レポート(6)より
2月7日日曜日 カーニバル・サンデー 「ディマンシュ・グラ」
この日のメイン・イベントはディマンシュ・グラだ。
フランス語で「肉食の日曜日」という意味であることからも分かるように、このカーニバルのメイン・ディッシュのイベントなのだ。でも、現在では若者からの人気は衰え、見に来ているのは観光客と、50歳以上のおじさん、おばさんばかりだった。もちろん満席にはなっていたが。
このディマンシュ・グラは、ダンスショーと、パレードのキング&クイーン・コンテストと、カリプソ・モナーク(王座)決定戦で構成されていた。メインのカリプソ・モナーク決定戦は、トリニダード・トバゴが誇るポピュラー音楽「カリプソ」の王座を決定するものだ。10人のトリニダードを代表するカリプソニアン(カリプソ歌手)が2曲歌い、その音楽性、歌詞の良さなどを審査員が採点し、優勝者を決める。
面白いのは、カリプソでは、歌詞を重要視するということ。ソカのように恋愛とか、パーティーのことをノリ良く歌うのではなく、カリプソは政治・社会問題などを取り上げて風刺を込めて歌うのが良いとされるのだ。
ただ声高に批判するのではなく、「これは一本取られた」という感じの笑いをとって会場を大盛り上がりにさせると、とてもポイントが高いのだ。「笑点」で言えば歌丸さんか、楽太郎のような感じの人が優勝していた。また曲が始まる前に、何人かの人がステージ上でちょっと寸劇をして、歌の間も細かい芝居をして笑いをとったりするのも笑える。
がっかりしたのは音楽的にはいまいちだったことだ。そんなに歌唱力があるという感じでない人もたくさんいたし、演奏している人はどの歌手も同じバンドで同じ楽器というのも、のど自慢を見ている感じでもの足りなかった。また、こちらの英語の訛りが強すぎるので歌詞が聞き取れず十分に理解できないので、僕らは全く盛り上がれなかった。
でも、カリプソをカルチャーとして考えれば面白いんじゃないかと思うし貴重なものだと思う。年に一度のカーニバルで、日頃の社会や政治への不満を笑いで吹き飛ばそうというのは良い。若者からはもう支持を受けなくなってしまったようだが、いつまで続けることが出来るのだろうか。
期待していたディマンシュ・グラだったが大した盛り上がりもなく、12時前に帰る。
続く