流動のイイ女

妻子もちと別れ⇒いじめで会社を退職⇒脱無職⇒上司と不倫関係⇒約3年の不倫にピリオド⇒復縁、妊娠⇒未婚の母に

愛犬の具合が悪いみたい。4

2007-07-20 | まいと家族
そろそろ本格的に帰らなければ・・・アタシは犬から手を離した。
すると犬が気配を察してアタシの方を見るんだ。見えない目で。
アタシはその場を離れることができなかった。
身体を撫でてやった。お尻についた泥をとってやろうとした。
けれど、これは泥じゃなかった。便だった。
下痢でうまく排便できないから、お尻についてしまっていた。
よく見ると肛門の近くの便は赤かった。これは血便?
でも一昨日見た便の色にも似てる。だから本当のところは分からない。
アタシはリビングに一旦戻り、猫のために買っておいたままのシャンプータオルを持ってきて、犬のお尻を拭いてやった。
タオルには泥のような便のようなものがつき、臭いを嗅いだがやっぱり便だった。
「ごめんね。ごめんね。帰らなきゃ」アタシは泣きながらさすり続けた。
でもこのまま帰ったら絶対に後悔する。
もう生きてる姿を見るのが最後のような気がしてならない。
本当にアパートにつれて帰ろうか。いや、できない。
うちには猫がいる。あの猫はこの犬を認めなかった。爪を立てたことがあったから。
連れて帰ってきても明日も仕事。日中猫と、いきなり縄張りに入ってきた犬が仲良く留守番できるわけがない。
それならいっそ明日休んで、つきっきりで見てようか・・・・できるわけがない。
有給使いすぎだ。
じゃぁどうすればいい?
このまま放っておくの?弱っている犬を置いて?
できないよ。
やっぱり連れて行く?
目も見えないのにそこらじゅうにオシッコやらウンチやらされたらどうするの?
だからと言って蚊が飛びまくってる外に放置?
実家の玄関に入れてもらえばいいじゃない。
だめだ。家の誰もが認めない。
うちは嵐だろうと犬は外。
置いていく?
置いていく?
置いていく?
見殺し?
見捨てる?
どうすんの?
マイナスになるな。今日で死ぬと決め付けるな。プラスになれ!
「-----------------、明日、元気になるんだもんな!薬飲むんだもんな!頑張るんだぞ!じゃぁね!」

アタシは帰ってきてしまった。

帰り道は妄想で頭がおかしくなりそうだった。
こうしている間にも犬は弱弱しく息をして、一人ぼっちで外にいる。
置いていったアタシを恨んでいるだろうか。
明日の朝、犬小屋の前で固まっている自分の姿が鮮明にイメージできてしまう。
そしてアタシは会社を休むんだ。死んだって。
猛烈に涙が出てきた。
アタシは車の中で叫んだ。
「殺した!殺した!アタシが殺したんだ!見捨てた!見捨てた!どうしよう、見捨てた!見捨てちゃった!どうしよう!」
ペットロスになった自分が脳内にいた。
死んでもいない、必死に生きている犬をアタシは頭の中で勝手に殺してた。

アパートに着く。ハンドルを放しバッグを取ろうとした。
犬を撫でていた左手が真っ黒になっていた。
汚れた犬。
いつか梅雨が明けたら洗ってあげようとは思ってた。
祖母も、日曜にお尻を洗うといってた。
アタシは思ったんだ。日曜まで生きていられるのかと。
そしてフィラリアにもかかっている犬を撫でた手で、猫を抱くことはできないなんて薄情なことも考えてたんだ。
猫はいつも玄関で待っている。外に出たいから。
バッグで脱出を妨害して、リビングにおいやった。
手を洗ってから猫を抱っこした。
ご飯をあげて、自分も着替え、食事を取った。
アパートに戻ると、すっかり落ち着きを取り戻していた。

でもそんな自分を許すことはない。
アタシはテレビを見ながら自分を責めた。
ソファの傍に視線を下ろす。ここに犬を連れてきていたら。
アタシは架空の犬の頭を撫でた。
こんなこと考えるくらいなら連れてくればいいのに。
後悔したくないでしょ?
オシッコだってウンチだって。ペットシーツあるじゃない。
オムツ買う手段だってあるじゃない。
外犬を中に入れちゃダメなんて決まり、ないよ?
ほら、今から実家に戻りなよ。
早く、早く。
さぁ。
さぁ。
早く。
さぁさぁさぁ。
戻れなかった。

今、今の今、まさに今、アタシのワンコは何をしているのだろうか。
星を見ているのだろうか。元気にしているだろうか。
祖母は毎日寝る前に水をやっているそうだ。
その時何かあれば電話をくれるに違いない。
電話がこないということは、元気ということだ。
アタシは勝手に決め込んだ。
心配だよ。
元気でいてください。
元気になってください。
病気になってから初めて優しくするなんて、バカだよね。
もっと早いうちから優しくするんだった。
後悔したって戻れない。
中学、高校、一切世話をしなかった。
本当にバカでごめんなさい。
アタシの人生の半分を共に過ごしてきたのに。
ワンコとの思い出が一切ない。
ごめんなさい。
ごめんなさい。

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