2016年11月議会では久しぶりに共通番号(マイナンバー)制度の問題点を取り上げました。
マイナンバーという呼び方は国民総背番号制度というそもそもの問題点を隠してしまうので、あえて共通番号とこだわっています。
昨年スタートしてから1年が経過し、システムトラブルも頻発。
国のスケジュールありきで強引にスタートさせたツケが起こりました。
始まる前から、分かっていたことですが。
私たちの大事な個人情報が集約され、民間利用が大きな目的として控えていることは、大問題です。
すでに他人の通知カードでカード発行を受け、パスポートを作っていた事件が起こっています。
パスポートを使って何をするのか?
NHK特集パナマ文書では、パスポートがあれば法人が設立できるカラクリを取り上げていました。
その中で、出会い系サイトの責任者にさせられた女性は、自分の履歴から消してほしいと訴えていました。
パナマ文書を調査する中で、レンタルPCの身分証明書としてパスポートのコピーを提出したのが流出して悪用された事が判明したのですが、パナマ文書が出なければ本人も知らない闇の中の犯罪です。
国内法が適用されず、個人の力ではどうにもならない犯罪があり、自分の知らないところで自分の履歴が汚されていく危険性があること、改めて共通番号制度で起こるであろう犯罪の多種多様さに思い至りました。
さて、すでに国家公務員は身分証明書として個人番号カードが使用されていますが、全国のカード発行率は9%ということです。
佐倉市の場合は6%弱と低めです。
当初カード申請をしても、あとから申請を取り下げた枚数は1,400枚弱。
そのまま交付を受けずに市に保管されている枚数が6500枚近くもあることが分かりました。
しかも、この6500枚には毎月勧奨はがきを出しているとそうで、郵便料だけでも1か月あたり34万円もかかっていることになります。
知れば知るほど無駄な経費が出てくる共通番号制度です。
長いので2回に分けてアップします。
議会質問の参考になれば幸いです。
2016年11月 伊藤とし子の議会質問から**********
共通番号(マイナンバー)制度について
1)番号法施行から1年、共通番号(マイナンバー)制度の問題について
昨年(平成27年)10月に番号法が施行され、本年(平成28年)1月より番号カードの交付が始まりましたが、度重なるJ-LISのシステムエラーによりカード交付作業が遅れるという問題がおこり、混乱を生じさせています。
この番号制度には、集めた個人情報の漏えいや不正利用、成りすましによる財産的被害、国家による国民監視、プライバシー侵害などの危険性があることを、国自らが認めています。
勤務先に提出した通知カードの紛失、収集した番号を記載した書類の紛失、番号の目的外利用等が発生しています。
本年8月、熊谷市では本人に成りすまして搾取した番号カードを利用してパスポート発行を受けていた事件が明るみに出ましたが、親族の番号通知カードを利用したものでした。
個人番号による個人情報収集により今後どんな犯罪が発生するやもしれず、国民が番号利用や管理に不安を抱き、提供をためらうのは当然のことです。
番号法では個人番号の記入を義務づける規定はなく、国は番号記載がなくても手続を行うことを公表しています。
佐倉市ではシステム改修費、カード発行経費、交付関係の事務経費合わせて平成29年度見込みまで入れると約2億9千万円となり、その内国庫補助は約2億13百万円。
一般財源約77百万円となっています。
① 番号カード発行事業の現状についてです。
通知カードの返戻状況と受け取り拒否件数について、
現在までの番号カード申請数と番号カード交付枚数について、
申請数と交付枚数の差の要因について伺います。
市民部長
通知カードの返戻は平成28年10月時点で累計5,645通で、現在の保管は1,273通。
その内受け取り拒否は36通。
交付申請数は19,506枚で、交付済みは10,523枚。
J-LISで作製中分は685枚。
すでに18,821枚は納品済み。
その差8,298枚のうち交付までの間に転出、死亡などで交付できなかったのは413枚。
申請取り下げは1,391枚。
残り6,294枚は保管中だが、制度が始まった12月から2月にかけての申請者が多かった。
毎月勧奨用はがきを出しているが、そのまま取りに来ていないので残っている。
② J-LISのトラブルの状況と原因について。
市民部長
カード管理システムの住基ネット中継サーバーの不具合が原因というのがJ-LISの説明だが、3月以降は発生していない。
10月22日にはハードウエアの故障が発生し、3時間カード交付処理ができない状態となった。
伊藤
システムトラブルは非常に初歩的なもので、最初から考えれば分かるようなことが対応できていなかったのではないか。
急がせたためにシステムとして不完全なものであったのではないか、と危惧する。
また、防衛省ではハッカーによる情報漏えいが起こり問題になっている。
1か所に情報が集まるわけだが、もしシステムダウンした場合一体どうなるのか。
市民部長
J-LISにつないでいるので、しっかりやってもらうようにお願いするということで危惧はしていない。
伊藤
ここで聞くことも酷なことだが、起り得るということを指摘しておきます。
③ 番号カードの独自利用の予定について伺います。
企画政策部長
住民票の写しや所得証明等の証明書をコンビニで交付する事業のみ。
④ 住民票等コンビニ交付についてです。
2月議会でコンビニへの手数料は1通当たり123円、一通当たりの経費は約914円と答弁がありました。
コンビニ交付するためのシステム構築費用として約13百万円で、国庫補助金はその1/2予算計上されています。
他にランニングコストが決算追加資料によるとシステム機器賃借料が平成29年度から平成34年度までで約2,440万円ですが、その後も継続され、J-LISへの年間負担金500万円も入れると年間経費は約1千万円にもなります。
コンビニ交付の導入スケジュールと発行帳票等について伺います。
市民部長
平成30年2月から、住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍謄本・抄本、戸籍の付票、課税所得証明書を発行予定。
⑤ 自動交付機について。
平成27年度の自動交付機関係費、交付枚数、自動交付機手数料収入、さくらカード発行枚数を伺います。
市民部長
平成27年度自動交付機運用経費は9,912,300円、
証明書交付枚数は25,173枚、
手数料は7,551,900円。
さくら市民カードの発行枚数は113,502枚。