流動のイイ女

妻子もちと別れ⇒いじめで会社を退職⇒脱無職⇒上司と不倫関係⇒約3年の不倫にピリオド⇒復縁、妊娠⇒未婚の母に

愛犬の具合が悪いみたい。3

2007-07-20 | まいと家族
帰ってきても犬は相変わらずぐったりとしていて、立ち上がろうとしない。
たまに半身を起き上がらせ、また地面に突っ伏す。餌は手付かずのまま。
可哀相で可哀相で仕方なかった。午後からどうしようかと本気で悩んだ。
今月のアタシは有給を使いすぎている。
職場の皆にも迷惑をかけているに違いなかった。
だから午後からはちゃんと出社することに決め、昼食を取ろうと思った。
まったく食欲はなかった。
玄関に入ると、上から地響きが聞こえてきた。
ズドン、ドズン。ズドン、ドズン。母が二階から降りてきた。
「あら、まいちゃん。おはよ。どうしたの?」
このメタボリックのブタ野郎は今までの音に本当に気づかず寝ていたみたいだった。
アタシは母親に言った。「犬の具合が悪いの」
『あらそう、病院は?』
「連れて行ったよ」
『ほっとけよ!!』
また出た、ほっとけ。
治療をせず、殺せと。自然に逝かせろと。
『で、いくらかかったの?』得意の、大好きな金の話。
「言わない。でも高かった」金額を正直に言ったら、もうやめろと言うに決まってるから、絶対に言いたくなかった。
でも高かったと言う言葉に母が反応するといけなかったので、あわてて「薬もポンプも買ったから、いつもより高くかかっただけ」とフォローしてしまった。
親にも心を開けないアタシがいた。
『薬はいくらだった』
「8,000円」
母は、黙って万券を財布から出し、アタシの元へ放った。
破り捨ててやりたかった。
母と二人で昼食を作り、食べながら言った。
「パパは昨夜、犬をぶったの?」
『ぶったんじゃない?明け方鳴いてたから』
「クソ親父。外に出るなら水を持っていけばいいだけのことなのに」
『水はやったんじゃない?その後にぶったんでしょう』母は平然と言った。
「パパって愛情に恵まれずに育ったの?暴力を受けて育ったの?」アタシは聞いた。
『なんで?』
「そう思って。やっぱり暴力を受けて育ったから、自分より弱いやつに暴力をふるうんだね」
『誰から暴力なんて話きいたの?
「ばーちゃん」言った途端、母がうれしそうになった。
コイツは他人の不幸が大好きだ。
これが我が家の日常。犬への暴力が普通になっている。鎖でつながれた老犬。
「クソ親父・・・・殺してやる。あと犬の餌増やしたから。今は高級な餌にしたし」
増やしたから、もう残飯や道端の物を食べるのをやめさせてくれ。
『高級って、いくらよ』またこのブタは金の話には食いつく。
餌の金額も言わなかった。
『犬なんて、卵かけご飯やってればいいんだよ』ね。言った。
「オメーが病気になった時は、食事すべてを卵かけご飯にしてやるよ。そして治療はせずに放置して殺してやる。そんでもって、父親が弱って入院かなんかした時は、痛いとか苦しいか言った時は、うるさい!って言って父親を殴ってやるんだ。お前たち二人を同じような目にあわせてやる」
このアタシのセリフは異常だろうか。至極真っ当なことを言っていると自分では思うのだが。
『犬と人間を一緒にする気か!!』母とはいつもこのセリフでもめる。
母は犬と人間を一緒にする人ではないらしい。さすがブタ。
「犬だって家族だろ!一緒だよ!」
アタシはいつもムキになる。子供だ。

なんてことだ。ここから下の文章が消えてしまった。

アタシは今の感情をリアルに伝えたいために、一度消えてしまった文字をもう一度書くなんてことはできないんだ。冷めてしまって。
だからアタシの中で書いたことにしておく。

そのうち祖母が出てきて何かしゃべっていたが、やはり「アレ」を多発するので聞く気になれなかった。
けれどもアタシを心配しているらしく、ご飯食べたら?とか、カレーあるよとか、ヨーグルトあるけどとか気遣ってくれた。
でもアタシは「いらない!」と素っ気無く返答することしかできなかった。
食欲なんてまったくなかった。
ずっと撫でていてやりたい。目を離すと遠くに行ってしまうような気がする。
だけど帰らなければ。猫が待っている。
でも、ここで帰ってしまうと取り返しのつかないことになってしまうような気がして、その場から離れることができなかった。
力なく横たわっている犬は、次の日になったら硬くなっていそうで、撫でる手を離すことができない。
生きている姿を見るのが最後のような気がしてならない。
悲しくなってなぜかアタシは、犬のシャメをいくつか撮った。今さら。
どうして健康な時に写真を撮らなかったのだろう。
今さら写真に収めるなんてどうかしてる。
また泣きそうになる、いや、涙がこぼれる。
そこに今度は憎き父親が出てきた。
父の声がした途端、犬は立ち上がり、尻尾を振った・・・なぜ?
でも恐がってるように見える。怯えているような。
父はアタシの傍にしゃがみこんだ。
『このっ』いきなり犬にデコピンをする。
(何すんだよ!さわんなよ!!!!!)言いたかったけど言えなかった。
『うりうりうり~ガリガリに痩せちまって』見れば分かるようなことを言い、頭をワシワシと撫でる。
アタシは暴力をふるった父とは別人を見てるような気がして、呆然とした。
そして、やはりDVの気があるヤツは人格が違う、と確信した。
アタシはまるで父が慈しみを持って犬に接してる姿をアピールしてる気がして涙が出た。
涙を見られたくなくて、堪えようとしたけれど、家族の前で何をガマンする必要がある?と思ってそのまま涙を流した。
父は優しい俺をアピールしようとアタシを見、涙に気づいたようだだった。
『もう年寄りだもんな。老衰だ老衰』なんてフォローをしてるつもりでも。
(お前のせいで弱ったんだ。お前が殺したんだ)と思うアタシがいた。
(オマエ、最近犬をぶったんだって?)
(年寄りだと分かってるなら、もう暴力をふるうのはやめて)
(今度暴力をふるったら、アタシがオマエを殴る)
色んな言葉が出てくるけれど、どれも声に出して言うことはできなかった。
アタシは父に気を遣うところがあった。
アタシにキツイ言葉を言われると父は傷つく。そんなことを知っているから。
へこむ父を見たくなかった。
アタシは父の暴力を本人に問うことなく、見逃してしまった。
アタシはまた涙を流した。
『生き物を飼うってのは、こういうことなんだ』
父が諭すように言った。暴力男が何を偉そうに。
殺してやりたかった。



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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-07-21 09:51:53
愛情表現の違い?
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