すっかり寒くなりましたねー。
年内に、あと1冊ぐらいSF読めるかな?先日読了したSFをレビューします。
ユートロニカのこちら側/小川哲(ハヤカワ文庫JA)
情報企業が運用している実験都市・アガスティアリゾート。このリゾート内で暮らすことを選択した/認められた人々は、自らのバスルームとベッドルームを除くあらゆる場所・時間での個人情報を視覚・聴覚・位置情報等全て企業に提供することと引き換えに、働かずとも十分に生活できる報酬と、劇場・スタジアム・フィットネスクラブ・公園その他諸々の時間潰しを提供される。
一見ユートピアのようなこの実験都市にも、馴染めない人、反発を覚える人、そもそも入る資格を持てない人、様々な思いが交錯する。裕福さと個人情報を取引する、ここはユートピアなのか、ディストピアなのか?
今や直木賞作家の小川哲、ハヤカワSFコンテストで大賞を獲ったデビュー作です。
鴨は「ゲームの王国」から小川哲に入り、その後発表された作品を読んできたので、改めてこのデビュー作を読むと、「おとなしいな」と思ったのが、第一印象です。いかにも近未来SFらしい、価値観を天秤にかけて読者の問いを引き出す作風や、その後の小川哲作品名物と言ってもいい「変な人」が出てこないので(笑)、意外とあっさり終わったな、という読後感です。
ただ、小川哲らしくないかといえばそんなことはなく、多様な価値観を持った人々の群像劇、はっきりとした結末を明示せず読者の考えに委ねるラストシーン、そんなところはいかにも小川哲らしさが出ています。デビュー作ということもあって、控えめに書いたんだろうなー。これ以降の作品、とんでもないキャラクターがどんどん出てくるもんなー(笑)。
自分がもしこの作品の登場人物だったら、アガスティアリゾートをユートピアと捉えるか、ディストピアと捉えるか?
そんなことを考えながら読むと、面白いかもしれませんね。
年内に、あと1冊ぐらいSF読めるかな?先日読了したSFをレビューします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/39/3fb388012bd0124c6f5ea8f818e54861.jpg)
情報企業が運用している実験都市・アガスティアリゾート。このリゾート内で暮らすことを選択した/認められた人々は、自らのバスルームとベッドルームを除くあらゆる場所・時間での個人情報を視覚・聴覚・位置情報等全て企業に提供することと引き換えに、働かずとも十分に生活できる報酬と、劇場・スタジアム・フィットネスクラブ・公園その他諸々の時間潰しを提供される。
一見ユートピアのようなこの実験都市にも、馴染めない人、反発を覚える人、そもそも入る資格を持てない人、様々な思いが交錯する。裕福さと個人情報を取引する、ここはユートピアなのか、ディストピアなのか?
今や直木賞作家の小川哲、ハヤカワSFコンテストで大賞を獲ったデビュー作です。
鴨は「ゲームの王国」から小川哲に入り、その後発表された作品を読んできたので、改めてこのデビュー作を読むと、「おとなしいな」と思ったのが、第一印象です。いかにも近未来SFらしい、価値観を天秤にかけて読者の問いを引き出す作風や、その後の小川哲作品名物と言ってもいい「変な人」が出てこないので(笑)、意外とあっさり終わったな、という読後感です。
ただ、小川哲らしくないかといえばそんなことはなく、多様な価値観を持った人々の群像劇、はっきりとした結末を明示せず読者の考えに委ねるラストシーン、そんなところはいかにも小川哲らしさが出ています。デビュー作ということもあって、控えめに書いたんだろうなー。これ以降の作品、とんでもないキャラクターがどんどん出てくるもんなー(笑)。
自分がもしこの作品の登場人物だったら、アガスティアリゾートをユートピアと捉えるか、ディストピアと捉えるか?
そんなことを考えながら読むと、面白いかもしれませんね。
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