姉歯事件の爪痕は未だ深く、確認申請の厳格化による認可の大幅な遅れは、ディベロッパーの資金繰りにも甚大な影響を与えているでしょう。実際のところ、上場している大手住宅メーカーは相次いで業績の下方修正を発表しています。
そんな中で、明るいニュースがありました。
元1級建築士の姉歯秀次被告による耐震強度偽装事件で、同被告が構造計算を手がけ、ヒューザーが建築主だった横浜市鶴見区の分譲マンション「コンアルマーディオ横濱鶴見」(19戸)で22日、耐震補強工事が終わった。26日から住民が再入居する。横浜市によると、同マンションの耐震強度は当初0.41だったが、補強で1以上になった。姉歯被告が偽装した分譲マンション12物件のうち、改修工事を選んだのは同マンションだけ。
(asahi.com 11月23日)
今日が竣工式だったようです。明日から再入居できるということで、まずは良かったですね。ホームページの充実ぶりからは住民の団結力を感じますが、コンセンサス形成がスピーディーだったのは、全19戸という小規模マンションだったことも関係あるでしょう。ニュースでもこの模様が放映されていましたが、皆とりあえずホッとした感じで、安堵の表情を浮かべていました。
姉歯物件のマンション12棟のうち、使用禁止命令解除が出たのはこのコンアルマーディオ横濱鶴見が初めてですが、「建替」でなく「改修」という途を選んだのも、ここだけです。他の11棟の多くが建替に拘るがゆえに、再建の目処が立たずに暗礁に乗り上げているのに比べて、こうして仮住まいも早く切り上げることができ、追加費用も建替より安くて済みましたから、ダメージを最小限に抑えたといえるでしょう。
このケーススタディーから導かれる教訓は、あくまでもパーフェクトを目指して隘路にはまるよりも、最初から100点満点を求めずに65点でいいと割り切ることが良い場合もあるということです。
心情的には痛いほどわかるんですよ、いったんケチのついたものはリセットして完全リニューアルしたいというのは。改修というのは何となく不完全な感じで格好もよくないと。私も当事者であればそう考えるかもしれません。だからこそ他山の石としたいのです。
だって、最近でも清水建設や竹中工務店施工のマンションで、建設中に鉄筋が少なかったとかなんとかやっているわけじゃないですか。名だたる大手でさえこうなんですから、「発覚した事象の数十倍はその後ろに隠れている」という格言がリアリティを増しています。こんなことをいうと身も蓋もないですが、マンションの完璧な耐震性能なんて、もしかしたら幻想にすぎないのかもしれません。もしそうであれば、そんな見えないものに振り回されたり拘泥するよりも、一度きりしかない人生なんですから、生活第一に考えて立て直した方がよい。
コンアルマーディオ横濱鶴見の人たちが賢明だったのは、多少世間体は悪くても「改修」というプラグマティックな解決方法を短期間で選択したことです。とにかく0.41だったものを1以上まで是正して、なるべく早く住もうとしたわけです。同時にWEBサイトできめ細かく施工プロセスを開示するなど、少しでも資産価値を落とさないように、自分たちでできることはベストを尽くすという姿勢が素晴らしい。なかなか出来ないんですけどね、言うは易しで。
数日前の新聞の全15段広告で、これも姉歯被害物件である愛知県の名鉄イン刈谷がリニューアルオープンしたことを知りました。このホテルは、刈谷駅と一体化しているため駅から0分と絶好の立地で、平成15年に開業したばかりでした。当時、名鉄は発覚後早々に新築する決定をして、すぐに解体工事にかかっていました。私はたまたま名古屋出張で刈谷を訪れた際に、写真を撮ってこのエントリーにUPしたのでした。
あれから2年近く経っているのだから、ホテルの建設工事は結構時間がかかるのだなあと改めて感じます。名鉄グループであれば何とか吸収できても、個人でこの災厄に遭った方たちには本当に同情します。
そんな中で、明るいニュースがありました。
元1級建築士の姉歯秀次被告による耐震強度偽装事件で、同被告が構造計算を手がけ、ヒューザーが建築主だった横浜市鶴見区の分譲マンション「コンアルマーディオ横濱鶴見」(19戸)で22日、耐震補強工事が終わった。26日から住民が再入居する。横浜市によると、同マンションの耐震強度は当初0.41だったが、補強で1以上になった。姉歯被告が偽装した分譲マンション12物件のうち、改修工事を選んだのは同マンションだけ。
(asahi.com 11月23日)
今日が竣工式だったようです。明日から再入居できるということで、まずは良かったですね。ホームページの充実ぶりからは住民の団結力を感じますが、コンセンサス形成がスピーディーだったのは、全19戸という小規模マンションだったことも関係あるでしょう。ニュースでもこの模様が放映されていましたが、皆とりあえずホッとした感じで、安堵の表情を浮かべていました。
姉歯物件のマンション12棟のうち、使用禁止命令解除が出たのはこのコンアルマーディオ横濱鶴見が初めてですが、「建替」でなく「改修」という途を選んだのも、ここだけです。他の11棟の多くが建替に拘るがゆえに、再建の目処が立たずに暗礁に乗り上げているのに比べて、こうして仮住まいも早く切り上げることができ、追加費用も建替より安くて済みましたから、ダメージを最小限に抑えたといえるでしょう。
このケーススタディーから導かれる教訓は、あくまでもパーフェクトを目指して隘路にはまるよりも、最初から100点満点を求めずに65点でいいと割り切ることが良い場合もあるということです。
心情的には痛いほどわかるんですよ、いったんケチのついたものはリセットして完全リニューアルしたいというのは。改修というのは何となく不完全な感じで格好もよくないと。私も当事者であればそう考えるかもしれません。だからこそ他山の石としたいのです。
だって、最近でも清水建設や竹中工務店施工のマンションで、建設中に鉄筋が少なかったとかなんとかやっているわけじゃないですか。名だたる大手でさえこうなんですから、「発覚した事象の数十倍はその後ろに隠れている」という格言がリアリティを増しています。こんなことをいうと身も蓋もないですが、マンションの完璧な耐震性能なんて、もしかしたら幻想にすぎないのかもしれません。もしそうであれば、そんな見えないものに振り回されたり拘泥するよりも、一度きりしかない人生なんですから、生活第一に考えて立て直した方がよい。
コンアルマーディオ横濱鶴見の人たちが賢明だったのは、多少世間体は悪くても「改修」というプラグマティックな解決方法を短期間で選択したことです。とにかく0.41だったものを1以上まで是正して、なるべく早く住もうとしたわけです。同時にWEBサイトできめ細かく施工プロセスを開示するなど、少しでも資産価値を落とさないように、自分たちでできることはベストを尽くすという姿勢が素晴らしい。なかなか出来ないんですけどね、言うは易しで。
数日前の新聞の全15段広告で、これも姉歯被害物件である愛知県の名鉄イン刈谷がリニューアルオープンしたことを知りました。このホテルは、刈谷駅と一体化しているため駅から0分と絶好の立地で、平成15年に開業したばかりでした。当時、名鉄は発覚後早々に新築する決定をして、すぐに解体工事にかかっていました。私はたまたま名古屋出張で刈谷を訪れた際に、写真を撮ってこのエントリーにUPしたのでした。
あれから2年近く経っているのだから、ホテルの建設工事は結構時間がかかるのだなあと改めて感じます。名鉄グループであれば何とか吸収できても、個人でこの災厄に遭った方たちには本当に同情します。
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