「虚々実々」の亞洲回憶、喜愛香港-035 香港仔-02 でも書きましたが、廟で使う「パイコゥ」というのは、8cmくらいの赤く塗った木製で、二つで1組。
昔は貝殻を使った、という説も有ります。
多分、「大極の陰陽」をかたどってるんでしょうねぇ。
「大極の陰陽」は胎児の形だとか言いますが、勾玉も此形から来ているそうです。
パイコゥの使い方は、両手を合わせた内側に持って、神前で願い事を念じながら床に落として神さんのお告げを訊くんです。
香港漁民の方式では、
丸みのある面が上になったら「陽」平べったい方が上になったら「陰」。
図のように「陰」「陽」がそろうと「好(ホゥ)」。
「陽と陽」は「嘛(マァ)」で「好」と「不好」の中間。
「陰と陰」は当然「不好(ンホゥ)」。
まとめると、
順位 | 組み合わせ | ご神託 |
最良 | 好、好、好 | 何をしても絶対間違い無し |
弐 | 好、好、嘛 | 充分満足できる結果が得られる |
参 | 好、好、不好 | そこそこ満足できる結果が得られる |
四 | 好、嘛、嘛 | 注意して行えば上手く行くやろう |
五 | 好、嘛、不好 | 十分注意して掛かれば何とかなる |
六 | 好、不好、不好 | 万全の体制で掛かれば何とかなるかも |
七 | 嘛、嘛、嘛 | 多分駄目でしょうなぁ |
八 | 嘛、嘛、不好 | 無駄な悪あがきはしない方が・・ |
九 | 嘛、不好、不好 | 無理をすると酷い目に遭う |
最悪 | 不好、不好、不好 | 何もせずにじっとしているのが一番 |
台灣で教えてもらったのは、目の形だというんです
「陰と陽」は∩∪泣き笑いで「好」。
「陽と陽」は神様が∩∩笑っているから「嘛(マァ)」。
「陰と陰」は神様が∪∪怒っているから「不好」。
東南アジア全域で行われている賭博で、2~4個の豆や木ノ実の半割を投げて、その裏表の組み合わせで勝負をするのが有ります。
タイの奥地でも昼日中からやってましたねぇ。
パイコゥと明らかに同一起源やと思うんですが、どちらが先なんでしょうなぁ。
「人生は二者択一の繰り返し」
ほとんどの場合は、善悪、理非、好き嫌い、または性能を比較するとか、何らかの理由付けで事が済みます。
しかし、こう世の中が複雑多様化して、選択肢が多いと、判断に迷う事って有りますわねぇ。
中にはどうにもこうにも、どちらとも決められない事も有ります。
例えば、一卵性双生児の絶世の美女姉妹から求愛されるとか・・。
可能性絶無の話はさて置き、和食か中華か、タヌキかキツネか等の難しい選択が日々刻々目の前に立ちはだかります。
maidoの秘密兵器
そんな時にはこれ!
左のは花桃の種を半分に割って磨いた物、食用の桃の種は薄くて脆いので、こういう細工には向きません。
桃は古来邪気を払うと言われて、かの孫悟空も王西母(西王母)の桃園の桃を食べて天下無敵になったとか。
キョンシー祓いの木刀は桃の木で作るなどとも申します。
そのありがたい桃の種を精進潔斎、身を浄め秘伝の妙技を駆使して創り上げたのが、この霊験あらたかなミニ・パイコゥ。
というのは口から出任せ、そんな難しい事や無しに、たまたま庭に花桃が有って、落ちた実がナメクジにネロネロと食べられて、種だけになって転がってたんですわ。
大きさが手ごろやったから、使うてるんですわ、使い込まれて中々渋い色になってるでしょ?
右は含笑花の枝を削って作ったプチ・パイコウ、ま、裏表がはっきりわかるものならば、硬貨でも何でもエエんですよ。
ちなみに、私の採用しているご神託は
順位 | 組み合わせ | ご神託 |
最良 | 好、好、好 | 今を置いて他に無い、進め~ェ! |
弐 | 好、好、嘛 | 上手い事行く、心配無い |
参 | 好、好、不好 | ちょっと気をつけさえしたら、大丈夫 |
四 | 好、嘛、嘛 | 多分大丈夫やけど、油断はするな |
五 | 好、嘛、不好 | 成功率が五分有ったら、恩の字やんか |
六 | 好、不好、不好 | 一生懸命やったら何とかなるで |
七 | 嘛、嘛、嘛 | ビビッたらあかん、頑張れ |
八 | 嘛、嘛、不好 | 何にでも、多少の障害はつきもの、めげるな |
九 | 嘛、不好、不好 | 骨を切られてもせめて皮くらいは・・・・ |
最悪 | 不好、不好、不好 | 死ぬ気でやって、アカンかったらその時はその時 |
こんなものは洒落やから、自分で適当に決めても何処からも文句の出る筋合いとはちゃいまんがな。
これのお勧めの使い方は、お散歩のコース決め。
しょっちゅう近所を徘徊していると、何処も彼処も行き尽くしてマンネリに陥りがちです。
阿弥陀籤方式も、新たに路地でも出来ない限り、すぐ意外性が無くなってしまいます。
特に目的地を定めずにお散歩途中の十字路で、これを使うんですわ。
「陽陽」は右「陰陰」は左、「陰陽」は真っ直ぐ、という風に決めて進むんです。
これは結構楽しめますし、「あんたの言う通りに歩いてたら行止まりになった。」とか「しょうも無い道ばっかりで面白う無い。」てなお叱りを避けるには持って来いですわ。
何よりも責任を神さんに押し付けてしまえますがな。
目的地は神さん任せ、「神の御心のままに進もう!」等とやってたら、連続で四回同じ目が出て、あっと言う間に家の前に帰ってきてしまう事も有ります。
近所をキリキリ舞いしないためには、毎回の辻々でしないで、幾つ目の辻でするかを決めて神の御意志をお伺いするのがコツ。
それも同じ数ではなく、一つ目の次は二つ目、その次は三つ目で次は又一つ目から、と言う風にすると簡単には振り出しに戻れません。
橋の無い川の中州みたいな所へ連れて行かれて、途方にくれたりするのは楽しいでっせ。
どえらい遠い所へ行ってしもて、とても歩いて帰る気にならず、電車やバスに乗って帰った事も何度か有りましたが、それはそれで結構面白い。
是非一度お試しください。
2004/03/24
2012/02/17 追記
香港では杯[王+交](パイコゥ)ですが、台灣では擲[竹冠+交](ボア ボエィ)と呼びます。