NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#190 トム・ジョーンズ&ジェフ・ベック「Love Letters」(Martin Scorsese: Red White & Blues/HIP-O Records)

2023-10-08 05:00:00 | Weblog
2011年10月23日(日)

#190 トム・ジョーンズ&ジェフ・ベック「Love Letters」(Martin Scorsese: Red White & Blues/HIP-O Records)





英国人監督マイク・フィギスによるブルース・ドキュメンタリー映画「Red, White & Blues」より。エドワード・ヘイマン=ビクター・ヤングの作品。

まず、この顔合わせにビックリされる人も多かろう。コテコテの歌い方でおなじみの絶倫シンガー、トム・ジョーンズに、孤高のギター・ヒーロー、ジェフ・ベック。なんともはや濃ゆ~いお二人が、なぜかナット・キング・コールやプレスリーでおなじみの甘いラブ・バラードを演っているのだ。おもわず聴いてみたくなったでしょ?

でも、これが意外とイケるのだ。トムの大げさな歌いぶりはいつもの通り、一方ジェフは特にジャズっぽく弾くでもなく、さらりとしたバッキングをつけ、ソロもあっさりとしてる。でもスタジオ・セッションらしく、リラックスした、いい感じにまとまっている。

そして、何よりもはっきりといえるのは、原曲そのものはブルース色がほとんどないのに、ちゃんとブルースとして聴こえてくるのだ。

それは、そのリズムの取り方、特にピアノやリズム隊の、「タメ」のリズムによるところが大だろうな。そしてもちろん、演ずる者の強い個性が、この曲に内包された「ブルース性」を見事に引き出しているのだと思う。

ブルーノートで書かれていなくても、8小節や12小節形式でなくとも、3拍子のワルツであっても、そのノリがブルースであれば、ブルースとよんでいい。そういう好例だ。

この二人はトムの方が4才年上。音楽性には違いがあるものの、ブルースに親しみ、60年代に出身地英国、さらに世界でブレイクしたという点では共通している。いわば仕事仲間だな。

レコーディング当時(2002年)、トムは62才、ジェフは58才ってところか。ふたり合わせて120才の超ベテランコンビが生み出す、ハートフルなブルース・バラード。その名人芸に酔い痴れてくれい。

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