鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2017/12/20

2017年12月20日 21時24分39秒 | ゲーム・コミック・SF
いやいやいや、年の瀬も下旬になって、公私共々忙しくなってまいりました(^_^;
SFレビューもちょっと溜まり気味。先日読み終えた、こんな不朽の名作を遅ればせながらレビューいたします!

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/フィリップ・K・ディック、浅倉久志訳(ハヤカワ文庫SF)

地球の環境が急速に悪化し、人類以外の生物は大方が絶滅し、裕福で優秀な人類は他の惑星へと移民していった。地球に残されたのは、公的業務に就く者、移民の順番待ちをする者、そして移民の資格無しと烙印を押された「特殊者(スペシャル)」たち。植民惑星の過酷な環境下での労働力として生み出された有機アンドロイドたちにとっては、そんな地球は奴隷じみた労働から逃れられる楽園として捉えられていた。地球に逃れてくるアンドロイドを狩り出す職業に就くリック・デッカードは、懸賞金を得て憧れの「本物の生物」をペットとして買うために、アンドロイドの最新型・ネクサス6型の危険な狩りに出る。見た目だけでは人間と区別が付かないネクサス6型を、どのように特定してどのように追いつめるのか?経験のない高いハードルに挑むデッカードの前に立ちはだかるのは、ネクサス6型を「生産」するローゼン協会ーー

映画「ブレードランナー」の原作として名高いこの作品、映画とはまったくの別物です。デッカードは全然カッコ良くないし、レイチェルは自分がアンドロイド(映画では「レプリカント」と呼ばれています)だと最初から理解していますし、何よりもロイ・バティーがただの乱暴者です(^_^;ルドガー・ハウアーが演じた映画版のロイ・バティーをイメージして読むと、かなりがっかりしますよー。

映画とは全くの別物ではありますが、数あるディック作品の中でも完成度はダントツです。こちらはこちらで素晴らしい名作。
ディック終世のテーマである「本物と偽物の本質的な違いは何か?」が、この作品では「人間とアンドロイドの本質的な違いは何か?」という問いとなって、ラストまで物語をぐいぐいと引っ張っていきます。アンドロイドと知りつつレイチェルに性的魅力を感じてしまい、そんな自分に自己嫌悪するデッカードや、「スペシャル」であるが故に同じ人間からは対等に扱われず、親しく接してくれるアンドロイドに肩入れするイジドアの心の迷いが、この作品のテーマを端的に表現しています。
決して派手な作品ではありません。カッコいいヒーローは出てこないし、目を見張るような独創的なガジェットが登場するわけでも無し、SFとしてはかーなり地味な方です。それでも長年にわたって評価を得ているのは、SFという枠を超えて訴えかける普遍的な問題意識が孕まれている作品だからだと、鴨は感じています。ディック作品は、モチーフは陳腐だけどテーマが古びないんですよね。ある種の天才だったのだろうと思います。本人は自覚していないと思いますがヽ( ´ー`)ノ

さて、もう1冊SFを読了しているので、今年中にレビューを執筆しないとなー(.. φ;
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