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音曲日誌「一日一曲」#249 リンダ・ロンシュタット「Blue Bayou」(Simple Dreams/Asylum)

2023-12-06 06:36:00 | Weblog
2013年1月6日(日)

#249 リンダ・ロンシュタット「Blue Bayou」(Simple Dreams/Asylum)





リンダ・ロンシュタット、77年のアルバムより。ロイ・オービスン=ジョー・メルスンの作品。

ロンシュタットは46年、アリゾナ州ツーソン生まれの66歳。はたちそこそこで男女混成バンド、ストーン・ポニーズのボーカルでデビュー、69年にはソロ・デビューを果たしている。さほど下積みを経ることなく、74年の「悪いあなた(You're No Good)」あたりからヒットを連発するようになる。

77年2月には雑誌「TIME」の表紙を飾るくらいの「時の人」にまでなっていた。きょうの一曲は、その一番乗りに乗っていた頃の作品だ。

アルバム「Simple Dreams」に収められていたこの「Blue Bayou」と「It's So Easy」は、チャートの同時ベスト5入りを記録する。これは女性アーティストでは初めて、男女あわせてもビートルズ以来の快挙だそうで、当時いかに彼女が人気があったかのしるしだろう。

「Blue Bayou」は往年のロックンローラー、ロイ・オービスンのヒットのカバー。日本ではほとんど知られていない存在だったオービスンの名を広めるのに、この曲は一役かったのである。ちなみに、筆者が知ったオービスンの曲としては、この曲はCCRのカバー「ウービィ・ドゥービィ」に次ぐ二曲目であった。

バディ・ホリー作の「It's So Easy」についてもいえることだが、ロンシュタットは、同時代のシンガー/ソングライター以外による「ちょっと昔(10~20年前)のいい曲」を取り上げるのが、実にうまい。

他にもレッド・ベリー&ウッディ・ガスリーの「Ramblin' Round」、ドン&デューイの「I'm Leaving It All Up to You」、モーマン=ペンの「The Dark End Of The Street」といった選曲は、通なリスナーを唸らせるものがあった。

思うに、彼女は自分がソングライターではなく、専業の歌い手だったぶん、いい曲を見極める目をより強く持つようになったのだと思う。つまり彼女自身がプロデューサー感覚で、選曲眼を研ぎすますようになったのである。

シンガー/ソングライターではないので、自作を言い訳に素人っぽい歌でお茶を濁すわけにはいかない。とにかく、ベストな曲&ベストな歌唱というのが、プロフェッショナル・シンガーたるロンシュタットに求められたものであろうし、また彼女自身も求めていたはずだ。

その証として、彼女は現在に至るまで、常にトップシーンで活躍し、アルバムを出し続けている。さまざまな音楽賞の、常連受賞者でもある。

その音楽性も、一時期強かったロック色が次第に変化し、ジャズ、R&Bなどのルーツ・ミュージックも含む、アメリカン・ミュージック全体をカバーするような方向へむかっているように思う。アーロン・ネヴィルとのコラボレーションも、そのあらわれのひとつではないだろうか。

オールアメリカン・ディーヴァ、リンダ・ロンシュタットの艶やかで力強い歌声に、耳を傾けてくれ。一過性の流行音楽を越えた、不滅の輝きがそこにあるから。

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