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茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

初釜

2007-01-08 23:12:16 | 茶の湯エッセイ
 新しい年、茶道精進が始まります。
 整えられた炉に湿し灰を撒き、埋め香をして、下火を置く。その瞬間、周囲の灰がふっと渇き、下火が赤く灯りました。

 初釜の準備で先生は腰を痛められたそうです。ご主人が静養中で忙しく、今年は略式でごめんなさいねとおっしゃりながらも心尽くしのお道具が揃っておりました。感謝に絶えません。

 今年は生憎の大雨でしたが、厳かに賑やかに初釜が始まりました。今年は昨年茶名を頂いた5名が点前をし、先輩方は水屋や正客などとしてサポートして下さいました。私は炭手前を。新春一番、皆でおいしい濃茶を頂くべく火がおきますようにと祈りつつ炭をつぎました。先輩の皆様の前で緊張しつつ、無事炭手前を終えることができました。それにしても、湿し灰が上手に撒けなくて、、、、しかも正客からお道具を聞かれると手が止まってしまうことあり、、、、今年の課題です。
 お正月の香合には“ぶりぶり香合”が使われます。塗り物なので、香合を傷めないように練香の下に椿の葉を敷いて。雨の中椿の葉をとり、六角形に切り取りました。六角は亀甲模様、お正月のめでたさはこのような小さなところにも見られます。
 炭台には右側を丸くおりたたんだ奉書が敷かれ、その上に炭を組みます。5本の真新しい枝炭を添えると神聖な景色になりました。イヌワシの羽根、松葉象嵌のかん、南りょうの灰匙、焙烙型の灰器、紅白の紙釜敷。鵬雲斎大宗匠好みの彩鶴蒔絵の炉縁、登り亀のかん付、青海波模様のたっぷりとした釜。
 こういった細かいことに目がいくようになったのも点前や水屋準備をさせて頂けるようになったからこそ。初釜はお客さんとして伺うばかりの私でしたが、水屋仕事は何もかも新鮮で大変勉強になりました。点前も大切ですが、その準備や片付けの大切さをつくづく感じる今日この頃です。

 本来なら炭が終わると懐石ですが、今年は近所の懐石料理屋さんにて皆で食事をすることにして、花びら餅を頂き、濃茶を頂きました。
 寿扇棚に海老のつまみと耳がついた水指、古瀬戸“山居”茶入、“慶雲”茶杓、和楽の島台茶碗、蹴鞠型建水、めでたい道具が並びます。それぞれに家元の花押がついており、箱も席中に回されました。
 初釜のお点前、以前は先生が全てをして下さいましたが、足を悪くされてからは、弟子が役割り分担して水屋と点前をし、先生は濃茶を練るところだけをなさるようになりました。先生が練る姿や手元を見ますと人生の重みのようなものを感じます。人間は年をとると肉体的には衰え、できないことが増えていきますが、それまでの生き方次第でそれを補って余りある何かが身につくのではないかと思います。

 濃茶の後は移動して、懐石は大座敷で皆で賑やかに。先生を囲んで笑顔が並びました。

 懐石の後はもう一度先生のお宅に戻って、薄茶を頂き、福引を致しました。薄茶では、猪の打ち菓子と有平糖以外に、先生の頂きものの“はつゆめ”という茄子を甘く煮たお菓子も振舞われました。
 福引。先生がご自身のお道具とお道具屋さんから取り寄せた茶碗や香合、色紙などが並び、1番から好きなものを選んでいきます。先生が出されたお道具は大きなものでは炉縁、数茶碗などもあって、あっという間になくなっていきました。私は最後に近い23番。未歳の時に使われた茶碗を頂きました。

 全て終わると先生にご挨拶して三々五々解散。私は最後の片づけを水屋の先輩から教えて頂くことができました。お道具を清めて棚に並べましたが、先生はこれを全部乾かしてから箱に戻して片付けるわけで、大変な作業だと感じました。

 昨年は五事式茶事と口切茶事を催して下さった先生ですが、今年は2月に夜咄茶事をして下さるそうです。なんとも嬉しいこと。寒い中体力的にも大変なはずですが、先生のお心有り難くお勉強させて頂くつもりです。
 そして今年は先生は数えで88歳を迎えられます。4月には社中でお祝いの茶事が開かれることになりました。これからもお元気で、少しでも長くご指導頂きたい。今年も先生や諸先輩について一歩一歩精進しようと誓った初釜でした。

 皆様の初釜の様子も楽しみにしております。

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18 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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初釜 (みかん)
2007-01-08 23:36:43
こんにちは。楽しい初釜だったようですね。
私も昨日初釜でした。花びら餅、美味しかったぁ♪
前日の準備は強風のうえ雨に雪でどうなることかと思いましたが、当日はうって変わっての晴天。
皆さん晴れ着におめでたい道具の数々。
笑いの絶えない楽しいひと時でした。

私は今回初めて炭飾りに炉の埋め香というのを知りました。
まだまだ初めてが多いです。
ぶりぶり香合、どんなものでしょう?見てみたいですね。
今回準備を少しだけお手伝いして、亭主というのは大変だな~としみじみ思いました。
私なんて朝起きて着物を着て、客として出席するだけで精一杯です。
未年のお茶碗ですか、次の未年にたまごさん亭主の茶事でお目見えするのかもしれませんね
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初釜 (チャチャ)
2007-01-09 07:08:52
すばらしい御道具での初釜、参加できてよかったですね。
いままで台子で炭台のお稽古初めでしたが、今年は、身分相応のものにしようと考えています。
私の大先生は、毎年ホテルで新年会でした。

>五事式茶事、口切茶事。今年は2月に夜咄茶事とは羨ましいです。お話、楽しみにしています。

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お相伴させていただきました (雪月花)
2007-01-09 08:58:32
おはようございます。
お初釜、とどこおりなく無事におみごとに納められたごようすが伝わってまいりました。記事を拝読しつつ、気持ちだけですけれどもお相伴させていただきました。有難うございました。七日は朝に七草がゆをいただいて用事で外出しましたのですが、きものをお召しのご年配の方が街をそぞろゆくのを多くお見受けし、みなさんおそらくお裏さんの初釜へお出かけだったのでしょう。

 七草を過ぎ馴染みゆくこの年に (柳原良子)

七草もすぎ松飾りもとれて、今日からふだんの暮らしにもどります。一日一日を、m-tamagoさんの文章のように丁寧に暮らしてゆきたいと思います。
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寿 (clay)
2007-01-09 14:14:55
すばらしいお初釜でしたね。

お道具だけでなく、先生はじめ、お社中のみなさんのこころのこもったお茶会だということが伝わって、とても感動いたしました。

おつかれさまでした。また今年もたまごさんのブログを楽しみ♪
カレンダーをめくり、日々を過ごして参ります。
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おめでたいお道具尽くし (ゴマたん)
2007-01-09 18:16:37
とてもおめでたいお道具に囲まれ、また、素晴らしい先生先輩にめぐまれていらっしゃるたまごさんの様子が目に浮かびます。とっても楽しく読ませていただきました。
福引やお食事会も楽しそうですね♪

私の先生も、茶道は点前だけでなく、水屋も同じように大切だとおっしゃいます。ただ、それがわかるようになるまでには、やはり何年か修行が必要ですよね。

たまごさんの先生が私の先生より年上と伺ってびっくりしております。尊敬できる師に出会えたのは本当に幸せなこと。いつまでもお元気に長生きしていただいて、もっともっといろんな事を教えていいただきたいものですね。
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米寿 (山桜)
2007-01-09 19:42:37
 たまごさんの先生は今年米寿をお迎えなのですね。おめでとうございます。
素晴らしいお弟子さんに囲まれて益々お健やかに、ご活躍をお祈り申し上げます。

 お写真が無くとも銘などを伺っているだけで、先生の心づくしのお道具の
数々が目の前に浮かんでくるようです。 

 私の先生も「お茶はお招きする方が楽しくてしょうがないのよ♪」と
本当に嬉しそうに仰って下さいました。準備を整えるのはとてもとても
大変なことと思いますが、やはり心弾む嬉しさで力が湧いてくるので
しょうね。 私も少しでもお手伝いが出来るように一生懸命精進致します^^
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初釜 (グランマ)
2007-01-09 21:09:27
初釜の清々しい様子が伝わってまいります。
お手前、お道具などはそれぞれであっても正月を祝し年頭に茶を喫し1年の多幸と稽古の上達を願う気持ちは流派を問いませんね。

水屋の準備、片付けをお手伝いしてひとまわり大きくなったtamagoさんを感じています。


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初釜 (m-tamago)
2007-01-09 21:23:10
みかんさん、こんばんは。
みかんさんは初釜お天気に恵まれよかったですね。
晴れ着でハレの席にお呼ばれするとウキウキしますね。

>私は今回初めて炭飾りに炉の埋め香というのを知りました。
これも準備をするようにならないと知らないことですよね。

>ぶりぶり香合、どんなものでしょう?見てみたいですね。
昨年ぶりぶり香合と島台茶碗について書いていますが、そのうち”ぶりぶり”について書きがてら写真もと思ってますので参考になさって下さい。

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初釜 (m-tamago)
2007-01-09 21:25:34
チャチャさん、こんばんは。

>私の大先生は、毎年ホテルで新年会でした。
これまた華やかですね。ホテルの茶室を借りたのでしょうか?

2月の夜咄茶事、今からとっても楽しみです。寒そうですけど~。
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初釜 (m-tamago)
2007-01-09 21:38:18
雪月花さん、こんばんは。

無事楽しく初釜を終えました。
この3連休は初釜のお社中が多かったようです。

>七草を過ぎ馴染みゆくこの年に (柳原良子)
いいですね。
雪月花さんのところで七草を楽しませて頂きました。
優しく穏やかなブログに心癒されています。
雪月花さんのお言葉のように、一日一日丁寧に暮らしてゆきたいと思います。素敵な言葉をありがとうございました。
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