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茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

十よりかへるもとのその一

2007-05-20 22:41:33 | 茶の湯エッセイ
 風炉の季節になりました。風炉のお稽古の最初は必ず平点前薄茶・濃茶から始めます。炉から風炉へ、道具の位置、柄杓の扱いなど少しずつ異なり、毎年のことながら戸惑います。風炉と炉と季節に応じて2つあることは以前ご紹介しましたが、茶の湯の最初の形は風炉。当然のことながら大学茶道部でも風炉のお稽古から始まりました。だから風炉の平点前が一番回数もこなし、長くお稽古していることになります。
平点前
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/d653b320aa5f6716ac64bd3abdcdfdb5

 利休百首の中に“稽古とは一より習ひ十を知り 十よりかへるもとのその一”とあります。お稽古とは一から順を追って習い始め、十まで進んで、改めて一に戻って始めるもの。初めて一を習った時と、十まで習った後に始める一では、習う人の心は全く違っているもの、それを繰り返しているうちに茶道の精神を理解できるようになるというのです。
 研究会の最初にもこれを唱えます。言葉として知ってはいましたが、最近、風炉の最初に薄茶平点前をする時、つくづく感じ入るようになりました。
 大学茶道部で割稽古をつけてもらい、薄茶平点前を続けてやった頃の初心。時間がかかりながらも、一通りができた時の喜び。多分その時の動きや帛紗捌き、足捌きはぎこちないものだったと思いますが、一生懸命だったことは確かです。
 今、茶名を頂き、平点前をする自分。姿は自分で比べることはできないけれど、心は随分違います。順番を追うことに必死だった時代は過ぎ、穏やかな気持ちで大きな目で対することができるようになりました。心地よい平点前です。

 初炭の準備では、炭斗と炭の小ささにびっくり、真っ白な藤灰が鮮やかに感じます。整えられた風炉中に小さな下火をつぐ瞬間は、炉の時と同様に清々しい気持ちがします。炭のお稽古は平点前に比べてずっと期間も短く回数も少ないですが、年を重ねる毎に見えるもの感じるものが増えていくものです。
 先生がご高齢になられてからは、社中では初炭のお稽古をさせて頂いた人が次のお稽古のための灰形を作るお約束になっています。今年も灰形精進の日々が始まりました。まだまだ上手に灰がひけない私ですが、今年は灰に対する苦手意識をなくし、灰と仲良くなることにしました。これまた地道に続けていればいつか綺麗にひけるようになると信じて。

 十よりかへるもとのその一、その一を踏み出したばかり、新たな学びに入った私です。

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Unknown (りっちゃん)
2007-05-21 09:30:29
こちらは、いまだに、暖房をきることができず、やはり、北海道なのだなあっという毎日です。
実は、私も、昨日、お稽古があり、先生に、なんとなくわかってきたでしょう、っていうお言葉をいただき、とても、うれしく思った次第です。

先輩のかたが、丸灰作りをしておられ、見学させていただき、私はまだ、したことがないので、いろいろな形の灰匙をもちいての作業、灰作りが火にも影響するとのお言葉、難しそう、でも、やってみたい、の気持ちでした。
たまごさん、はじめてされた時は、いかがでしたか?
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Unknown (飛翔)
2007-05-21 16:22:19
 初心に立ち返る時の、大切な言葉ですね。
何年お稽古を積んでも、気持ちをあらためることってよくあります。
その時々の心持で、自分の成長の跡が見える時は良いのですが、見えない事も
しばしば@@;

 たまごさんは今、気持ちがとても乗っていらっしゃるから、新しい一歩は、
更に力強く、色々な意味を感じ取られているので、私も見習わなければ。

 「茶道の根本は風炉の茶にある」だけに、今の時期、特に気が引き締まりますね。
  
 
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十よりかへるもとのその一 (りんず)
2007-05-21 18:23:27
前の先生の稽古では、始まりに利休百首のひとつを自分で選び、
それぞれが唱えてから稽古が始まりました。
なかなか他が覚えられないので、こればかり言っていた記憶があるわ。

自分の中では一番心に響くもので、進んでは確認し、その繰り返しが重要な事。
今後もずっと続くのでしょうね。
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若し茶を飲むときは (草君)
2007-05-22 10:57:36
お裏さんは、やはり利休百首なのですね。
わたしたちも利休百首のお勉強はしますが、唱えるのは、流祖の喫茶呪文です。

若し茶を飲むときは まさに衆生とともに 諸仏に供養し 睡眠を掃除せんことを願うべし

(もしお茶をいただくときは、みなで仏に感謝してしゃっきりすっきりいたしましょう。)

さしあたる ことのはばかり思えただ 昨日は過ぎつ明日はしらねば

(今目の前のことだけを考えなさい。昨日は過ぎてしまったし、明日は明日にならなければわからないのだから)
返信する
灰形 (ジジのママ)
2007-05-23 08:04:16
風炉の季節になりましたね。
5月に入って灰形の準備をするのが楽しみでもあり大変でもあります。
時間がない時にあせってすると灰に現れてきますね。
心穏やかに・・・精進していきます。

“稽古とは一より習ひ十を知り 十よりかへるもとのその一”
今年になってお稽古場がかわりまさしく初心にかえってお勉強させてもらってます。
返信する
皆さん熱心に・・・ (蜆子)
2007-05-23 19:59:59
熱心に精進なさっていらっしゃいますね。
その気持ちに立ち返らなくてはと思うところです。

たまごさん、お送りいたしました。お受けとり下さいませ。
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灰作り (グランマ)
2007-05-23 23:01:25
ご無沙汰しました
今日は6月3日の茶会に向けて朝鮮風炉に灰を入れたところです。ゆったりした気持ちで、しかし集中していたしましょう。灰の品質も大いに関係あり・・
明日もう一度挑戦いたします。
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初心に返る (チャチャ)
2007-05-24 12:37:27
だらだらと続いている茶道ですが、節目を前にして、気持ち新たに精進しなければといけないと ひしひしと感じるようになりました。
熱心なm-tamago様には いつも良い刺激を頂いていて、のんびりムードの私にも 火がつきます。
これからも頼りにしていますので、宜しくお願い致します。
返信する
十よりかへるもとのその一 (fairy)
2007-05-24 17:22:24
先輩方は、そのように何度も初心に戻られ、精進し続けていらっしゃるのですね。
>穏やかな気持ちで大きな目で対することができるように
本当に「一」を踏み出したばかりのわたくしです。いつかそのような気持ちで対することができるようになりたいものです。
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おめでとうございます (m-tamago)
2007-05-24 19:05:05
りっちゃんさん、こんばんは。
北海道はまだ暖房が必要ですか!こちらはもう暑いです~。

>先生に、なんとなくわかってきたでしょう、っていうお言葉をいただき、
それは嬉しいですね!おめでとうございます。
これからもたくさん色々なものが見えてくるので楽しんで下さい。

>たまごさん、はじめてされた時は、いかがでしたか?
人の作業を見て、綺麗だなー、すごいなー。
やってみて、思った以上にむ、難しい→皆すごいな、器用だな。→あー、こういう細かい作業向いてない(イライラ)→でも、頑張らなくちゃ。
最初は匙で押して固めている状態でしたが、触れば触るほど汚くなっていくんですね。
心を落ち着けて一度にすっとひくのがいい、諦めも肝心だと学びました。まだ楽しめるところまでいきません。
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