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まさおレポート

記憶の音楽 古賀力「ふるさとの山」

20代の初めに訪れたパリの洞窟にあるシャンソン酒場で聞いたいくつかの歌、このブン、そして枯葉を歌う92歳と聴いた金子由香利の歌とシャンソンそのもにはさほどの経験はないのだがそれでもシャンソンのいくつかは記憶の中に輝いている。

赤坂見附の駅を降りて赤坂一ツ木通りに出、青山通りに折れて少し歩くと右側のビル2Fに小さなシャンソン酒場があった。階段を上がりドアを開けると小さなステージと暗めの照明の下で知り合いの女性がシャンソンを歌っていた。歌手の喉を痛めるのでタバコはご遠慮くださいと張り紙がある。三島由紀夫や美輪明宏で有名な「銀巴里」がセーヌ川右岸派と呼ぶならブンは右岸派カヴォーと呼ぶにふさわしいと誰かが書いていたが、シャンソンはこんなところがふさわしいと思わせる。

最後に古賀力さんと奥様の芳賀千勢子さんがステージにたつ。既に30年ほどが経つので記憶は朧だが何気なく思い出して検索すると今年の5月26日に亡くなっていた。合掌。

「ふるさとの山」LA MONTAGNE
詞・曲 Jean Ferrat
訳   古賀 力

青く澄んだ山に 囲まれたふるさと
その土地を捨てて
長いこと夢みてた 都会の暮らしに
彼らは出て行く
素朴な土のにおい のどかな陽だまり
うまい水があるのに
モダンなカフェテリアや 都会の秘密に
彼らは魅かれるのだろう

今も山は美しい
春は花が咲き乱れ
空に小鳥さえずる
ふるさとの山は

豊かな自然の 潤いを与えて
山は長い月日
ぶどうの根のように 節くれた素朴な
人を育ててきた
今はもうぶどうのつるも森の中に
伸びっぱなしのまま
昔からぶどう作りで 生きてきた老人を
嘆かせるのだろう

今も山は美しい
夏は谷間を流れる
せせらぎの響きが
こだまする山は

国を捨てた若者は 都会の片すみで
何をしてるのか
ある物は会社勤め 何の気がねもなく
帰りのベルを待つ
自分の好みもよく知り モダンなアパートの
部屋にくつろいで
ジャズに酔いしれたり うまい料理に
生きがいを見つけるのだろう

今も山は美しい
燕の群れを眺め
もうそこに秋が来たのを
告げる山は

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