★★★★☆ 2018年/日本 監督/是枝裕和
「誰も知らない」へのアンサーとも言える作品で、社会に捨てられた子どもを拾う大人たちという構図ですが、その実、拾ったつもりの彼らは社会から捨てられた存在、かつ、最終的に子どもたちからも捨てられるという大変にビターな物語。
撮影が「そこのみにて光り輝く」などで評価を得た近藤龍人。彼のファンタジックなカメラワークが、これまでの是枝作品とは異なる趣をもたらしており、それが今回のパルムドールに少なからず影響している。これまでの是枝の絵とは違うので。
役者たちのアンサンブルが本当にすばらしく、子どもたちの即興演技と大人役者陣の抑制された演技が見事に融合していました。中でも、入れ歯を外して演じる樹木希林が圧巻。それにしても、役者陣が豪華。ウディアレン化してますかね。是枝さんの作品なら出たい!みたいな。池松くんも一瞬でしたけど、存在感ありました。
ただ、自分の好みとしては前作「三度目の殺人」の方が好き。また、テーマ的にはこちらの方がカンヌ的な気もするんですけど。まあ、社会から見捨てられた人を描いてきた是枝さんの集大成(本人はこの言葉嫌がってましたけど)として、ついにパルムドールという感じでしょうか。