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音曲日誌「一日一曲」#250 ブラック・クロウズ「She Gave Good Sunflower」(amorica./American Recordings)

2023-12-07 05:44:00 | Weblog
2013年1月13日(日)

#250 ブラック・クロウズ「She Gave Good Sunflower」(amorica./American Recordings)





ブラック・クロウズ、94年のサード・アルバムより。クリス&リッチ・ロビンスンの作品。

ブラック・クロウズは89年、ジョージア州アトランタにてロビンスン兄弟を中心に結成、90年にレコード・デビューしたロックバンド。2002年にいったん解散。2005年に再結成して活動を続けていたが、2010年12月、無期限の活動停止を宣言している。

90年代に登場したバンドとしては珍しく、60~70年代のいわゆるクラシックロックのフォーマットにのっとったオーソドックスなハードロック・サウンドで、異彩を放っている。レトロと形容されることも多い。

ボーカル・スタイルにせよ、ギター・フレーズにせよ、ビートにせよ、70年代っぽさがぷんぷんと匂う音なのである。そのへんを評価されてだろうか、99年には大御所ジミー・ペイジとも共演し、2枚組のライブ盤を残しているぐらいだ。

さて、きょうの一曲は、彼らのアルバムでは最も完成度が高いとされる、陰毛はみ出しジャケット(!)で知られる三作目から。

聴いてみるとおわかりいただけると思うが、クリス・ロビンスンの、ポール・ロジャーズやスティーヴ・マリオットばりのソウルフルなボーカルが前面に押し出された作りになっている。やはり、彼の歌声こそがブラック・クロウズの「看板」なのだ。

そのあたり、何かと引き合いに出される、彼らと同郷の先輩バンド、オールマン・ブラザーズ・バンドと比較してみるといい。オールマンズは演奏面では高い評価があるが、ボーカル的にはイマイチというか、ちょっと弱いといわざるをえない。

ブラック・クロウズの演奏力だけに頼らず、ボーカルも含めた総合力で勝負している姿勢、筆者はこれを大いに買いたいと思う。

彼らの曲を聴いていると、いろいろな70年代バンドの面影が浮かんでは消える、みたいなところがある。そのへん、人によっては「オリジナリティがない」とかけなす向きもあるのだろうが、でも70年代のバンドだって、それ以前のアーティストの模倣から出発していたりするのだから(たとえばエアロスミスとか)、レベルの低いオリジナリティよりか、ハイレベルな物真似のほうがなんぼかマシという気がする。

もちろん、物真似が物真似のままでとどまっていたのではしょうがない。そこを突き抜けてこそ、ホンモノだろう。

ブラック・クロウズは、決して昔の音の再現には甘んじず、本歌取りというか、ちゃんと元のお手本にはない今ふうの要素をきちんと盛り込んで、彼らなりの世界を生み出していると思う。

若い連中にはピンとこないサウンドかもしれないが、オールドロックファンとしてはブラック・クロウズを大いに応援したいのである。その音に、どこかブリティッシュ・ロックに特有の「翳り」を感じるからでもある。

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