マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




(写真)会合後の記者会見の模様。手前から、ハヴィエル・ソラナCFSP上級代表、ディミトリ・ルーペル・スロベニアEU議長国外相(議長)、オッリ・レーン拡大担当欧州委員(撮影:欧州連合理事会総事務局)

 欧州連合(EU)は2月18日、定例の総務・対外関係理事会(外相理事会)を開催。前日のコソボ暫定自治機構(PISG)議会による独立宣言を受けて対応を協議し、コソボ情勢コソボ地位問題)に関する結論文書を採択。コソボ独立宣言が民主制度や少数民族の保護を謳っていることを歓迎しつつ、独立コソボの国家承認については、「各EU加盟国が、コソボとの関係を、各国の慣例及び国際法に従って決定する」との表現に留め、それぞれの加盟国の意向を尊重する姿勢を示しました。

 会合終了後の記者会見の中で、ルーペル・スロベニアEU議長国外相は、「EUは一致した立場に至らないとの悲観的見解もあったが、EUは今一度、試練を乗り越えて、結論文書を採択することができた。」として成果を強調。悪化が懸念されるロシアとの関係については「引き続き協力できる分野で協力していきたい」と述べた一方、セルビアの首都ベオグラードで発生したスロベニア、アメリカ大使館前におけるデモ隊と警察部隊との衝突については、「在セルビア・スロベニア共和国大使館に対する破壊事案が発生したことは遺憾」「かかる(暴力)行為は、大使館はセルビアではなく派遣国の領土であることに鑑み、接受国の品格の向上に貢献しないものである」と述べました。更に、コソボの一方的独立が他の独立運動に与える影響については、「コソボは特別な事例であることを強調しており、他の分離独立運動の事例とは何ら関係が無い。」としました。

(写真)記者の質問に答えるルーペル外相(撮影:欧州連合理事会総事務局)

 「コソボ共和国」の国家承認問題を巡っては、既に記したように、EU内部でも独立を推進する英、仏、独、伊がいずれも早期に承認見込みであるのに対して、自国内あるいは近隣国内に少数民族独立問題を抱えるスペイン(バスク問題)、スロバキア(ハンガリー人問題)、ルーマニア(トランシルヴァニア問題)、ブルガリアギリシャキプロス(トルコ系キプロス問題)が承認に反対。EU域外では、複数の独立問題を抱えるロシア、台湾独立問題を抱える中国(中華人民共和国)やタミル人による独立運動が盛んなスリランカが反対しており、サチ・コソボ首相が発言したように「世界100ヶ国が承認」できるかどうかはまだ不明です。無論、セルビア自身も独立には大反対で、既にコシュトゥーニツァ首相が独立無効を宣言した他、セルビア内務省は18日、独立宣言を発表した「コソボ共和国」のセイディウ大統領、サチ首相及びクラスニチ議会議長を、「セルビア憲法秩序及び安全に対する罪」(刑法第321条)、「領土一体性の侵害の罪」(第307条)で刑事訴追する旨発表。更にはタディッチ大統領が、国家承認を行った国からの大使召還を表明するなど、対抗姿勢を強めています。

 ちなみに我が日本はというと、報道によれば、町村信孝官房長官が18日の記者会見で「国家として承認する要件が充足されれば、当然承認する方向」と発言しています。

 



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