松本健史の「生活リハビリの達人」になろう!

超高齢社会の切り札「生活リハビリの達人」になる!講師・原稿依頼は matumomo@helen.ocn.ne.jp まで

現場で悩んでる方にぜひ!「おはよう21」9月号が店頭に

2013年07月30日 | Weblog

個浴ケアの記事を書かせていただいた、介護専門職の雑誌「おはよう21」(9月号)が店頭に並びました。写真は近所の本屋さん。

今回入浴ケアの達人「フロフェッショナルの条件」について書いてみました。

いろいろ考えたんですが最終的に、以下の5条件があると素晴らしいな~となりました。

フロフェッショナル5条件

①運動学・解剖学を知り、介助技術を磨こう!

②日常生活から入浴動作を思い描くことができる

③現場で話し合い、成功体験を共有する

④ふだんのケアを大切にする ~勝負は入浴前についている!~

⑤その人らしいお風呂づくりの演出家

現場で働いてる方、皆さんの施設はいかがでしょう?職員間で意見が割れたり、考え方が違ったときのことも想定して改革していかないと、ですね。

お風呂を題材にしましたが、多くのケアの場面で共通して言えることがたくさんあるんじゃないかなと思っています。現場で悩んでる方、どうか手に取ってみてくださいね。

 


私事です。もし大阪吹田で中古物件をお探しなら・・・実家が売りに出されました<(_ _)>

2013年07月26日 | Weblog

私事で恐縮ですが、実家が中古物件で売りに出されました。もし大阪の郊外で子育てをしたいとお考えの方、どうか一度見てみてください。自分でいうのもなんですが、素敵なうちなんです。地上2階、地下1階です。子育てしやすく治安もよい環境。地下は秘密基地です。(3部屋あり、我が家では卓球台と書棚を置いてました)趣味に合わせてワインセラーにも、アトリエにも、スポーツジムにもなると思います。もしお近くでしたらお早めにご見学下さい。私事でした。http://used.realestate.yahoo.co.jp/bin/cdetail?rps=5&pf=27&md=station&ln=6662&stn=6662080&code=0141000FZHQ7A07


これを読めばフロフェッショナル! おはよう21(9月号)の原稿

2013年07月25日 | Weblog

今月号のおはよう21は京都北部丹後スペシャルです。老健ふくじゅ、大宮苑、長寿苑が出ています。おすすめですのでぜひ手に取ってみてください。わたしの記事はこんなことを書いてます。

 

フロフェッショナルになろう!!

いま、介護現場では多くの施設が個浴を導入しています。個浴ケアがうまくいって「利用者さんに喜んでもらえた!」「元気になってもらえた!」という声を聞く一方、「個浴があまりうまく使えていません」という施設も多いようです。この違いは何でしょうか。私はいくつかの施設でリハビリアドバイスをしているのですが、その経験から、うまくいっている施設、うまくいってない施設の違いが少しずつわかってきたように思います。本特集では、その秘密を大公開しましょう。

「入浴は苦手だな~」って思っている方、難しいのは当然です。入浴は生活動作の中で一番難しく、奥が深いのです。この永遠のテーマ『入浴ケア』を極めて、入浴のプロ、人呼んでフロフェッショナルになろうではありませんか!どうぞ、楽しみながら読んでみてください!

 

入浴は何のため?「はい、清潔のためです」???

介護施設で「入浴ってなんのためにするのでしょう?」と質問をすると、新人職員から「ハイ!清潔のためです」と返ってきました。「清潔のため?それじゃ、べつに浴槽につからなくても、シャワーでもいいよね。シャワーですましちゃいましょうか?」と言うと、「いや、シャワーではお風呂に入った気がしないと思うんですよね~」と困った顔。そうなんです。人はお湯につかってはじめてお風呂に入ったという気分になるはずです。欧米ではシャワーが主流ですから、日本の入浴ケアは外国のそれとは一線を画します。なぜ日本人は独特な入浴文化をもっているのでしょうか?

 

日本人とお風呂の深~い関係

我々日本人はお湯に肩までつかる独特の入浴文化をもっています。日本でこれほどまでに入浴の習慣が根づいている背景はなんなのでしょう?まず頭に思い浮かぶのは日本人の温泉好きです。日本には活火山が多く、温泉があちこちにあります。日本書紀にも温泉の神が登場するぐらい、温泉につかることは古来から身近な習慣であったようです。また我々は、各家庭にお風呂を持ち、たっぷりお湯を張って毎日入浴しています。これは日本が水の豊かな国だからだと思います。日本は昔から水と安全はタダだといわれてきました。浴槽に身体を沈めて、ザーッとお湯を豪快にこぼす、なんてぜいたくができるのも、自然の恵みのおかげなのです。

あと日本には厳しく、そして美しい四季が巡ってきます。じめっとした梅雨、茹(う)だるような猛暑、凍えてかじかむ冬、我々は季節に合わせた入浴文化を発展させてきたのでしょう。仕事が終わって、ひとっ風呂浴びて、疲れを癒す。湯船で一日の反省をして、明日への活力にする人、歌手になってストレスを発散する人etc・・・。他人には見せない時間ですね。我々ケアスタッフはその超プライベート空間に踏み込むわけですから、心して入浴介助に向き合わなければならないのです。

 

病気をしたら奪われる生活習慣

今まで当たり前のように行ってきた入浴の習慣が突然奪われてしまう人がいます。そう、病気をして身体に障害が残った人です。特別浴槽(特浴)という名の機械浴が待ち構えています。僕はあれをお風呂とは言わず、『てんぷら揚げ機』と呼んでます(笑)。想像してみてください。真っ裸にされて、ストレッチャーに寝かせられ、上から見下ろされて、ウィーンジャブジャブとお湯につけられる自分の姿を・・・。お風呂はいままで自分だけの大切な時間、プライベート空間であったものが、それとは似ても似つかない身体洗浄の時間に変わってしまうのです。機械に持ち上げられて入浴しているとき、どんな気持ちがするでしょう?中にはこう思う人がいるはずです。「もうワシは病気したから、こんなお風呂にしか入れないのだな。もう贅沢な望みは捨てよう・・・」

それとは反対に、病気をしても浴槽に肩までつかって気持ちいい入浴ができたらどうでしょう?「おっ、病気してもこんないい風呂に入れたぞ。今度温泉旅行にでも行こうかな」

もう人生の望みは捨てようと思うのか、また旅行に行こうと思うのか、運命の分かれ道。入浴ケアひとつでここまで気持ちが変わってしまうのが介護のすごいところでもあり、怖いところでもあります。

(わかれ道の図)雑誌をみていただくと小さいけどわかりやすい、『運命の分かれ道』のシーンをイラストレーターさんが書いてくれています。

入浴ケアを見直そう!

入浴は単に清潔のためのみならず、人の元気を左右するものであることがわかっていただけたと思います。そう考えると、なにげなく行っていた入浴に対する意識が、明日から大きく変わってくるのではないでしょうか?

 

お風呂の入り方

障害のない人は、お風呂に入る時、普通、浴槽縁を持ちながら、片足立ちになって、またいで入ります。

これは、要介護状態の人にはとても難易度の高い動作です。入浴は危険だからと機械に頼ったり、清拭で済ませたりすることになります。個浴が介護の現場でこれほど受け入れられた背景には、要介護者が奪われてしまった『入浴』をもう一度、ケアの力で取り戻す、そんなムーブメントが起こったからだと思います。環境設定と介助技術があれば、もう一度、要介護状態の人にも「肩までつかるお風呂」を取り戻すことが可能なのです。

 

個浴を導入しても、心地よいと思っていただける介助ができていなければ、満足のいく入浴にはなりません。ここでは、個浴の入浴介助を改めて見直します。

 

 

基本的な個浴の入浴介助 手順と介助のポイント

掲載記事では以下の写真をもとにイラストでわかりやすくなっております。ぜひ手に取ってみてください。(写真 京丹後市大宮苑 モデル吉岡君)

 まずは、大前提となる基本的な個浴の入浴介助について解説します。

出入りの手順        

①浴槽の縁に置いたシャワーチェアに座る   

 

ポイント

座位が安定するよう浴槽縁をしっかり持ってもらう。不安定なら適した位置に浴槽手すりを設置する。

マヒがある場合は、健側から入れるようにする。

 

 

 

②片足ずつ浴槽に入れる  

 

ポイント

後方に倒れないように介助者は肩に手を回し、身体を支える。身体を後方に倒すことで、股関節が固い人でも浴槽をまたぐことができる。そのため腰かけは背もたれのない物がよい。

 

③ゆっくり臀部を前方に移動     

 

ポイント

足がつくまで前方に移動する。足が浴槽の底につくまで要介護者は不安を感じるので注意。安心できる声かけをする。不安定なら背中側から介護者が臀部(大転子)を持って身体を支える 。

 

 

④ゆっくりお湯に入っていく    

 

ポイント

右手で反対側の浴槽縁をつかむと安定して入りやすい

 

⑤浴槽内で安定してお湯につかれるように配慮する  

ポイント

浴槽の角にもたれる。入浴台を縦にして沈め、足のつっぱり台として使用

 

 

浴槽から出る

⑥姿勢づくり

足を身体にひきつける。浴槽縁、あるいは浴槽手すりを握って、前かがみ姿勢をとる。           

 

 

 

ポイント

マヒのある場合、健側(この場合右足)だけ曲げて、足をひきつける。

 

 

 

⑦立ち上がり                 

 

ポイント

浮力が働きお尻が浮く。力が足りない場合、後方から支えて臀部を前方に押す(引き上げるように介助しない。腰を痛めます)。

 

 

⑧いすに腰かける              

 

ポイント

浴槽に入った時よりやや前方に腰かけを設置するとスムーズに腰かけやすい。

 

 

 

 

⑨片方ずつ足を浴槽から抜く          

 

ポイント

後方に倒れないように背中をしっかり支える。左足、右足の順番で足を浴槽から出す。

 

 

入浴介助Q&A

ここからは、多くの施設がかかえている個浴の入浴介助の悩みについて、お答えしていきます。

 

Q1個浴で一度すべり落ちかけて、怖い思いをさせてしまいました。入浴にお誘いすると「怖い怖い」を連発し、入ってもらえなくなった人がいます。恐怖心を与えないように入浴してもらうには、どうしたらいいでしょうか?

 

A運動学と解剖学に適った介助を心掛ける

お風呂は生活動作の中で一番難しい動作です。なぜなら、車いすで生活している人のほとんどが普段の生活の中で、「床にお尻がつく姿勢」をとることはありません。唯一、浴槽に入っている時のみ、お尻がゼロレベルで床につくのです。ただでさえ、すべりやすい中で、浴槽に出入りする、という難しい動作を行わなければなりません。多くの人はそれに恐怖感を覚えるのです。安心して入ってもらうために、介助者も知識と技術が必要なのです。

介護に役立つ運動学

入浴で浴槽から立ち上がる動作は大変難しいものです。ここでは運動学を理解し、床からの立ち上がりを上手におこなえるようにしましょう。立ち上がりの3条件を知っていますか?

 

人は立ち上がり動作を行う際、3条件が必要です。

立ち上がりの3条件

 

1、前かがみ 

2、足を引く

3、適したイスの高さ

 

普段の立ち上がり動作を介助するときに、この3条件を大切にすると見違えるように立てる人がいます。ただ入浴時は図のようにお尻が地面についています。これは条件の3、適したイスの高さ が奪われてしまった状態です。ですから、この時は残りの2条件をいつも以上に意識して、しっかり前かがみしっかり足を引く、という姿勢づくりが大切になります。お湯の中で助けてくれる力があります。さてなんでしょう?そう!浮力です。浮力を味方にするとお尻が浮いてきて、案外簡単に立ち上がり動作が実現します。

介護に役立つ解剖学

さて、立ち上がりを支える時に、身体のどこを持てばいいでしょう。利用者は裸なので介助するときにズボンの後ろを持って、引っ張り上げることはできません(普段からズボンの後ろを引っ張っている人は、お風呂介助が下手です。引っ張らない介助を覚えてください!)

後方から大転子を両手で支えると安定して介助できます。またお尻を浴槽縁に持ち上げるときは、坐骨結節を手の平で支えます。

 

このように支えやすい解剖学上のポイントを知っておくと介助が上手になります。

まずは自分たちで練習を!

想像してみて下さい。自分がお風呂に入れられるときに、アナタの担当職員がこわごわと介助していたらどう思いますか?「怖い!今日はやめとく」と、逃げ出したくなるでしょう。そうではなく「大丈夫!大船に乗った気持ちで入ってください!」と言えるように腕を磨く必要があるのです。

 

まずは入ってもらう利用者を想定して職員同士で練習をしましょう。右半身にマヒがある、とか膝の関節が固くなっている、など事前に身体評価をおこない、環境を合わせます。すべり止めマット、バスアームなど、福祉用具も設置します。また入ってもらった時に小柄な方は浴槽内で不安定になるため姿勢の安定方法を考えます。写真は浴槽台を沈めて、足が突っ張れるようにしているところ。

怖がっている方にも「大丈夫!大船に乗った気持ちで入ってください!」と言えるようにみんなで練習をしてください。

 

フロフェッショナルの条件 その一 運動学・解剖学を知り、介助技術を磨こう!

Q2 個浴がありますが、職員も利用者も機械浴に慣れてしまっていて、個浴はほとんど使用していません…。

A2 身体機能をみて判断できるようになりましょう

機械浴か個浴か?見極める方法

アナタの施設ではみんなが機械浴に慣れてしまっているようですね。利用者さんが個浴での入浴が可能かどうか、身体機能をみて判断できるようになりましょう。個浴に入れる人を何の疑問もなく機械浴に入れていませんか?冒頭に書いたとおり、「こんな機械の風呂にしか入れないのか・・・」とあきらめの気持ちになり、元気を失ってしまう人もいます。情報カルテに、「要介護5、車いす使用」と記載があれば、機械浴対応、とすぐに決めてませんか?しかし、介護度や病名ではなく、その人の身体機能を丁寧に確認していくことが大切です。四肢麻痺といっても、「完全麻痺」なのか「不全麻痺」なのかで身体の動きは全く違います。また、四肢に麻痺があっても、体幹の筋肉(腹筋や背筋)が残存している場合もあります。確認項目としては、しっかり座位ができるか、お湯の中で身体を支える程度の下肢筋力があるか?股関節、膝関節などに極端な関節拘縮はないか?などをみるとよいでしょう。

 

入浴の身体機能チェック 

1座位保持の能力(体幹の筋力、立ち直り反応の有無)

2上肢・下肢の筋力 (とくに浴槽で身体を支える下肢筋力)

3関節の可動域(とくに股・膝関節)

4疾患の諸注意(左右の麻痺、人工関節の脱臼肢位など)

これらをチェックし、どういった介助法が適切かを考えていきます。

 

 

「こうすれば入れる」そんな環境設定を!

身体機能を見極めることが出来れば、次にそれに合わせた環境設定と介助のポイントを決めます。具体的には腰掛けや入浴台の位置、出入りの方向などを検討します。その行程でどこを手伝えば安全に入浴できるかを考えます。こうして身体機能を見極め、適した環境を手づくりしていくのもフロフェッショナルの大切な心得です。

 

 

 

フロフェッショナルの条件 その二:日常生活から入浴動作を思い描くことができる

 

 

 

 

Q3個浴に対する職員の考え方がバラバラです。「個浴に入浴してもらいたい」という考えの職員もいれば、「時間がないから無理」と言う職員もいます。どうしたらいいでしょうか?

A3、意見が割れたらもうオシマイ、じゃありません!

ケアを巡って職員間で意見が割れることはよくあります。一度意見が割れてしまうと「もうあの人とは話したくない!」そんな風に人間関係に溝ができてしまうこともしばしば。でもそれではモッタイナイ!「意見が割れたらもうオシマイ」ではなく、そこから話し合ってケアを深めていけばいいのです。そんな時、私がおススメするのは「ケアの3原則」を職員間で共有し、いつもそこに立ち返るということです。

ケアの3原則

1寝たきりにしない、させない

2主体性・個性を引き出す

3生活習慣を大切にする

 

高口光子 「リーダーのためのケア技術論」 関西看護出版より

この原則は我々ケアスタッフが仕事の目的を見失いそうになったら、立ち返るべき羅針盤のようなものです。ぜひ職場で広めていってください。たとえば会議で「○○さんは機械浴で対応していきましょう」と決まりかけた時に「ちょっと待ってください。ケアの3原則に寝たきりにしないさせない、とあります。機械浴は、利用者さんを寝たきりにしています。できるだけ個浴で入ってもらうようにしませんか?」と提案しましょう。そこで、もう一人の仲間が

「そうそう、ケアの三原則に生活習慣を大切にする、とあるけど、機械で上下するお風呂が生活習慣だった人はいないよね。なんとか肩までつかる入浴をさせてあげたいね」

このように話し合うことで少しずつ職員の感じ方が変わってくるはずです。「あれ、今までの介護はなんか違ったみたい・・・。」こんな風になれば、個浴が使われる頻度は必ず増えていくと思います。

チームで成功体験を共有しよう!

成功体験を共有しているチームは強いです。みんなで考えて、話し合って、実行したケアはありますか?元気にした利用者さんがあれば、悩んだときにその経験に立ち返ることができます。「あの人のとき、こうしたら喜んでもらえた。元気になった。今回もあの時みたいにやってみようよ!」そういうチームはどんどん経験が蓄積され、成長していきます。ぜひ、そんなケースがたくさん持てるようにチームで頑張ってみて下さい。

 

フロフェッショナルの条件 その三、現場で話し合い、成功体験を共有する

 

 

 

 

Q4.個浴の介助がうまくできずに、2人介助で持ち上げておこなっています。よく本などで「個浴の介助法」が紹介されていますが、全然できません。「あれは理想だけど、ムリよね~」と職員同士で言っています。

A4.普段のケアを大切に!

先に述べたように入浴動作はとても難易度の高い動作です。普段の介護が入浴の場面で問われているのです。「個浴を導入したが、うまくいっていない」という施設は、やはり普段のケアに問題があるように思います。いかに利用者の残っている力を引き出しているか?運動学に適った動作を基本に介助しているか?そこをすっ飛ばして、お風呂に入ってもらおうとするからうまくいかないのです。

 

入浴がうまくいっている施設は、ベッドからの移乗、トイレへの移乗、食事姿勢の環境設定などに配慮し、日々の生活のなかで残っている力を大切にしたケアが行われています。座位保持や立ち上がり動作など、日常の動作でいつもやっていると浴槽でも自然に身体が動きます。そう、勝負は入浴前についているのです。もし、アナタの施設で個浴の介助がうまくいかないと嘆いているなら、お風呂の前に、そもそも普段のケアがどうなのかを見直してみてください。

フロフェッショナルの条件その四 ふだんのケアを大切にする ~勝負は入浴前についている!~

Q5個浴にするメリットがわかりません。うちの施設では食事、排泄をはじめ、日々の業務にてんてこまいしています。時間をかけて入浴をする余裕がないです。それでも個浴にした方がいいんでしょうか?

A5 そんな施設に個浴が必要なのです

個浴のメリットはとにかく、ゆっくりと時間を過ごし、リラックスした入浴ができることです。バタバタで余裕がない!といっているアナタの施設のようなところで、とくに導入してほしいのです。個浴は一人の職員が一人の利用者の入浴にマンツーマンで対応するのが基本です。それに対して、効率だけを考えている施設は、誘導係が利用者を浴室前に並べて、着替え係が衣類を脱がせて、洗髪係がシャンプーをする・・・。ベルトコンベアじゃないんだから、流れ作業の介護はやめましょう。プライベートな空間を大切にし、一日の疲れを癒す、そんな日課を取り戻すべきではありませんか?個浴の導入の意義は、効率優先で分担作業化した状態をもう一度見直し、シフトを組み直すという側面もあります。だから、個浴を実施しているけれど流れ作業をしている、という施設も見直しが必要です!

職員サイドの都合でスケジュールが決められ、本人さんの主体性や個性(前掲:ケアの3原則 2,主体性・個性を引き出す、がありましたね)がないがしろになってませんか?本人さんがいままでどんな仕事をして、どんな時間帯に、どんなお風呂に入ってきたか?そんな視点が抜け落ちていることが多いのです。ぜひ自宅のお風呂を見せてもらって、家族さんに話を聞いて、その人らしい、リラックスしたお風呂とは何かを考えてみてください。

お湯の温度、入る時間帯、手順(身体を洗ってから入るのか、先に浴槽につかるのか?風呂上がりのビールはお好きか?)そんなことを考えることができるのも個浴の良いところ。きっとバタバタの業務を改善するのに一役買ってくれるはずです。ぜひ、素敵なお風呂の演出家になってください。

フロフェッショナルの条件 その五 その人らしいお風呂づくりの演出家

 

 

お風呂職人あらわる!

特養長寿苑(京丹後市)は、個浴のない施設でした。他の施設で研修して、肩までつかる気持ちいいお風呂を用意したい!と考えた職員の廣野君は、入浴委員会で「個浴を用意して、もっと利用者さんにお風呂を楽しんでもらおう」と呼びかけました。そして倉庫にあった浴槽を引っ張り出してきて、なんとお風呂を手づくりしてしまったのです。

いい施設はいつも利用者の環境を考えている

いかがでしょうか?こんな手づくりの苦労に比べたら、個浴がちゃんと備えられた施設にいるアナタはとても恵まれていると思いませんか?私の実感として活気のある施設は利用者のことを考えて、どんどん環境を変えていきます。反対に悪い施設は環境のせいにして何も変えようとしません。「うちの施設にはこんなお風呂しかないので、無理です!」とか言ってあきらめています(もちろんその職員さんだけの責任ではなく、環境改善を言っても知らん顔の上層部が一番悪い!)。いまある環境はあくまでも初期設定です。左・右のどちらから入るのか?福祉用具を設置したほうがいいのか?など、どんどん工夫して気持ちいいお風呂を実現し、利用者さんの笑顔がみられるようにがんばっていきましょう!

 

フロフェッショナルの条件 

一、運動学・解剖学を知り、介助技術を磨く

二、日常生活から入浴動作を思い描く

三、現場で話し合い、成功体験を共有する

四、ふだんのケアを大切にする ~勝負は入浴前についている!~

五、その人らしいお風呂づくりの演出家

5項目がクリアできたら、個浴ケアが変わり、施設の全体のケアも変わってくることでしょう。さあ、フロフェッショナル目指して、一緒にがんばっていきましょう!

参考文献 

リーダーのためのケア技術論 高口光子 関西看護出版

新しい介護 大田仁史 三好春樹 講談社

生活リハビリ術 松本健史 ブリコラージュ

テルマエ・ロマエ ヤマザキマリ エンターブレイン

 

おまけ:入浴文化の理解に役立つ名作マンガ

『テルマエ・ロマエ』主人公、ルシウスは現代日本にタイムスリップし、そこで日本の銭湯の素晴らしさに驚嘆する。古代ローマのお風呂に日本の銭湯のアイデアがもたらされて大盛況となる。外国人が日本の入浴文化に憧れを抱いているのに、当の日本人は、ないがしろにしていないか?介護現場でも、この素敵な入浴文化を捨てるようなもったいないことはしていないか?自問自答してしまう作品です。テルマエ・ロマエ ヤマザキマリ (著)  出版社 :エンターブレイン舞台は西暦130年代の古代ローマ帝国。日本のお風呂文化がローマで旋風を巻き起こす。読みながら日本のお風呂文化の奥の深さに触れることができる。

神々が集う温泉宿!『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)舞台は大型温泉旅館“油屋”。八百万(やおよろず)の神々が、疲れを癒す。私は燃えました。「そうだ、うちの個浴も神々の集う温泉旅館!ここで疲れを癒して、元気になってもらうんだ!」そんな気持ちになれます。

  

 


おはよう21 9月号 ダジャレ入りで書きました!

2013年07月25日 | 原稿

個浴ケアが始まって20年だそうです。病気をしても肩までつかるお風呂にはいってもらう、素晴らしいケアではありますが、「知識」と「技術」と「思い」の3拍子が要りますね。だから個浴はあるけど、いまいち使えていない、やっぱりウィーンジャブジャブと機械式浴槽で入ってもらってます・・・という施設も多いんです。

今回、そんな施設に向けて個浴ケアの方法論を書いてほしいと依頼がありました。「フロフェッショナルになろう!」とダジャレ入りで書いてます。ぜひ読んでみてください。おはよう21は日本で一番売れてる介護雑誌(発行2万部)なので、書店、図書館、わりとどこでも手にとれますのでぜひ!

あと今月号は丹後スペシャルです。頑張ってる施設の入浴ケアとして京丹後の大宮苑さん、老健ふくじゅさん、長寿苑さんが出てます。地元のケアがじわじわと実力をつけているのを実感します。丹後の方々にはぜひ読んでほしいです。

 

入浴が人を元気にすることは、この本「生活リハビリ術」を書いた時から感じてました(2010年発行)。

この本の「ドッチデ介護予防? 筋トレ VS お風呂」も楽しんでもらえるはずです。読んでみてくださいね。

「生活リハビリ術」

~介護現場の理学療法士が提案する21の方法~

松本健史著

発行ブリコラージュ


通所介護&リハ 今月号に原稿書きました

2013年07月22日 | 原稿

「通所介護&リハ」7・8月合併号 に記事を書きました。生活の視点からプログラムを立案する方法を書きました。読んでみてください!

 

 何のための機能訓練なのか?…通所介護の現場にほしい『生活の視点』

 

デイのリハビリに生活の視点を!

近年、病院退院後のリハビリの必要性が認識され、機能訓練を取り入れる施設が増えてきました。しかし誤った運動をして、体を痛めてしまうケースや、生活とかけ離れたメニューが行われるケースなどがみられ、まだまだリハビリが適切に実施されているとは言いがたいようです。デイサービスなどを利用される方々の多くは、病気の発症から長い期間を経過し、身体のいろんな不具合を抱えたまま暮らしていく「生活期」というステージにいます。「生活期」は、「急性期」「回復期」の次のステージであり、その人らしい生活を支える視点が大切になってきます。そのために利用者の身体機能や生活環境に応じた、十人十色のリハビリメニューがあってよいと思います。あまり紋切り型に機能訓練メニューを考えるのではなく、機能訓練を生活のなかに無理のない形で取り込んでいくことが大切です。今回はデイサービスにおけるリハビリで、ありがちなケースを例にとり、効果的なリハビリの手法について述べてみたいと思います。

 

 

ケース① 関節拘縮のある方のリハビリ

私はよく介護現場でこんな質問を受けます。

「この方、拘縮があるんですが、関節は動かしたほうがいいんですか?」

普段の生活からプログラムを立案している私はこう尋ねます。

「介護する時に、いつも困っていることはないですか?」

「あ、そういえば着替えの時が大変です。本人さんもつらそうで・・・」

「どうしてあげたらいいですか?」

「痛くないように着替えがさせてあげたいですね」

 

脳血管障害の後遺症などで腕や足の関節が伸びない(あるいはピンと伸びて曲がらない)などの関節拘縮がある時、関節ストレッチを実施することも多いでしょう。しかし、「何を目的に関節を動かすのか」それが明確でないストレッチが多いように思います。上記の職員のように「着替えがつらそうなので和らげてあげたい」など、そういった生活の視点からリハビリプログラムはスタートすべきではないでしょうか?たとえば固くなった関節について考えるときも、生活の視点を導入するといろんな切り口が浮かび上がります。

関節拘縮を生活目線で考える 

①拘縮した関節は清潔か?

 固く握られた手指に垢がたまり、不潔になっていることがよくあります。入浴時にしっかり手指を広げ洗身するなど、日課のなかでアプローチしていくことも大切なリハビリプログラムです。 

②更衣動作はしやすいか?

 肘や手首が曲がっている場合は更衣が困難です。また股・膝関節などが曲がって、おむつ交換など排泄の介助が大変になる方もいます。拘縮の悪化を予防するストレッチをしていくことで介助も楽になり、本人さんの負担も軽減できます。

③本人の思いは何か?

 たとえば「伸ばしてもらうと調子がいい」という方ならば、しっかりストレッチしていくとよいでしょう。しかし「痛いから絶対に触るな~!」という方もおられます。その場合、自主トレ体操を提案します。自主トレは自分で痛みの加減ができるからです。また痛みの強い方には関節が動かされることに意識が向かないように、配慮するのも必要です。「今からストレッチされる」と意識にのぼってしまうと緊張が強まり、よけいに関節が固くなってしまいます。入浴後の筋肉のほぐれた状態で、動きにくい関節をやさしくストレッチしながら、更衣をするなど、生活の場面で「それとわからないようなストレッチ」を実施するのも素晴らしいリハビリメニューといえます。

関節を強引に伸ばさない。生活の中で効果的にストレッチすることが大切。

④拘縮がこのまま進行するとどうなるか?

 このまま拘縮が進行すると、今までの生活動作ができなくなるのではないか、という予測も大切です。たとえば尖足拘縮が進行すると座位がとれなくなる、など予測をして、早めに『拘縮の芽を摘む』ような生活づくりをしていきたいものです。

 

 

事例紹介

関節拘縮の芽を摘んだ例 

Iさん 92歳 男性 腰椎圧迫骨折で3か月入院。退院後、左足首に軽度の拘縮(尖足)が発生

リハビリメニュー 

腰椎圧迫骨折後の体力回復、拘縮の悪化予防を目標に座位を中心とした生活づくりを心掛け、以下のメニューを実施。

♯1椅坐位での生活時間の確保(ベッド上ではなくイスに座って食事をとる)

♯2食事・排泄・入浴時の移乗動作の介助法の統一(後方から介助し、足底を地面につけて立位をとる

♯3他事業所(ショートステイ)と連携し、デイで確立した生活を継続実施

 

結果)7か月後、足底はしっかり地面につき、尖足は治癒していた

 

拘縮はゆっくりと進行するため、はやめに対応すると、このように治ってしまいます。固くなりそうな関節を察知し、座位を中心とした「生活づくり」をすることで「拘縮の芽」を摘むことができるのです。

移乗時に足を踏んばった立位を大切に介助を行う

 7か月後尖足は治っていた!

ケース②歩行訓練以外は車いすで過ごしている

デイサービスに来て、平行棒で数回歩き、あとは車いすで過ごしているという方がおられます。訓練室でおこなう短時間の運動より、一日を通して体を動かす習慣を身につけたほうが効果的です。平行棒歩行の成果を、デイ利用中の動作に結び付けるプログラムを立案していきましょう。

 

おすすめプログラム例

①お風呂まで歩行する・・・リハビリでの成果をデイサービスの日課のなかに落とし込んでいきましょう。職員が見守りできる機会は歩行練習を組み込むチャンスです。職員が付き添いやすく、移動距離の確保ができる場面、たとえば浴室までの移動を歩行練習ととらえて実施していきます。

②車いすからイスへの移乗・・・車いすで一日過ごしてもらうのではなく、椅子に移乗してもらいましょう。一日に何回となくおこなう移乗動作は、環境を整えれば、立派な機能訓練へと早変わりします。移乗動作は、立ち上がり→立位保持→方向転換→着座動作、という生活に大切な基本動作で構成されています。移乗動作が高齢になっても維持できれば、食事・入浴・排泄等のADL動作が保たれ、元気な生活が継続できます。

 

※移乗の介助に注意!!! 前から抱えて移乗を行なうと、立位保持や方向転換など大切な生活動作を練習する機会が奪われてしまいます。

移乗動作は生活の基本動作が入っている!

起立動作

立位保持

方向転換

着座動作

これらを本人さんの力で、できるだけやってもらえる介助が望ましい。

ケース③痛みを我慢して運動をしている

痛みを我慢してリハビリ訓練をしている方々も多く見られます。その痛みの原因がなんであるか、どんな動作で痛みが生じるかを特定する必要があります。

「痛みを我慢して運動をしなきゃいけない」と根性論を主張する利用者さんもいますが危険です。運動により痛みがどんどん増強してくる場合はすぐに中止し、医師に相談をしましょう。

 患部外トレーニング

痛みのある部位の運動をおこなわず、その周辺の関節を動かす、あるいは痛みの出ない範囲に運動をとどめる運動方法です。たとえば足首の骨折の場合、膝関節の屈伸運動などで、筋力トレーニングを行うリハビリです。これにより安全に運動をおこない、全身の体力を低下を予防し、患部の回復を待つことができます(具体的なメニューは、医師、セラピストと相談してください)。

 

 足のマヒにより膝関節が「逆くの字」に曲がっている 

このままの歩行を続けるとさらに変形し、痛みも強まる可能性が高い。

足の関節を背屈位に誘導する適切な装具で膝が安定し、痛みがとれるケースもある。

このように装具の支えにより、動作が劇的に変わることがあります。利用者が痛みを訴えれば、放置するのではなく、リハビリに解決策があるかもしれません。相談して適切なアプローチをきいてみてください。

ケース④訓練の時間以外は寝てばかり

訓練室でのリハビリには積極的でも、生活場面で身体を動かそうとせず、寝てばかりの人もいます(特に男性に多い!)。

訓練だけにこだわる男性に「訓練室だけにこもらず、外に出かけてみませんか?」というと「遊んでるヒマはない。わしはリハビリがすんどらん!」という答えが返ってきました。

 

 

リハビリスンドラン症候群をつくってませんか?

病気をした後も「歩きたい」という気持ちを持ってリハビリを必死にがんばる方がおられます。もちろん、その熱意は素晴らしいことですが、何年もその目標にこだわってしまい、人生の楽しみは棚上げ状態という人はいないでしょうか?僕はそういう状況を「リハビリスンドラン症候群」と呼んでいます。こういった方々は、自分の身体機能の低下を嘆き、よくなることしか頭になく、「人生を楽しむのは二の次、お楽しみはカラダがよくなってから」と考えておられるようです。そんな方の対応で困っている職員さんも多いと思います。私はそんな時、今、こだわっている「歩く」ことでなにを実現されたいのか?を聞くことにしています。そうすれば、その話題が糸口になり、「お墓参りに行きたい」「会いたいひとがいる」「妻と旅行がしたい」・・・などの希望を聞かせてもらえることがあります。いつも訓練に励む姿のうちに秘められた、本人の本当の希望を聞きだすことが大切だと思います。そして、本当の希望を聞けたとき、それは絶対に歩けなければ実現不可能だろうか?車いすや福祉用具、人の手を頼れば、ることで実現できないだろうか?と思案します。介護・看護・リハビリがチームとなって話し合い、それを叶えていくことができないでしょうか?そうすれば、もう一度、その人の人生が輝きだすのです。利用者さんにとって、機能訓練が何のためにあるのか、我々が本当の希望に気づけずに、ただ単に『リハビリ漬け』にしていないか、自問自答してみる必要があると思います。

 

リハビリスンドラン症候群に効くクスリ

人間は居場所と役割を求め続ける生き物といわれます。以下に示す、居場所と役割づくりの3条件がとても役立つので紹介しておきます。

 

居場所と役割づくりの3条件

①かつてやっていたこと

②いまでもできること

③周りの人に認められること

 

人生を知るとリハビリが深まる!

93歳の男性で元音楽教師のF先生。アコーディオンだったら今でも弾けると言われたので、リハビリ体操の時間にF先生に音楽の授業をお願いしました。そうすると大人気で、参加の皆さんは学生時代に戻ったように、にぎやかに歌われました。「先生、次はあの歌を弾いてください」と皆さんからリクエスト。そうすると「それでは次回は『茶摘み』を歌います。来週までに歌詞を大きく書いて、壁に貼っておくように!」(さすが先生、さっそく宿題を出されました)。この音楽の授業は数年続き、F先生にとって居場所と役割のある素敵なリハビリメニューとなりました。生活期のリハビリテーションは十人十色、その人の人生を知るところからスタートするのです。

  個別機能訓練について感じていることを述べました。「何のためにプログラムを行うのか」「訓練室の動作を実践的な生活動作に落とし込めないか」「訓練よりも人生を輝かせるお手伝いが大切」それらを事例を交えながらお伝えしました。デイでのリハビリプログラムの参考になれば幸いです。

参考文献

新しい介護(講談社) 大田仁史 三好春樹

介護期リハビリテーションのすすめ(青海社) 大田仁史

生活リハビリ術(ブリコラージュ)松本健史

拙著『生活リハビリ術』では、試行錯誤のなかで思わず笑いがこみあげる、気持ちがほっこりするようなエピソードを満載しています。本書の「時ニハ刑事ノヨウニ」(p110)や 「尿意表現ハ自由ダ!」(p34)などをぜひ読んでみてください。きっと、明日からのケアの種(タネ)にしていただけることと思います。

「生活リハビリ術」

~介護現場の理学療法士が提案する21の方法~

松本健史著

発行ブリコラージュ


大阪のみなさん お疲れさまでした。感謝です!

2013年07月20日 | Weblog

生活リハビリの達人になろう in 大阪 を開催しました。参加いただいたみなさん、ありがとうございました!いろいろ活発に意見が飛び、私も楽しんで話すことができました。遠くは鳥取から来ていただいたSさん、地元丹後からわざわざ来ていただいたTさん、Nさんはじめ、皆さん暑い中、ありがとうございました。なにか明日からの仕事に役立つことがあれば幸いです。またご質問などありましたら、ご連絡ください。施設研修に来てほしいけど、ウチにもPTがいるのでマツモトさんを呼びにくいんです!そんな意見もいただきました。施設に理学療法士がいると、たしかに僕もお邪魔しにくいな~と思いました。理学療法士のいない施設さんはお邪魔しやすいです。もし施設内研修など要望がありましたら、お気軽にご連絡ください。日程が合えば行かせていただきます。大阪の次回は9月28日(土)開催予定です。要望の強い実技研修やお笑いに学ぶ認知症ケア(落語編)など準備します。お楽しみに~!


生活リハビリの達人になろう in 大阪 7月20日(土)開催します

2013年07月15日 | Weblog
7月20日(土)に大阪にて講座『生活リハビリの達人になろう!』を開催します。
施設の介護職さんはもちろん、リハビリ介護に興味のある方なら、誰でもお気軽に参加してもらえる講座になっています。
またこの講座、施設内の研修会でもやっております。
うちでもやってほしいなんてこともお気軽にご相談ください。

※ガチンコ生活リハビリ講座
「お年寄りが元気になる瞬間」を実技としゃべりの「生」でどうぞ。

講師:松本健史(理学療法士)
参加費:1000円
定員:50名
日時:7月20日(土)13:30~16:30
会場:松下介護学館 3F
    (大阪市天王寺区上本町7-1-24 近鉄「上本町駅」よりスグ) 
申し込み:NPO法人さわやかプラザ
      松下介護学館
      ℡0120-775-646
      E-mail: info@mickaigo.com
     

認知症の薬何が効くの?コミュニケーション最強説

2013年07月09日 | Weblog

認知症の薬がいっぱい出てきました。何が効くのでしょう?

脳に化学物質を送り込み、機能改善を促すのが目的ならば、まず薬の前にコミュニケーションを大切にしていきたい、それが現場からの本音です。

薬って脳に作用して、悪くすれば、たとえば錯乱してしまって、人を殺すような事件がありますね(覚醒剤しかり、シンナーしかり、アルコールしかり)。だから薬は恐い!って話をしてるんじゃありません。

コミュニケーションだって怖いんです。感情のもつれ、恋愛だって人が殺されるときがありますね。だったら、コミュニケーションにだって薬物と同等の地位が与えられるべきなのです。認知症者との関わり、というのは薬の処方と同じような重みがあり、場合によっては最高の『薬効』が得られると言っているのです。軽く見てはいけないと思います。

自分のことを大切にされる場があり、心が触れ合ったり、実際、体が触れ合ったり、こんなことで脳の化学物質は大きく変化するでしょう。

なら、まず薬に頼る前に、やるべきことがありますね。コミュニケーション、スキンシップ、安心できる居場所と役割づくりです。

基本的なケアをして、その人らしい生活づくり。まずは食事・入浴・排泄においてが最優先でしょう。

「この人落ち着きがなくて、ウロウロして人に暴力をふるいます」「じゃ、安定剤、とか眠剤で抑え込みましょう」って最初に薬ですか?

トイレが行きたくて、その生理的な不快を表現しておられるのかもしれません。そしたら薬の前にすることは、気持ち良い排泄ケアが先ですね。

ここをすっ飛ばして、薬ありきの治療に突入していくのは危険ですね。排泄ケアはされることなく、薬で行動を抑えられてる人がいっぱいいるはずです。

「最初に薬に頼りますか?できることがいっぱいありますよ勉強会」の開催をお知らせします。

関西看護出版さんから場をいただきました。現場で薬に疑問を持ってる方、認知症ケアで困っている方ぜひご参加ください!いまから伝えたいことがいっぱいでウズウズしてます!

介護現場実践の認知症ケア学習会 【大阪:大阪】  講師:松本健史

【主  催】 
株式会社関西看護出版

【日 時】
平成25年10月20日(日) 10時00分 ~16時00分
 
【会  場】
大阪府私学教育文化会館
大阪府大阪市都島区網島町6-20

【電車】
●JR 東西線 「大阪城北詰駅」3番出口より徒歩2分
●JR 環状線 「京橋駅」北口より京阪電車高架下西へ徒歩12分
●京阪 「京橋駅」西口より西へ徒歩約10分
●地下鉄 鶴見緑地線
◇「京橋駅」より徒歩約10分
◇「大阪ビジネスパーク駅」より徒歩約10分
●京阪 「天満橋駅」より徒歩12分
●地下鉄 谷町線 「天満橋駅」より徒歩12分




【講義内容】
超高齢社会が到来し、介護現場でますます増えてくる認知症の方々の対応に右往左往して困っていませんか? この学習会は理学療法士が現場で重ねてきた認知症リハビリの方法論を紹介します。関わりを大切にしながら個別に組むリハビリメニューを大公開します。難しくはありません。認知症者の方々の心の状態やかつての人生に思いを馳せながら関わる、誰でもどこでも実践可能な手法です。アルツハイマー病、脳血管性認知症など疾患の理解にとどまらず、葛藤型・回帰型・遊離型といった患者の心的状態にまで視野をひろげ、効果的な実践を紹介します。疾患をみつめる細やかなまなざしと対話でつながるコミュニケーションなど新しいケアのカタチを提案します。実際のケースの紹介や漫才から学ぶコミュニケーションの極意など、楽しみながら、どんどん明日から使えます。


【内容】
1.これからが本番! 認知症ケアの未来
  どんな超高齢社会が到来するかデータを踏まえて予測
リハビリ介護は一生ものの仕事! みんな、認知症ケアの達人になろう!

2.現場で役立つ認知症の診かた(←味方でもあります)
  竹内孝仁医師の3分類紹介 現場で役立つ心的状態の診方を解説
  現場で役立つケアの実際「葛藤型」「回帰型」「遊離型」

3.お笑いに学ぶコミュニケーション論
  「ボケ」と「ツッコミ」の漫才分析 お笑いはコミュニケーションの宝箱
笑いながらコミュニケーションの達人になろう

4.居場所と役割づくりのリハビリメニュー
  ・かつてやっていたこと ・今でもできること ・周りの人に認められること
  三好春樹氏の理論を参考にした実践の紹介
  お年寄りが本当に元気になる魔法のテクニックを紹介



【受 講 料】
8,400円


【定 員】
100名

◆車で来られる方は、駐車場を各自で確保してください。
◆昼食は各自でご用意ください。
◆最少催行人数について(中止・延期などの諸事項)
感染症(インフルエンザなど)の影響および受講者が20人を満たさないときは、中止または延期とする場合がございます。
中止の決定は、開催日の10日~15日前を予定(緊急に中止をする場合もございます)。
お申し込みをいただた方全員に、随時ご連絡をさせていただきます。
あらかじめご了承ください。

【申込方法】
株式会社関西看護出版
フリーダイヤル:0120-58-0481
FAX.0725-33-0346


【申込み・問い合わせ】
株式会社関西看護出版
http://www.kansaikango.co.jp/seminar/seminar2013/131020_matsumoto.html


買い物について

2013年07月06日 | Weblog

デイサービスは高齢者の入浴、食事、リハビリ等を主な業務としています。買い物もいいですね。

今日 女性で久しぶりに買い物をした、という方がいました。病気をしてから、ご主人が炊事、洗濯、料理のすべてをしている家ですが、Kさん、久しぶりに買い物でお惣菜を買ってこられ、「だんなが好きなのを買ったのよ」とすこし主婦の顔をされていました。

人は贈与と交換によって文化を発展させてきました。施設内で交換禁止、買い物などの経済活動禁止、というところはお年寄りの元気を奪っていると思います。誰かのためにお金を払う、こぼさずに持って帰る、お返しの気持ちが芽生える、これらのやりとりが人間らしい暮らしなのだな、と改めて感じました。


海士町の取り組みを伊根町でも!

2013年07月06日 | Weblog

京都で高齢化率が最も高い伊根町のこれからを考えています。先日回ってきた海士町の取り組みを報告しました。

海士町と伊根町はたくさんのことが共通しています。昭和20年代は人口が7000人いたのが現在2000人になっている。同じように半農半漁の暮らしである・・・。そしていま島根県本土から60㌔の沖合に浮かぶ海士町の取り組みに大きな注目が集まっています。島まるごとブランド化と銘打って、魚介類のかき、なまこなどの販売。松坂牛に劣らない肉質の隠岐牛の育成・販売。

これらを町の人たちだけでなく、全国各地からのIターンの若者と取り組んでいます。そしてこのIターンにやさしい風土の謎は、どうやら後鳥羽上皇の配流にあるという説があります。よそものを大切に扱ったその歴史がいまも、よそものをやさしく取り込んでいるのかも、そう考えるとすごいです。


ちょっとおもしろい研修会、やります!9.21(土)「介護予防・リハビリケア研修会」のおしらせ

2013年07月06日 | Weblog

 「介護予防・リハビリケア研修会」のおしらせ

9月に横浜で介護予防レクの講師をします。興味のある方はご参加ください!

ちょっと構成がおもしろく、僕も他講師陣のレクチャーが受けたい!(でも無理か・・・)

仕事の憂鬱まだ引きずります?これを聞けば解消するでしょう。

明日から役立つことが満載の研修会で、現場で頑張っている人にぜひ来てもらいたいです

 

2013年9月21日(土) 10:00~17:00

ウィリング横浜
(神奈川県横浜市港南区上大岡西1-6-1)
 
HPがあります↓
 

 


達人になろう in 京都&兵庫

2013年07月03日 | 研修会記録

研修会の講師を2日連続でさせていただきました。

京都で7月1日、兵庫で7月2日 参加いただいた方ありがとうございました。

 京都では施設の機能訓練指導員さんに向けて「これからの高齢者施設におけるリハビリテーション」をテーマにディスカッションもしていただき、貴重な意見を聞くことができました。みなさんお疲れ様でした。調整・運営にお世話になった乃美さん、山元さんはじめ京都府リハビリテーション支援センターのみなさんありがとうございました。

 老人保健施設 豊岡シルバーステイ(兵庫県)で「生活リハビリの達人になろう」開催しました。こちらでもみなさん熱心に聞いていただきました。昨年に続き2回目で、アットホームな感じでお話ができました。その分笑いも増えたようで、ウケたらうれしい、お調子ものの私はやりやすかったです。日程の調整やモデルなどでしていただいた川浜さん、ありがとうございました。研修を聞いて「明日から頑張れる気になりました」と感想をいただき、うれしかったです。実技を教えてほしいという意見もありました。動作分析、メッセージを伝える介助法、ジュウゼロ介護をやめる法など次回、お伝えしましょう。また呼んでくださいね。

目と手と心を使うのじゃ!

今日から困ったときに現れる 生活リハビリの達人、メデシン仙人です。仲良くしてあげてください。

ダジャレ好き、酒好き、ですがたまにいいこと言います。