今週、NHKハイビジョンで「天才画家の肖像」という番組が3日連続で放映された。
各日一人ずつ特定の画家に焦点をあてた内容となっていて、レンブラント、カラヴァッジョ、ドラクロワが採り上げられていた。
夜9時からの放映ということで帰宅が間に合うか微妙な時間であり、1日目のレンブラントは残念ながら見逃した。
2日目のカラヴァッジョでは、「聖マタイの召命」における「マタイは画中の人物の内の誰なのか」と . . . 本文を読む
この3連休はカレンダーどおり、3日間全くのオフであった。お蔭でプライヴェートに充分な時間を割くことができた。
1日目のメインイヴェントは「アマデイマンドラアンサンブル」の演奏会である。この演奏会については既に触れた(11月4日の記事参照)。2日目には午後から、科学技術館で開催中の「弦楽器フェア」を訪れた。これも既述である(11月5日の記事参照)。
2日目は忙しい一日で、「弦楽器フェア」の前に国 . . . 本文を読む
ウィーン美術アカデミーはかつて一度訪れたことがある。
一見してその名の通り、大学のように見える外観であり、部外者が足を踏み入れてよいものか一瞬躊躇した記憶がある。
展示室も至って質素な作りで、学生の作品でも置いてあるのかと思ってしまうが、展示品の内容はきわめて充実している。最も印象に残っているのはヒエロニムス・ボス「最後の審判」である。著名な「快楽の園」とほぼ同内容の作品であるが作品のサイズは小 . . . 本文を読む
BSで放送された映画「真珠の耳飾りの女」を観た。
タイトルは同名のフェルメールの作品からとられたものであり、この映画もフェルメール及びこの作品のモデルとなった少女との関係を中心に展開してゆく。
もっとも、史実としてはフェルメール本人自体がほとんどその生涯について分かっていない人物であり、「真珠の耳飾りの女」にしてもこの作品にモデルが存在したかどうかという点からしてはっきりしない。ましてモデルがい . . . 本文を読む
絵巻の中巻では、伴善男によって放火の犯人とされた源信が朝廷の使者を迎える場面が描かれる。無実を祈るがごとき源信の後姿、使者の来訪を知って動揺する家中、それが赦免の知らせであることを知って安堵が広がるまでの時間的な推移が鮮やかに描写されている。
中巻の左手では、絵巻全体のターニングポイントとなる、舎人(とねり)の子供と伴善男の出納である男の子供との喧嘩の様子と、子共の喧嘩に手を出した出納に怒った舎人 . . . 本文を読む
上記展覧会に行く。絵巻そのもののサイズが小さいので、どのように鑑賞できるのか若干の不安はあったが、杞憂に終わった。
ただ、やはり相当な混雑であり入館時間には余裕をもって行くべきであろう。
作品の展示のみならず、最新の研究成果及びそこから新たに生じた課題が分かりやすく提示されており、そうした点も含めてトータルに優れた展覧会であると感じた。
伴大納言絵巻は12世紀後半と推測される制作時には一巻であ . . . 本文を読む
出光美術館で開催中の「国宝 風神雷神図屏風~宗達・光琳・抱一 琳派芸術の継承と創造」に足を運んだ。
琳派(と一括りにするのは、実はかなり乱暴なカテゴライズのようである)の芸術に触れたい、という思いも無論あるのだが、何よりこの展覧会では、俵屋宗達作の風神雷神図屏風を実見したい、というのが最大の目的である。
かねてから一度この目で観てみたかった作品であるが、京都建仁寺に所蔵されていることもあり、なか . . . 本文を読む
上記展覧会へ行った。
展示は5つのパートに分かれている。
1.正統派絵画
2.京の画家
3.エキセントリック
4.江戸の画家
5.江戸琳派
1では狩野派を中心とした、当時のアカデミックな絵画群が展示されている。率直に言ってさほど目新しいものはなく、2章以降の絵画における革新性を明確にするための前提と受け取れるような扱いであった。
2で目を惹いたのは丸山応挙である。西洋画、特に遠近法を駆使した . . . 本文を読む
都美術館で開催中のプラド美術館展に行く。混雑を避けるためなるべく空いていそうな時期を窺っていたが、もう良い時期だろうと思い、行くことにした。
プラド展といえば、かつて西洋美術館で開催された同名の展覧会が想起される。このときはゴヤ、ベラスケス、ムリーリョ、エル=グレコ等の名作が多数出品され、大変充実した内容であった。
今回、そうした巨匠たちの作品は少なく前回に比べると若干地味な印象は拭えなかった . . . 本文を読む
バルラハの回顧展は日本で初めてであるらしい。世紀末から第一次大戦を経て、ナチス台頭とともに終息してゆく時期のドイツ文化、特にドイツ表現主義として語られることの多い一群の芸術家には興味がある。(関連記事:パウル・クレー 12月4日)
パリでの習作時代にはさほど目に付く作品は見当たらない。当時の諸作品には、色遣いの面ではロートレック、垂直線を強調したフォルムなどの点でウィーン分離派の影響が感じられ、 . . . 本文を読む
小雨が降ったりやんだりの悪天候だったので、来客も少ないだろうと見込んで国立近代美術館で開催中の「藤田嗣治展」に行った。
閑散時に観ることができるようにと、さらに念を入れてお昼時に着くように出かけたのだが、それでも館内はやや混雑していた。
この展覧会では、パリに移住する以前の作品から晩年再度パリで過ごした時期まで、生涯の全期間にわたる作品を通じて藤田の実像に迫ろうとするもので、日本初公開の作品も多 . . . 本文を読む
風の強さが花粉症への不安をかきたてたものの、陽射しのやわらかさが心地よかったので外出した。目的地は上野。国立西洋美術館で開催中の「ロダンとカリエール」展に行った。
開催後初めての日曜日ということで相当な混雑を予想していたのだが、場内は閑散というほどではないにせよ、ゆったりと鑑賞できる程度の人出で、これは幸運だった。カリエールの名はそれほどポピュラーではないし、いかにロダンが高名であっても、やはり . . . 本文を読む
今はプライヴェートのエネルギーを全て3月5日のJMO定期へ向けているといってよい状態である。
そしてこの演奏会が終わった頃から、いくつかの注目すべき展覧会が同時期に開催される。
3月7日から国立西洋美術館で開催されるのは「ロダンとカリエール」。ロダンはいうまでもなく近代彫刻の父ともいうべき存在であるが、カリエールについては若干の説明が必要かもしれない。マティスの師としても知られる彼はロダンより9 . . . 本文を読む
芸術新潮12月号の特集はパウル・クレーである。彼が長く住んだ、スイスのベルンに「パウル・クレー・センター」が開館し、これを記念して来年2月には日本でも大丸ミュージアムで展覧会が開催される。
クレーの絵を、彼の作品であることを意識して初めて観たのがいつであるかはよく覚えていない。だが大学時代にはその作品と人に相当な興味を持っていたはずで、分厚い画集を購入している。
日本での展覧会は出品作品約60 . . . 本文を読む
東京国立博物館で開催中の「北斎展」にゆく。
期間中の入れ替えも含め出品総数500点に及ぶ大型展である。
作品は年代順に展示されており、画風の変遷を辿りやすくなっている。
かなりの人出であるが、会場の広さもあってさほど窮屈な感じは無い。ただ、鑑賞上の問題点は、作品との間にロープ等によって距離を置く措置が全くなされていなかったことである。
特に初期から中期にかけての作品群の多くはハガキ大くらいのも . . . 本文を読む