ぼけ

夜の買い物から帰ってきた。
俺は居間でパソコンを立ち上げていると、かみさんはキッチンで
冷蔵庫に買ってきた物を入れてるようだった。
そして自分のおやつを抱えて二階に上がって行った。
二階の部屋のドアが開く音が聞こえたと思ったら、
とんとんとんと階段を下りてきた。
居間に入ってきて首をかしげてなにやらうろうろ。

「なにした？」と俺が聞くと、「なにしに来たか忘れた」だと。

「はぁ？」「大丈夫かよ」と。

テーブルの上の薬を見て「そだ」と胃腸薬を取り出した。
サイドボードからコップじゃなく、ジョッキを取り出し。
いつもコップじゃ飲み物が足りないってジョッキ持っていくけどね。

キッチンの冷蔵庫からジョッキになにやら入れてきた。
牛乳だな。
テーブルをぐるっと回って俺の横にあるポットのことろに来た。
「あれ？」牛乳にコーヒーでも入れるのかと。
いつもはコーヒーをジョッキに入れて、お湯で溶かしてから牛乳を
入れて二階に持っていく。
牛乳を先に入れてしまったことにポットのところまで来て気付いたようで。
「なにやってんだよ」と俺に言われてふくれっつらで二階に上がって行った。

またすぐに降りてきた。

「なにしたって～」と俺が聞くと、「薬どこにやったっけ」と。
どうやらキッチンのゴミ箱に捨てちゃったようで。
ゴミ箱をあさって拾ってきた。

「あったあった」と二階に上がって行った。
俺の目の前のテーブルの上には牛乳の入ったジョッキが鎮座してる。

笑いをこらえてるとまたすぐに二階から降りてきたかみさん。
「ボケたのか？」と俺が言うと「すみませんねぇ」と怒ってる。

笑いをこらえながら風呂に入った。

シャンプーしてボディソープのポンプを押した。
出てこない。
そういえば無くなってたっけと。
持ってみると重い。
詰め替えたんだなとせっせと押した。
それでも出ないからポンプをはずしてみた。
なんだか中身の液体がどろっとしてる。
あれ？
入れ物をよくみると「ヘアコンデショナー」。
最近どうも泡立ちが悪いと思ってたら、ボディソープと間違えて、
ヘアリンスで身体を洗ってたようだ。

俺もボケたかも・・・