チキチキ読書日記

無駄に読み散らかした本の履歴です。

脳と魂 養老孟司 玄有宗久 筑摩書房

2005年10月14日 15時09分56秒 | 哲学・思想
養老孟司と僧侶で作家の玄有氏との対談。カテゴライズに困ったがとりあえず哲学・思想でいいか。
最近出す本出す本あたりまくっている養老先生であるが、本書ではそれをすっかり自覚してらっしゃり、いささか自信過剰なところが見え隠れする。それはそれでよいのだが…。
本書全体を通じて、両者の意見があまりよく噛み合わず、少しずれたほうに議論が展開しているのが気になった。
養老先生の十八番、脳=都市という図式が繰り返される。脳は自身で制御できるものを作る。それが都市である。都市は人為で制御できないもの「自然」を排除しようとする。男女でいうと男が都市で女が自然だ。女は月経、妊娠、出産と自然の生命サイクルを日々体現している。ゆえに都市化が進んでいく中世から徐々に都市から排除=差別の対象になっていく。
都市化が早くから進んだ中国の孔子の言葉に「女子と小人は養い難し」というのがある。これがまさに都市化が女性差別を生むという分かりやすい証左であろう。