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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

2021年03月05日 05時39分48秒 | 読書・戦争兵器


魂を揺さぶる驚くべき実話。
ナチスの侵攻を受けたポーランドで、動物園を運営するある夫婦が、命をかけてユダヤ人を救おうとした正義と勇気の物語―あなただったら、どうしますか?

中世以来、何度もドイツに占領され、つい最近も1915年から18年までドイツの占領下にあったポーランドでは、ゲルマン人とスラブ人というのが愛国の伝統にまでなっていた。東欧のなかでも戦略的に重要な、のろわれた位置にあるポーランドは、たえず侵略、略奪、分割の憂き目に遭って、そのたびに国境線が膨らんだり引っ込んだりしている。一部の村落などは、まわりの人と言葉を交わすために子供が5つの言語を学ばなければいけない。

グダニクス
クラクフ

人間の鼻は、キュウリからバイオリンに使う松ヤニまで、1万種類もの臭いを嗅ぎ分ける。
焦げた肉と松ヤニの臭いがしたら、それは住宅を猛火で焼き払った焼夷弾が、なかにいた人間まで瞬時に殺してしまったことを意味していた。

ニーチェは『偶像の黄昏』のなかで「死なない程度の試練が、人を鍛える」と書いている。

「所定の地域の外に出たユダヤ人」および「かかるユダヤ人に意図的に隠れ場を提供した市民」は死罪とし、「これを教唆ないし幇助した者も正犯と同様に処罰する、また、未遂行為も既逐行為と同様に処罰する」という布告をハンス・フランク総督は出した。

それに続いて発布された「暴力的行為撃退の布告」は、ドイツ当局への不服従、妨害行為や放火、銃その他の武器所持、ドイツ人に対する攻撃、夜間外出禁止令への違反、ラジオの所持、闇取引、地下活動ビラの家内所持、さらに、これらを常習的に犯している者の通報を怠った者は、例外なく処刑するという内容だった。

ヒトラーはフランク総督に「この地域を交戦地帯、略奪地として容赦なく収奪し、その経済、社会、文化、政治構造を瓦礫の山にする」権限を与えた。そのフランクに与えられた重要な任務のひとつは教師、司祭、地主、政治家、法律家、芸術家といった社会的影響力のあるポーランド人をすべて抹殺することだった。

それが終わるとこんどは、大規模な集団ごとに国民を再配置し始めた。
それは今後5年かけて、86万人のポーランド人を土地から引き離して移転させ、接収した土地に75万人のドイツ人を入植し、130万人のポーランド人をドイツに送って強制労働させ、そして、33万人をたんに射殺するというものだった。

《ビタミン》ポーランドの生化学者カシミール・フンクが1912年に発明した言葉

人がウマを家畜化したのはおよそ6,000年前といわれ、改良もその直後から始まっている。
反抗的な個体は殺して食べてしまい、大人しいものだけを選んで繁殖に使う。そうやって鞍や鋤をつけやすい馬を育てるうちに馬の性質はだんだん変わっていって、荒っぽく手に負えない《野生》が失われてしまった。

ヨーロッパでたったひとつ生き延びた原生林を受け継ぐポーラランドには、ヨーロッパ大陸でも最高の狩場があったのである。
ナチの人間は総じて熱烈な動物愛好家、環境保護論者だった。
彼らは体操をして健康的な生活を送り、定期的に田舎を旅することを奨励し、動物の権利を擁護するための幅広い施策を実施している。

余暇と生態系保全という目的を同時にかなえられることに心を動かされたのは、
物理学者のヴェルナー・ヘイゼンベルク
生物学者のカール・フォン・フリッシュ
ロケット工学者のヴェルナー・フォン・ブラウン
をはじめ大勢の一流科学者たちも同じだった。
第三帝国において、動物は高貴で、神話的で、天使のようにみられていた。
そこには当然、人間も含まれているはずなのに、スラブ人、ロマ(ジプシー)、カトリック教徒やユダヤ人は違うのだった。メンゲレが行なった人体実験では、鎮痛薬をまったく使わずに手術しても許されたのに、ある高名な生物学者はミミズに十分麻酔をかけなかったかどで罰せられている。ナチの異常な動物愛がどのようなものであったかを如実に物語る例である。

人は嘘をつくとき、ふっと忍び寄る感情に負けて、ついつい恐怖や罪悪感を顔に出しやすいもの。
この男の人物像は、風見鶏のように一定しない。
そのときどきで、愛想よくもなれば冷血にもなり、恐い奴かと思うと親しみやすく、目的に応じて態度を変える。
遠い昔の私たちの祖先も、いろいろなタイプの原人同士が交雑したからこそ、より頑丈で、より小ずるい子孫を繁栄させることができた。
今日の人類はすべて、この丈夫でおしゃべりな雑種を先祖とするばかりか、たった100人からつくる遺伝的な隘路を経ているらしい。
アシュケナージ・ユダヤ人(1931年の時点で。全世界のユダヤ人の92%を占めていた)のミトコンドリアDNAを2006年に調査したところ、彼らはすべて、2,3世紀に近東からイタリアに移住した4人の女性のいずれかに遡れることがわかった。

第一次世界大戦中の1915年にトルコで起きたアルメニア人の虐殺
1990年代半ばにボスニアで起こったセルビア正教徒によるイスラム教徒の粛清
1994年にルワンダで何十万人もが虐殺、女性はレイプ、フツ族とツチ族の抗争

ナチのホロコーストは、これらよりはるかに確信的に、高度な技術を駆使し、綿密に、なおかつ野蛮に行なわれた。
「ドイツの犯した罪がなぜ史上最悪かというと、それはこの犯罪が《歴史のスケール》超えた《進化のスケール》で行なわれたものだからである」
他民族の領土を強奪しつつ、血統を浄化せよというヒトラーの一対の命令。

動物にも備わっている恐怖や痛みを、親衛隊の連中はまったく意に介さない。
これはもう一種の猟奇趣味(ポルノグラフィ)で、動物の命より殺戮の時間の快感のほうが大事ということか。

公の場でポーランド語を話すことは禁止、グダニクスではそれは死刑と定められた・
ヒトラーは、配下の軍隊に「ポーランド人の血筋をひくかポーランド語を母語とする者は、男も女も子供も情け容赦なく殺せ。それが、我らにとって必要な生活圏を手に入れる唯一の方法だ」
という指令を下していた。

ヒムラーはそのうえ、キリスト教を深く憎んでおり、ポーランド人は大半が敬虔(けいけん)なカトリック教徒であったために、まとめて処罰されることになった。

ドイツの民族純化省

パンを受け取るにもドイツ人、ポーランド人、ユダヤ人が別々の列に並ばされるようになり、配給は1日の所要量きっかり、しかもその「所要量」たるや、ドイツ人が2,631キロカロリーなのに対し、ポーランド人は669、ユダヤ人はわずか184キロカロリーだったのである。
「ユダヤ人など消えてくれて結構なのだ」

ユダヤ人はレストラン、公園、公衆便所、市街のベンチさえ利用を禁じられた。
ユダヤ人とアーリア人の結婚や性交渉は違法となり、ユダヤ人は芸術作品を創作したり文化的催しに参加することも禁止、ユダヤ人の医師には廃業命令がだされた。
またユダヤ人は伝書バトを飼育してもいけなかった。
■ナチの正式名称は、国家社会主義ドイツ労働者党;NAZI

ドイツのヴェルナー・フォン・ブラウンとヴァルター・ドルンベルガーが開発した29,000基のV1飛行爆弾(ぶんぶん爆弾と呼ばれた)は、時速350マイルでぶんぶんとうなりを上げて3,000フィート上空を飛び、地上の人間を震え上がらせた。標的に達するとエンジンをぴたっと止め、1,870ポンドもある弾頭を真っ逆さまに落とすので、ぶんぶんという警告音が突然途絶えたら、それは死を意味した。イギリス人はこの飛行爆弾に「アリジゴク」というあだ名をつけた。

1939年にドイツで発明された電子顕微鏡で見るシラミは、太った体に長い角、飛び出した眼がついていて、6本の触手で獲物をおびき寄せる悪魔のようだ。
1812年、モスクワに進軍したナポレオンの大陸軍を打ち負かしたのはこの虫だったという言い伝えは、つい最近、科学者によって追認されている。
マルセイユにある地中海大学のディディエ・ラウール博士は、2005年に発表した論文で、「ナポレオン軍兵士の死亡の多くは、シラミに媒介される病気によるものだったと考えられる」と述べている。人に寄生するシラミは回帰熱、塹壕熱、チフスを媒介する。ナポレオンの大陸軍が50万人かえあ3千人まで激減したのも、これらの疫病によるところが大きかった。

ゲットーのなかでも、過密状態のアパートは、たちまちのうちに結核、赤痢、飢餓の巣と化し、チフスに罹った人たちは高熱、悪寒、衰弱、疼痛(とうつう)、頭痛、幻覚に襲われた。

チフスというのは「煙った」とか「かすんだ」という意味のギリシャ語《タイフォス》かたその名がとられている。これに感染した患者は意識が朦朧とし、数日後には発疹が現れ、それがしだいに全身に広がる。
「反ユダヤとはシラミ退治にほかならぬ」

「侵略者どもは、自分たちが呼び出した黙示録の3人の騎士ーー疫病、飢餓、寒さーーすら、ワルシャワ・ゲットーのユダヤ人を滅ぼせないと見てとるや、親衛隊の騎士たちを呼んで最後の仕上げをさせた」
ドイツ側の数字によると、1942年初頭から1943年1月まで、ワルシャワから強制収容所に送られたユダヤ人の数は316,822名。ゲットーのなかで射殺された人たちが大勢いたので、死者の実数はこの数字をはるかに上回るはずだ。

★ワルシャワは緯度が高く、日没時間は6月の夏至の頃には午後9時、12月の冬至の頃には午後3時半と開きがある。

「ドイツ兵に何万人も連れ去られ、殺され、生きたまま焼かれた。ポーランドのユダヤ人300万人のうち、残っているのは10%以下だ」

人間は、宇宙の波と光の感度のよい受信機であり、かつ送信機である。
その波や光は、宇宙全体に生気を与えているが、その性質や作用は、惑星から受ける影響、地磁気、そして景観の物理的形状に左右されるのである。
脳は、危険を窺い知る方法、他人の喜びや苦しみを、言葉に頼らず、繊細な感覚を通じてすばやく察知する賢いやり方を進化させている。


★ヒトラーは末期には梅毒の第3期で、恐らくパーキンソン病も患っていたと思われる。
ヒトラーが列をなす少年と握手を交わすフィルムでは、背中の後ろに隠した左手にパーキンソン病特有の震えが見られる。

★ドイツ国防軍は、集中力、スタミナ、無鉄砲さを高め、痛み、飢え、疲労を減じる様々な薬物を注文していたという。1940年の4月から7月にかけ、依存性があり、気分を変容させる麻薬アンフェタミンの3ミリ錠剤が、3,500万錠以上も納品されている。

★ヨーゼフ・メンゲレのぞっとする実験の材料となる双子の子供を狩り出した。
彼の気に入っていた研究に、眼の色を変えるというのがあり、自分の部屋の壁に、外科的に取り出した眼が蛾の標本のようにピンでとめられ、ずらりと展示されていた。


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