Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

DEATH NOTE デスノート the Last name

2007-11-22 | 日本映画(た行)
★★★★ 2006年/日本 監督/金子修介

「原作ファンを納得させたエンディング」


大人気コミックの映画化なだけに、漫画を読んでいる人とそうでない人では楽しみ方が全然違うんだろうな。私は原作を読んでいたので、いちばんの感想は、よくぞうまくまとめました!ってこと。原作読んでる人はみんなそうじゃないかな。とにかく後半グダグダで収集ついてませんでしたから。

このシリーズでは、主人公キラよりもL の方が存在感があった。漫画の描写では、いかにもマンガ的キャラクターで現実的にはありえない感じの人物だったのにも関わらず、映画のL は想像以上の実体として我々の前に現れた。この映画の成功の一番の要因は、松山ケンイチのL にあるといってもいいだろう。これですっかり人気者になった彼を、最近あちこちで見かけるけど、Lの面影が全くない。これまたすごいところ。あれは演技力なのね。かと言って、スピンオフですか。日テレさん、フジの真似しちゃイカンですよ…。

さて、漫画よりも映画の方がメディアとして優れているという偏見は全くないのだけれど、気になったのはキラを支持する大衆を描くシーン。キラ様とか看板持ったり、子どもがキラ様ありがとうとか、インタビューで答えるところね。この辺のマンガ的表現が映画にもそのまま導入されていて、このチープな感じがちょっと大人としては引いてしまう。

Lの存在感が抜群だったから、大衆がなぜキラに追従するのかというあたりをもう少し地に足つけて描いてくれた方が良かったな。藤原竜也は、松山ケンイチに喰われてしまったけど、キラを演じる役者としては、彼はすごく適任だと思いましたよ。だから、支持する大衆があまりにも幼稚に見えて、キラの存在そのものまで軽く見えてしまったところがちょっと残念。

それにしても、キャラクターの造形という点では日本の漫画のクオリティってのは格段にレベルアップしたよね。ひと昔前は小説家や脚本家を目指していたような人が今はみんな漫画家になっているのかな、と思ったり。漫画の中だから少々ありえない設定でも、いざ映像になるとこちらの予想以上に現実的なキャラクターになる。「つくし」しかり、「のだめ」しかり。

これはね、どんなに設定がありえなくとも、それぞれのキャラクターのディテールがきっちりと描かれていることが大きいと思う。最初は「いねーよ、こんな奴」と思っていても、好きな食べ物とか癖とか服装などに細かい描写があって、その一つひとつがしっかりとキャラクターを実在のもののように認識させていく。漫画の映像化って言うのはこれからまだまだ続くんだろうね。


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