Turedure Lilax Diary

「徒然」―何もする事が無くて、どう時間を過ごしたらよいのかと思うこと、様子。(三省堂 新明解国語辞典)

往く夏を愛しむ

2011-09-09 21:23:00 | 本棚
「季節風 夏」重松清
(文春文庫)


「季節風」シリーズの第3巻は、夏にまつわる12の短編集。

夏の始まりのドキドキやワクワク感、夏真っ盛りのまぶしい日差し、夏の終わりのしみじみした空気感がいっぱいに詰まっている、素敵な作品です。
先月末実家に帰省する前後に、偶然帰省にまつわる短編を読みました。
どれもこれもが自分に重なるところがちょっとずつあって、不意な一文で泣きそうになったり、思い出す風景があったり、家族や友だちのことを思い出したり。
最後の「虹色メガネ」という1編。時間にしたらほんの30分程度の小さな小さなお話なんですが、この短い時間内での、主人公の女の子の心の変化がとても瑞々しい。視力が悪くなり、メガネを作ったものの、2学期からメガネをかけて登校するのがイヤでイヤで仕方がなかった主人公の気持を変えたのは、クラスの女の子で唯一メガネをかけていた女の子。
この2人を見て、同じく重松清の「きみの友だち」を思い出しました。
ぶっきらぼうな恵美ちゃんと大人しい由香ちゃん、彼女たちはこの二人にとてもよく似てる。

さっきタイトルを入力・変換したときに「おしむ」は「惜しむ」だけではなく「愛しむ」とも書けるということをはじめて知りました。
夏ほど終わりが愛しまれる季節もない…。読み終わるのがちょっと惜しい本でもありました。


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