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ふたたび「災害復興に役立つ情報活動とは」

2011年03月19日 | 知のアフォーダンス

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 地震、津波、原発事故。被害の状況が少しずつ明らかになるにつれて、あらためて大自然の威力の前に人間がいかに無力かを思い知らされる。だが、危機的状況に立たされた人間が意外にたくましいことも事実だ。これまでも私たちは戦災や震災を乗り越え、残った命と希望の火を絶やさずに生きてきた。東北関東大地震の被害を受けた人々が自ら立ち直るために、阪神淡路大震災における私たちの経験はどのように活かされるだろうか。

 救援活動が進み、ライフラインが復旧すると、被災地はやがて復興に向かう。それは、失われたものの犠牲のうえに、より安全で暮らしやすい社会を創り上げていく過程であり、悲しみを乗り越え、心の傷を癒しながら長い時間をかけて続けられる。1995年に震災を経験した神戸では、10年を経た2005年を節目の年として、それまでの復興の過程を振り返るさまざまなイベントやシンポジウムが開かれたが、この年に神戸のIT企業家有志によって開設されたボランティア・インターネットTVは、今も震災や防災関連の記録を映像として残しつづけている。

 1995.1.17 5:46 阪神・淡路大震災10周年記念事業「復興イベント・インターネット・ブロードバンドTV」には、震災からの復興にあたって神戸が学んだ叡智が集約されていて、きっと、このたびの東北関東大震災の復興にも役立つにちがいない。そのなかに震災復興の過程で求められる情報活動の在り方について考える小さなシンポジウムの記録がある。2005年3月19日(土)に神戸の兵庫県立男女共同参画センターで行なわれた「2005.3.19災害復興に役立つ情報活動」(【一部】集められた震災資料、【二部】被災地での情報活動から見えてきたこと、【三部】討議:災害復興に役立つ情報活動とは、いずれも上記ブロードバンドTV「過去の放映番組」でみられる)と題する、このシンポジウムに私も参加していた。相川康子さん(神戸新聞論説委員)をコーディネーターとする第三部の討議で、まず、震災当時、兵庫県立男女共同参画センターで電話による心理相談を担当しておられた川畑真理子さん(とよなか男女共同参画推進センター相談担当主任)は、震災後の心理相談が情報活動につながっていった経緯を話された。川畑さんたちは、当初、目的を限定しない総合相談として、どんな相談にも対応しておられたが、そのうちに、受けた相談をただ聞くだけでなく、それにどう対処できるか、実際の生活をサポートすることにどうつなげていくかという課題に直面し、そこから「心のケア」を「役に立つ情報をきちんと伝えること」や「現実的に対応すること」としてとらえなおす必要を感じられたのだという。

 実吉威さん(市民活動センター神戸理事長)は、市民が情報の担い手になるという視点から市民のネットワークを形成し、「震災・活動記録室」において情報を残し、伝え、使う活動に取り組んでこられた。その一つとして、復興住宅の供給に関する市の情報が被災者に伝わりにくいことから、それを分かりやすく噛み砕いて作り直す「手引き作り」や「マップ作り」を行い、やがて、行政から流される情報を分かりやすく伝えるだけでなく、行政にたいしても市民の声を伝える双方向のコミュニケーションを行なうことになったという。

 稲葉洋子さん(2005年には国立民族学博物館情報サービス課長)は、震災当時、神戸大学で震災資料の収集活動を行い、「震災文庫」の立ち上げと公開準備にたずさわっておられたが、研究用に資料を収集・保存するだけでなく、市民に使いやすい形で資料を提供するインフラの充実を行ったという。シンポジウムでは、その経緯とノウハウを話された。参考図書:『阪神・淡路大震災と図書館活動 神戸大学「震災文庫」の挑戦』(西日本出版社)

阪神淡路大震災と図書館活動―神戸大学「震災文庫」の挑戦
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