音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

オレンジ/恋の予感2010

2010-05-15 13:43:12 | 映画・ドラマ・音楽
リーダーがますますお盛んな安全地帯ですが、出演したTV番組など見るに、あまりに飛ばしすぎて息切れしないか心配になってきます。一応病み上がりですしね。くりきんとんさんも同じようなことを書いておられますが、オールドファンの思いは共通なんでしょう。

7月から始まるツアーも無事完走できるのか・・・。私の持っているのは8/12大宮ソニックシティのチケットですが、こうなると席は後ろでも序盤の日程を選べば良かったかと、ちょっぴり後悔しています。安全地帯の公演を観に行くのは約20年ぶりになりますが、過去には玉置ソロが本人の大腸炎かなんかで中止になったことがあります。それに私の贔屓のギタリストである武沢豊は、何故か昔からコンサートツアーとの巡り会わせが悪く、交通事故や病気で度々離脱しているのです。武沢のいない安全地帯を想像したくありません。

オレンジ
良い曲ですね。コチラ様は構成が「ショコラ」と共通していると書かれておりますが、強いていえば「Too Late Too Late」(1988年『月に濡れたふたり』収録、レイ・チャールズにも提供した曲)にも雰囲気が近いかな。でも「オレンジ」のスケール感と重厚さは、今の安全地帯だからこそ出せるものです。AメロからBメロにかけては、ゼロ年代前半に軽井沢でさっちゃんと作っていたソロっぽい感じですが、一転サビのメロディラインは全盛期を彷彿とさせ、なんとも泣かせます。

このシングルは珍しくお皿を買わずにiTunes Storeからダウンロード購入したため(結局iPodでしか聞かないので)、他のサイトを眺めていて知ったのですが、「オレンジ」にはあのBAnaNAこと川島裕二と中西康晴のクレジットが入っているという! 1981~82年の井上陽水ツアーでバックバンドとしてともに苦楽をともにした戦友ですが、安全地帯とのコラボは本当に久しぶりです。3枚組超大作「Ⅴ」以降は大編成になった安全地帯ライブでも、二人は欠かせない存在でした。

不思議なことに、中西康晴という人は私の大好きなアルバムにことごとく深く関わっていて、山下達郎「POCKET MUSIC」、井上陽水「LION&PELICAN」、オリジナルラブ「DESIRE」などいずれも日本のポップス史に残る傑作ばかりです。70年代に上田正樹&サウス・トゥ・サウスというバンドのキーボード奏者としてキャリアをスタートさせた彼は、山下達郎をして「天才」と言わしめたほどのマスターで、多くのアーチストのツアーやレコーディングに招聘されています。編曲家としてもジャジーでお洒落なアレンジに定評があります。

一般になじみがあるのは、田島貴男の「プライマル」のイントロとアウトロにおける叙情的なピアノでしょうか。生硬さと柔らかさを併せ持つテクニシャンですが、「オレンジ」では、どこで弾いているかと思いきや、序盤にちょっとだけ本当にさらりと中西サウンドが利いています。なんか前菜のスープが妙に美味いと思ったら、極上の塩を使っていたという感じですね。今度のツアーには同行するんでしょうか。


恋の予感
「オレンジ」もいいんですが、カップリングの「恋の予感2010」には痺れました。ある意味で、第一弾シングル「蒼いバラ」収録の「ワインレッドの心2010」を凌駕している! 

1984年暮れのオリジナルリリース時、ブレイクした出世曲の余韻も冷めつつあり、このままシングルヒットがないと、多くの一発屋たちと同様に「ワインレッド」のみで記憶されるバンドになるかもしれない分岐点でした。音楽雑誌のインタビューに答えた玉置浩二は「恋の予感はワインレッドの100メートルくらい先を行く傑作だ!」と力説していたのを覚えています。「ワインレッドの心」が童謡「小さい秋みつけた」から着想したとすると、「恋の予感」のモチーフは「月の沙漠」ではないかという新譜評も当時目にしました。幻想的なサウンドと疑問文の反復から始まる(いかにも陽水らしい)歌詞とがあいまって独特な雰囲気を醸し出していたものです。

そして26年後の「恋の予感 2010年ヴァージョン」はどうでしょうか。先のワインレッド2010では、ヴォーカル以外はほとんど原曲のままでしたが、恋の予感はリズムをそのままに、なかなか気の利いたアレンジを施しています。それにしてもこれは金のとれるセルフカバーだと唸るしかありません。徹底的にリヴァーブを排したヴォーカルは、玉置ソロ同様に隣で囁かれているようなナマ歌感覚でゾクゾクさせ、特にタ行(ダ行)のなんともいえない柔らかさなど、その歌唱技術は現代最高峰といえます。

最初に歌入れしたときから、この曲はその後何百回と歌っているわけですから、今の方が技巧で上回るのは当然として、25歳のときより声量がUPしているのは驚異的です。5月26日発売のオリジナルのNEWアルバム「またね」ももちろんですが、往年のヒットナンバーを歌い直した「HITS」(6月発売)も大いに期待できますねえ。個人的にはこちらの方が楽しみかも。特に「Friend」の2010年ヴァージョンなんて要注目で、玉置浩二はその後何人も「フレンド」作っちゃってますから・・・。

小田嶋センセイが最新のコラムで書かれた「古い人間の慰安は、古い場所にしか存在しない」というのは蓋し至言だと思います。ヒットした徳永英明や中西保志の一連のカバーアルバム、高橋真梨子や島谷ひとみが出した男歌集など、要はナツメロですから。中年がみんな新しいものよりも古いものに惹かれているのがわかります。




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