どうして自閉症なの

観察・評価・予測・確認・仮説・見解・根拠

No016  『事例』

2010-07-28 21:01:00 | コラム
これから息子は、先生(学校)、職員(施設)と色々な支援者に出会っていく事になります。

素晴らしい理解者にめぐり合える事の方が少ないのかもしれません。
個々の障害特性を理解して内面理解までになるとそれを求める事は出来ないのかも・・・・・。

息子は、療育園、小学校と素晴らしい理解者に出会う事が出来ています。
環境が大きく変わった一学期、爆発して落ち着いて一気に成長した姿を見せてくれました。

小学校に入学してからの4年間で蓄積されていた力を4年間一緒に過ごした先生と介助員が離れた事で出し始めた。
4年間、阿吽の呼吸で過ごせてきた息子。新体制では自分が持っている力を表に出さないといけない状況になったのだと思います。
4月、5月の必死の訴え(問題行動)だったのが六月になると初めて見る成長の姿を沢山出してきました。
新体制の先生達の頑張りもありました。息子も新しい先生達に自分の力を出して求めていきました。

小学校の入学以来の大きな環境の変化を2ヵ月で乗り越えられた『事例』。

中学、高校、社会と環境が大きく変わる場面でも「2ヵ月で乗り越えられる力を息子は持っている。」と説明できます。

素晴らしい理解者とずっと一緒に過ごせたらと思いますがそれは無理です。
素晴らしい理解者が息子の為に残してくれた『事例』を大切に持って生きていく。

息子にとっても家族にとっても、大事な宝物です。

素晴らしい理解者の想いと気持ち、そして実践。次の支援者に求める事は難しいかもしれません。
でも障害を持つ子供の親としては素晴らしい理解者の実践を語っていかないといけません。
1人でも素晴らしい理解者を増やす努力はしないといけないと思っています。


『事例』についての想い

支援者としての仕事を離れる時に何を残せるのだろうと思いました。
障害を持っている以上は1人の力では難しいです。支援者との関係で成り立っています。


支援方法を言葉で引き継ぐのは、これも難しいです。
障害を持っていると、出来ない、無理、無駄。障害を持っていてもそんな事は無い。
支援と関わりで必ず乗り越えられるという『事例』を残す事でした。


乗り越えるには真剣に向き合って、信頼関係を構築するしかありません。
個々に合わせての取り組み。
『事例』を残すのは私の力では無く、みんなの頑張った結果です。
私はみんなの持っている力を引き出してあげる手助けです。
みんなが残した『事例』。
次の支援者は『事例』について真剣に考えて欲しいという想いです。

言葉からいうと「障害者」ではなく、「障害を持って生まれてきただけ」だと思っています。
向き合うのは「障害の部分=障害特性」なんです。

障害者扱いをしている支援者が多いのも現実です。

素晴らしい理解者が窮屈な状況で仕事をしているのも現実です。

親としてこれから何に取り組まないといけないのか・・・・・・。



No015 療育手帳

2010-07-24 22:36:00 | コラム
療育手帳=障害を認める事。

親としてはどうしても障害を認めたくない。もうすぐ喋れるようになる普通の子供なんだと。
そんな想いで療育手帳には抵抗がありました。

でも今は逆です。

自治体の発達検査で発達障害と言われたら、それも自閉傾向と言われたら、それと療育が必要と言われたら、迷わず療育手帳を持ちましょう。
もしA判定でなかったら判定に納得出来ないと追求しましょう。

障害に重いも軽いもないはずなんですが、特別児童扶養手当の金額に差があります。判定基準は特別児童扶養手当の金額に差をつける為だけです。
B判定にされた方は納得出来るまで判定基準を確認しましょう。

療育手帳を持って自治体に申請をする事で、特別児童扶養手当、自動車税の免除(排気量によって)、有料道路通行料金の優遇措置(通行料金が5割引)等、色々なメリットがあります。詳しい事は自治体に確認して下さい。

子供が小さい時は健常児と同じ(紙おむつ、移動手段等)なんで特別感じる事はありませんが段々と健常児との違いを感じてきます。

発達検査で発達障害と言われても自治体からは何のアプローチもありません。
自分達で申請をしないと何も始まらないのが今の制度です。

福祉課に行って利用できる制度を調べてみて下さい。


No014 深呼吸

2010-07-20 16:07:00 | コラム
自閉症は、興奮(良くも悪くも)したりイライラしたりと不安定になる時が多い障害です。

そんな時に深呼吸が出来ると少し落ち着く事が出来ます。健常者も同じだと思います。

深呼吸って自閉症にとってはかなり難しい動作です。

息を大きく吸って、息をゆっくりと吐き出す。この『大きく』と『ゆっくり』がなかなか出来ません。
この動作は遊びのシャボン玉と同じです。

自閉症の人にシャボン玉が出来ない人が多いのは、この動作が理解しにくいのだと思います。
フッと強く吹いてしまって液しか出ない人、ストローなので吸ってしまう人。
シャボン玉を見たり触ったりする事は大好きなはずなのでそれを自分で吹けるようになる。
意外と遊びの世界が広がったりします。

学校では、リコーダーやハーモニカも音楽の時間にはあります。

シャボン玉遊びって色々な場面に役に立ちます。

※息をゆっくりと長く吐く練習として。

ティッシュを丸めてテーブルの端に置いてそれをテーブルから落ちないように吹いてどこまで端っこまで進められるか(チキンレースみたいな遊びです)

かざぐるまを息を吹きかけて回す。
画像



No013 パパとママ

2010-07-19 15:07:00 | コラム
どうしてか、「パパ」と「ママ」のどちらか一つしか言えなくなる息子です。

娘の名前は「○○ちゃん」といつも完璧に言えるのですが、

ママに「ママ」と言える時は「パパ」と言えません。
逆に、パパに「パパ」と言える時は「ママ」と言えません。

両方を言える時もありますが、どちらかが言えなくなる時が多いです。

気にもしてないので深く考えた事はありませんが不思議です。

忘れているわけでも無い様子で、その言葉を言ったらダメ的な様子が見られます。

今日、ポテトの話をしている最中に息子が「ママ」と言えないので娘が『誰々』攻撃を始めました。
すると段々と泣き顔になって、「ポテト」と訴え始めたので「名前を紙に書いて」と書かせました。
言葉に出せなくても時々書ける時があるので、うまくいけば書いて読ませて終わりです。今日は書けなかったので「ママ」と教えて終わりでした。

自分の名前はフルネームをしっかり言えます。

パパとママって名前では無いから混乱してしまうのかもしれません。

名前で呼ばれない人って、パパ、ママとお爺ちゃん、お婆ちゃんもありますね。
先生は○○先生と呼ばれるし、息子にとってはパパとママは分かりにくい言葉なのかもしれません。
クラスの友達が「パパ」「ママ」と言っていたら息子にとっては誰の事を想像しているのだろうと思ったりします。
他の言葉の中にも息子にとっては分かりにくい言葉があったりするのかもしれません。

ちょっと不思議に思った事でした。


No012 連絡帳

2010-07-10 01:45:00 | コラム
今週は、ショートステイの登録手続き、学校の一学期の個別懇談があってちょっと疲れた一週間でした。

今日は雨でプールが中止になった息子。
時々教室の窓から手を伸ばして雨を確認してたらしくて雨が降ったらプールは中止という事をしっかりと理解出来てたそうです。
昼休みもプレイルームで色々なすべり台を作って遊んだそうです。
雨が降ったら室内での遊び方も色々考えているみたいです。


個別懇談では連絡帳について先生と話し合いをしました。

連絡帳に、納得出来ない言葉が書かれている、問題行動をした時の状況の説明が無い、この2点について親の気持ちを説明しました。
連絡帳は、学校の様子、家庭の様子が把握出来る大切なものです。
一つの出来事だけ書かれていてもその日の様子が全て分かるぐらいの先生と親との信頼関係が必要です。
新体制になって親の望んでいた書き方とはズレが出てきていました。
そのズレを先生に説明して分かってもらう。

もう一点は『言葉』の持つ意味(重さ)の違いについての説明でした。
これまでも何回かあったのですが間近なコメントを例にして説明しました。

問題行動をした時に『悪さがたえません。』と書かれた事です。
書いた先生は気を使って可愛く表現してくれたのは分かるのですが、息子にとって『悪さ』とは生まれてから初めて人と関わり出した時の手段なんです。

親子関係も無い状態で療育園に行き始めた息子が先生と関わりたい為に『悪さ』をして関わってもらう事を始めた大事な言葉なんです。

家族にとって息子の『悪さ』はコミュニケーションの始まりだったんです。

息子にとって『悪さ』は、たとえ悪い事でもあっても良い事だったんです。

障害を持っている子供には健常児に使う言葉とは意味が違う言葉もある事を知って下さいと説明しました。
障害特性に関わる言葉の選び方、障害を持っている子供にはありえない表現の言葉があった事も説明しました。

翌日から連絡帳に書かれている文章が変わりました。

これからはお互いに伝え合って確認をする。
そうする事で問題を無くして行く。

新体制で始まった五年生、先生も息子も親もみんな一緒になって前に進んでいます。