映画を見ながら株式投資

今の時代に起きていることを正しく認識し、自分なりの先見の明を持つ。

シェイプ・オブ・ウォーター

2018-03-06 16:52:41 | ★★★★★★★★★☆

監督 ギレルモ・デル・トロ
キャスト サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、オクタヴィア・スペンサー、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スタールバーグ、ローレン・リー・スミス、ニック・サーシー
2017年 アメリカ
ジャンル:ドラマ、ファンタジー

【あらすじ】
1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。

【感想】
アカデミー賞獲ってしまったせいで普段この類の映画観ない人が大挙して押し寄せて「俺の趣味には合わない」とか言ってるのが目に見える。そういう意味ではそっとして欲しかったかもしれない。このタイプの作品がアカデミー賞受賞するのは珍しいですね。逆に製作本数が少ないミュージカルあたりは大甘で中身なくても簡単にノミネートしてしまうのに。ついに時代が変わったのか?あるいは他にろくな作品がなかったのか?

「美女と野獣」が苦手だと口にしているデル・トロにファンタジーラブストーリー作らせたらこうなるという面ではとても納得できる作品でした。でも本当は美女と野獣好きなんじゃないの?とも言いたくなったり。

人魚姫の物語をベースにエロやグロを押し込んで怪奇に仕上がってるけど、基本的にはしっかり筋の通った映画なので満足できました。ヒロインがおばさんで相手はグロテスクな半魚人。だからこそ美男美女が演じる場合と比べて純愛映画として訴えるものはあったと思います。特に人間の残酷さや美しさの部分が生々しく伝わってくる。最初は興行とか考えずにやりたい放題だなと呆れてましたが、最後の方にはさすがに可愛く見えるとは言い難いですが、それなりに感情移入してました。

その他、登場人物は悪役を含め、全員上から抑圧されながらも必死に生きているのが特徴的で人間臭さを感じさせてくれた。そのため悪役でもどこか憎めない。あの場面で毛が生えてきて大喜びしてるとか、普通の映画じゃあり得ないけど、リアルだとそうなのかもと笑ってしまった。人種差別やLGBTなどテーマも作中に描かれていたが、それほど主張は強くなく本シナリオに集中できる程度でした。ファンタジーの中にリアルを多数入れることで引き締まっていた。

同監督だけにラストが心配でヒヤヒヤさせたれましたが、一応は納得のいく結末にしてくれたので安心しました。これで人魚になったんだなと。野獣が元の王子の姿に戻ったのが不服だった監督からして水はどんな形にも姿を変えられるが姿は違えどやっていけるという意味なのだろう。

デル・トロ 監督は私が最低点をつけた思わず馬鹿野郎と叫びたくなったスプライスという映画の製作に関わっているのですが、人間と化け物がやりまくる生理的嫌悪が限界に達したこの作品が後になって役に立ったんですね。最低作品が最高の作品に化けたと思うと感慨深い。


お薦め度:★★★★★★★★★☆

シェイプ・オブ・ウォーター


マッドマックス 怒りのデス・ロード

2015-06-22 18:02:35 | ★★★★★★★★★☆

監督 ジョージ・ミラー
キャスト トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、ヒュー・キース=バーン、ジョシュ・ヘルマン、ネイサン・ジョーンズ、ゾーイ・クラヴィッツ、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー、ライリー・キーオ、アビー・リー、コートニー・イートン、ジョン・ハワード、リチャード・ノートン、アデレイド・クレメンス
2015年 アメリカ、オーストラリア
ジャンル:アクション、シリーズ

【あらすじ】
放射能汚染後の砂漠化し荒廃した世界、ウェイストランド。ガソリン、水、弾薬、などの供給源ごとに街がつくられていた。武装集団「ウォーボーイズ」に捕まった元警官マックスは鎖で繋がれイモータン・ジョーが支配する砦で、ニュークスの輸血袋として血を抜かれ続けていた。片腕義手の女フュリオサは水を運び他の資源との取引をすべくウォータンクと呼ばれる改造車を運転し砦を出発するが、水だけでなくイモータン・ジョーの妻達を隠して乗せ、フュリオサの故郷「緑の地」への逃亡を図る。フュリオサ達の追跡を志願したニュークスは、ウォータンクの先端にマックスを縛り付け砂漠へ。ニュークスから逃れたマックスは自身の逃亡のためフュリオサ達と共闘しジョー率いる武装集団に追われながら危険な砂漠を横断する。

【感想】
イオンシネマは月曜はドルビーアトモスだろうが1100円(*3D料金だけは別)なのだが、こんなことをやられたらほかの映画館は太刀打ちできませんね。でも映画館で誰もが気楽に映画鑑賞するならこれくらいの料金がちょうどいい。

マッドマックスはもう大昔から続編作る、作らないの話が浮かんでは消え、メル・ギブソンも出る気はないみたいな話を聞いていたのでこのままお蔵入りかと思っていました。これだけ時間が空けば「北斗の拳」みたいだなんて言われるのも仕方ない。 

旧三作に比べると非常に綺麗な作りでいい意味での酷さや「ヒャッハー」といういかれた具合は劣るのだが、元はB級映画を大真面目に作った本作はこれはこれで非常に楽しめました。作品の魅力である独特の世界観についてもしっかり構築されており、納得のできるものでした。前評判シャットアウトしていたので期待以上の出来に驚かされました。恥ずかしい話「ロボコップ」と同じやや冷めた姿勢で鑑賞に臨んでいた。

「トランスフォーマー」などと同様に基本的にはノンストップアクションの垂れ流しでシナリオも砂漠を往復するだけなのだが、そのアクション一つ一つが非常に質が高く、迫力満点。また激しく長いアクションシーンの合間にあるシーンが非常に効果的で各キャラクターの魅力を高めるのに成功していたと思います。主人公やヒロインだけでなく、敵キャラから脇役までもが皆、生き生きとしていました。脇役ではすぐに散った婆さんが印象的だった。 

数々の困難を乗り越えてきただけにエンディングを迎えた際には大きな達成感がありました。そうえいば最近のアクション映画にここまでの達成感を感じたことはないかもしれません。

映画館で鑑賞した直後はどうしても高い評価をしたくなりますが、本作は時間が経っても傑作として評価され続けるのではないかと思います。劇場で鑑賞して損はありません。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

マッドマックス 怒りのデス・ロード  BD未発売。


キャバレー

2014-12-14 16:33:59 | ★★★★★★★★★☆

監督 ボブ・フォッシー
キャスト ライザ・ミネリ、マイケル・ヨーク、ヘルムート・グリーム、ジョエル・グレイ、マリサ・ベレンソン
1972年 アメリカ
ジャンル:ミュージカル

【あらすじ】
1930年代の初頭、ナチスによるファシズム政治が台頭してきたベルリンの街。暗い世相の中で、政治に背を向けた人々が夜ごとキャバレーに集まっていた。そこで働くショーガールのサリーは、一流スターになることを夢見る自由奔放な娘。あるとき、彼女の部屋の隣にロンドンから来た語学生ブライアンが引っ越してくる。性格も生き方も間逆だったが、恋に落ちる2人。そんな2人の前に裕福でハンサムなマクシミリアン男爵が現れる。

【感想】
ミュージカルは対象年齢が幅広いものが多いが、本作は大人の世界を描いているのが特徴。未成年の頃にこの作品を鑑賞していたらきっと憧れていただろうと思う。同監督の「シカゴ」と比べても大人向けである。

女優になることを夢見てキャバレーで働く女の生き様を描く。

ショーで踊る時の華やかさとは裏腹に普段の生活が泥臭さが印象的。スターになれる人などほんの一握りに過ぎないという理想と現実をつきつけられる。しかも次第にナチスが台頭していく社会情勢の緊迫が重なってしまう。

普段は非常にサバサバした性格でありながらも、必死に何かにしがみつくように生きているサリーに魅かれるものがありました。ライザ・ミネリという人はこの役を演じるための女優だったと言ってもいいでしょう。本当にはまり役でした。

この作品にはとても好きなシーンがいくつもあります。なぜ中絶したのかと問われて一度は「きまぐれ」と答えるも、再び本当理由を問われて告げる会話のやりとりがとても奥深い。二人の別れのシーンで彼女が後ろを向いたまま一度も振り向かずに手だけを振る場面がサリーの人物像を象徴していて個人的に全ての映画の中でもお気に入りのシーンの一つです。二人の結末は決してネガティブではなく前向きに取れました。もう一組のカップルがユダヤ人が迫害されつつある中で人種問題を乗り越えて結婚にこぎつけたのも演出として効いていました。

ミュージカルですけど、音楽やダンスよりも、人物の魅力や繰り広げられる人間模様の面白さがとても気に入ってします。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

キャバレー リバース・エディション [DVD]
クリエーター情報なし
ハピネット・ピクチャーズ

ディヴァイド

2014-04-10 21:46:36 | ★★★★★★★★★☆
監督 ザヴィエ・ジャン
キャスト ローレン・ジャーマン、マイケル・ビーン、マイロ・ヴィンティミリア、コートニー・B・ヴァンス、アシュトン・ホームズ、ロザンナ・アークエット
2011年 アメリカ、ドイツ、カナダ
ジャンル:ホラー、サスペンス、SF

【あらすじ】
謎の爆撃によってニューヨークが壊滅。アパートの地下シェルターに避難したのは、婚約したカップル、娘を連れた母親、若い男性グループなど9人の男女。シェルターを所有するミッキーの指示の下、限られた食料を分け合いながらサバイバル生活を始めるが、外部の状況は一切不明。極限状態の中、彼らは次第に不安や猜疑心に苛まれてゆく。そんなある日、防護服に身を包んだ武装集団がシェルターのドアを破って突入してくるのだが…。

【感想】
「トレインスポッティング」に続き2連続でトイレの中に潜る映画に出くわすことになるとは思いもしなかった。こんなことはもう一生ないでしょうな。

アパートの地下に閉じ込められた男女が極限状態に置かれるシチュエーション・スリラー。見るのが苦痛で仕方ないのに、スリルで引き込まれてしまっているので止められない作品でした。久々に強烈なのがきたと観ながら苦笑してました。

閉鎖的な空間に閉じ込められ追いつめられた人間の極限状態を描いた作品はもう何度も観てきたようなタイプであるにも関わらず、今まで経験したことない映画だと錯覚したのはやはり過激な描写によるものが大きい。この過激な描写によって最後には本性がむき出しになるのが生きてきたのだと思います。

中でも子持ちの女と最初に集団を仕切ろうとした男が悲惨な状況に置かれることになります。まあ拷問とか女性が廃人になってしまう映像の数々には目を背けたくこと間違いなしです。それでも主人公の女だけが理性を失わないように頑張っているのでこの気持ち悪さの中にも先が気になる中毒性がありました。暴徒と化す者、弱さにつけこまれて殺されてしまう者、最後まで戦おうとする者、それぞれが丁寧に描かれていたと思います。

この閉じ込められた男女に一体何が起こっているのか謎だらけの状況で話がスタートしたにもかかわらず、その回答が準備されていたかと言えば決してそうではなかったと思います。要は伏線を回収していないので肩透かしを食らいました。ラストが微妙だという意見が多くみられるのもこの部分によると思います。個人的には極限状態を描くことに専念してSF要素はなくてよかった。

変に脚本の意外性で勝負しなくても、今まで沢山制作されてきたタイプのジャンルを深く掘り下げるだけでまだまだ面白い映画は作れるんだなと感心させられました。粗削りだがパワーがある。人に全く薦められるような作品ではないのですが、それでもあえて高得点にさせてもらいます。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

ディヴァイド(Blu-ray Disc)
クリエーター情報なし
松竹

ゼロ・グラビティ

2013-12-17 19:24:53 | ★★★★★★★★★☆

監督 アルフォンソ・キュアロン
キャスト サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
2013年 アメリカ
ジャンル:SF

【あらすじ】
地表から600キロメートルも離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー。すると、スペースシャトルが大破するという想定外の事故が発生し、二人は一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出される。地球に戻る交通手段であったスペースシャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼らは懸命に生還する方法を探っていく。

【感想】
わざわざ時間をかけて日本に導入されたばかりのTCX、ドルビーアトモスの映画館で観てました。現状の視聴環境としては最高条件です。今回はどうしてもこだわってみたかった。

スピーカーが左右に18個、後ろに8つ、天井には14個ついてましたから、これなら立体的に音が聞こえてくるはずです。立体的な音響と黒色の引き立つ大画面が凄い臨場感を生み出していました。まさに本作向けの設備です。このシステム普及したらIMAXは廃れるかもしれませんね。追加料金ないが大きい。最近は映画専用チャンネルでの視聴が多いのですが、これならもっと映画館行きたいと思わせるだけのものはありました。

どうしても言っておきたいのは本作は鑑賞する時の環境が全てなのでぜひとも劇場で観ましょうということです。家庭用のテレビでは大して面白くないだろうと断言しておきます。「アバター」をきっかけに3D映画が多数作られましたが、どれも似たようなものばかりでした。本作は初めてそれを超えてやろうという意気込みがはっきりと伝わってくる作品でした。とにかく実際に自分が宇宙空間を漂っているような臨場感を体験できる。これに尽きると思います。今まで体験したことのないものを味わいました。

登場人物が実質二人。自分が今まで見た映画の中でもっとも少ない映画だと思います。ストーリーも宇宙空間で遭難した二人の脱出劇なので非常に単純でストーリーはないに等しいです。逆に言えばいちいちケチをつける場面すらないので、宇宙空間にいるかのような臨場感だけを楽しむのに集中できました。ただしラストの「アルマゲドン」風なのは少し不満。

役者はほぼ出ずっぱりのサンドラ・ブロックがいい演技をしていました。この人は「スピード」の頃から観てきましたが、本当に貫禄がついたと思います。当時、「どうせ、すぐ消えそうだな」と思ったのを謝りたい気分。最近ではキアヌ・リーブスの方が見かけませんからね。ただ某海外の有名映画サイト読んでいたら3D映画なんだから若い女を使えとか書いてあったのは笑いましたが。

そんなわけで映画館での鑑賞という条件での評価です。楽しかった。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

ゼロ・グラビティ :DVD、BD未発売。


キック・アス

2013-11-27 22:43:27 | ★★★★★★★★★☆
監督 マシュー・ヴォーン
キャスト アーロン・テイラー=ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ、マーク・ストロング、エリザベス・マクガヴァン、マイケル・リスポリ、デクスター・フレッチャー、ジェイソン・フレミング、テイマー・ハッサン、ヤンシー・バトラー、ザンダー・バークレイ、ソフィー・ウー、リンジー・フォンセカ
2010年 イギリス、アメリカ
ジャンル:アクション、コメディ、バイオレンス

【あらすじ】
ヒーローに憧れる高校生デイヴは、インターネットで手に入れたコスチュームに身を包み、“キック・アス”と名乗って街の自警活動を開始。そして、その勇姿が動画サイトに流れ有名人となるが、おかげでマフィアに命を狙われ始める。そんな中、キック・アスはマフィアへの復讐を誓い潜伏活動を続けている“ビッグ・ダディ”と“ヒット・ガール”の父娘自警コンビに出会う。手を組むことになった3人は、マフィアとの決戦に挑むが…。

【感想】
アメコミなどのヒーローものに対して物足りないと感じる部分を見事に埋め合わせた作品でした。正統派の作品に真っ向からぶつかって真逆なものを作ったという印象。最近はこの部分を勘違いして単に悪ふざけしただけの上辺だけの作品が多くてうんざりしていたのですが、本作についてはそれだけで終わっていなかったです。

最初から舐めてかかっていたら目の覚めるような作品に出くわしてしまいました。これは映画館で観ておきたかったと後悔。

主人公は変身するものの完全なはったりなのに対して、プロフェッショナルの親子がいるという構成が非常に目新しい。その中でも小学生くらいの娘の存在が作品を引き立たせていました。まだあどけない少女が銃を乱射したり、撃たれたり、ボコボコに殴られたりする光景は鮮烈でした。ニコラス・ケイジもいつも相当濃いキャラしてますけど、本作ではあまり目立たなかったくらいでしたから。

バトルの激しさも作品が盛り上がった理由として挙げられます。途中の主人公と父親が捕まって拷問を受ける場面での戦いはこれ以上派手にやったらラストがしぼんでしまうのではないかと思う中でそのラストが良い意味で期待を裏切るような激しさでした。

冒頭にも書きましたけど、普通のアメコミに対する物足りなさが見事に補完したのが存在価値を高めている。単純にエンタメ作品としても面白いので自信を持ってお薦めしたいです。

ちなみにキック・アスのアスは「US」ではなくて「ASS」なのだが、カタカナ英語にしてしまうとこのタイトルの酷さが伝わりにくいのは残念。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

キック・アスBlu-ray
クリエーター情報なし
東宝

アルゴ

2013-10-07 21:51:25 | ★★★★★★★★★☆
監督 ベン・アフレック
キャスト ベン・アフレック、ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン、ヴィクター・ガーバー、クレア・デュヴァル、クリストファー・デナム、スクート・マクネイリー、テイト・ドノヴァン、タイタス・ウェリヴァー、マイケル・パークス、カイル・チャンドラー、クリス・メッシーナ、ジェリコ・イヴァネク、キース・ザラバッカ
2012年 アメリカ
ジャンル:ドラマ、サスペンス、実話

【あらすじ】
イラン革命が激化する1979年。過激派に占拠されたアメリカ大使館から6名の職員が脱出し、カナダ大使邸に潜伏した。国務省はCIAに応援を要請し、人質奪還のプロ、トニー・メンデスが指揮を執る。トニーは架空の映画製作の企画を立て、人質たちを映画クルーに扮装させて出国させるという作戦を立案。ハリウッド映画人からも協力を仰ぎ、SF大作『アルゴ』の製作会見を大々的に開いて前代未聞の救出劇の幕が明けるのだが…。

【あらすじ】
怖かった。見ていられなかった。今の自分はホラー映画とか全然怖くないんですけど、海外に置き去りにされた話には恐怖を感じます。

1979年にイランで発生した米国大使館人質事件でCIAが執った救出作戦を描く。反米が吹き荒れる中、国民が暴徒と化した状態では説得も通用しないため、助かるためには周りを欺き通さなければならないのが独特の緊張感を生み出していました。しかもそのために立てた作戦がB級SF映画の撮影という非常に危なっかしいものだったので冷や冷やでした。

演出自体は非常にオーソドックスな手法を駆使しており特別であるとは言えないと思います。ラストの軍が飛行機を追いかけるシーンもどこかでみたようなものでした。設定が素晴らしいので素材を生かす形で淡々と描いたのがよかったのだと思います。飾らなくても十分怖かったですから。過度な演出は入れなくて正解でした。

人質が40人捕まっている中でこの6人を極秘で逃すことにどのくらいの意味があるのかとか、色々と脚色を感じさせるは面が見受けられます。ただこの部分を突っ込んでしまうと話そのものが成り立たなくなってしまうので「実話」といううたい文句は取っ払って鑑賞した方が楽しめるでしょう。

ベン・アフレックはあまり存在感のある俳優ではありませんが、本作のように自分の存在を殺す必要がある役にはぴったりでした。「パール・ハーバー」あたりで酷評されていたイメージが強いので役者としてよりも制作の方が成功する可能性を秘めていると勝手に思っています。

観終わった後、ここまで疲れたのは久しぶりです。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

アルゴブルーレイ&DVD (2枚組)(初回限定版) [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ

白い嵐

2013-06-01 22:48:31 | ★★★★★★★★★☆
監督 リドリー・スコット
キャスト ジェフ・ブリッジス、キャロライン・グッドオール、ジョン・サヴェージ、スコット・ウルフ、ジェレミー・シスト、ライアン・フィリップ、デヴィッド・セルビー、イーサン・エンブリー、ジェームズ・レブホーン、ジュリオ・オスカー・メチョソ、ジェリコ・イヴァネク、カミラ・オーヴァーバイ・ルース、ジョーダン・スコット
1996年 アメリカ
ジャンル:ドラマ。アドベンチャー、実話

【あらすじ】
海洋学校オーシャン・アカデミーに入学したチャックは、航海訓練生として11人の少年とともにアルバトロス号に乗り込み、南米を半周する船旅に出発。厳しいスキッパー船長に対して当初は不信感を覚える少年たちだったが、航海が終わりに近づく頃には、度重なる困難を適切な処置で乗り切るスキッパーを深く信頼するようになっていた。やがて帰路につくことになるが、そんな彼らの行く手に、伝説の巨大嵐が待ちうけていた…。

【感想】
教え子から慕われている男が事故によって裁かれることになってしまう話は「いまを生きる」を思い出します。実際似ています。しかし私がこのタイプの映画に弱いのとジェフ・ブリッジスの熱い演技、海の厳しさもあって素直に感動しました。

ただ暴力によって死者を出した某ヨットスクールを連想してしまうのも事実なので実際の事実関係がどうだったかを知ってしまうのが怖い作品でもあります。(幻滅すると嫌なのであえて調べておりません。)

航海へ出た12人の少年と船長を含む4人のクルーたちが、“白い嵐”と呼ばれる伝説の暴風雨に遭遇する。

作品の荒削りなところも人間的に成長過程にある若者達の姿とうまくマッチしていてあまり気にならなかったです。しかし世間一般には前述した「いまを生きる」と比べると完成度を指摘されることが多いようです。たしかに海洋学校の必要性や存在意義、そこに入学してきた生徒たちの目的などが省かれていたせいで導入部において説明不足であったことは間違いないです。

ただその欠点を補うくらいの魅力はあったと思います。特にジェフ・ブリッジスに危険な海での生活において生徒の命を預かるだけの人間としての大きさを感じることができました。海で生きていくために時には心を鬼にして厳しく接するシーンがとても絵になっていたと思います。そして実際に犠牲者がでたことで海の恐ろしさを思い知らせてくれます。

事故自体は自然の脅威の前では人間は太刀打ちできない以上、不運としか言いようのないものなのだが、それでも船長がマスコミから叩かれてしまう。そこを海を通じて人間的に一回り成長した生徒達が船長をかばうシーンはベタですが、感動しました。

事実関係が怖いですが、とてもいい作品だと思います。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

白い嵐 アドバンスト・コレクターズ・エディション [DVD]
クリエーター情報なし
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

シティ・オブ・ゴッド

2013-05-10 22:54:25 | ★★★★★★★★★☆

監督 フェルナンド・メイレレス
キャスト アレクサンドル・ロドリゲス、レアンドロ・フィルミノ、ダグラス・シルヴァ、セウ・ジョルジ、アリシー・ブラガ、パウロ・リンス
2002年 ブラジル、フランス
ジャンル:ドラマ、実話

【あらすじ】
1960年代後半、ブラジル、リオデジャネイロの貧民街“シティ・オブ・ゴッド”では銃による犯罪が絶え間なく続いていた。ある日、ギャングに憧れる少年リトル・ダイスは、幅を利かせていた3人のチンピラ少年とともにモーテル襲撃に加わり初めて人殺しを経験、そのまま行方をくらます。一方、3人組のひとりの弟ブスカペは、事件現場で取材記者を目にして以来、カメラマンになることを夢見るようになる。

【感想】
上場廃止になった某雑貨屋がインテリアのコンセプトとしてブラジルをテーマにしていたのを思い出す。ブラジルは陽気で楽しそうだからだそうだ。あの人たちにはぜひともこの作品をみていただきたい。

我々の知らない異国の恐ろしさを思い知らせてくれる衝撃的な内容でまるでスコセッシの全盛期を見るかのような作品でした。銃をぶっ放して殺しあう映画なんていくらでもあるのに伝わってくる大きさが他とは違う。全くの無名監督がこんなとてつもない作品を作るのだから観ている側としても興奮しますね。そして凄い人が登場したと喜んだものの、この作品以降、ヒット作に恵まれないというのも複雑な気分にさせられます。

ブラジルの神の街と呼ばれる無法地帯での抗争を暴力とは無縁の写真家志望の男の視点で描く。

スラム生まれで教養がなくても略奪や暴力一つで街の支配者へとのし上がることができるその光景は先進国とは異なるバイタリティに溢れていました。子供ですら麻薬や強盗を行い、人を殺したことを自慢しあうその光景に圧倒されっぱなし。殺し合いの末、結局は何も残らない不毛な争いにあって兄を殺されても何もできず、密かに好意を寄せていた女もあっさり取られてしまうような地味な主人公が運よく成功を手にするのも味わい深いものがありました。死んだら何も残らない。まじめに生きていればチャンスが転がり込んでくるということなのでしょう。

映像面では手ブレを用いてカットを細かくすることで躍動感を演出することに成功しています。作品の内容にぴったりで見事にはまっていたと思いました。本作以降、同様の手法を用いたアクション映画が乱発されたように記憶していますが、それだけ影響は大きかったのでしょう。しかし現状ではどれも本品ほどしっくりくるものはないです。

この世界はぜひ一人でも多くの人に体験してもらいたいですね。言葉では説明できない。それくらい衝撃でした。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

シティ・オブ・ゴッド [DVD]
クリエーター情報なし
角川書店




JFK

2013-05-02 22:31:33 | ★★★★★★★★★☆
監督 オリヴァー・ストーン
キャスト ケヴィン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズ、ジョー・ペシ、ゲイリー・オールドマン、シシー・スペイセク、ウォルター・マッソー、ジャック・レモン、ドナルド・サザーランド、ケヴィン・ベーコン、サリー・カークランド、ジェイ・O・サンダース、マイケル・ルーカー、デイル・ダイ、ヴィンセント・ドノフリオ、グレン・フォード、ウェイン・ナイト、ジョン・キャンディ、プルート・テイラー・ヴィンス、ロン・リフキン
1991年 アメリカ、フランス
ジャンル:ドラマ、サスペンス

【あらすじ】
ニューオーリンズの熱血地方検事ギャリソンは、ケネディ大統領暗殺という、アメリカ社会の基盤を揺るがす事件の解明に取り組んだ。ウォーレン委員会の報告には疑問がある。ギャリソンは法廷での解決を目指すが…。

【感想】
アメリカではケネディ大統領暗殺が調査委員会が結論を下したオズワルドの単独犯説ではなく政府やCIAによる陰謀論だったと考えている国民が7割いるそうです。本作はその陰謀論の形でストーリーが展開されます。陰謀論をこれが真実であるかのように映画化することに対する拒否反応はなく、むしろ陰謀論にしたおかげでストーリーが格段に面白くなったと思います。

骨のある力作。オリヴァー・ストーンの徹底的な調査で得た情報を見応えのあるドラマに仕立てる力量はトップレベルだと思います。ドキュメンタリーに仕上げることしかできないマイケル・ムーアではここまでのヒット作は作れないでしょう。

この事件がオズワルドの単独犯行ではないと疑われて理由は僅か5~6秒程度の間に3発発射して3発目を大統領の頭に命中させるのは至難の業で現場検証しても再現できないためです。そこから更に不可解な出来事が多発することで陰謀論へとつながります。オズワルドが移送中に手薄な警備によって殺害され、オズワルドを殺害した人物も刑務所で病死することで事件を証言できる重要人物が消えてしまいます。また当時の時代背景としてケネディ大統領はキューバのカストロ政権打倒に関連してCIAの幹部を解任し、ベトナム戦争も縮小する方針だったためCIAやマフィア、軍事企業、政府内の反対勢力(ジョンソン大統領)と敵対する組織を数多く抱えていました。事件の調査委員会の出した結論があまりにずさんあった点もあり、何者かが事件を裏で操っていたのではないかと疑われることになります。

本作を制作するにあたり徹底的な調査を行ったのがはっきりと伝わってくるだけでなく、これらを背景にして真相解明に情熱を注いだケヴィン・コスナー演じる主人公の熱ささらに完成度を高めたと思います。特にラストの法廷での30分にわたる熱弁は圧倒されました。ラストに向かって最高潮に達し、ほろ苦い結末を迎えた時には3時間を超える濃い時間だったことを実感しました。

前半登場人物が一気に出てくるためストーリーの把握がしづらいのが欠点かと思います。やはり多少の知識はあった方がいい。ただ逆に知識があり過ぎるのもサプライズの面でマイナスになるでしょう。

3時間を超える長時間映画だからという理由で避けている人にもぜひおすすめしたい一品。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

JFK 特別編集版 [DVD]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ

ミッション:8ミニッツ

2013-04-27 22:57:57 | ★★★★★★★★★☆

監督 ダンカン・ジョーンズ
キャスト ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト
2011年 アメリカ、フランス
ジャンル:SF、サスペンス

【あらすじ】
シカゴ行きの通勤列車が爆破され、乗客全員が死亡。米軍のスティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)は、政府の極秘ミッションとして、特殊なプログラムを用いて乗客が死ぬ直前8分間の意識に侵入し、爆破の犯人を暴いて次なるテロを阻止する任務を課せられる。何度も犠牲者の意識に送り込まれ、死んではまた甦る、という悪夢のようなを繰り返し、少しずつ犯人に近づいていく一方で、スティーヴンスの心には次第に疑惑が膨らんでいく。爆破を防ぐことで乗客の命は救えるのか?そして、なぜ自分がこの特殊任務に選ばれたのか?事件の真相、そして秘められた謎と禁断の事実に迫っていく彼を待ち受けていたのは…。

【感想】
「月に囚われた男」も良かったですが、本作も素晴らしい出来。元々このタイプのSFは大好物なのでとても気に入りました。ダンカン・ジョーンズ監督にはこれからも注目しています。

電車内での爆弾テロで亡くなった被害者の最後の8分間の記憶にアクセスすることで、犯人を発見し次のテロを防ごうとする話。

発想も面白く、ストーリーもよく練られていると思います。その上で真相を小出しにするタイミングが非常に上手で飽きさせない仕上がりになっていました。これは間違いなく監督の力量だと思います。下手な人が撮ると嘘っぽさが目立ってしまう。そんなSF映画を何度も見てきました。主人公の苦悩に関する描写も深く、心境が強く伝わってきました。そのため迫られた決断も納得のいくものでした。

あえて難点を挙げるとするならば記憶の中には何度でも潜入できるのでやり直しがきく点でしょう。このため緊張感という面に関してはやや劣ります。しかしこれはあくまで発想の面白さを引き立てるものなので特に問題にはならないと思います。それからラストで未来まで変えてしまったというのは余計でした。個人的に主人公は肉体は滅んでも爆弾テロで亡くなった男の記憶の中で生きていけばよかった。あくまでSFであるということを考慮してあえてこのような結末にしたのかもしれません。

内容的に「インセプション」を思い出しましたが、本作の方がすっきりまとまっていて完成度は高いと思います。現段階で2000年以降に鑑賞したSF映画の中では一番面白かった。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

ミッション:8ミニッツ [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

ヤングガン

2011-12-19 23:38:08 | ★★★★★★★★★☆
監督 クリストファー・ケイン
キャスト エミリオ・エステヴェス、キーファー・サザーランド、ルー・ダイアモンド・フィリップス、チャーリー・シーン、ジャック・パランス、テレンス・スタンプ、パトリック・ウェイン、ダーモット・マローニー、テリー・オクィン、トム・クルーズ
1988年 アメリカ
ジャンル:ドラマ、アクション、ウエスタン

【あらすじ】
世話になっていた牧場主(テレンス・スタンプ)を有力者マーフィ(ジャック・パランス)殺され、その復讐に乗り出したビリーら6人の若者たちは、やがてリンカン郡の戦いへとなだれこんでいく。

【感想】
この時代の西部劇といったら真っ先に「ヤングガン」が出てきますね。特にラストで敵に囲まれ、家に火をつけられての絶体絶命な状況下での銃撃戦は迫力満点。

それまでの西部劇における主人公のイメージは強いけどどこか影がある男がほとんどだったのに対して、本作の主人公ビリー・ザ・キッドは無鉄砲で(狂っているとも表現できる)その場の感情にまかせて行動してしまうのが大きな特徴です。その結果がとんでもない惨事を招く。ただこの無鉄砲さこそが後にビリー達が破滅に向かっていく様子をスリリングに演出することに成功し、作品最大の魅力になっています。一歩間違ったら全く共感できないキャラで終わっていたところを絶妙なバランスで魅力的なものにした技量は素晴らしいです。

最大の見せ場であるラストの銃撃戦は「明日に向かって撃て」を思い出すような内容ですが、緊張感や迫力は本作の方が上なのではないかと思うほどです。特に火をつけられる場面で一気に追い詰められていきます。本当に死を覚悟したのはここなのかなと思います。素晴らしい迫力でした。

ちなみにエミリオ・エステベスは「張り込み」とかにも出ていましたけどチャーリー・シーンの実の兄だというのは今まで知りませんでした。

思い入れ補正があるのでこれくらいの点数を出しておきましょう。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

ヤングガン [DVD]
クリエーター情報なし
キングレコード

ダイ・ハード

2011-06-11 23:18:59 | ★★★★★★★★★☆

監督 ジョン・マクティアナン
キャスト ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、ボニー・ベデリア、アレクサンダー・ゴドノフ、レジナルド・ヴェルジョンソン、ポール・グリーソン、ウィリアム・アザートン、ジェームズ繁田、ロバート・ダヴィ
1988年 アメリカ
ジャンル:アクション、サスペンス

【あらすじ】
クリスマス・イブの夜、LAのハイテクビルを最新兵器で武装した謎のテロリスト集団が襲った! 彼らの要求を拒んだ重役達は即座に射殺。なすすべも無く怯える人質たち。ビルの中にいた非番警官ジョン・マクレーンは外部との連絡が一切遮断された中、ただ一人命をかけた闘いを挑んだ!

【感想】
初見時にはラストの高層ビルの屋上でヘリが炎上するシーンの迫力に度肝を抜かれたものですが、さすがに今では当たり前になっている光景なのかもしれません。それでも本作の完成度の高さは80年代を代表するアクション映画として今でも輝いていると思います。

主演のブルース・ウィリスは今では「不死身な男」だとか「毎回、地球やアメリカの危機を救っている男」という完全にネタっぽくなってしまっていますが、それまではアクション系俳優ではなかったのは非常に有名な話です。本作で掴んだチャンスをきっかけに相当な努力をしたことがよくわかる内容となっております。テロリストから随分と痛みつけられても一人で立ち向かっていくその雄姿には思わず応援したくなります。

それから話の進行が急展開ではなく、少しづつだが着々と進展していくおかげで最後まで集中力が途切れず、手に汗握る展開になっています。出来の悪いアクション映画の大半はラストになって一気に解決するなど強引な幕引きを図るものが多いと思います。冒頭で登場する運転手やマクレーンの連絡役などもきっちりと仕事をするので非常に計算高い洗練された作りとなっている印象を受けます。

そして忘れてはいけないのが、テロリストのボス役を演じたアラン・リックマンの存在でしょう。非常に個性的で危険な雰囲気を醸し出していたと思います。主人公と宿敵の存在感が強烈だからこそ話が盛り上がるお手本のような存在です。私は以降の「ダイ・ハード」シリーズの魅力が今ひとつなのはブルース・ウィリスではなく悪役の個性が弱いからなのだと思っています。

最後に舞台となる高層ビルが日系企業ということで当時の経済情勢を色濃く反映したものとなっています。今だったら中国系企業が所有するビルになってそうな気がします。こういう部分に注目して鑑賞しても面白いのではないでしょうか?

素晴らしい映画は何回鑑賞しても面白いですね。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

スタンド・バイ・ミー

2011-05-20 23:55:30 | ★★★★★★★★★☆
監督 ロブ・ライナー
キャスト ウィル・ウィートン、リバー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、キーファー・サザーランド、ブラッドレー・グレッグ、マーシャル・ベル、ブルース・カービイ、リチャード・ドレイファス、ジョン・キューザック
1986年 アメリカ
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】
1959年オレゴンの小さな町。
文学少年ゴーディをはじめとする12才の仲良し4人組は、行方不明になった少年が列車に轢かれて野ざらしになっているという情報を手にする。死体を発見すれば一躍ヒーローになれる!4人は不安と興奮を胸に未知への旅に出る。たった2日間のこの冒険が、少年たちの心に忘れえぬ思い出を残した・・・・・・。

【感想】
子供の頃に仲良かった遊び仲間はなぜか知らない内に縁が切れてしまっている。それがなぜだったのかよく覚えていない。私は本作を見るといつもそのことを思い出します。とても好きな映画ですが、パイの早食い競争でゲロまみれになるシーンだけが未だに許せないので最高点は出しません。ご了承下さい。

名前だけなら誰も知っている名作であるスタンド・バイ・ミー。ここは恥ずかしがらずに白状します。夜中に線路の上を歩いたことがあります。 以上

そんなわけで 家庭の事情で心に傷を持った少年達4人が思い出を作るために少年の死体を捜す旅にでる話。旅の目的である死体はどうでもよくて、家を出て冒険をするための口実に過ぎない。「思い出を作りたい」なんてことは恥ずかしくて言えないから死体を利用しただけだと思う。

少年4人に対して非常に感情移入度が高いです。鑑賞している側にとって少年時代、置かれていた境遇は彼らのように悲惨ではなくても、どこか自分と重なる部分を発見できるからなのだと思う。自然と応援したくなる。特に冒険途中に少年達が自分の感情をコントロールできなく場面は感情が高ぶります。

4人の友情も素晴らしいですが、私はラストで不良グループから追い詰められた時に4人の内、二人は助けずに逃げようとしてしまったシーンがほろ苦く印象的です。ナレーションで冒険の後、この二人とは疎遠になってしまったことを聞かされて納得すると同時に似たような経験を思い出しました。

結構あっさり目でありながらも、爽やかで懐かしい、時にほろ苦い感情が混ざった余韻を残す作品。どこか自分の少年時代と重なる部分を見出せるのが最大の魅力でしょう。文句なしの名作。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

スタンド・バイ・ミー 製作25周年記念 HDデジタル・リマスター版 ブルーレイ・コレクターズ・エディション 【初回生産限定】 [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

第9地区

2011-02-19 22:54:23 | ★★★★★★★★★☆
監督 ニール・ブロンカンプ
キャスト シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド、ナタリー・ボルト、ケネス・ンコースィ、ウィリアム・アレン・ヤング
2009年 アメリカ、ニュージーランド
ジャンル:アクション、SF

【あらすじ】
あるものはエイリアンによる侵略を恐れ、あるものは技術の革新的な発展がもたらされると期待したが、宇宙船はヨハネスブルグ上空に浮かんだまま、動こうとしない。
しびれを切らした南アフリカ政府は偵察隊を派遣。船内で彼らを待ち受けていたのは、弱り果てたエイリアンの群れだった。彼らは故障した宇宙船に乗った難民に過ぎなかったのだ。

【感想】
低予算のSF映画でありながら、その年のオスカーに多数ノミネートされた話題作。鑑賞し終わって評価が高いのは当然だと思いました。

わざわざ解説するほどのこともでもありませんが、難民をエイリアンに置き換えることでSFでありながら現実社会での民族差別問題などを連想させ、強調した作りになっています。この発想によって独特の奥深さを出すことに成功しており、結果としてSFでないとできない表現だったと思います。

人間によってエイリアンが虐待される場面がいくつも見られる中で可哀想だという感情があまり湧いてこないのが本作の深さです。おかげで実際に自分が住んでいるエリアに大量の難民が押し寄せてきたら差別してしまうのは当然ではないのかという残酷な事実や罪悪感を気づかせてくれる。エビという名称で差別されるエイリアンのグロテスクな外観や野蛮な行為、危険だと感じさせる行動に対して排除したくなる人間の行為は当然なのだと思います。

その中にあって唯一、エイリアンの理解者となる人物が現れる。感染してエイリアンと一部が同化した主人公です。同化して初めてエイリアンの気持ちが理解できるようになった事実はこうでもならない限りは無理だと言っているのであって、現実の世界における難民に対する厳しい現実だと思います。

アクションシーンもラスト40分の最後まで一気に突っ走るようなスピーディーな展開も素晴らしかった。

エイリアンの造形など生理的な嫌悪感を与える映像、シーンが多い関係上、ロマンス大好きな女性などには全くダメだという人がいるようですが、そういう幼稚な意見は卒業しましょう。内容的にグロテスクでなければこの良さはでない。私は文句なしにオススメしたいです。

お薦め度:★★★★★★★★★☆

第9地区 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)
クリエーター情報なし
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