可能となってきた。とくに屋外での歩行、買い物での経済活動の実施など就労に役立つメニューを取り入れたことで、本人が積極的に取り組むことができた。また言語の訓練を通して、これまで以上に積極的に発話が増えた。

 

 

2か月目の目標 就労に必要なIADL動作の獲得

プログラムの具体的な内容

♯1 複雑な生活動作の練習 

♯2 マシントレーニング 

♯3 屋外歩行訓練(買い物リハビリ)

♯4 言語リハビリ(ST)

本プログラムを設定した理由

就労内容にはテーブルを拭く、あるいはトレイで食べ物を運ぶなど、複雑な生活動作が多く含まれていた。当デイサービス利用中にIADL動作を積極的に取り入れて過ごしていただいた。

 

プログラム実施時の様子

就労に必要なこととして本人も認識されており、バイキング形式での食事の盛り付けなど積極的に取り組まれた。

 

当施設バイキングの風景:食事の盛り付け動作、トレイの運搬などIADL動作の練習ができる

3か月目の目標 就労開始 就労の安定的継続

プログラムの具体的な内容

 

♯1 マシントレーニング 

♯2 屋外歩行訓練(買い物リハビリ) 

♯3 言語リハビリ(ST)

♯4 プールでの水中歩行

 

 

本プログラムを設定した理由

当デイサービスは今年3月に移転し、プールが設置された。本人の希望により、プールでの水中歩行リハビリを開始した。プールリハビリの実施は就労が開始されたのと同時期のほどよいタイミングであった。プールは水深1mで、浮力にて体重は1/3程度となり、身体の大きな動きを引き出すことが可能となる。本人のモチベーションの維持、就労による疲れをリフレッシュする目的でもプールの使用は効果的であったと思われる。

 

プログラム実施時の様子

浮力により下肢への負担を軽くして運動が可能であり、20分程度運動しても疲労の訴えなく実施できた。また、プールでのリハビリはなによりも楽しく行うことができ、本人の気分転換となっているようである。プール一周(約15m)を約1分程度であったが、回数を重ねるごとに歩行スピードも速くなってきている(現在1周35秒)。

■現在の状況

本人の念願であった就労が実現した(写真)。体力的な問題は見られないが、長時間の立ち仕事により、今まで見られなかった装具による圧迫痛など訴えがあり、装具の調整を随時行っている。

また喫茶店管理者とも細やかに連絡を取り、労働内容の調整など話し合いを行っている。就労の希望がかない、やりがいをもって働くBさんの笑顔には多くの利用者、職員が勇気づけられている(ちなみに就労場所は当デイサービスの隣の喫茶店である)。収入を得ること、役割のある生活を送ることで、いかに人が活気づくか、身に染みて教えられている。今後の就労による精神的な疲労なども考えられ、当デイサービスがリラックスできる場所として存在できるようにと願っている。

 

長時間の立ち仕事のため、装具の摩擦による痛みの訴えがあった。摩擦部分を拡げるなど随時調整を行っている。

 

 

・・・こんな感じです。雑誌内では写真もたくさん掲載させていただいていますので、ぜひ読んでみてやってください!


道場で研修、ありがとうございました!

2013年12月02日 | Weblog

日曜日はデイサービス「生活リハビリ道場」が会場で事例検討会がありました。参加のみなさんお疲れ様でした。4施設の皆さんのすごい発表に感動しました。日々の積み重ね、すごかったですね。グループワークも盛り上がっていました。今回の事例では給料の出るデイとか色んなところでマジックや作品を発表するデイなど取り組みをみせてもらいました。道場でもまだまだできることがいっぱいあるな~とエネルギーをもらいました。発表者の方々、リハビリ支援センターの皆さんお疲れ様でした。またこれを機会にいい地域づくりをしていきましょう❗️


クリスマスはミュージカル!

2013年11月29日 | Weblog

 京丹後市民によるミュージカル「サイラス・マーナー」のお知らせです。 

実は、わがリハビリ道場関係者が二人、出演や振付をしています。私も家族で観に行く予定です。

12月21(土)・22(日)

会場:京都府丹後文化会館(京都府京丹後市 )

入場料:大人2,500円 高校生以下1,500円

イギリスの作家ジョージエリオット原作の小説をミュージカル化。

連絡先:
京丹後市役所企画総務部企画政策課内 京丹後文化のまちづくり実行委員会
URL:
https://www.facebook.com/musical.kyotango

 

興味のある方はぜひ。


生活リハビリの達人になろうin福知山 みわの里のみなさんお疲れ様でした 

2013年11月29日 | Weblog

福知山みわの里さんで研修会「生活リハビリの達人になろう」を開催しました。参加のみなさんお疲れ様でした。通算3回目ということで、何度も呼んでいただき光栄です。大治さん、伊藤さんはじめご準備いただいた職員のみなさんありがとうございました。熱心にきいていただき、言いたいことがあふれて、1時間半では足りなかったです。研修が終わって、職員さんと話しながら実技的な内容はまた独立させてやりましょう、という話になりました。また、お会いしましょう!

 

追記

今度の日曜日12月1日は事例検討会in生活リハビリ道場です。申込み締め切りは過ぎてますが、熱い発表が目白押しです。もし参加されたい方はまだ間にあいます。ご連絡の上、ぜひお越しください。以下、ホームページを紹介します。

 

http://www.tangohp.com/tango-area-reha/tangoshien-kensyu-jireiosirase2013-12.html

 


認知症ケアに切り込む本書いてます!(悪戦苦闘中) 

2013年11月16日 | Weblog

認知症のケアはこれからが本番。いいスタートが切れたら、日本の超高齢社会は案外楽しく乗り切れるんじゃないかな、と思って執筆し、今、細かい直しをしています。関西看護出版から近日発売予定『認知症、その関わり方、間違いです!』っていう仮タイトルです。2025年に団塊世代(800万人生まれたそうです)が全員75歳以上の後期高齢者になります。その時、あわてて、てんやわんやするのではなく、今からこんなことに取り組んでおこうよ!そんなことをまとめてみました。コミュニケーションが大事、メッセージを伝える介護が大事、居場所と役割づくりが大事、と絞って書いてます。

本編と楽しいコラムを挟む構成にしています。一押しのコラムはこんな感じです。認知症ケアをこんな視点から考える人があんまりいないんじゃないかな?と思います。

(コラム)なぜ薬物療法ではなくコミュニケーションが大事か?

人間の脳は化学反応で活動しています。化学物質が外界の状況に反応して、分泌され、そこに感情が生まれるのです。薬にせよ、コミュニケーションにせよ、脳の化学物質の分泌状況を変えて、感情や行動が少なからず、その影響を受けるという関係は同じなのです。人間関係のなかでもっとも感情の起伏を経験するものの一つが恋愛ですね。恋が成就して天まで昇る気持ちになることがあります。失恋して、悲しくて落ち込み消えてなくなりたいと思うこともあります。ひどい場合、自殺したり、その逆に相手を追ってストーカーとなり、殺人事件が起きることもあります。そう、恋愛でも人が死ぬのです。だからコミュニケーションはヒトを元気にもし、ダメにもしてしまう、もっとも身近なツールなわけです。

認知症や精神病でも薬で脳の働きを変えるのが治療としてなされていますが、その薬がその人を元気にするか、副作用が強くてダメにするか、というリスクがあるのはご承知の通りです。違法とされる薬物の使用で、ある人は多幸感に包まれ、天に昇る快感を味わいます。またある人は錯乱して人を殺してしまいます。とても恋愛に似ています。認知症のケアにも薬の効く側面、コミュニケーションの有効な側面があるはずです。あなたの身近にあるのは薬でしょうか?コミュニケーションでしょうか?そう、あなたの周囲はコミュニケーションで埋め尽くされているはずです。まず私たちは薬に頼らず、コミュニケーションを効果的に使ってみるべきだと考えます。

こんな感じでコミュニケーションでできることがどれだけ挙げられる、それに挑戦してみました。コミュニケーションっていうと「声かけ」みたいな表層のテクニックに思われるかもしれません。たしかに現場でもそういう捉えられ方が多いです。その風潮を変えていきたいのです。コミュニケーションっていうのはその人の過去やこれからに興味を持って関わることだし、世界観を共有することでもあります。また介助法もコミュニケーションです。「せーのっヨイショ!」なんて持ち上げる介護をしているとコミュニケーションは死にますが、「こんなふうに動いてみませんか?」と介護すれば、その触れ合いに、たちまち生の臨場感が生まれます。さて、一年後にどんな差が現れるか?そんなことを書いています。興味のある方は出たらぜひ、お手に取ってください(たぶん12月に出ます)。よろしくお願いいたします!

 


小林先生来たる!

2013年11月10日 | Weblog

今日は島根の小林先生をお招きし、一日勉強会でした。

丹後地域リハビリテーション支援センター主催

「生活期を支える地域ケアとリハビリテーション

 ~事例検討で考える、介護・看護・リハ 多職種連携~」

 講師:小林 修 先生

 小林先生の豊富な経験には、たくさんの地域連携のヒントがあったと思います。

事例検討も3例ありました。若くして脳血管障害を発症した方のケースでは、家での移動法、装具へのトライからはじまりました。そして生活空間を拡大し、最終的には子供さんの結婚式に行くことができた、そんなエピソードを紹介いただきました。過程の中で機能訓練の方法、関わりに多くの工夫があって、やはり目の前の人に興味を持ち、一生懸命に関わることからスタートするのだ、ということを教えていただいたような気がします。あまりに僕たちは限界を勝手に決めがちじゃないでしょうか?

事例に対して深く考え、かかわりの中から生まれる物語を大切にする、そんな作業をしながら、知らず知らずとこれからの日本の未来、これからの制度について考えている自分がいました。

現場のみんなが考え、人を元気にして、発信していく、そうすれば制度が変わる、日本が変わる、と思いました。

明日からの丹後の連携に素晴らしい種をまいていただきました。

小林先生遠いところありがとうございました!またお会いしましょう! 


ブリコラージュ11月号『生活リハビリの達人』への道 座・介護~座るは介護のイロハノ「イ」~

2013年11月06日 | Weblog

 

高橋源一郎さんが表紙 インパクトがあります。高橋さんの認知症者へのまなざし、とてもよかったです。認知症者は弱い。その弱い人が人を勇気づけたり、元気にすることができる、それだけ認知症者は強いということ。スゴイということ。宅老所やホスピスをたずね、そんな感想を持たれたそうです。ぜひ、お手に取って読んでみてください。

介護雑誌ブリコラージュ11月号に連載中の「達人への道」は今回で第8話

以下に全文掲載です。

生活リハビリの達人になろう 

Mission8  座・介護~座るは介護のイロハのイ~

朝の少し空いた時間に仙人を呼び出し、レクチャーをお願いしました。

「仙人、前回約束したように、今日はひとつ介護現場の『座る』を極めたいと思っています。教えてもらえますか?」

「よし、まずは手で感じてみようか。座ったままお尻の下に手を入れてみよ。ゴリゴリと骨の出っ張りを感じることができるじゃろう。そこが坐骨結節、骨盤の一番下の部分じゃ。体重を受けて、上半身を支えてくれておる。そこに体重が乗れば、活動的な座位姿勢といえる。食事したり、字を書いたりする作業が一番しやすい姿勢じゃ。」

「なるほど、このゴリゴリが座位を支える要(かなめ)なんですね」

「そうじゃ、そして手を尻の下に敷いたまま、ズベーッと前の方にすべってみるのじゃ。そうすると、坐骨結節は消えてなくなるであろう」

「はい、坐骨結節は前に移動してしまって、お役御免というかんじ。もっとお尻の後ろの方に体重がかかっているのを感じます」

「そう、お尻の後ろのほう、それが仙骨じゃ。」

「仙骨といえば褥瘡のよくできる場所じゃないですか!」

「そのとおり!この姿勢が長いのは要注意じゃ!筋肉はなく、薄い皮膚の下に骨の出っ張りがある、ここは構造上、体重を受けるようにはできておらん」

「なるほど、坐骨結節が体重を受ける座り方を大切にするんですね」

「そう、この部屋のお年寄りのなかで活発な人を観察してみるのじゃ。背中は背もたれにひっついておるか?離れておるか?」

僕は周りをみて驚きました。「わー、活発なひとは背もたれから体が離れてますね」

「な、あの座り方を『背面開放端坐位』という。背中が背もたれから離れた座位、という意味じゃ」

 

「でも、ずっとだと疲れてしまいそうですね」

「リラックスするときはもちろんもたれかかって、休めばよい。お前だってそうじゃろ。『アー疲れた、ダルイー』なんて、もたれかかってよく座っとるな。でも先週のデートのときは別人のような姿勢じゃった。ミキちゃんの前では、ずっと前かがみに座っておったではないか!」

「あの、あまりプライベートをのぞかないでくれませんか」

「安心せい、喫茶店のあとに行った連れ込み宿はのぞいておらん」

「あのですね!そんないかがわしいとこには行ってません!」

「ま、とにかく活発な活動、熱心な語らい。そんな時、自然とこの背面開放端坐位になっておることはお前のデートで証明済みじゃ!」

 

座るとよいことが10こもある!

仙人はメモを渡してくれました。

1.食べやすい

2.床ずれが治る

3.排便しやすい

4.筋肉が強くなる

5.バランスがよくなる

6.表情がよくなる

7.血圧調節がよくなる

8.肺活量が増える

9.手足の拘縮を予防する

 座位の効能 「新しい介護」(講談社)より

 

「9個も!いいことづくめじゃないですか!」

「わしの研究では、いいことがあと一個あるな」

「なんですか?」

「重力はタダ!なんでも高いキョウビ、何ぼ使ってもタダという資源は貴重じゃ。お前も遠慮なく使っていいぞ。自由な使用を許す!」

なにも仙人に許可されることはないと思いましたが、たしかにガソリンや電気とちがって重力は、無料の天然資源、座ることで自然に重力の負荷に抵抗していることになり筋肉も活動している。これはお得かも、と思いました。

 

マツモト理学療法士あらわる

「はい、すこし前かがみになれるように背中を押すよ~」と理学療法士のマツモトさんが我々の前でお年寄りさんの座る姿勢をなおしていきました。

 

「なるほど~、だから、あーやって理学療法士のマツモトさんも背中を押して、姿勢を大切にしているんですね」

「ふむ、だが、あのマツモトのやり方は芸がないのぉ。背中を押すことでしかあの姿勢はつくれんか?」

「・・・といいますと」

「お前は勘の悪い奴じゃの。前かがみの姿勢をつくるのに手で背中を押すのは短絡だといっておるのじゃ。そんなことせんでも、生活に寄り添っていたら、そのお年寄りがどんなときに前かがみの座位になるかわかるはずじゃ。たとえば、○○さんは、編み物してるときグッと前かがみのいい姿勢になるとか、このテレビは身を乗り出して真剣に観るな~とか、おかずに天ぷらが出たら前のめりとか、お気に入りの職員がきたらぐっと顔が上がっていい姿勢で話される、孫さんが来たとき、エッチな週刊誌を読むときetc……。その人の生活のなかで前かがみを引き出せるポイント、生活リハビリの達人ならたくさん知っておくべきじゃ」

 「そうか単に背中を押すのではなく、その人の好きな活動を用意して、前かがみの背面開放端坐位を作るのが、我々の腕の見せ所なんですね」

 「そのとおり!何かに熱中して、前かがみの座位になっているときこそ、人はイキイキとしているのじゃ。『重力』の重みもはねっかえしているはずじゃ」

そして、自信満々の表情で仙人が顔を近づけてきました。「ところでお前、この方法じいさんとばあさん、どっちに効くとおもう?」

「えっ、どっちにだって効くんじゃないですか?性別とか関係ないような気がするけど」

仙人は人差し指を立てて、にやりと笑い言いました。

「チッチッチ、重力だけにG(ジイ)に効く」

真剣に考えた僕がバカでした・・・。

 


週末は小林修先生の地域リハビリテーション講座

2013年11月06日 | Weblog

11月10日(日)島根から地域リハに取り組んでおられる理学療法士、小林修先生が来丹です。

いまからとても楽しみにしています。

小林修先生の紹介(写真左 隠岐に向かうフェリー上で)

 

 

 

 

  社会福祉法人 よこた福祉会

  デイサービスにこにこ 係長 理学療法士

島根県で大活躍されている理学療法士です。
病院勤務、施設での長年の経験から語られる地域リハビリ論は即効性があり、実践的。多職種で利用者を元気にする、リハビリ、看護、介護のそれぞれの専門性、大切な連携、今誰もが知りたい、聞きたい内容です。島根県内はもちろん、最近では広島、新潟に・・・と全国を飛びまわっておられます。著書に「地域理学療法にこだわる」という共著があり、そこで読ませて頂いた患者さんへの関わり、まなざしに熱いものがこみ上げてきました。
過疎、高齢、半農半漁、雪国と島根県は丹後と共通点も多いため、参考になる情報が盛り沢山!セラピストはモチロン、職種の域を越えて明日の地域づくりにつながる研修になると思います。

 

講演とグループワーク

「生活期を支える地域ケアとリハビリテーション

 ~事例検討で考える、介護・看護・リハ 多職種連携~」

 

①高齢・過疎地域での地域リハビリテーションの取り組みを知る

②地域リハビリテーションにおける多職種連携について考える

 講師:小林 修 氏

 

申し込み・お問い合わせ 

主催:丹後地域リハビリテーション支援センター

(公益財団法人 丹後中央病院 リハビリテーション科内 電話0772-62-831)

 

対象者:

 ・地域リハビリテーション関係者

  ・医療機関(リハビリテーション科、地域医療連携室職員等)

  ・障害者生活支援センター及び支援事業所職員

  (相談員、介護職、看護師等)

  ・市町村職員(障害者福祉担当、地域包括支援センター等) 等

 

 

 

 

 

 

 


「新しい介護」(講談社)の改訂版に出ます!

2013年11月03日 | Weblog

介護の世界で一番売れている本「新しい介護」(講談社)が2月に改訂されるんです。今回の改訂で僕の「ネタ」が出ることになりました。編集部からゲラが送られてきたので校正しています。「メデシン仙人」っぽいイラストで「目と手と心」を大切にしよう、とか「ジュウゼロ介護」、「リハビリスンドラン症候群」、「リトルナース」が載ります。2月楽しみに待ちたいと思います。

改訂作業中の原稿です。

「メデシン仙人」

 

原型はこの3つの輪 伊藤隆夫先生の論文からポンッと飛び出てきたのが「目と手と心を大切にせよ」のメデシン仙人でした(↓)。

 

 

「リハビリスンドラン症候群」

そして僕が病院から出て、地域で働き始めた時に感じた違和感。「ワシはリハビリがすんどらん!」と言って楽しみを棚上げにして訓練漬けの人生を歩まれる人の多いこと。もちろんリハビリで取り戻せる身体機能は取り戻すべきです。でも、周りの専門職や家族がその人をリハビリ漬けにしているのなら、反省しなければなりません。そんなことを自戒を込めて「リハビリスンドラン症候群」と名付けました(↓)。

 

 

「ジュウゼロ介護」

「せーの、ヨイショ!」と介助してしまうことを「ジュウゼロ介護」と名付けました。介護者の力が10、お年寄りの力がゼロ。できることを見極めて、ジュウゼロからシチサン、ゴブゴブ、シブロク、なんてお年寄りさんの出す力が自然に増えてきたら素晴らしい介護です。

 

 

「リトルナース」

血糖が高いからおやつはなし!血圧が高いからお出かけはなし!なんてその人を見ようとせず、バイタルの数値だけ見てる介護職がおおいなーとも思っています。そんなのはリトルナース(ちっちゃな看護婦さん)と呼びたい。「血圧高いけど、お出かけを楽しみにしすぎて上がってんとちゃう?」なんてその人の気持ちに寄り添うことで、未来が変わります。少し気を紛らわせて、もう一回計ったら大丈夫!お出かけ行こう!ケアの仕事は深みがあります。リトルナースになってはいけない。

 

 

 


介護のお悩み劇で解決します!リハビリオールスターズ おもろしかった!  

2013年10月29日 | Weblog

介護の悩みを劇で解説する研修会を開催しました。とても楽しかったです(写真は京都新聞)。

参加いただいたみなさんいかがだったでしょうか?

すこしでも日々の仕事のお役に立てたら幸いです。

4話分の脚本は僕が書きました。それを丹後リハビリオールスターズの面々が個性豊かにアドリブを入れ、支援センターのみなさんが小道具や音響を準備し、素晴らしい劇にしてくれました。

1~4話の脚本を以下にアップします。もしお読みの方で劇がしたいという方は使っていただいてけっこうです。

第1話 起き上がりの介助

 

夫婦の介護(起き上がり) 力を無視した全介助 

登場人物  夫:右手にマヒがある

      妻:力任せの介護をしており、腰を痛めている

 アドバイザー:蝶ネクタイの変な姿で現れて、アドバイスをしてくる 

 

妻「あなたご飯が出来たので起きるわよ せーのっ」(手を引っ張って起き上がらせる) 

夫(痛がって)「お前、もうちょっとやさしくできんのか?ガサイのう」

妻「もう介護するのが重くて重くて。こっちだって大変なんだから。あなた最近太ったんじゃないの?」

夫「いや、お前ほどではない」

効果音:チャラリーン

妻 「あなたもう一回言ってごらんなさい!」ハリセンで頭を叩く

夫 「ひえ~助けて~」

介護アドバイザー (変な格好で現れる)「ご夫婦でケンカしないようにお願いします

 奥さん、ここではご主人の力を大切に介助する方法をお教えしましょう

 そうすれば奥様も楽。ご主人も力がよみがえってきて、リハビリにもなるのです。手を出してタッチ交代!」

アドバイザーと妻がタッチをして、介護者が交代する。アドバイザーの介助でご主人がみるみると起き上がれるようになった。    

夫の動作の手順は以下

①手すりの下の部分を逆手でつかむ

②肘を伸ばす

③足をベッド端に出す

④ベッド柵をつかみ肘を曲げることで身体が起き上がってくる

⑤端座位になる   

 

妻「まぁ、あなたにそんな力があったのね。私のときにも出し惜しみせずに力を出すのよ」 

   奥さんがアドバイザーの方法を最初から習って、少し支えると夫は起き上がり、ベッドに端坐位になることができた

   「まぁ、とっても楽になったわ」

アドバイザー「これで夫婦がラブラブになります!」

夫婦 ベッドに腰かけてつつきあう。

「アナタすごいわ」

「お前のおかげだよ」

「あなたの努力の成果よ」

「それほどでも」

おたがい叩き合いながら、だんだんエスカレートして最後は妻のどつきで旦那がベッドに倒れこむ。

めでたしめでたし チャンチャン

 

 

第2話 移乗の介助法アドバイス

 

夫婦の介護(移乗) 力を無視した全介助 

登場人物 夫:右手にマヒがある

     妻:力任せの介護をしており、腰を痛めている

     アドバイザー 

妻「車いすに乗せるのが大変なのよねー」

(手につばを吹きかけて臨戦態勢に入る)

【効果音】相撲の音 トトントントン ひがーし嫁の山 にーしー亭主の里

はっけよーい のこったのこった (妻が夫の腰に手をまわし、車いすに押し倒すように移乗する) 

夫(痛がって)「お前ガサイのう」

妻「もう介護するのが重くて重くて。あなた最近太ったんじゃないの?」

夫「いや、お前ほどではない」

効果音:チャラリーン

妻 「あなたもう一回言ってごらんなさい!」夫の頭を大根で叩く。大根真っ二つにわれる。

夫 ひえ~助けて~

 

介護アドバイザーが現れる

「ご夫婦でケンカをされないようにお願いします

 奥さん、ここでは本人さんの力を大切に介助することをお勧めします

人の動きを考えてみましょう

人の立ち上がり動作を実演し、鼻の動きに注意してもらう。

(お客さんを呼んでホワイトボードに書いてもらう)

これを奥さんのような相撲取りの介助をするとどうなるでしょう??

相撲取り介助の鼻の動きを分析(お客さんを呼んでホワイトボードに書いてもらう)

生理的な動作がでていないことがわかる

アドバイザー「これを介護の『運命の分かれ道』と呼んでいるのです」

 

ではご主人を鼻の動きを大切に介助してみましょう

そして人の立ち上がりを支える3条件があります

①ベッドの高さを合わせる

②前かがみ

③足をひく

 

【前方からの介助 イスなし、イスあり】

アドバイザーが前方からかつぐトランスで介助を行なう

鼻の動きを大切に介助しているのがいいんですね

介護現場などではイスを使った移乗もおススメです。

イスの介助を行う

 

【後方介助】

そして、本人さんの力がしっかりしているなら、こんなふうに後方から介助して移れる方もけっこう多いです。

ご主人も半身まひはありますが、左側の力は強いようです。後ろから支えて介助すれば移れると思います。

 

さぁ、奥さん旦那さまを介助してみてください。

2001年宇宙の旅 テーマ曲

少し支えると夫は起き上がり、ベッドに端坐位になることができた。ご主人の介助がうまくいく     

妻  「まぁ、とっても楽になったわ」 

アドバイザー「こんな風に相手の力を大切に介助するとお互いが協力しあえるのでラブラブになります」

妻(車いすをウィリーさせて後ろからほほを寄せる)「あなた、しっかり力が出ていたわよ」

夫(少し怖がりながら)「おまえのおかげさ、ありがとう」

【効果音】ロマンチックなムード音楽 車椅子でぐるぐる回ってダンスしはじめる

アドバイザー「ほらね、このように仲良くなっちゃいました。皆さんもぜひ本人さんの力を引き出す介護を心掛けてください!」

 

第3話 お父さん、悪い方の手も使わないとだめよ! 

あらすじ

むりに箸で食べさせようとしてしまう妻 

マヒには6段階あること。ブルンストロームステージの紹介

ステージに合わせた自助具を使いおいしくご飯が食べられてめでたしめでたし

 

妻「ほら、お父さん、リハビリが大切よ。テレビでも極力自分でするのがリハビリになるって言ってたわよ」

 夫「もう、口うるさく言わなくったってわかってるよ」

 妻むりやり箸を握らせながら「悪い方でもこうやってお箸をつかって食べるのよ!」

 夫 (妻の手をにぎりながら)「うるさいな、やめてくれ!」

 妻「ほら、私の手をこんなふうに握って、やっぱり手が動くんじゃない。お箸を使って食べれるはずよ」

夫「ひぇ~」

ストップ このリハビリはどこがおかしいと思いますか?

班で話し合ってみてください~

 シンキングタイム!!!  

 

お客さんにインタビューする

回答例「夫ができることをさせてあげた方がいいと思います・・・」

 

アドバイザー「では説明しましょう」

リハビリでは麻痺した手は6段階で評価します。その手がしっかり箸の操作を行える分離運動が可能かどうかを評価して、大丈夫なら悪い方の手を使っていきましょう。そして自助具を使うこと、たくさん自助具もありますよ!!!

テーブルに並べられた自助具のセットが現れる

これらが必要なのです。わかりましたか?

じゃんけんでも簡易検査ができます。

ではお父さん、グーチョキパーはできますか?

うーんチョキができないね~

それならお父さんの手はステージ3です。箸のような複雑な動作をするには少し無理があります。にぎりやすい自助具スプーンがいいかもしれません。

「あ、これなら食べやすい」

 

自助具セットであったかいご飯を食べ始める

ふりかけもかけてあげるわ(大量にふりかけをかける)

夫(すこしこまりながら)「お、おいしいよ」

アドバイザー「ほらね、このように仲良くなっちゃいました。皆さんもぜひ本人さんの力を引き出す介護を心掛けてください!」

 

 

第4話 古武術介護の達人あらわる 

あらすじ

古武術の達人が現れ、妻は「教えて!」と憧れる。しかし、この介護どこかおかしい。

介助者の都合が優先され、本人の動きが全く無視されているのだ。本人の力を引き出す介護が一番、と参加者にわかってもらう。

 

燃えよドラゴンのテーマ アチョー!

起き上がり、床からの立ち上がり すべて古武術介護でおこなう

  

妻 (目を輝かせて)私にも教えて~!!

 

ストップ この介護どこかおかしい?

班で話し合ってみてください~

 シンキングタイム!!!   ミュージックスタート

 

  回答例 「楽そうでいいと思いました」

「あんなのができたらいいけど家族さんには無理かも」

      

アドバイザー「それでは説明しましょう・・・

この介護にはメッセージがゼロなんです!

本人さんの動きを見極めて、こう動いてほしい、とメッセージが伝わる介護をしてあげるのと、なにが違いますか?

 

古武術介護とメッセージ介護を実演し、夫に感想を聞く。

夫「なんか、勝手に起きれて、楽でいいです。でも自分の力がだせてないような・・・」

  

アドバイザー「こんな起き方をして、明日から本人さんが起き上がれるでしょうか?

ぜひ、本人さんの力を大切に介助していってくださいね。」

 

妻 「あーだまされるところだったは、あなたやっぱり帰ってちょうだい」

  (達人に回し蹴りをする)

達人「ひえ~」 武道の達人が飛ばされていく。

夫 「おい、お前」

アドバイザー「いいじゃないですか。ご主人、あなたのこと大切にしてくれてますよ」

夫・妻・アドバイザー・達人(顔にあざができている)並んでみんな揃って「みなさん明日からの介護に役立ててくださいね。

これでリハビリオールスターズの介護劇を終わります。ありがとうございました~」

 


大阪のみなさん、ありがとう!

2013年10月20日 | Weblog

大阪で 認知症ケアの講演をしました。

参加いただいたみなさんありがとうございました。

やはり大阪のみなさんはノリがいい。いかがだったでしょうか?

明日から使えることがみつかったらうれしいです。

次回は来年1月東京です。興味のある方はぜひ東京でお会いしましょう!

以下、ホームページをみてください。 

http://www.kansaikango.co.jp/seminar/seminar2014/140111_matsumoto.html