Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

チルドレン

2009-09-05 | TVドラマ(日本)
★★★☆ 2006年/日本 監督/源孝志

「強弱のなさゆえの平面的な仕上がり」

WOWOWのオリジナルドラマ。ドラマと割り切れば、まずまずの出来映えと言ったところでしょうね。ただ、昨今の気合いの入った2時間ドラマはえてして映画と同じ土俵で見比べてしまうもので、そうした観点から見るとやや物足りません。

伊坂作品で欠かせない物は、心に刺さる印象的なセリフでしょう。暗示や教訓、人生の道しるべとなるような言葉の数々。それは、非常に詩的です。ゆえにそのセリフを発する時には、どうしてもスカしたような、気取ったようなムードが漂います。誰がどういうシチュエーションでその言葉を言うのかで、作品全体の印象を決定してしまう。本作では、無頼な先輩、陣内を演じる大森南朋にその役割が与えられているのですが、実にさらりと自然にこなして好感が持てます。

そして、伊坂作品のもうひとつの持ち味は、複数エピソードの同時進行。さて、本作はここが問題。主人公武藤の恋バナ、彼が面倒を見ているスリ常習犯の少年、そして先輩陣内との絆。どれが主旋律でどれが副旋律なのかがよくわからない。全てが同等でラストに一気に結びつくようなカタルシスがあるわけでもないし。結局、伏線がたくさんある物語というのは、完全に個々が独立しているか、または軸となる中心人物がいてその周りを各エピソードが絡み合っていくか、そのどちらかでないと全体の印象がぼんやりしてしまいます。これが、どうもどっちつかずという感じなんですよね。

主人公を演じるのが坂口憲二なんですが、正直最初の30分くらいまでは大森南朋が主人公かと思ってたくらいで。融通の利かない堅物調査官、武藤という男をもっと際立たせれば良かった。面白いんだけど、全体的にはのっぺりとした仕上がり。それは、脚本上の強弱のなさが原因のように思います。

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