たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(続き)心に残る思い出の山 岩菅山(2295)

2020年05月13日 | 心に残る思い出の山

続き

後方、裏岩菅山

アルペンムードに一変した尾根上を踏む足元はイソギンチャクの様な霜柱が頭をもたげ枯草には霧氷がビッシリ付着して11月も初旬だと言うのに既にキンキンの冬だった。 展望は雲が多く全体に薄く煙りがちで余り良い条件とは言えないが今まで木々に隠されていた東側の景色も開け、その中には馴染みの榛名山の姿が有った。

(それにしても私の格好! どうぞ遠慮せずお笑い下さい)

今まで高度を稼がなかった分を取り戻すかの様な階段登りは思いの外、きついアルバイトだったが増々広がる景色に気を紛らわせて何とか登り切った山頂は三角点も秩父宮様の登山記念碑も社も全てが寒風の中に凍てついている。 何はともあれ強風を凌げる小屋に飛び込んだ。

が、小屋の中も頭がキーンと痛くなる程、冷えている。 ストーブで暖をとり、やっと一段落  

お腹も満たされ体が温まったところで外に出てみると、まさか誰も居ないと思った山頂に若い男性が一人、寒そうに、だが満足そうに坐っていた。  何時の間にか西側の雲が切れて白銀に輝く北アルプス群が遠望され、その前に青く頚城の山々が連なっているのが見える。 この迫力がどこまで伝わるか分からなかったが大急ぎでその雄姿をカメラに収めた。 雲が左に移動すると天を衝く槍ケ岳が加わり増々雄大さを増していく景色に惜しげも無くフィルムを消費していた。

残念ながら苗場山や鳥甲山方面は厚い雲の中に在り最後まで姿を見せる事はなかったが右に目を転じて行く先に富士山の姿を捉える事が出来たのは何よりも嬉しかった。 こうして若者を交えて三人、強風に震えながらしばし眺めていたが寒さに膝がガクガク震えだし再び小屋に逃げ込んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アライタ沢で一休み

どでかいツララを持って一寸おふざけ  シザーハンズでござりまする

帰路は終始、右に岩菅山が視界に在った。その名が示す様に菅笠の形で坐している。林道に降り立つまで登頂の出向かえが出来なかった分を詫びるかのように何処までも何処までも見送ってくれた。そして私達が林道に降り立った時、役目を終え安心したかの様に湧き上がるガスに姿を消した。

志賀林道より笠ヶ岳を望む、右後方に北アルプス

スキー場を張り巡らす岩菅山は自然の姿が失われた山と言うイメージが強くリストから外していた山だったが、いざ登ってみると此処が観光地のど真ん中に在る事を忘れてしまう程 寂峰の趣きに満ちた山である事に改めて奥志賀の良さが実感できた今日の山行だった。

日帰り温泉→発哺温泉は2時までの為 草津の大滝の湯で一浴 

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10 コメント

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Unknown (1-102popra)
2020-05-13 17:50:29
素敵な登山カップルですね💛お幸せそう💛紀行文も冴えていますね(*^^*)
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岩菅山登山 (イケリン)
2020-05-13 18:37:17
たかさん
絶景ロードと呼ばれる志賀草津道路を通って向かわれたのですね。あの道は素晴らしいですねぇ。
奥志賀の11月といえばかなりの冷え込みようでしょう。
当然雪の日もあって、道路脇に雪があって当たり前なのかもしれませんね。
それにしてもこの樹氷は見事なものです。樹氷の破片が痛いと書かれているように
ひとたび風が吹けば、雨あられ以上のダメージを受けそうです。 こういう時のストーブはありがたいですね。
そんな思いをして登られた山だけに思い出深いものがあることでしょう。今回も冒険心に満ちた登山でしたね。
たかさんの格好・・・そう違和感を覚えませんでしたよ。)^o^(
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寒そう (ベル)
2020-05-13 18:39:56
こんにちは
雪の残った山頂 凄く寒そう
風が強いときって体感温度は強烈に寒く感じますね
温まって外出たらいないはずの人が座ってた
しかも一人で ちょっと怖いかも
雲の切れ間から綺麗な山々が現れてきたんでしょうね
しんどい思いした人にしか見れない景色
見てみたいですが無理ですね

何時もながら綺麗なまとまった手書き地図
たかさんの几帳面さが表れてますね
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小説を読んだ気分♪ (越後美人)
2020-05-13 21:43:10
流れるような文体で、登山のことはよく分からない私にも、
状況がすーっと頭に入ってきました。
読み終わってみたら、なにやら小説を読んだ気分になりました。

内容は結構ハードでしたね。
頭がキーンとなる寒さとか、強風に震えながらとか、根性がないと耐えられません。
チャレンジャーですね。

冒頭の写真、遠慮なく笑わせてもらいました!(^^)!
手の先も引っ込めておかないと寒いからね。
可愛い恰好でした(^^♪
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紀行ブログに思う (Balaton620)
2020-05-14 09:13:14
たかさん、
こんにちは!
たかさんのブログ、非常に参考にさせられます。
私も過去にいっぱい紀行文的なブログを投稿してきましたが、風景に人物をいれるのをやらなかったが(勿論人物を入れた写真はあるのですが)、自分や同行した人をちょっと挿入するの、ヒッチコックや松本清張などが映画でよくやっていた手法ですが...
ブログって人に見せるより自分の為ということに力点をおくとその方がいいですね。 日記的なブログも大抵は自分の為のものですよね。
そして紀行文で、知らない人のためにも順序だって
地図で示してやる。 これも人に読んで貰うためにもいいですね。 と今頃、思っても、遅いのですが私としては。 ありがとうございました。 Balaton
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popraさん、こんにちわ (たか)
2020-05-14 11:35:46
夫婦と言うのは気を使わなくて良いので
山の様な苛酷な場所では最高のパートナーと言えるのかもしれないですね。
性格の不一致が良く取りざたされますが我が家はその最たるものなんですよ。
育った環境が違うのですから当たり前と思って何とか上手くやっております。
>紀行文、冴えてる・・・
     ワォ 単純人間、大喜び。 有難う。
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イケリンさん、こんにちわ (たか)
2020-05-14 12:26:45
志賀草津ルートは私も大好きです。どこか異国的なムードが有りますよね。
ただ最近は火山規制で車外へ出られない場所があったり一部通行禁止の場所も有ったりで最近は足が向かなくなりました。 今頃は雪の回廊が楽しめる時期なのですけどね。 雪と言えば志賀は雪質の良さが有名で至る所にスキー場があり、私も良く滑りに来たものでした。

危険個所は無くも奥の深い山であり、その厳しさを物語る様に遭難碑が寂しく立っておりました。小屋は無人ですが、こんな時に火を起こす事の出来る小屋の存在は有り難いですね。 そうした中、樹氷の美しさは、とても言葉に表せないほど美しく、まるで夢の中に居る様でした。

私の格好、やはり変!  娘にスキー服を新調してあげましたので、そのお古を着ての山行だったのです。
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ベルさん、こんにちわ (たか)
2020-05-14 13:02:50
以前、良くスキーに来ましたが、このエリアの寒さは持参したが凍るほどなのです。
でも服に雪片が付くと顕微鏡が無くもあの幾何学模様の結晶が見えたり、時にスターダストを目にした時の感動は大きいですよ。

山は単独登山者も結構おりますから、そこに人が居ても不思議な事では無いのですが
どんな条件下でも登って来る人はいるものなのですね。 彼は姿を見せた富士山に見とれていたと言っておりました。
山頂までは確かに辛い道のりですが大きな喜びを提供してくれます、だからまた登りたくなってしまうのでしょうね。

手書き地図・・・私は決して几帳面な性格では有りませんがこれも趣味の一つかな!楽しんでやっておりました。
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越後美人さん、こんにちわ (たか)
2020-05-14 13:27:45
流れる様な文体だなんて嬉しい事を言って下さるでは有りませんか。本人にその自覚は全く無く、ただ、その場その場の状況を、そのまま綴っているだけなのですけどね。でも、どんな状況下を歩いているか解って頂けたのは嬉しい事です。有難う。

志賀方面は気温が著しく低く夏でも半袖だけではいられない日も有ります。噴火の心配が無ければ別荘でも建てたいくらい。
冒頭の写真、やっぱ笑ってしまう格好ですよね。 今は山ガールなんて言葉も生まれましたが私の登山スタイルは何時も有る物を着ていく、又は昨日来ていた物を山から帰ったら洗えば良い、そんな感覚でしたので到底、カッコイイとは言えないものでした。でしたでは無く今でもそうかな!
性格なんでしょうね(>_<)
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Balatonさん、こんにちわ (たか)
2020-05-14 13:51:04
以前、写真と言うと風景を写すだけでなく素晴らしい景色の前に必ず人物を立たせておりました。
ヒッチコックや松本清張の様な計算された物が有っての事でしたら大したものですが当時の私はそれが写真の写し方と思いこんでいた様です。
今では写し方も随分、変わりました。本人を入れるにしてもポートレートでは無くさりげなくに変わって来たでしょうかね。
紀行文を写真に添えていた頃は登山前にシミレーションで楽しむ、実戦で楽しむ、写真を楽しむ、紀行文を書いて楽しむと言う風に一つの山を色んな形で何度も楽しんでおりました。
そうして溜まりに溜まったアルバムも今では書棚の大半を占めている有様です。 写真なので本人が何とかせねばならず整理の手段として主だった山を抜粋し、こうして残して置けば子供達にも迷惑が掛からない事に気付きブログアップする事にしましたが写真を写し直してアップしていますので肝心な写真が今一と言うのが難です。 でも、これは仕方無い事ですよね。
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