松本健史の「生活リハビリの達人」になろう!

超高齢社会の切り札「生活リハビリの達人」になる!講師・原稿依頼は matumomo@helen.ocn.ne.jp まで

すべる話   

2013年01月24日 | Weblog

アップ神鍋スキー場にて子供の通う小学校5・6年生のスキー教室の指導者をしてきました。

「スキーを一回もしたことがない」という5年生の班を担当しました。

カニ歩きやハの字(ボーゲン)といった一番スキーが嫌になりかける基礎練習を午前中おこない、

午後からはリフトに乗ってゲレンデをすべりました。

リハビリを専門にしている人間として、どんどん上達する子供たちをみることは、この上なく幸せでした。

スキーって「できない」から「できる」の瞬間がわりと早くつかめるので、多くの子供に達成感が生まれたようにみえました。

だからまた行きたくなる、そんなスポーツですね。

もちろんその先、さらにうまくなろうとすれば、大きな壁があるんですけど、大半の子供たちは初めてのスキーを「二度と来たくない」とは言わず

「次も来たい」と言ってくれました。

うちの子も帰ってから「連れてって」とうるさく、2月のどこかの日曜日で連れて行くことになりそうです。リフトを何度も止める妻も一緒に・・・


連載「生活リハビリの達人」への道 第一回 全文掲載

2013年01月16日 | Weblog

介護雑誌「ブリコラージュ」に連載開始しました。 「生活リハビリの達人」への道 と題しまして、できるだけわかりやすく、実践しやすい生活リハビリについて書いてみようと思います。以下に全文掲載いたします。

「生活リハビリの達人」への道 

Mission1「未来日記ヲ書キ換エヨ」

みなさん、こんにちは!丹後福祉応援団の松本健史です。僕は生活期のリハビリを仕事にしている理学療法士です。本連載では在宅や施設で、これは役に立った!この視点は大事やで!というポイントをどんどん書いてみたいと思います。題して「生活リハビリの達人」への道です。介護者が行える簡単で効果的なリハビリ、力を引き出す関わりやアッと驚くアイデアなどを紹介します。みなさんの中には「毎日の介護(業務)が精一杯でリハビリどころではありません!」という方もいるでしょう。しかし介護には『生活行為に勝る訓練なし』という格言があります。この連載を読んだ人のなかから、暮らしのなかで自然と力を引き出せる、そんな「生活リハビリの達人」がたくさん生まれることを願っています。もちろん僕も修行中、一緒に励もうと思っています。 

 

 

 

 

 

(図1)2025年の人口ピラミッド(国立社会保障・人口問題研究所ホームページより)

 

2025年の未来日記

皆さんは「2025年問題」を知っていますか?今の自分に12歳たしてみてください。その時、トンデモナイ未来が僕らを待っています。日本に深刻な介護問題が起きるのです。図1は2025年の日本の人口ピラミッドの予測です。ピラミッドは普通三角形ですが、日本の場合、一輪ざしの花瓶みたいです。若い世代が少ないので、底が細くてグラグラ、いつ倒れるかわかりません。年配の70歳台にひときわ目立つ人口の塊があるでしょう。昭和22年から24年生まれの「団塊の世代」です。この団塊の世代だけで800万人いるそうです。2025年にはこの800万人がすべて75歳以上の後期高齢者となり、介護の問題が噴出するといわれています。たしかに800万人が介護現場に一挙に押し寄せるなんて想像しただけで、空恐ろしいですね。いまなぜ僕が「生活リハビリの達人になろう!」と皆さんに呼びかけているのかお分かりになりましたか?このままでは日本の高齢者介護がニッチモサッチモいかなくなることがわかっているからなのです。怖いものみたさで、ちょっと12年後をのぞいてみましょう・・・。

 

未来日記 

2025年○月×日 

今日、僕が勤務する介護施設に老人とその息子が殴りこんできた。現金800万円持ってきて、「入所させろ」とすごむのだ。おいおい、入所は300人待ちだぞ。なんぼ金をつんだからってルールをわきまえてくれよ、と思っていたら、なんと入所が許可された。地獄の沙汰も金次第、介護もやはり「カネ」だ。今春から開始の「最先端自動ロボット介護」に申し込みが殺到している。格差社会は介護の世界も同じだ。それにしてもロボット介護は味気ない。昔はお年寄りとの触れ合いがあった。無表情のお年寄りが笑顔になって職員同士で喜んだこともあったっけ?あの時代が懐かしい。もう今、あんなことは皆無だ。ロボットが適切にお年寄りの栄養と清潔を管理する。ただしベッドに寝かせきりで・・・。

団塊の世代が生んだ息子・娘は「モンスターチルドレン」、通称「モンチ」と呼ばれている。金の亡者だ。ロボットはたまにとんでもないミスをする。このミスですぐに訴訟が起こされる。この前はモンチに怒鳴られた「うちのじいさんに笑顔が戻った?笑顔がなんだ、金になるのか」返す言葉がなかった。800万人の介護度が急上昇し、ロボットの生産が追い付かない。ロボット頼みの介護現場は、どんどん疲弊している。このままではパンクだ!あーぁ、こうなる前になんとかならなかったのだろうか・・・?

 

「誰か助けて~」「ハイ、生活リハビリの達人です!」

団塊の世代の介護にロボットなどのテクノロジーで寝かせきりの劣悪な介護がなされ、一気に重度化し、モンスターチルドレンは怒り、介護現場は職員の離職も止まらず悲鳴をあげる。今のままでは、きっとこんな暗い未来がやってくると僕は考えています。でもまだ間に合うはずです。かの大田仁史先生は、この団塊の世代の大きな波に日本全体が飲み込まれたら大変なので「この波を切り崩していこう」と言っています。団塊世代800万人が一気に要介護から寝たきりへと移行するのを指をくわえて見ているのではなく、本人さんの持つ力を守るケアを確立すべきです。さて、どんなケアが有効なのでしょう。やはりカギとなるのは、この連載タイトルでもある「生活リハビリの達人」のケアでしょう。この達人たちはお年寄りの残った力を大切にし、動きを引き出します。また動きだけでなく、「生きる力」も引き出します。そうすれば団塊世代の大波を分散し、「さざ波」にすることができるかもしれません。

 

生活リハビリの達人の三条件

そんな日本の救世主、生活リハビリの達人になるための三条件です。

1.お年寄りの残った力を見極める「目」を持っている

2.残った力を引き出す環境設定と介助の「腕」がある

3.お年寄りの「やってみよう」という気持ちを引出し、支える「心」がある

1~3をみて、「なんか難しそう・・・」なんて方もいるでしょう。でも、そんなことありません。生活の中で元気を引き出すカギは介護職や家族さんが握っているのです。なにも個人ですべての生活リハビリを担う必要はないのです。医療職から介護職、家族、ご近所まで含めたチームの総合力が「生活リハビリの達人」であればいいのです。こういったチームが増えれば、その地域(あるいは施設)のケアの質がグッと上がって、お年寄りのいたずらな重度化は防げると思います。もちろん重度になった方を見放すわけではありません。不幸にも重度になった方には手厚いケアがおこなわれるべきです。ただ、前述したように800万人の団塊世代が一気に重度化するような事態を招いてしまったら、一人ひとりに行き届いたケアは不可能となるでしょう。これから皆さんで暗い未来日記を書き換えていこうではありませんか!2025年までに生活リハビリの達人をたくさん増やすのです。えっ、「そのころは定年していて現役じゃない」ですって?いいじゃないですか、素敵な後輩を育てて介護してもらえば!さぁ、達人になるための旅の始まりです。乞うご期待!

 

 

 

 

未来のの日本が、団塊の世代の介護崩壊で、ピラミッドが崩れてしまわないように、ピラミッドを支える生活リハビリの達人を目指していきましょう!

 

参考文献 「介護期リハビリテーションのすすめ」 大田仁史(青海社)2010

 

 


「生活リハビリの達人」への道 出張講座のお知らせ

2013年01月14日 | Weblog

介護現場で高齢者のため、介護者のために本当に役立つものを目指して「生活リハビリ講座」をしています。

今年の手帳に書かれている予定では島根県、大阪、京都にて講座を開催する予定です。

現在決まっている予定です。

講座名 「生活リハビリの達人」への道 講師 松本健史(理学療法士)

2月16日(土) 大阪 13:30~16:00 松下介護学館 TEL06-6774-6013 近鉄上本町駅より歩3分 

2月23日(土) 介護職基礎講習10:00~16:00  京都府福知山三和町 東部保健福祉センター

3月9日(土) 老人保健施設大会(京都)

4月20日(土) 大阪(2月16日と同内容)

5月25日(土)・26(日)  島根県 隠岐の島にて 生活リハビリ講座 島根生活支援リハビリテーション・ケア研究会主催

 

もしお時間ある方はお越しくださいね。どこかでお出会いできることを楽しみにしています。

また施設等で講座をご希望の方、日程さえあえば、どこでも行かせてもらいますので、メールにてご連絡ください。

E-mail :  matumomo☆helen.ocn.ne.jp (☆を@に変えて送信して下さい)

 

 


尖足はもう一足もつくらない!

2013年01月10日 | Weblog

 生活リハビリの達人なら絶対につくってはいけないもの、それは関節が正常範囲動かなくなる「拘縮」です。ふつうに生活していた高齢者が短期間に拘縮をつくってしまう、そんなケースがたくさんあります。
 
 寝ている時間が長いとお年寄りの足はどうなるでしょう?そう、下向いて固くなるんです。写真は寝たきりの時間が長かった方の足に変形が発生したものです。もう足は上向きには動きません。この状態を尖足(センソク)と呼びます。尖足はあっという間にできてしまい、なかなか元に戻らない。生活動作のほとんどは足を地面にしっかり着けて行うものです。ひとたび尖足ができてしまうとありとあらゆる生活動作に悪影響がでます。でも裏を返せば、地面にしっかり足がつく「生活」をしていれば尖足は予防できるのです。 しっかり足を地面につける、あるいは車椅子のフットレストに載せておく配慮が必要です。

※拘縮豆知識

 関節を動かさない状態が4日以上続くと関節内部の組織の変性が起こり、柔軟性が低下する。さらに2~3週間ではっきりとわかる関節の可動域制限が発生する。

・・・けっこう早く発生しますね。だから関節を動かし、保護していくことはとても大切であり、効果的なリハビリテーションと言えます。午前と午後5回づつ動かすことで、拘縮が15~20度程度改善した、という報告があります。皆さんもチームで拘縮を予防していきましょう。

 

 


巳年だけに  細くなが~く、粘り強く、努力の年に 

2013年01月09日 | 生活リハビリ

生活リハビリ道場の玄関には道場のアーティスト、職員のIさん中心に利用者のみなさんとつくった迫力の巳(へび)が鎮座(幅1.2メートルあります)。僕は裏方で、年末に木を切ってこのへびの重量を支える土台を作成しました。今年はへびさんのように細く長く、粘り強く、人知れず、努力をするそんな一年になりますように、神社でお願いしました(他力本願かい!)。みなさんがんばりましょう!よい一年にしましょうね。


継続が苦手な僕が5年間続けました

2013年01月08日 | Weblog

 

 継続の苦手な僕がなんと5年日記(写真)を昨年末、無事書き終えました。読み返すとこれがめちゃくちゃおもしろい。5年前一緒に働いていた人のこと、感動したこと、腹の立ったこと、子供の言ったこと、どこかに出かけたこと、なんかがぎっしり書き込まれています。汚い字で書きなぐって、ときには1週間ぐらいまとめて書いてあったりするズボラな日記ですが、何年かまえの僕がすぐそこに居て、なんか悩んだりして、試行錯誤していることに思わず微笑んでしまうのです。「よく頑張った、今はそんな悩みはどっかにいったで!」現在の僕が、5年前の僕にやさしく語りかけます。ま、新しい悩みはあるけど(笑)。でも、いま悩んでることも5年たったらだいたいのことは消えてなくなってる、と思えるのも日記のいいところかもしれませんね。昨日、新しい5年日記を購入しました。これからの5年間をドーンと白紙のままもらったような気持ちになりました。さて、どんなことが書かれるのか?わからないけど分厚い一冊も一日一日の小さな出来事の積み重ねですね。


今年の座右の銘は「人間仮免中」です

2013年01月05日 | 暮らすこと、生活リハビリにもとても大切

みなさん、あけましておめでとうございます。

すてきな新年をお迎えのことと存じます。

僕は正月休暇は家内の実家、熊本でゆっくり過ごしました。

映画「ホビット」を義父母とみる、などめったにない体験もしてきました。トールキンさん「指輪物語」だけじゃなく、楽しい物語書いてたんですね。

そんな折、正月になに読もうかな、と書店をうろついて見つけたのが「人間仮免中」でした。

読売新聞書評でキョンキョンが絶賛していたのを思い出し、すぐさまレジへ。

そのあとはただただ圧倒されっぱなし、俺の悩みなんか卯月妙子さんのはなくそみたいじゃん。

そんなすこしの安らぎとどん底の絶望感と「人間まだまだ捨てたもんじゃねーぞ」という希望とあらゆる感情が湧きあがる作品でした。

スカトロAV女優で男の気を引くために歩道橋から飛び降りて、片目視力失っても「あ、これでマンガかけるかも!」ってなんじゃこりゃ~!強すぎるし弱すぎる。

今年、僕もひととの約束守れたり、守れんかったりすると思いますけど、「人間仮免中」の気持ちで何事にも頑張ろうと思います。

いつか公道を免許ありで走れるように。

人間仮免中
卯月 妙子
イースト・プレス

 

だいぶんアカンとこもあると思いますが、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いしまして、新年のあいさつにかえさせていただきます。

皆様にとって素晴らしい2013年になることを祈願いたします。