マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




(写真)採決に際して退席する仏語系下院議員

 報道によると、11月7日午後2時半ごろ、ベルギー連邦議会代議院(下院)の内務委員会は、仏語系議員が退席する中、蘭語系議員の賛成多数で、ブリュッセル・ハル・ヴィルヴォールド(Bruxelles-Halle-Vilvoorde)選挙区の分割法案を可決しました。この可決を受けて、仏語系4党党首「我々は憤っており、仏語圏に対する重大な政治的攻撃であり、国家的近郊を崩すものであって、受け容れられない」等と強く反発。仏語系新聞も「妥協の下に運営されていたベルギーが死んだ日」「多数派の専横が勝った」(8日付「ル・ソワール」紙社説)と書き立てています。無論、これに対して、蘭語系新聞は、「よいことだ」(「デ・スタンタード」紙)と論評していますが・・・。

(図)ブリュッセル・ハル・ヴィルヴォールド選挙区(赤色部分)

 以前取り上げたようにブリュッセル・ハル・ヴィルヴォールド(以下、BHV)選挙区は、県単位が基本となっている連邦議会の選挙区の中で、例外的にブリュッセル首都地方圏(仏蘭2言語併用19自治体)とその周辺のフランテレン(フランダース)地方圏フラームス・ブラバント(フレミッシュ・ブラバント)県ハル・ヴィルヴォールド郡(35自治体)が一つの選挙区とされ、蘭語系・仏語系双方の政党が選挙に参加しています(フラームス・ブラバント県の残余の部分はルーヴェン郡で、別の選挙区)。この制度の背景には、ブリュッセル周辺のフランテレン地方圏には元来少なくない数の仏語系住民が混住しており(約12万人)、うち仏語系が特に多い6ヶ所(地図の桃色部分)については、蘭語圏にありながら仏語の公的使用が可能な「便宜自治体」が含まれていますが、これら「ブリュッセル周辺の仏語系住民」が仏語系政党に投票できるようにとの配慮があります。

 他方、蘭語系住民としては、フランテレン地方圏はそもそも蘭語圏であり、「便宜自治体」も仏語系住民が蘭語に習熟するまでの経過措置であって、かかる例外的選挙区は解消されるべきとの立場に立っています(そもそも歴史的に蘭語が仏語の風下に置かれていた経緯から、フランテレン地方圏では、域内での蘭語優位の確立、仏語の排除を志向している)。他方で、この選挙区分割が実施されれば、約12万人の仏語系住民は、ハル・ヴィルヴォールド郡の中ではそれなりの勢力でも、フラームス・ブラバント県全体では少数派になり不利になります(連立交渉に参加している仏語系「改革者運動」と「中道民主・人道主義」の2党は、分割するのであれば6自治体をブリュッセル首都地方圏に編入すべしとの立場)。

 今後、事態を受けて連立交渉に参加している仏語系2党が交渉を続けるか不透明となり、組閣交渉は一層混迷したといえます。ちなみに、11月6日には内閣不在の日数が149日目に突入し、過去最高の148日(1988年の第8次マルテンス内閣組閣時)を上回ることとなりました。

 



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