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フリージャーナリスト・日隅一雄さんの死を悼む

2012年06月13日 | マミム・メモ

  

 フリーのジャーナリストで市民派弁護士として知られる日隅一雄さんが、昨夜(2012年6月12日午後8時28分)に亡くなった。死因は、昨年5月に余命半年と告知されていた末期胆のう癌による腹膜炎だった。新聞記者だった日隅さんは、かねてから市民の立場に立って公権力とそれにおもねるマスコミの在り方を批判し、弁護士としても多くの住民訴訟に関わって権力に立ち向かう住民を支援してこられた。とりわけ3.11の福島原発事故が起こってからは独立ジャーナリストとして政府や東電の責任を追及してこられた。私が日隅さんのことを知ったのは昨年の3.11以後のこと、編集長をつとめておられたNews for the People in Japan(NPJ)と個人ブログ「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄」を通してであった

 日隅さんの活動を知って1年ほどにしかならないが、余命を惜しむかのように精力的な活動を続けられ、救急車で病院に運ばれる直前まで一貫してジャーナリズムの可視化とネット上の情報流通促進に取り組み、市民と立場から権力に立ち向かい真実を問いつづけてこられた日隅さんに強く心を打たれる。共著書のある木野龍逸さんによれば、「日隅さんは、日曜日に講演、火曜日の朝に急変で病院に入り、半日後には亡くなるという早業で、ある意味では本望だったのかもしれないと思います。病院に入って活動できなくなるのを嫌がっていたので」という。まさに気骨あるジャーナリストとしての人生を全うされた

 日隅さんの最後のブログ記事「消費税増税報道が官僚らによって振り付けられていると思う決定的理由!」だった。

 最後のツイートは「原発再稼働、国会事故調の東電・官僚への肩入れ、消費税の増税…。清志郎が生きていれば、若者がもっと関心を持ってくれたはずなのに…。正面突破してきた野田の地元で落選運動を、誰か展開してほしい」だったそうだ。

 そして、最後のメールは、11日の月曜日に事務所の先輩、山口広弁護士に宛てた「Re: 東電値上に係る公聴会」だったという。

 だが、こうした切り口の鋭さにもかかわらず、ネット動画に登場する日隅さんは「闘病」という印象とはほど遠く、いつも肩肘を張らず、人なつっこい笑顔を見せておられた。私は、その飄々とした風貌と語り口に魅かれた。

 私は、このブログでも3月7日の自分の誕生日の記事をはじめ、数回にわたって日隅さんの活動と著書の一端を紹介させていただきました。著書とブログを通じてではありますが、3.11以後、マスコミやジャーナリズムについて実に多くのことを学ばせてくださった日隅一雄さんは、私にとって暗黒の海を照らす灯台のような存在だした。ここに、あらためて心からの敬意と深い哀悼の意を表し、ご冥福を祈りたいと思います。

TBS報道の魂「バッヂとペンと~日隅一雄の闘い」(6月17日深夜01:20~01:50) TBSは自らが「マスゴミ」と呼ばれないために、ジャーナリズムの在り方を問いつづけてきた日隅さんの遺志をどのように受けとめようとしているのだろうか?(系列各局の放送日時はこちらを参照)

【主な著書】

『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』現代人文社、2008)

マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか(補訂版)? 権力に縛られたメディアのシステムを俯瞰する
クリエーター情報なし
現代人文社

『検証 福島原発事故・記者会見 東電・政府は何を隠したのか』(木野龍逸さんとの共著、岩波書店、2012)

検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか
クリエーター情報なし
岩波書店

『「主権者」は誰か』(岩波書店、2012)

「主権者」は誰か――原発事故から考える (岩波ブックレット)
クリエーター情報なし
岩波書店

  

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