腎瘻を付けてから二日経った七日の日。
尿はたくさん出てきていた。
でも腎臓の働きは依然として最悪で。
尿が出でるからといって良い訳ではないことは分かっていた。
呼吸もだんだん苦しそうになって来た。
そのため口を開けぱなしで呼吸をしているので、口の中もカラカラになっている。
口の中を湿らすスポンジで...パパさん舌を出して~湿らせるよ。と言うと
ペロペロと出したり引っ込ましたりしてふざけた。
もうほとんど口もきけないくらい苦しいのに
そんな時なのに....私たちに面白い事をして笑わせ様とした。
それがなんだかいじらしくって胸がいっぱいになって涙を流しながら笑った。
もうひとつ笑ったことがある。パパさん~ちょっと目を開けてと言うと
パッチリと大きく見開いて笑わせてくれた。
看護師さんも今日はご主人様に笑わせてもらったんですよっ。と言っていた。
この日は苦しいと言ってもそれの点滴をしてもらっていたのでまだ何とか持っていた。
ところがその点滴が切れるとまた呼吸が苦しくなってしまうというこの繰り返し。
肺にも水が溜まっていると言われた。
パパさん苦しいね。頑張ってね。辛いね。
息子は可哀想だと言っておいおいと泣き続ける。
余りにも泣く息子に...本当は余命半年って言われていたの。
今まで言わないでごめんね。パパさんにも言っていなかったんだ。
知らないで良かった...ありがとう....言われたら僕は仕事にならなかったから。
そして....
お父さん! ぼくはいっぱい心配かけちゃったね。
ごめんね.....と叫ぶように言ってまた泣いた。
父親がもうすぐ死ぬなんて思ってもいなかった息子だから。
きっと....どうしょうもなく悲しかったんだと思う。
これまでも息子は熱心に色々と調べて父親に尽くしてきた。
それは私も驚くほどの執念の様なものだったから...
だけど....だけど...まだ死んでもいないのに..泣きすぎだよっと私と娘は思っていた。
この日から....
兄たちや弟からのラインが頻繁になって来た。
この後ずっと...最期の時まで生々しいラインメールが続くことになってしまった。
え....どうしてこうなっちゃったの!!!
持って数日ってどういうこと!!
泣きたい時は泣いた方がいいよっ。だけどみいやんは気丈だね。
これからすぐ会いに行くからね。
この日の午後に兄夫婦と姪たち三人が駆けつけてくれた。
このときは丁度点滴も効いてきた時だったから
ほら...パパさんが大好きな人たちが来てくれたよ。と言うと。
本の一瞬だったけど、にこっと笑ったような気がした。
夜になってますます苦しそうになって来た。
弟も少しでも楽になるようにとエネルギーを送ってくれた。
だけど....私はもう.....この日から家に帰っちゃいけないと思った。
娘と息子は出来る範囲一緒に付き添ってくれたので本当に嬉しかった。
身体の様子を計っている機械....
一晩中.....気になって仕方がなかった。
数値が悪くなると赤い点滅で警告音が病室に鳴り響いた。
それはナースステーションでも同じ様に鳴っていた。
看護師さんが慌てて様子を見に来る。
あぁ...どうなるんだろう。不安が募った。