月扇堂手帖

観能備忘録
あの頃は、番組の読み方さえ知らなかったのに…。
今じゃいっぱしのお能中毒。怖。

序の舞について お話と実演

2010年11月06日 | 講義
上村松園展関連イベント特別文化講座 講師:金剛永謹(京都・金剛能楽堂)



松園の代表作「序の舞」に関連して、じゃあ、序の舞って何? というところを解説してくれる講座。

今日は観世会館に行くので当初参加できないと思っていたけれども、よくよく見たらわずかに時間差があったので来てみた。

お話50分、休憩20分、序の舞実演20分。とのことだったけれど、この50分のお話が盛りだくさん。ざっとメモしてきたものを清書してまとめようと思ったら大仕事になりそうなくらい。

「序の舞」について簡単な説明があって、「まあ、あんまり詳しくお話ししてもなんですから…」と話題が移ってしまい「いや、その詳しいところを聞きにきたのですが」とちょっと残念な気もした。

けれども、その後話題は上村松園と金剛宗家との関係、ひいては、個々の作品の制作秘話といった方面に向き、これはこれでとても興味深い内容だった。

上村家の代々は金剛流のお弟子さんでもあったそうだ。

松園は昔の金剛能楽堂の正面最前列でいつも写生していたとか、「序の舞」の顔のモデルは息子のお嫁さん、立ち姿のモデルは進行役廣田幸稔師の叔(伯?)母さまであるとか、「焔」の表情に悩んでいたとき泥眼の面をヒントに絵の裏側から眼の部分に金泥をさしたとか、などなど。

そして、
・「花がたみ」の表情のもとになった増阿弥作「十寸髪」
・「焔」のヒントに見せられたと思われる河内作「泥眼」
・「砧」のために写生したと思われる河内作「曲見」(大和作もあるが東京で展示中)
・「草紙洗」のために写生したと思われる河内作「孫次郎」と雪の小面
・般若
などをひとつひとつ見せながら、それぞれの面の特徴を説明してくださる。

どれも貴重なお話だった。

特に増阿弥の「十寸髪」」は神がかって美しい。つんとした表情で眉根の下に窪みがある。

「よい面」とは視線の効いている面だとおっしゃっていた。どこを見ているのかわからないようなぼんやりした表情の物では演技ができないと。

実演は、「野宮」の序の舞だった。お囃子は、杉市和、曽和尚靖、谷口有辞。

ショップで本と「源氏物語トランプ」を購入。

松園展のチケット付きだったので、「焔」の展示される後期に行ってみようと思う。

参考)上村松園展


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