鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2023/12/3

2023年12月03日 16時43分59秒 | ゲーム・コミック・SF
すっかり寒くなりましたねー。
年内に、あと1冊ぐらいSF読めるかな?先日読了したSFをレビューします。

ユートロニカのこちら側/小川哲(ハヤカワ文庫JA)

情報企業が運用している実験都市・アガスティアリゾート。このリゾート内で暮らすことを選択した/認められた人々は、自らのバスルームとベッドルームを除くあらゆる場所・時間での個人情報を視覚・聴覚・位置情報等全て企業に提供することと引き換えに、働かずとも十分に生活できる報酬と、劇場・スタジアム・フィットネスクラブ・公園その他諸々の時間潰しを提供される。
一見ユートピアのようなこの実験都市にも、馴染めない人、反発を覚える人、そもそも入る資格を持てない人、様々な思いが交錯する。裕福さと個人情報を取引する、ここはユートピアなのか、ディストピアなのか?

今や直木賞作家の小川哲、ハヤカワSFコンテストで大賞を獲ったデビュー作です。
鴨は「ゲームの王国」から小川哲に入り、その後発表された作品を読んできたので、改めてこのデビュー作を読むと、「おとなしいな」と思ったのが、第一印象です。いかにも近未来SFらしい、価値観を天秤にかけて読者の問いを引き出す作風や、その後の小川哲作品名物と言ってもいい「変な人」が出てこないので(笑)、意外とあっさり終わったな、という読後感です。
ただ、小川哲らしくないかといえばそんなことはなく、多様な価値観を持った人々の群像劇、はっきりとした結末を明示せず読者の考えに委ねるラストシーン、そんなところはいかにも小川哲らしさが出ています。デビュー作ということもあって、控えめに書いたんだろうなー。これ以降の作品、とんでもないキャラクターがどんどん出てくるもんなー(笑)。

自分がもしこの作品の登場人物だったら、アガスティアリゾートをユートピアと捉えるか、ディストピアと捉えるか?
そんなことを考えながら読むと、面白いかもしれませんね。
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最近読んだSF 2023/11/25

2023年11月25日 16時58分56秒 | ゲーム・コミック・SF
あ、今日結婚記念日だわ(-。-)ぼそっ
20年以上経つと、どうでも良くなりますわな・・・。いつも通りに、SFレビューしまーす。

SFベスト・オブ・ザ・ベスト<上>/ジュディス・メリル編、浅倉久志他訳(創元SF文庫)

SFベスト・オブ・ザ・ベスト<下>/ジュディス・メリル編、浅倉久志他訳(創元SF文庫)

今年の3月、建て替えのため閉店間際の八重洲ブックセンター本店にて、「2022復刊フェア」の残りものらしき上下セットをゲットいたしました
SFアンソロジー編集の名人、ジュディス・メリルによる「年間SF傑作選」の中から、彼女自身が傑作中の傑作を選び抜いて編纂した1950〜1960年代の決算短編、全27編!SF入門編として超おすすめ!!
・・・と紹介してもおかしくない位置づけの作品だとは思うのですが・・・如何せん、古い。古すぎる(^_^;
かつ、各作品にメリル自身が附している作者紹介にムラがありすぎて、創元文庫の古いフォントの小ささもあってまぁ読みづらい読みづらい(^_^;
手練れのSF者ならともかく、SF初心者には相当きついですね、これは。

とはいっても、傑作選ですから、ゼナ・ヘンダースン「なんでも箱」やコードウェイナー・スミス「夢幻世界へ」などの、今読んでも十分傑作と呼ぶに値する名作も複数所蔵されていますし、フリッツ・ライバー「跳躍者の時空」のような珍品も楽しめます。でも、繰り替えしになりますがとにかく古いので、そこは大前提として読む必要がありますね。イメージ的には、ハーラン・エリスン編「危険なヴィジョン」に近いですね。あそこまで暑苦しくないけどヽ( ´ー`)ノ
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最近読んだSF 2023/11/4

2023年11月05日 16時27分59秒 | ゲーム・コミック・SF
良いお天気の3連休ですねぇ・・・(-_-)しみじみ
鴨はベランダの土いじりしたり来年のカレンダー買ったりして過ごしています。明日からまたお仕事だー。
「お仕事」をテーマにした、こんなSFを読了いたしました。

タイタン/ 野﨑まど(講談社タイガ)

人間の巨大な脳を模した最高機能のAI「タイタン」が世界中に配備され、戦争も病気も仕事もなくなった近未来。仕事をする必要がなくなった人類は、タイタンの手厚い庇護の下、暇つぶしに「趣味」で研究活動などをして過ごしている。
趣味で心理学を研究し、それなりの成果を出している内匠成果は、ある日謎の男に拉致され、「仕事」をすることを命じられる。その「仕事」とは、心理的要因が基で機能不全に陥ったタイタンの一体「コイオス」をカウンセリングし、機能を回復させることだった・・・。

うわー、野﨑まどらしいひねくれた設定だなー、というのが第一印象です(笑)
趣味で心理学を研究しているだけの無職の若い女性が、世界中の社会機能全般を支える超高性能AIのお世話をする、というコントみたいな設定なのですが、ハードカバー版の帯には「「お仕事」とは何かを考える」みたいな、ちょっと深みを感じさせる(ように見える)惹句がついていて、お仕事人間たる鴨的には「何かの気づきが得られるかも?」との淡い期待を込めて、本作を手に取りました。

・・・が、読了しての結果はまぁ、やっぱり野﨑まど作品でしたね(^_^;
作中設定は面白いし、ストーリー展開は派手派手しくてスピーディだし、抵抗勢力とか謎の組織とかが次々登場して話を引っ掻き回すし、何よりもキャラの癖がまぁ強いわ強いわ、どこをどう切り取っても野﨑まど作品でした。「お仕事とは」と深く考察する余裕はありませんでしたね(笑)
ついでに言わせていただくと、突っ込みどころも満載。(*ツッコミについては、後日amazonでのレビューを拝見したところ「SF好きですが何か?」様のご意見と重複する箇所があることを確認いたしました。引用ではないことを念のためご説明させていただくとともに、「SF好きですが何か?」様には意見の重複をお詫び申し上げる次第です)
まず、タイタンが人間の脳を模しているのはまぁ理屈がつくとして、同じサイズの身体全体まで作る必要があるのか?「身体の動きも理解できないと正しい判断ができない」のなら、脊髄の刺激伝達の機能だけでも良いのでは?さらに、コイオスのカウンセリングに、同じタイタンである「フェーベ」に直接会いに行く必要がなぜあるのか?コイオスがフェーベのいる米国西海岸に到達するまでのロードームービーがこの作品の面白さの一つでもあるのですが、AI同士で「直接会う」とか、しかもフェーベが花嫁衣装を纏っていたりとか、絵的には面白いんですけど何じゃそりゃ?なシーンが満載。さらに、最後に明かされる「ヘカテ」の存在。これがあるなら、そもそもコイオスが「仕事が物足りなすぎて心理的に不安定になった」という初期設定が成立しないのでは。・・・などなど、ロジック的にはツッコミ満載です。

でも、突っ込みながら楽しむのが野﨑まど作品の読み方だと鴨は思っているので、読み終わって「なんじゃこりゃ・・・」とは思いつつ、読書にかけた時間を無駄だとは思いません。まぁ、SF世界のトリックスターかな、と(笑)
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最近読んだSF 2023/10/17

2023年10月17日 16時34分25秒 | ゲーム・コミック・SF
結構前に読了していた本ですが、重すぎてレビューをまとめるのに時間がかかってしまいました。
一言で言うと、SFではないです。ギリシャ悲劇のようです。

デューン 砂漠の救世主〔新訳版〕 上 /フランク・ハーバート、酒井 昭伸訳(ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂漠の救世主〔新訳版〕 下/フランク・ハーバート、酒井 昭伸訳(ハヤカワ文庫SF)

前作の感想はこちら。

最近読んだSF 2016/4/6 - 鴨が行く ver.BLOG

こんな長い作品を読了しました。長い割に、半月ぐらいで読み切っちゃったヽ(´ー`)ノデューン砂の惑星(上)/フランク・ハーバート、酒井昭伸訳(ハヤカワ文庫SF)デューン...

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前作のレビューでは、「SFならではの世界観とガジェットを深く堪能する楽しみ方もできるが、誰が読んでもその人なりの視点で楽しめる、典型的な貴種流離譚で昔からよくあるフォーマットの一大エンターテインメント」と評価させていただきました。その後、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による素晴らしい映画化もあり、SFにあまり興味がない人にもある程度知られた作品になったのではないかな、と思います。

・・・が、前作の新訳版や映画から「デューン 」の世界に入った人がこれ読んだら、驚くだろうなぁ。
前作から続く独特の世界観と社会描写を背景としたSFではあります。が、読了して「あー、SF読んだなぁ」という実感はありません。ギリシャ悲劇かシェークスピア悲劇を観たかのような、運命的な悲壮感だけが心に残ります。

前作のラストにおいて、主人公のポール・アトレイデスはコリノ公家の独裁体制を打破し、フレメンを含む全ての人類が適切に穏やかな生を送ることができる世界を目指して、自ら皇位の座を欲したのだと、鴨は理解しています。
しかし、前作から12年後の本作において、ポールは独裁者と化し、フレメンは全宇宙で”聖戦<ジハード>”と称する征服戦争を繰り広げ、民はポールと妹のアリアを神格化しています。現体制を打破せんと暗躍するベネ・ゲセリット、ベネ・トレイラクス、名目上の皇妃であるイルーラン。ベネ・ゲセリットの一員でもあるイルーランは、救世主クイサッツ・ハデラックであるポールの遺伝子を純粋なまま後世に引き継ぐべく、フレメンであるポールの愛妾チェイニーが彼の子を産むことを阻止しようとしますが、チェイニーが懐妊したことがわかり、惑星アラキスは風雲級を告げる事態に・・・。

と、結構大変なストーリー展開ではあるのですが、ポール自身は何をしているかというと、悩んでいます。ただひたすら悩んで右往左往して、政治的な決断等はほとんどしていません。このポールの心理描写が物語の大半を占めていて、これがまぁ重い重い(^_^; 前作にあった戦闘シーンや生態系の描写シーン等は、ほとんどありません。しかも、予知能力を持つポールが見る予知世界が100%クリアなものではなく漠然としたイメージのみのため、この先どうなるのか皆目分からずに読者もポールと一緒にひたすら悩み続けることになります。
そして、最終的にポールが下した決断は、フレメンの掟に従ったものだとはいえ、まるで何もかもを投げ出してしまったかのようで、フレメンもそれ以外の民も、そして読者も、これで納得するんだろうか・・・?と思いました。前作のポールの輝かしい英雄ぶりを思い起こすと、隔世の感がありますね。

ドゥニ・ヴィルヌーヴは、この作品までを映画化したいと考えているそうですが、これ、映画にするの難しそうだなぁ(^_^;
作品的には、次の「砂漠の子どもたち」で一応3部作が完結するのですが、そこまで新訳版をだしてほしいなぁ。ハヤカワさん、お願いします!
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最近読んだSF 2023/8/27

2023年08月27日 17時18分42秒 | ゲーム・コミック・SF
不肖鴨、諸般の事情により、今月中旬から1ヶ月の在宅勤務となりました。
結果、SF読みが全く進まない。
・・・通勤時間って、ぱっと見「無駄な時間」っぽく見えるけど、貴重な一人時間だったんだなぁ、と痛感。
在宅勤務に入る前に読了したSFをレビューします。予想外の収穫でした。

Amazon.co.jp: 罪人の選択 /貴志祐介(文春文庫)

ミステリー、サスペンス、ホラー、SFと、幅広いジャンルで作品を発表している貴志祐介の短編集。SF者の間では、「新世界より」の作者として有名ですね。今作に収録されている4篇のうち3篇はSF、1篇(表題作)はミステリーと言って差し支えない内容と思いますが、ミステリーの方の貴志祐介を期待して手に取った方は、冒頭収録の「夜の記憶」がかーなりハードコアなSFなので、相当戸惑うかもしれませんね・・・(^_^;

SF寄りの作品集、ではありますが、一読しての印象は、世間的にイメージされるいわゆるSFとは一線を画します。鴨が最も強く感じたのは、土着的な恨み・辛み・妬みの奔流。一言でまとめると「ドロドロ感」、です。
どの作品にも共通しているのは、登場人物のそうしたネガティヴな感情が、当人の意思にかかわらず世界を変容させるパワーを発動させ、絶望的な中にも不思議な希望の光を感じさせる結末へと繋がっていることです。描かれる情景は、どれも暗く湿度が高く、読んでいてとてもダウナーな気分になります。
が、読み続けるとそのダウナー加減がなんだかクセになってしまう、面白い作風ですね。ただ、好き嫌いはかなりはっきりと割れると思います。
鴨的には、「嫌いじゃない」ぐらいかなー。機会があれば、他の作品も読んでみたいです。
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最近読んだSF 2023/8/2

2023年08月02日 23時19分17秒 | ゲーム・コミック・SF
・・・暑いですね・・・(-_-;
でも、夏こそSF!SF読んで、涼しい異世界に旅立とう!
・・とは全く言えない、やけに現実的な作品を読了いたしました。

所有せざる人々/アーシュラ・K・ル=グィン、佐藤高子訳(ハヤカワ文庫SF)

・・・うーん・・・これは評価が難しいですね。本質的に、SFではありません。SFのフォーマットを土台にした思考実験です。いや、それこそSFか・・・。
と、悩みながら、読了1ヶ月が過ぎようとしております。

社会科学系SFの傑作と評されている作品です。
ル=グィンがこの作品を描いた当時の社会情勢に鑑みて、資本主義の象徴たるウラスと共産主義の象徴たるアナレスを対比して共産主義を称賛する作品である、と表層的な評価をすることも可能な作品ではあります。ウラスとアナレスの兄弟惑星(物理的には兄弟ではあるが、社会的には隔絶の彼方にある両星)の社会描写が流石のル=グィン節で、とにかく重厚にして精緻。登場人物の心理描写も丁寧です。その分、ストーリー展開は遅々として進まず、主人公・シェヴェックの心身の動きにだらだらと付き合って、最終的によくわからないラストシーンに至る・・・という、小説としては不完全燃焼極まる作品です。

鴨的には、一読しての印象は、資本主義/共産主義の対立項は正直どうでも良いな、と思いました。
ウラスでもアナレスでも、シェヴェックにとって心の休まる場所はない。ウラスでは自身が打ち立てた研究成果を横取りされて絶望し、アナレスならこの成果を広く人類社会に周知できるはず、と意気込んで亡命したものの、アナレスはその成果を金に変えようと企む者たちばかりだった・・・ここでも絶望し、ウラスに残る妻と子の元に帰還することを望むシェヴェックの姿を描いて、この物語は幕を閉じます。

・・・厨二病かよヽ( ´ー`)ノ

と、リアルな資本主義社会に生きる鴨は、思ってしまうのですね。
理想主義に満ちた作品です。ル=グィンも、その辺は重々承知して書ききった、大人の寓話だと思います。
社会経験を積んだこの歳になって読むことができて良かった、と鴨は思います。若いうちに手を出せる作品じゃないなー。
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最近読んだSF 2023/7/19

2023年07月19日 22時34分49秒 | ゲーム・コミック・SF
・・・・・・暑いですね・・・・・・いうまでもなく、夏ですから・・・(-_-;
そんな夏こそ!SFを読む!久しぶりにハードカバーで読む!
早川書房から、こんな名作が新刊扱いで出ましたー。

鏖戦/凍月 /グレッグ・ベア、酒井昭伸・小野田和子訳(早川書房)

80〜90年代ハードSFの代表格、グレッグ・ベアの中編2篇がハードカバーで刊行されました。「鏖戦」は「SFマガジン」掲載後に短編集に収録されましたが絶版、「凍月」はピンで文庫化されましたがこちらも絶版、久しぶりの書籍化です。鴨は「鏖戦」についてはSFマガジン掲載時に一度チャレンジして玉砕ヽ( ´ー`)ノ、「凍月」は文庫版を読了していますが、どちらも良い感じでディテールを忘れていましてヽ( ´ー`)ノ新鮮な気持ちで再読いたしました。

読了して、最も強く心に残った印象は、純粋にして過剰なるヴィヴィッドなイメージの奔流。
正直なところ、鴨の浅薄な理解力ではよくわからないところも多々あります。読了しても「?」な状態です。が、その「理屈では良く理解できないけれど、とにかく美しい/カッコ良い」という世界観そのものを楽しむタイプの作風なんだろうな、と鴨は感じています。

ただ、その作風が、「鏖戦」と「凍月」では真逆の作用に働いて真逆の印象を残すに至ったなー、というのが、鴨の正直な感想です。
2作の何が違うのかというと、「鏖戦」の舞台は遙か遠未来の星間宇宙、人類社会も人類そのものも大きく変容している、いわば100%想像力を働かせることができる設定であることに対して、「凍月」の舞台は近未来の月社会、現代と地続きのリアルで生々しい、その分”今”のヴィジョンと価値観を相当程度共有している/共有せざるを得ない設定であることです。
「鏖戦」は、冒頭の舞台となる原始星群<メデューサ>の描写がもぅ圧倒的な迫力で、酒井昭伸氏のクールかつトリッキーな訳文も相まって、我々読者の現在位置から最も遠く離れた時間/空間/価値観を描き出していることをまざまざと見せつけられます。登場するキャラクターたちの独創性もまたしかりで、理解できなくても仕方ないと思わせてくれるレベルの社会的距離感を感じさせます。そんな遥か遠くの世界の物語を、幻惑的な文体でスピーディーに展開しつつ、最後の最後で我々読者にも理解できる、すなわち普遍的な虚無感と哀感を静かに漂わせてスパッと幕を閉じる、この鮮やかさよ!かなり難解ではありますが、SF者たるもの、一度は読んでおくべき傑作です。
他方、「凍月」は、鴨は文庫版のレビューで「よくわからないままあれよあれよという間に読了してしまった」と書き残しておりますが、今回再読してその理由がなんとなくわかりました。

最近読んだSF 2014/3/23 - 鴨が行く ver.BLOG

クソ忙しい年度末にありがたい3連休、春場所中継を観ながらまったり過ごしておりますヽ(´ー`)ノ通勤電車内で読み続けているSFレビュー、まとめて2本。凍月/グレッグ・ベ...

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終盤のイメージの鮮烈さは、まさに「鏖戦」と同レベルの針の振り切れっぷりながら、そこに至るまでのストーリー展開が現代の人類社会と地続きの価値観に支配されているが故に、描き出されるイメージの方向性があまりにも突然レベルアップしすぎて、完全に置いていかれてしまうんですよね・・・。そのため、終盤までのストーリー展開はとてもわかりやすいにも関わらず、読了後の「?」は「鏖戦」より遥かに上ですヽ( ´ー`)ノ

というわけで、鴨的には「鏖戦」は星5つ、「凍月」は星3つ、総合して星4つ、といったところです。
読者のSFリテラシーがチャレンジされる作品でもあると思いますので、心してお読みください!
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温故知新

2023年07月13日 22時00分23秒 | ゲーム・コミック・SF
100刷突破の不朽の名作、ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』が新版で刊行! 創元SF創刊60周年を記念した目玉企画!

100刷突破の不朽の名作、ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』が新版で刊行! 創元SF創刊60周年を記念した目玉企画!

株式会社 東京創元社のプレスリリース(2023年7月11日 10時00分)100刷突破の不朽の名作、ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』が新版で刊行! 創元SF創刊60周年を記...

プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

 


めちゃくちゃ古い作品だけど、いまだに輝きを失わないマスターピースです。
久しぶりにこれを読み直してみたいと思います。

星野之宣のコミック版。
「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」までは、このコミック版でも堪能できます。ストーリー的にはこれで綺麗に収束してるんだけど、この先の作品もあるんですよね。鴨はこの先未読なので、ちょっと読んでみたいなと思いつつ、引き延ばすほどつまらなくなるのがシリーズ物の常なので(^_^; 、ちょっと悩んでおります・・・。
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古典的名作

2023年06月28日 22時57分48秒 | ゲーム・コミック・SF
久しぶりに思い出して、こんな短編集を買いました。

Amazon.co.jp: 藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス: ミノタウロスの皿 (1) (ビッグコミックス) : 藤子・F・ 不二雄: 本

Amazon.co.jp: 藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス: ポストの中の明日 (7) (ビッグコミックス) : 藤子・F・ 不二雄: 本

つまみ食い的な買い方ですけど、藤子・F・不二雄先生のSFは、これぐらいの力感がちょうど良いかな、と思っています。
先生にとって、SFとは「少し不思議」の略だそうで、往年のフレドリック・ブラウンやロバート・シェクリィのような洒脱さと、その裏に潜む問題意識が鮮烈に伝わってくる佳作揃いです。令和の価値観ではさすがに古びているところもありますが、一読して損はないかと。

日本SF、コミックも押さえておかないと潮流がわからないんですよねー。これからも勉強します!
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遂に完結

2023年05月22日 23時38分55秒 | ゲーム・コミック・SF
田辺剛氏の「ダニッチの怪」、ようやく3巻が出て、遂に完結いたしました!

・・・切ない・・・(T_T)

・・・なんだろう、ジャンル的にはホラーそのものなんですけど、読後感は切ないです。後半の怒涛の展開から一転、飛び去る夜鷹たちの静かな描写にエレガントな恐怖の余韻を感じました。

原作であるラヴクラフトの小説の方は、描写が結構曖昧で(筆力が拙いわけではなく、あえて曖昧に描写することによって読者の想像力を120%喚起する戦略なのだと鴨は思っています)、だからこそ読んだ人の数だけウィルバーやヨグ・ソトースの「姿」がそれぞれあるわけで、その前提でこの作品をヴィジュアルで表現し切るのは相当の覚悟が必要だったろうな、と思います。あとがきで「いつか挑戦しよう」と編集者と話していたとのエピソードが披露されており、それだけ難易度が高い作品ということですよね。たいへん見事な作品に仕上がったと、鴨は思います。
鴨の持論、恐怖とは「美」を包含するものです。田辺先生のラヴクラフト漫画化作品は、その観点からも素晴らしいです。

これでラヴクラフトの「クトゥルー神話」に属する作品はだいたいコミカライズした感じですかね。後はどの作品が残っているかな?「未知なるカダスを夢に求めて」辺りかな。でもあの作品、他の作品とはちょっと毛色が違うからなー。などと、いろいろ想像するのもまた楽しみです。


これまで購入した田辺剛作品を並べてみる。SAN値爆下がりしそうな迫力よ( ̄▽ ̄)
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