平成8年5月
有笠山は流紋岩の鋭い岩肌を剥きだした山で標高888mとさして高くはないが頂上迄は
鎖と梯子が連続する岩場も有り大変楽しめるコースとなっている(説明板より)
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沢渡温泉から暮坂峠に入る左側の岩の塊が有笠山だ
岩登りは有るのだろうか、鎖は設置されているのだろうか、藪漕ぎは?
資料も何も無く様子が見えないだけにチョッピリ不安を抱えての入山だ
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/3a/0691962d17b8cef3441b83b58e0c7bc0.jpg)
(略)
林道に入ると略史やコース、タイムが記された立派な看板立っていた
これで不安は解消された
若葉萌える清々しい季節、山の精気を胸いっぱい吸い込んで出発
初手から始まった不揃いの階段を上り詰めると東屋が建っていたが未だ休む程
歩いていないので遣り過し左にやや広い登山道に歩を進める
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/c1/34a0b12f8cbbfd72b3babfa96381bfa1.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/e6/cf01a16de4b3938c82ec074887b640cb.jpg)
西の石門の案内板が有る辺りが有笠山の
基部らしく道も急に狭まり傾斜も増してきた
途中やや不明瞭な道を拾って行くと岩に突き当たった
枯れ葉が多いため踏み跡らしきものは無いがロープを頼りに岩を巻くと
岩棚になっており垂直の岩にロープが垂れている
それを目で追うとハーケンが所々に打たれているので
ここはどうやら岩登りの練習場らしい
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/50/c50093f4c808ad834a7b8efedf962afd.jpg)
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脇の岩穴を潜るとその先は切れ落ちていて先の岩棚までは1m50㎝程は有る
飛び移るに欲しい加速場所は無く足場も悪い上に掴む岩角もおぼつかない
へつり部分に手を、一段下がった部分に足を確保し無理矢理、体を押し上げる
しかし今度は岩が邪魔をし這いつくばって前に進む格好で漸く向かい側の
岩棚に辿り着く事が出来た
だが、あぁ無常 この先は行き止まりなのだ
(略)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/a4/9f812beea9ee0d95a1225cdf2024cd99.jpg)
東登山道との合流点を左に折れると暮坂の道が蛇の様に
くねりながら伸びているのが眺められる露岩に出た
右上には鎖が垂れ自然、気持ちが高ぶる
30mは優に超える鎖と梯子の途中には足場が悪くムズムズする様な所も
有ったがクリアした後の爽快感は何時もながら戦いに勝った者の気分だ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/c7/5db9bd2477004081da749eb2d25b30e7.jpg)
鎖場から雑木が密生する急斜面の登りに一喘ぎで、やがてポッカリ空いた
明るい静かなピークに達した 山頂は直ぐ奥の木立の中だ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/5a/9e108ab3589e487c411edd0090dd9b45.jpg)
手前のピークに戻りシートを広げ日本酒を片手にしばし同定
雪を被った白根山、意外な貫録を見せる小野子山以外は取り立て褒める様な
ものは無く展望には少々物足りなさは有ったが人の気配も無く
こうも静かだと山が自分の物の様に思え満足度は高い
しじまを破ってキツツキのドラミングやカッコウの鳴声が谷間にコダマした
(略)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/b4/73cdbf5be1d24803ae13bf91a668fa67.jpg)
東屋で休み階段をノンビリ下って行くと前方にカモシカが
「シャッターを押すまで其処に居てよ」とジリジリ寄った
フラッシュに驚いたかフーと息を吐くと斜面を物凄い勢いで下って行き
下山口に近い所では一羽の雉が突然、駆け抜け
あれよあれよと言う間に姿を消してしまった
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/dd/fe6ff6beff47ae6d518737f0f43bbbb5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/51/250eb513541d301c26e8f7b8a30e093e.jpg)
何だかこのまま車に戻るのは惜しい気がして沢沿いを散策
釣り客だろうか、二人の男性の姿が樹間に見え隠れしている
見あげれば、たった今格闘した有笠山が岩を天に突き上げる様にして
毅然と佇んでいる
何か全体がノンビリしていて気怠さの中に身を投じている様だった
その時だ
凄まじい勢いで三頭のカモシカが川を横切った
一瞬の出来事に金縛りに有った様に体は動かず声も出ない
凄い迫力だった
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中之条の折田付近の一面のレンゲ畑を車窓から眺め〆の♨へと・・・
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有笠山は、さほど高くない山のようですが、
冒頭の写真を拝見すると険しい山だということがよくわかります。
西の石門。自然のいたずらとはいえ、これもすごいものですねぇ。
日記に記された、ヘツリを腹ばいで進まれる絵など、こんなところをよくまぁ〜・・・
と、絵を見るだけでも足がすくみます。山登りではなく岩登りそのものです。
三頭のカモシカが川を横切る姿なども目にされて、この山の印象も強烈だったようですね。
地理院地図には登山道は記されてないようですね。
しかも中腹の等高線の混みあってること。
山椒は小粒でもぴりりと辛い、静かな山歩きができる山なんですね。
「群馬の山歩き130選」には東、西登山口からの案内が載っているのに見過ごしていたのは、山頂からの展望のせいかも?
以前は鎖があるだけで心躍ったのですが、最近はちょっと弱気
さあ連休、と思っていましたが、一昨日から腹痛でまともに食事がとれていません。ちょっと遅い寝正月になりそうです。
ただ見ての通り岩山ですから当然、鎖や梯子に助けられて登る訳で
この頃は岩登りが好きでしたから俄然、張り切ってしまう私でしたが、でも油断しない様、それだけは意識下に置いて(どの山でも)行動しておりました。
こんなコンパクトな山の中に石門、鎖、梯子、へつり、展望と、まるでアスレチックの様な山でしょう
オマケに野生の動物まで現れたりして「うろこ館」では有りませんが
宝の詰まった様な山でした。
この山が気になった当時はまさか登山道が有るとは思ってもいませんでしたが、それでも気になって或る日、もしやと思って山に向かう林道に
車を向けましたら、そこに登山口の表示が有ったではないですか。 「それでは」と後日、行動に出た訳です。
この山は偶にクライマーが練習に訪れる位で余程、物好きな者くらいしか登らない静かな山みたいですね。
駐車場に停めていた車は釣り客ばかりでした。
腹痛ですか、いけませんね。 niceさんが、この返事を見る頃には痛みも治まって粥くらい食べられる様になっていると良いのですが。
早く治して元気な姿を見せて下さい。
はあ~っ、楽しみにもいろいろあるものですね~
この急峻な登りをいとも簡単に登ってしまう。
そんなお二人に感心しきりです。
しかも、カモシカとの出会いは強烈でしたね。
これはすごい思い出です✨
そんな事が大人になっても引きづっているのでしょうか。
若い頃は鎖やロープ、三点支持での岩登り(軽いフリークライミング)が楽しくて仕方ありませんでした。
もう一つの理由は体力があまりないものですから足で登るより腕力で登った方が楽だと言う事も有ります。
だからと言って順調に来たわけでも無く骨折も有りましたし足を滑らせて途中の木に掴まって事なきを得た事も有ったんですよ。
予期せぬ生き物との出会いと言うのは興奮しますね。
山のフィナーレを飾ってくれる、こんな出会いは心に残るものですよね。
私が連日歩き回る山は829mですが穏やかな登山道です。それに比べ凄い山ですね。でも登ってみたい!
カモシカは北海道にいませんが、エゾシカの雄に出会った感じかもしれませんね。エゾシカでも雄の大きさは2mほどもあり威嚇されたら震えるほどの驚異です。群れを護る立場なので凄い迫力です。ヒグマも雄鹿は怖いと思いますよ。
ブログの文章はまるで小説でも読んでいるような感じになります。登山記録の本でも出版してます??
文章力や想像力も素晴らしいですよね。
私も対岸に居たウリ坊を一度だけ見た事が有りますが、きっと親も近くに居たのでしょうね。
エゾシカの雄は2mも有るのですか。勿論、私は見た事が有りませんが突然、目の前に現れたら・・・私だったら腰を抜かしてしまうかもしれません。
カモシカは1m~1m50㎝位ですし以外の大人しい性格ですよ。
有笠山、小粒とは言え中々面白い山でしょう!思い出に残る山に取り上げる様な山では無いのですが何故か頭に残っておりましたので取り上げてみました。
>ブログの文章はまるで小説でも読んでいる様な・・・
野付ウシさん、褒めすぎです。
>出版?
とんでもない。